不信が招く高コスト社会
今年は食品をめぐる「信用」が崩れ、今年を象徴する漢字は「偽」に決まっ
た。食品の安心、安全を確認するために、食材や製造方法のこまごまとした
情報開示を厳しく求める機運が高まった1年だった。
社会の土台に「信用」があれば、消費者が商品のこまごまとした情報開示を
求めたくなることはなかっただろうし、がんじがらめの規制の必要性も薄か
ったはずだ。
だか、土台が「不信」のままでは、商法開示の内容を充実させたり、規制を
増やしたりして、偽装を防止したとしても、安心、安全にとどめもなくコス
トをかける社会になる恐れはないだろうか。
信頼で結びついた社会は低コスト社会になる。企業も社会も信頼を取り戻す
努力が今必要だ。食の安全のために非常識な高コスト社会を招くなら、それ
は社会の退化である。

 補助線より---安井孝之