* 朱 鴉 の 詩 *



渡り来る風の便りもあらなくば ただに待つ身の儚かりけり



祈りこむ千代に世界の安かれと日々に願いの鶴よ羽ばたけ


* 折鶴の祈り *

神の理想を持ちながらも

動物の生理に支配されている人間は

矛盾を抱えて生きてゆくことが当然の宿命なのか

否! 断じて 断じて 否!

獣と神のはざまに揺れ惑ふ人こそぞ知るあはれ諸共




深海に真白き雪のふる如く万古の命還りゆくかな


* 輪  廻 *


海底に降り積もる雪を見たことがありますか?

文明の興亡 星の興亡 宇宙の興亡

命も 星も 宇宙も

何処から来て

何処へ行くのでしょう?

そして・・・・わたしは・・・・だれ?




* プロフィール *

I D   詩 心 歌 衣

HN 朱 鴉 (すずめ)他 色々

正 体   (-_-)zzz


座右の銘 < 群れず組せず和して同ぜず >


あすを待つ明日はなに待つ虹の橋

君へとつづく夢の浮橋


<< 露ひと世 名利も知らず無為自然 >>



* 物 語 *


見るがいい

今まさに放たれようとしている泡沫を指して

混沌の主は言った

あの小さな泡が おまえの物語だ

物語は 語られた時から この世に生まれる

語り紡ぐ事を 忘れなければ

やがて知るだろう

この混沌の海も 果てしも無い宇宙でさえも

おまえの物語の一部なのだと

さあ 行くがいい

電脳の世界の扉を開けて おまえの物語を語りに




詩 心 歌 衣


 * 夢 恋 歌 *

夢や夢 浮世はかなき春の夢ふれなば消ゆる淡雪の如 *
白き花 連理の枝に結ぶ文 風にゆらめく夢ぞはかなし *
花白く異界にまどう春の宵 はらはらと舞う転生の夢 *
夢ひとよ せめて一筆恋草子 露とながるるあした来ぬ間に *
めぐりきて刹那あやなす流れ星またはなき世ぞ夢咲かすべし *
君が許 想いとどけと恋花火せめてひとよの夢に咲きませ *
あすを待つあすはなに待つ虹の橋 君へとつづく夢の浮橋 *
咲く花に夢も現もあらざらん出会いあやなす縁しひとえに *
窓灯り君の在りしはかの辺りせめてありなむ夢の通い路 *
現し世に醒めぬ夢こそなかりけり笑むも嘆くも一炊の夢 *
移し世の 縁しを紡ぐ糸車 織りなす夢も君在ればこそ *
星見れば君が煌めく眸みゆ咲く花見れば君が笑み見ゆ *
旅果つる 彼岸あなたに佇めば夢も現も川霧の翳げ *
ただよいて夕の汀にあらわるる何処いずれが夢のあとさき *
夢に咲き 夢と散るかも遠花火 闇に透けゆく名残り儚し *
夢ひとよ朝の露ときゆるともなお焦がるるや恋の蛍火 *
あの頃の君と語らう蝉の宿 夢はめぐれど刻はかえらず *
たまゆらの命を謳い舞う光り むすぼほれゆく恋模様かな *
夢をおい ひとよに咲きぬ花ならば なにを嘆くや つゆのあしたを *
さめやらぬ夢の汀の忘れ貝しとど濡れてはもの思うかも *
夢ならむ 幻ならむ 現し世のいま腕中にきみが柔肌 *
涙川あやめも知れぬ逢瀬かなかえすはあらぬ恋のみちゆき *
果てしなく君が腕中さまよいてやがてゆきゆく深き闇かも *
よせかえす夏の残り香ききながら忘れし夢をいとおしむかな *
笑みて佇つ地蔵に供う言の葉の こだまをききぬ夢のさなかに *
幾千の浮世の関の難ければせめてわたらむ夢の浮橋 *
うつし夜をなぞれば花のつゆなして名残り埋火いだき夢路へ *
咲き狂い人世のかぎり 夢かぎり 今をかぎりと君が腕中 *
夢ひとよ紅に真藍に君が侭 乱れ咲きなむ あした知らずに *
寄せ返す喜悦の波に漂いて 夢も現も君に透けゆく *
染み付きし幾千幾夜の君が声 移ろう刻を止めて夢中 *
現し世は寝ても醒めても一炊の夢にしあれば何か嘆かむ *
あらざらん夢に縋りてかえり花 今を春よと狂い咲くべし *
ふりゆける想いひとひら たなごころ夢にもあらむ現にもまた*
紅散らす花も歌いぬ鳥達も君の在らずば春は告げまじ *
萌え出ずる季のかなわば君が許 雪の褥に紅ぞ散らさむ *
ふり仰ぐ君の笑顔に春の雪 口づけよとや露と消ぬ間に *
たそかれの庭に辛夷の咲くみれば君が翳やと心さわぎぬ *
春まだき胸元眩し笑み眩し花咲き鳥の謳う季きぬ *
花満ちて風に散り染み空に染み君が瞳に春の色染む




