自衛隊は震災の教訓を公に
行方不明者の捜索をほぼおえてた。今はピーク時の半分以下の約4万人で、被
災者支援と原発対処にあたっている。
この3カ月半、隊員の迅速かつ献身的な対応が世論から評価されてきた。初動
の遅れなどが厳しく批判された阪神大震災とは大違いだ。
阪神大震災の苦い経験を踏まえ、災害時の自衛隊のあり方を政府や自治体、民
間と自衛隊が一緒に見直してきた成果といえる。
その「論功行賞」でもなかろうが、政府は国家公務員の給与引き下げ法案で、
自衛官だけ実施を範年猶予する優遇ぶりまで示している。
だが、実はあまり知られていない問題も山積みだ。
例えば全国から部隊を集める輸送手段だ。被害が大きい宮城県の石巻市から女
川町にかけては、米軍の揚陸艦や民間のフェリー、オーストラリア軍の輸送機
の助けを借りた。
東北3県の広域被災情報や福島第一原発による放射能汚染の把握も、米軍の無
人偵察機や情報収集機に頼らざるを得なかった。
政府は自前の無人機導入の調査を進めているが、まだ実現していない。今回の
事態を見て、改めて導入を急ぐべきだと思う。
防衛省は、来年度予算の概算要求に反映させるため、この夏をメドに震災対応
の検証や教訓を取りまとめる。しかし、その中身を具体的に公表する予定はな
いという。
これでは困る。教訓は公にし、政府や自治体、民間など関係者と一緒に見直し
てこそ意味があることを阪神大震災で学んだはずではなかったか。

 社説余滴より---谷田邦一