日中関係、非難の応酬抜け出すには
中国共産党の報道管制下、限られた情報にしか接することのできない中国人の多くは、日本が再び軍国主義への道を歩もうとしていると誤解している。
こうして膨らむ反日感情に対抗するかのように、日本人の反中感情も最近は目立つ。
世論調査によると、両国の9割以上が相手国に良くない印象を持っているという。
ふと思いつき、日本のインターネット上の検索サイトに「中国はけしからん」と打ち込むと、約78万件がヒットした。ただ、両国のネット上の書き込みからは、お互い知らない者同士が仮想空間で非難の応酬を繰り広げているような印象を受ける。
日本人が「中国」への不満を書き込む時、それは何に、誰に向けられたものなのか。
中国という「国家」は、政治体制の違いもあって付き合い方が難しい。けれど、そこには13億の「人間」が暮らす。「中国」と「中国人」は必ずしも一致しない。
日本を訪れた中国人が嫌な思いをした、という話を聞かない。日本の魅力とは何か。豊かな自然や清潔な町並み。人々の礼儀正しさや勤勉さ。人権や言論の自由といった価値観の浸透。食の安全。並べたら、きりがない。
7年前、戦略的互恵関係をうたって「氷を砕く旅」と呼ばれた安倍首相の訪中は、特筆すべき成果を残した。首相は日本が戦後、「平和国家として歩んできたこと」や「歩み続けていくこと」を強調し、これを中国側は「積極的に評価」した。
唯一の被爆国として、平和や非核を追求する日本人に敬意を払う中国人は、少なからずいる。歴史の否定は、そうした人々の心も日本から遠ざける。

 風より----坂尻信義