* 浮 世 歌 *
 
露のよを嘆く袖こそ濡れもして明けぬあしたをなお想うかも *
風雪に後ろは見せぬ風見鶏 過ぎし事ども振り向くもなし *
たゆとうてときもあらなくうつりける月も日もこそはげしかるらむ *
ふりつもる過ぎし想いにとどまれば花咲く春も遠くあらまし *
移し世にかたき何をか希むべきふれなば消ゆる雪のひとひら *
現し世は己が紡ぎし物語 在るも有らぬも見るも見えぬも *
触れも得ず あるを見も得ぬ闇に在り明けぬ朝のなきを願いつ *
移ろえば 胸乳に忍ぶ秋の風 藍も褪めゆく濃衣かな *
寄り添えど千草の色の交わらずとりどりに咲き散りゆけるかも *
群雲の 添いつ離れつ様々に うつす姿に我もあるかな *
雲居なる 峰のしずくの儚きを誰か知るらむ海原にいて *
儚くも 朝日を宿す露の如 唯ひと刻の煌めきもあれ *
君とえば 尚ふりしきる奔り雨 堰も敢ねば流れゆくまま *
寂びしきは孤高の峰の花ならず 群れ咲きおればなおに寂しく *
寄り添えばそよと砕ける水面月ふれもあえずとただうつりける *
深海に 真白き雪の降る如く 万古の命 還りゆくかな *
何処より来たりて今にあるやらむ奇跡かさねし命の我は *
満天に星降る夜はもの想う 我が身刹那の瞬きを見つ *
果てもなき輪廻の渦に君と在り彼岸の世にも亦然るべし *
ふりしきる憂いの雨も君あれば 歩みはやまじ共に濡れなむ *
ふみゆけば後ろは消ゆる浮き世かな急かれ追われてとどまるも無し *
露をなし ただ流れゆく浮世かな未練にかかる橋もあらなく *
果てしなく君が腕中さまよいて やがてゆきゆく深き闇かも *
報われぬ恋もありなむ浮世なら流れ流さる涙川かも *
ときふれば色の移るもさりぬべき なにか奥無きもの想うらむ *
争いの種は思いの数ほどに 神仏正義も願う数だけ *
ふたたびの心は知らず花七日ただに咲きけりただに散りけり*
世の事は おもいの外の御業なり 風に向かうは人の業かな *
憂き事も愛き事も皆な夢の夢 己が紡し夢ぞ真よ *
浮世川 立つ瀬もあらぬ逆流れかかる情けの橋もありませ *
山戸辺に彩なす花や春の色 雛のにぎわい瀬の音もまた *
水清く鳥啼く郷に影もなし花も哀しや誰が為に笑む *
現し世に幽き蝶の羽ばたきも野分とならむ渡り渉りて *
青春も赤夏も遠く過ぎ去りて白秋も早や指呼に玄冬 *
年をおい歳におわれて彼岸花 天を仰ぎてうそぶくもなし *
夏の色ひとはひと葉と褪せゆきて君と在りしも一片の莫 *
紅葉燃え郷を彩なす秋の色 季は巡りぬ君はあらずも *
すすき原 露をはらいつ風の径なお去り遣らぬ名残り揺れおり *
寄り添いて花譜奏でる風の詩 そぞろに蝶の恋渡りゆく *
華やげど なじか寂しき秋の暮れ夕に染まるは我が身なるかも *
現し世に久しきものも あらざれど露に晄の宿りもぞせむ *
渡りゆく風の便りもあらなくばただに待つ身のはかなかりけり *
刻うつり季は巡りぬ人も亦 縁し儚く愛しかりけり *
新玉の歳を祝うも哀しけりありてあるべき君の在らねば *
吹き抜ける林の風は冷くも 春の蕾をあやす揺り籠 *
幾歳と異土を染めにしこの涙きょう故郷の土に滲みゆく *
ふたたびの心は知らず花は咲き鳥も謳いぬ浮世夢中 *
違わずに季は巡り来往くものを徒にとどまる身こそ哀しき *
路の端に石割り萌る小さき花ときぞ巡りて夢咲かすべし *
はらはらと名残りの花を散らしける風やあはれに そよと吹けかし *
月も日も入るや出やおぼつかな 行方も知れず常もあらなく *
ゆきゆきて ふとかえりみる故郷に想いぞかける虹の浮橋 *
想いでの刻に佇む廃れ家に きこえけるかも雛の賑わい




