人材育成
わが国の製造業はこれまでにも幾多の難局に遭遇し、乗り越えてきた。寄せ
来る円高は特にきつかった。各企業が頑張って強くなるほど円高は進む。そ
れは避けることのできない、いわば必然である。だが死ぬわけにはいかない
。だから頑張る。そうやって異常なほど競争力をつけてきた。それを可能に
してきたのは他でもない各企業の人材、労をいとわずひたすら企業発展のた
めに尽くす勤勉な社員である。
今回の事態を受けて採用内定取り消しの動きが出ている。その時々で激しく
変動する場当たり的な採用策はその企業の将来に禍根を残す。わが国にあっ
ては「部下を育てるのは上司の役割」であった。上司はごく当然のように部
下を鍛え育てた。人が育ってこそ企業の将来はある。一時的にでも採用を抑
えれば必ず若手を育てる層が不在になる時が来る。そして育てられた経験の
無い人がいずれ上司になる時が来る。今でも年齢構成上の歪みから人材育成
が憂慮される企業は少なくない。わが国の最大の資源は人材である。
厳しい状況に向かう時こそ人が財産であることを思うべきである。そして人
の育つ土壌を次世代につなぐのは企業経営者の責任である。

 経済気象台より---啄木鳥