民主党の現状は
政治はお世辞抜きにしては語れない
人に頭を下げ、時には道ばたの地蔵にまでお辞儀する。俗物といえば俗物だろう。だが、権力に近づくことで自分の理想を実現しようとすれば、<俗物中の練達者>とならなければならない。
俗物はさておき、練達という言葉に目がいく。鍛錬を重ね腕を磨き、技を極める。入神の境地に達することと説く辞書もある。そこまで求めるのは無理としても、もう少し何とかならないものか。参院選後の民主党のありさまにそう思う。
両院議員総会をネット中継で見た。意見は多く出たが、全体の取り運びがどうにも弛緩している。ある議員が、再建への熱を感じないと憤った通りだ。腕や技を問う以前の、やる気の問題だろう。
案の定、海江田代表が続投することへの批判が続いた。一から出直すために代表選をやれという声である。敗軍の将が、その引き際を問われるのは避けられない。
欧米の政党は、野党時代に思い切った世代交代をして、起死回生を図ることがある。英国のブレア元首相もキャメロン首相も若くして党首になった。いまの民主党にもかなりの荒治療が必要なのではないか。
中曽根氏は昔、南極で米海軍の砕氷船に乗り、艦長に氷上での操艦の心得をたずねた。「忍耐、忍耐、また忍耐」との答えに、これは政治の要諦でもあるなと得心したという。民主党も長い忍耐を覚悟し、その間に練達のリーダーを育てることである。

 天声人語より