ゴルディアスの結び目
民主党の代表選で、小沢氏への支持の裏には、英雄待望論があったとされる
。閉塞感を突き破る腕っ節への期待である。
菅首相の勝利は、カリスマを頼むより、民意をふまえた、良識的な選択だろ
う。国会議員の票でも菅さんが競い勝った。党員・サポーター票の差は歴然
だった。ものごとの道理を筋目と言い、文目とも言う。わずか3カ月前に選
んだ首相を、党の事情だけで代える理非への、しがらみのない判断が示され
たといえる。
戦い終えて、首相は「ノーサイド」を宣言した。だが英国の文人ブレイクに
「敵は許す方が、友を許すより簡単である」の箴言がある。内輪のガチンコ
勝負、しこりは消えにくかろう。小沢さんの「壊し屋」の横顔が気になると
ころだ。
当面の注目は人事となろうが、ひとつの時代が終わり、新しい時代を作りあ
ぐねる日本である。問題の結び目は固く、複雑だ。1人の剛腕ではなく、首
相の言う全議員による「412人内閣」に、希望をつなぎとめてみる。

 天声人語より