中国 見えすぎる手。市場との対話が肝心だ
中国を内側から長く見つめてきた目に、超高成長から安定成長への転換を目指す経済運営の苦闘が映る。今夏の株式や為替市場の混乱にあたっては、「政策を打つタイミングも市場への説明も、パッチワークにようなちぐはぐな対応が目についた」
景気が後退しているにもかかわらず、官製メディアは春先まで「牛市」をはやし立てた。下がり始めると政府系の金融機関がお金を流し、株価を維持した。人民元を市場の趨勢にあわせるとして切り下げたのに、世界の市場の動揺を見て、ドル売り元買い介入で支えた。株安につながる情報を流して、拘束された記者もいた。しかし、肝心な、市場への政策意図の説明は後手に回る----。
「地方債務や理財商品などの不良資産も根本的には解決できていない。当面、最大のリスクは金融だ」。米国や日本でも、金融が経済危機のひきがねだっただけに、心配が募る。
「暴力救市」とも揶揄される強引な市場介入のちぐはぐさは、「党」の見えすぎる手の危うさを露呈した。中国の経済規模は、02年の米国とほぼ同じ。世界と深くつながり、頭の掌には到底、収まりきらない。国家的な行事にあわせて青空を作るようには、経済は動かない。
市場は、多様な欲望と異論にあふれている。だからこそ、不断の対話が必要だ。中国は苦手なことかもしれないけれど。

 波聞風問より-----編集委員・吉岡桂子