TPP内憂外患
日本のTPP交渉への参加をめぐる日米の事前協議が始まった。米国は圧力をか
けながらも、日本を刺激しすぎないよう配慮も示した。硬軟織り交ぜて責める米
国に対し、日本は国内の反対派との調整も手つかずのままだ。
米国の求める項目は、1980~90年代の日米貿易摩擦が激しかった時代のものとほ
とんど同じ。カトラー・USTR代表補など、米側の交渉メンバーは当時とあま
り変わらない。
ただ、米国では大きな摩擦には発展しないとの受け止めが多い。80~90年代は米
国を脅かす存在に急成長した日本への脅威論が強かったが、いまは、中国が伸長
。貿易相手国として日本の位置づけが低くなっているからだ。
TPPは経済的な理由だけでなく、外交戦略上の意味がある。米国は環太平洋域
でリーダーシップを演じようとしている。経済、軍事上の存在感を高める中国を
牽制するには、日本は取り込むべき相手というわけだ。
日本は米国や豪州などの同意も得て、今夏以降に交渉に正式参加するというシナ
リオを描く。
だが、国内の調整は手つかずの状態だ。民主党内では政府は交渉参加を既成事実
化しようとしていると、いまなお反対論が収まっていない。
心配なのは、政府の態勢づくりが遅れていることだ。
内閣官房に事務局を置き、関係省庁が一体となって取り組む仕組みはつくった。
ただ、実態は各省の担当者を兼務させただけで、全体を束ねる政府代表は空席の
ままだ。
官僚以上に重要なのは政治の構えである。国家戦略相を議長とする関係閣僚会合
はできたものの、だけが一元的に責任を持つのか、はっきりしない。

 紙面より