*詩の散歩道*

忘却の無言にとけて暮れぬ間にいざ戯れむ歌野原にぞ *
夢ひとよ 君が腕中木の葉舟 堰くもあえなき滝つ瀬の川 *
安穏の闇へとけゆく三途川 過ぎにし日々も夢のまた夢 *
如何にせん さだめは知れど浮世川 淀みに惑う花の名残りを *
忘れ来しあの輝きを愛しむかもセピアの季に君と佇み *
時移り季は巡りぬ人も亦えにし果敢なく愛しかりけり *
春めくや命の詩のしらべして野辺に萌え立つ草々の夢 *
春来ぬと鳥はうたいぬ花もまた季は巡りぬ君の在らずも *
還らばや君とすさみしふるさとの小高き丘の花邑の壌 *
夢うつつあえて浮世を分かつなら君とあるよを現とぞせむ *
日を宿し 風に零るる露ひとよ 契りし方へ途惑うもなく *
夏草の繁きを如何にとどめなむ なおきぬぎぬの露のあしたを *
破れてはつむぐえにしや蜘蛛の糸 ひとよはかなき夢と知りつつ *
果てしなく/君が腕中/夢模様/夢にしあれば/夢に果つべし *
浅茅生の露のひとよの夢ならむ さらに比翼のちぎりあるとも *
同じ枝に/永くもがなと/契りしも/露のひとよの/夢となり果つ *
春風に頬をなぶらせ発ちしかど いま白き風 おいて佇む *
古りゆけば花の色香も去りぬべき 空の愛こそ哀しかりけり *
夢ひとよ ゆくもとまるも かりそめの宿りにむすぶ あさき夢かも *
あいのさなかに/行き交う夢も/添えば真事に/成りもせむ *
存らうはあたら生命を喰らう業いずれ我が身も贄たてまつるべし *
あまた生命を/餌食と為して/永ろうべきや/この命 *
愛えとも厭えともふる秋の雨 棘となりぬる愛の名残りに *
愛のあまたは/トゲともなれど/笑みてあるべし/バラの花 *
桔梗の きみがかたみをともにつれ むかしにいぬる十三夜かな *
君も亦みあぐる月や葉隠れになお咲き残る花もうつらね *
いざなうや萩のきざはしあなたへと ゆかばやゆかむ主が腕中 *
泣かぬとて誰か責めなむ蝉しぐれ やがて尽く々秋の暮かな *
神いづこ 仏ぞいづこ まこと世に御坐さばかくも嘆くあるまじ *
「神様なんて信じない・・」 難病の少女の呟きが胸に沁む・・ *
夢ふたつ想い連ねて夢想花 あかくもあらね散りゆけるよも *
吹く風にはなみゆだねて野辺の萩 今日を一期と散らす露かも *
華あかき滅びの庭に微睡めば露より繁きさりともの夢 *
さりともの想いにかかる未練橋 渡れど尽きぬ涙川かも *
みかわらば露のうきよに目を明けてなにをかとわむ瞑るいまだに *
いとど脆き露の世に目を明け初めし昔より比翼の君ぞ尋ぬ日々 *
散りあえぬ想いひとひら瑠璃かずら もしやもしやの夢にすがりつ *
嘘云わな 君が一縷の藁にとぞ 瞬きの間も ひさしからむと *
君とまたさみどりにおう野にあそび五月の空をわたる風にぞ *
