ミャンマーの民主化
悪名高い軍独裁が長く続いた国の豹変ぶりに誰もが驚く。国際社会という観客に
民主化を演じつつ、裏で舌を出しているのではないか。疑念がすっきりとは消え
ない。
アウンサンスーチーさん率いる野党の「勝利」が伝わってくる。だが、これとて
「公正で自由な選挙をアピールする狙い」との見方がある。補欠選挙だから圧勝
されても与党の優位は揺るがない、と。見る目が意地悪に過ぎようか。
スーチーさんは初めて国政に参加する。一歩前進で、民主化への弾みもつこう。
とはいえ、強制と恐怖で支配してきた軍政による憲法は残る。「投票用紙は弾丸
より強し」という民主主義の理念を真に実現していくには、いらざる遺物だろう

「私たちはふつうの暮らしをしたいだけなのです。他人の邪魔をせず、不安も恐
れもなしに」。スーチーさんは以前、民主化を求める人々の気持ちをこう代弁し
ていた。兆した春を冬に戻してはなるまい。日本も力を貸したい。

 天声人語より