サブプライム問題で、金融技術進歩の再評価を迫る
複雑な証券化の連鎖の果てで、大銀行が末端の投資家の一翼を担っていた。
これは決済システム不安につながる。各国中央銀行が流動性供給を行ったの
はこのためだ。
次に、最初に住宅ローンを組む時のリスク評価が甘ければ、間接金融だろう
が直接金融だろうが、問題を引き起こす。否、むしろ今回の場合、証券化が
行われるがゆえに、リスク評価が甘くなったフシさえある。銀行ならばリス
クを自分でとるために通常は貸せない相手にも、証券化前提ならば、それが
売れる限りにおいて審査が甘くなったのではないか。しかも、最初何年間か
は金利が低く据え置かれるシステムのもと、担保となる住宅価格の上昇前提
に借り換えが行われ、信用が膨らんだ。これは、地価上昇前提に融資を膨ら
ませた日本のバブルと変わらない。
金融技術の進歩は「情報の非対称性」を引き下げ、資金の流れを円滑にして
経済活動を活発化させるという。だが、それはリスクを覆い隠し、リスクの
高い信用を膨らませるのと紙一重だ。一連の問題は、こうした点の再評価を
迫っているようだ。

 風を読むより--田中隆之