いとせめて 夢にもあれな 君とまた さつきの空に 翼連ねて *
夢ひとよ衣かえして待つ宵の月にもにおう花ぞかなしき *
咲きぬれば散るより他はあらざらん いつぞ還らむまほろばの郷 *
往きてまたかえらぬ人をさりともと待つや常盤木花も知らずに *
白川の流れに散るも宵の花 または夢路の逢瀬なる加茂 *
祇園白川 流れに散れど 想いゆきつく 主が許 *
みおつくし徒にはすぎな青き春 よしうぐいすの声は聞かずも *
明日ひらく夢の応えをまちかねて きょうに流るる青き春かも *
幾よろずつぼみほころび散る夢や末には咲かね契りてし枝に *
春はまだきと鶯の初音は聞けど契りてし影は朧に春愁のなか *
冬ふかみ枯れしささ枝に哭く風に舞わせても見む風花の夢 *
滅びゆくもの愛おしき人は名残りに想えども留まるもののあるべきや *
凍てつきて去らぬ想いをちりばめて夢へいざなう妖かしの華 *
天上天下 ひと世一夜の夢ならむ・・満開の桜の様な樹氷の華 *
おかされぬ身の哀しみに風は哭き 愁いにしずむ紅葉舞わしむ *
白秋の垂水の坂をゆるゆるとしだいにまさる落ち葉ふみしめ *
滝へと続く落葉の道は人生にも似て先立った人々の顔が浮ぶ *
紅葉もえ郷を彩なす秋の色ときは巡りぬ君のあらずも *
望月の夢ばかりなるひと夜よりあす待つ宵の十三夜かな *
日をおいてさくは難くも月草に ぬらす袖にぞまさるあいかも *
恋しかる日々は常の世今になく あかでふりぬるうつせみが夢 *
君くべき我かゆくべきそうろうと脚ふみいだすゆきあいのなか *
不退転我かゆくべき人の道よしや道化の夢と果つるも *
さざなみに掬べばきゆるうたかたの夢にもあらむせのきみも亦 *
浜千鳥よせてはかえす波のまの夢ついばむや泡沫にぬれ *
恋すてふ音かそけくも朝顔のやどりぬ露にまさるものかは *
あづさあい露に濡れては色まどいやがて真のあいにさだまる *
みじかよの夢ばかりなる恋ひだとて燃やしつくさむ露のまにまに *
かがみびの我身だきしめ目覚むれば光り満ちつつ夢ぞ眠れる *
紅枝垂れすけて色づく風ころもそぞろになびく御仏の庭 *
ふれもえぬ闇のみなもに散りまどう夢ともあらむ彼岸郷の灯 *
始まりも終わりもしらず日々はゆき ふる歳月にうずもれる夢 *
晴れかねつおぼろにかすむ春の月 いで妖かしの花ぞ舞うらん *
ふりてよし常なき朝に目覚むとも ゆめ恃まんやたまゆらの夜を *
ふたたびの心は知らず花七日ただに咲きけりただに散りけり *
ふりゆける想いひと片たなごころ夢にもあらむ現にもまた *
花ごろも夢ばかりなる薄すみとうつらばはゆる若葉なるかも *
ふわふわと輪廻の旅は風まかせ何処まほろば夢の咲くなる *
花さかり色は匂えど浮世川 みなもが夢とうつるうつそみ *
恋すてふ想ひに枝垂る百々の花 咲けばこそ散る運命とは知れ *
