G20見えぬ協調策
2008年のリーマン・ショックの後、世界経済を支えたのが中国の景気刺激策と米国の金融緩和だった。G20会議で焦点となった中国の減速、米国の利上げ方針は、非常事態に直面して米中が踏み切った異例の経済政策を「正常化」する過程の一部ともいえる。
中国は当時、4兆元もの刺激策で「世界経済を救った」とも言われた。米国はゼロ金利に加え、米国債などを大量に買う3度の「量的緩和」で、数兆㌦規模のお金を市場に流した。緩和マネーは新興国に流れ込み、好景気をもたらした。中国の旺盛な需要を背景にした資源高で、ブラジルや南アフリカなどの資源国も潤った。
だが、「新常態」を掲げる中国の成長が鈍り始めると、需要の低迷で資源価格も下落。米国の利上げも近づき、一部の新興国からはお金が逃げ出している。IMFによると、今年の先進国全体の成長率は5年ぶりに2%台を回復する一方、新興国は4%近くまで減速し、両者の差はリーマン後で最も小さくなる見通しだ。
それでも米中は、金融緩和のまっただ中にある日本や欧州を尻目に「正常化」への歩みを着実に進める構えだ。市場の動揺をもたらした世界経済の構図は当面変わりそうにない。

 紙面より