再配分議論を
先進国が築いた福祉国家は大きな挑戦を受けている。人工知能などの技術革新とグローバル化だ。
社会を前に進める原動力だが、働き場を奪い、暮らしを壊す負の側面もある。その衝撃を和らげられなければ、社会の分断や排外主義を招く。純粋なBIの実施は難しいが、その問題提起を受けとめ、税制や社会保障を通じた富の再配分のあり方に改善を重ねるべきだ。
例えば、格差研究で知られるアンソニー・アトキンソン氏はBIの修正版として「参加所得」の支給を訴える。
(ビジネスインテリジェンスではなく、ベーシック・インカムで、basic(基本的)income(収入)つまり政府が性別、年齢に関わらず無条件で、すべての国民に生きるのに必要な最低限の金額を支給するという制度である。)
大人が学校で学び直したり、子育てや介護、ボランティアに取り組んだりする「参加」を、お金の給付条件にするものだ。
必要とされる知識や能力が劇的に移り変わる時代。学習機会を設け、市民間の支え合いを強めることも「再配分」の有効な手立てだ。
BIが投げかける課題を考えることは、その裏腹の負担のありようを考えることにつながる。増税や社会保障の削減という負担増がもし避けられないなら、その是非を正面から議論すればいい。税を集めて再配分する政府には、より厳しい説明責任を求めていく必要もある。それを担うのは納税者一人ひとりだ。

 解/説より