はらはらと名残りの花を散らしける風やあはれにそよと吹けかし *
夢に泣きうつつに鳴けば春告げの声きこゆかもなおに哭けよと *
あしたには露こそいとえ藪椿あたらつぼみの散るを知りなば *
恋ごろも日ごと摺られしつゆのあと勿忘草のあわきむらさき *
しぐれては朝におぼゆ初花の色香もつゆに濡れてこそはゆ *
いつしかに人恋うる身や小米花 風な散らしそちさき願いを *
愛しむとも袖ふりかわす旅すがら浮き世おおせに何か久しき *
またの世をめぐる しるべや蓮の骨 ともに咲かむと契る文かも *
葉隠れの地蔵にそなふ言の葉の木霊をききぬ夢のさなかに *
ひとつ枝に紅白添うを 契り来し想いの麻々にと人の云うかも *
たまきはる幾世を経てや瑠璃の花 えにしの庭に連れて咲くらむ *
終章のしずりの余韻しずまれば 春 萌え出ずる命の序章 *
まちかねて春告ぐ鳥に応えては華と舞い散るしずり雪かな *
冬ざれの風吹き過ぐをはかりつつ野に春の陽は染みわたりゆく *
梅が枝の露と果てゆく名残り雪 今はの刻を紅に染めつつ *
夢惑い季をあざむく狂い花 笑みぬ今こそ春と云うべし *
老梅のおこす色香や春めいて夢を枕の身をも染めゆく *
世は移り季は巡り来往くものを徒にとどまる身こそ哀しき *
儚きを知らばや咲かね蝋梅の 風にも告げよ春の色香を *
君あらむ郷に紅葉の燃えたちて明くもあらね夢の通い路 *
滅びゆく季煌めかせ金色の蝶は翔び立つ藍の深みへ *
咲きそみし初恋草のあい淡く さめるもあらぬ春の夢かも *
常盤木の自若も外にもみじ葉のあはれも紅く散るぞ愛でたき *
すすき原つゆを掃いつ風の径なお去り遣らぬ名残り揺れおり *
夢ひとよまされる闇におぼつかな描く絵巻のついの事ども *
如何ばかり常夜の闇の深くともいくよ契りし香ぞ忘れめや *
ちぎりては重ねつぎゆく恋絵巻ひとよひとよに夢をうつして *
巡りゆく次の世もまた次の世も 連れ添いゆかむ君が傍ら *
くれないに庭咲染めて色匂う 冬の薔薇かも我が胸の君 *
禁断の針刺す如き恋に生き 幸せ満ちる日常に死す *
報われぬ恋もありなむ花もまた八重に華やぐみこそ儚し *
恋をする我がくちびるは滑らかに君が望みの夢ぞ語りぬ *
夢ひとよ醒めて凍てにし我に添い永くもがなと肌熱き君 *
黒き薔薇さらぬ想いを云わすらむ忘るあたわぬ棘の痛みを *
夏草の刈られて後の彼岸より 障るもあらぬ漫ろ道かな *
身ふたつに咲いて想いを移し草 露にぞ濡れて増さる藍かも *
今朝もまた目覚めしことの歓びに沸き立ち騒ぐひよどりの聲 *
忘却の儀式につどう夏の夢あしたの露と消えぬ間にこそ *
うつろいぬ夢のかけらのよりつどい胸底深く石の薔薇咲く *
もし もしも 幾千万のもし もしも ふりてつもりて富士は気高き *

