戦争は外交の延長
海外の雰囲気がそうさせるのか、このところ、国外での政治家の口の軽さが目立っている。
中国要人とかいだんした元幹部は、田中角栄元首相と中国側との間で尖閣諸島の領有権を棚上げにする密約があったと北京で述べた。香港のテレビのインタビューに門主等の元首相は「尖閣は日本が盗んだと思われても仕方がない」とまで述べた。国民感情を逆なでする発言をしてしまうのは、中国人の絶妙な接遇力によるのかもしれない。
「戦争は外交の延長」という趣旨のことをプロイセンの戦略家クラウゼビッツは述べている。外交の失敗は、戦争に結びつく。国権の発動としての戦争を憲法で放棄した我が国の政府は、この大切な外交戦略も放棄したかに見える。
尖閣諸島で「領土問題は、わが国には存在しない」と国内向けに声高に叫んでも、諸外国には犬の遠ぼえとしか聞こえない。それを見越した隣国の政治家たちは、政権基盤のもろさを補うために、日本たたきを繰り返してきた。最近はそれが行き過ぎて、日本の右傾化を促すという逆説の構造も出てきている。
日本国民は平和を愛する民族であるが、政権がそうだとは限らない。先の無謀な戦争でも、軍や一部の好戦論者が世論を先導していった。
景気回復を追い風に、安倍内閣は参院選で圧勝し、久しぶりの長期政権になりそうだ。今後、右傾化の動きが加速することも予想される。これが隣国をいら立たせ、その結果、わが国の国民を更に不安に陥れ、一部を偏狭な国家主義に走らせる。国民主権を制約するような改憲論も加速するすもしれない。これが北東アジアの人々をスパイラル的に不幸にさせていく。

 経済気象台より---匡慮