男女に違い
男女に違いがあるのは当然として、どこがどのように違うのかを言うことは簡単ではない。しかし、時に具体的な数字で違いを突きつけられて、たじろぐこともある。
浮かび上がったのは、高齢で独り暮らしの男性が孤立する危険である。国立社会保障・人口問題研究所の「生活と支え合いに関する調査」は、人は普段どれくらいの頻度で人と話をするかを調べている。
電話も含め、毎日する人がもちろん圧倒的だ。一方で、2週間に1回以下しか話をしない人も全体の2%いて、65歳以上の独居の男性に限ると17%もの人がほとんど人に接していない。同じ年齢層の独居の女性では4%だから、違いは歴然だ。
調査を担当した安部部長は、一研究者としての一般論と断ったうえで言う。男性は人間関係を職場に頼りがちなので、退職後に新たな関係をなかなかつくりにくい。そこが地域に密着しつつ生涯を送る人が多い女性との違いではないか、と。
耳が痛い指摘である。団塊の世代の意識を探った内閣府の調査も似た傾向を示す。どんな時に生きがいを感じるか。男性が女性よりはっきり多いのは仕事、お酒、パチンコなど。女性の方が断然多かったのは、友人、知人と過ごしている時だ。
個人差はあれ、人づきあいへの考えがやはり男女で違うのだろう。徒然草にいわく
<ただ一人有るのみこそ良けれ>。縁を離れ、事に与らず、と。だが、そんな兼好も友を求めた。同じ心の人としみじみ話ができればいいのに、と書いている。

 天声人語より