金融危機と保護主義
危機が深刻化するいまこそ、われわれは内なる敵を直視して、問題の解決に
努める必要がある。
最近、マルクス主義や社会主義を再評価しようという意見もある。強欲資本
主義が破綻したから、次は統制経済ということだろうか。だが統制経済がど
のように腐敗し、破綻するかを知るには旧共産圏諸国を見る必要はない。
社会保険庁による年金記録の紛失、改ざんなどの不祥事は、官僚による統制
経済が現実に実行されると、どのような結果を生むかを示している。
世の中の人間が全員聖人君子のような立派な人間であればいいが、人間は、
時に愚かで強欲にもなる弱い存在だ。その人間が、社会をどうにか運営して
いく方法として生まれたのが、市場経済システムである。
市場経済も失敗を何度も繰り返してきた。その失敗が、いかにひどくとも、
市場経済を放棄することはできまい。保護主義の誘惑に抵抗し、市場の不公
正や欠陥を直しながら、何とか自由な経済を維持する。道は、ほかにない。

 けいざいノートより---小林慶一郎