トランブ相場の行方
トランプ氏の当選が決まり、予想を覆す円安と日本株高が続いている。「トランプ大統領も案外悪くない」という安心感も広がり、いつものように「前から思っていた」と言わんばかりの主張をする人たちが増殖中だ。
確かに、自ら不動産業を営むトランプ氏が自分とビジネス界に損になる政策をとるはすせがない。金融規制を強めようとしていたクリントン候補が敗れて米金融株は上がっている。貿易自由化を目指すTPPを潰そうとしてきたトランブ新大統領を関係業界は歓迎している。
日本株を上昇させているのは予想外の円安だ。トランプ氏が減税と公共事業を実行した場合、米経済の供給能力が高まらないのであれば金利と物価は上がらざるを得ない。米国の金利上昇は短期的にドル高と円安をもたらす。
しかし、トランプ氏の経済政策は米国の業界、それも海外との競争に負けたか負けそうな業界を保護しようという政策だ。彼の政策を1980年代のレーガン政権の政策に擬する議論も一部にあるがそれはおかしい。レーガン政権の経済政策は経済の供給能力を上げる自由化と構造改革であり、弱まった自動車業界の保護ではなかった。その結果か育ったのは金融とIТ業界だ。
円安はこれまで日本の大企業の収益と株価にプラスだった。しかし、円安で潤うはずの日本の輸出業界はトランプ氏の米国産業保護政策で恩恵を受けられるのだろうか。米金融業界の復活やTPP潰しは日本経済のプラスなのか。また、トランプ氏が望む日本の防衛費負担増は日本財政にマイナスではないのか。目先のトランプ相場には警戒したい。

 経済気象台より------義