露のひと世に咲く徒花もせめてひと夜の恋草子 *
空な言の葉すずろな実も焚けばみれんが目にしみる *
誰に見せばや恋する想い胸底秘めし紅き実 *
夢のひとよに袖擦りあってほろり零れる朝の露 *
遠く去り行く背を引き寄せて縁を紡ぐ蜘蛛の糸 *
愛想尽かしは 冷たく言って胸の埋み火消えるほど *
人は様々国様々で神も仏も様々に *
虹は七色 十人十色 夢はバラ色 涙色 *

ふわふわと輪廻の旅は風まかせ何処まほろば夢の咲くなる *
たそがれの庭に辛夷の仄めくを君と見まごう恋くらみかな *
道たずね道に迷いてゆき暮れて いま韻ける入相の鐘 *
神仏は百面百舌の変化もの照らし映すは人の心ぞ *
六道の辻あかあかと曼珠沙華 地獄極楽 夢迷うまじ *
御仏の慈悲の心や蜘蛛の糸 縋るもおもき浮世しがらみ *
散りぬとき風にゆだねて野辺の萩連れ舞う蝶の夢のさなかへ *
薔薇の恋い荊の径を来たるべし其は紅の血潮繁吹きつ *
たそかれに光そえたる夕顔の花や君とも仄めかすかも *
後れてはひとり侘び寝の憂夜かも連れ立ちゆかね後々の世は *
散りぬるを浮けてゆらめく水鏡うつるともなく花は盛れど *
風さそう花のあはれに染みゆけば千鳥ぞ通う恋が淵かも *
咲くがため散るや蕾に宿る露 散りしく花の褥濡らしつ *
浮世川あなたこなたに散る花も二世をちぎりし夢のかたひら *
有頂天 鉦や太鼓に舞い踊る下は奈落ぞゆめ忘れまじ *
格差などしょせん奈落の上の些事 幸も不幸も恋も出世も *
幸せの音のみぞ聞くあなたより目にもの見せて初日の出かな *
夢とえば雪明りにぞ浮びける君とある夜のまほろばの郷 *
水鏡うつるあはれや秋の色 溢るしずくに散る紅葉かな *
コスモスの花譜奏でる風の詩そぞろに蝶の恋い渡りゆく *
辛酸もときに醸されまろやかな美酒となるべし草々の朋 *
蓮池にみたびの月日うつしては君と寄り添う玉露の夢 *
淡きあい摺らむともなく露草に濡れて染みゆく恋衣かも *
あぶらびに露の情けも知らで咲く花ぞあはれと人の云ふかも *
  漫ろゆく林の小径木洩れ日にかげ仄あおく君のゆらめく *
あしたにはせめて慙愧の花束をきょう餌食にぞ為せし命に *
うつしよは汀にあそぶ砂の城よせてはかえす泡沫の夢 *
人の世の夢は様々七色に想い描いてかける浮き橋 *
復活の願い無慈悲に剥ぎ取られファラオは眠る硝子ケースに *
紫雲立つ彼方に音はきこえける幸せてふは如何なものかは *
そいもせぬ長きひとよもうたた寝とおもほゆるかな君が腕中 *
御仏の慈悲の心や蜘蛛の糸すがるもおもき浮世しがらみ *
タンポポの門出の白い綿帽子さびた線路に旅立ちを待つ *

歌原に集う縁の糸の先互い師となる友のあれかし




狂わねば 生きるも難き悲しみに 狂えば花の笑むも哀しき


* 狂 夏 生 *

また・・鎮魂追悼の季節が来る

今年も暑い! あの・・夏の日のように

ピカッ! ド~ン! あの日放たれた号砲から

今もなお、果てし無い 核兵器のレースは続いている


この暑い夏は・・多分・・人類が絶え果てる その日迄続くことだろう

「神よ! 神よ! なんぞ我を見棄て給ひし」 我ら今以って応ふを知らず


声高に 平和を叫ぶ平和惚け 希む平和は 戦いの果て

桃太郎 正義の味方ヒーローも 鬼から見れば憎き盗賊

禍き種子 撒き散らしつつ陸続と 屍の道をひた走るサル

エノラ・ゲイ 悪魔の翼今もなお 地獄の業火煽り羽撃く

沸き返る焦熱地獄を逃げ惑う夢去り遣らず 半世紀余を

辛酸も時に醸され まろやかな美酒と熟れかし 靖国に在り

語り部は日々消え逝くも 孫生の平和の種子のいや栄かし

けだものと神のはざまに揺れ惑ふ 人こそぞ知るあはれ諸共

祈りこむ 千代に世界の安かれと 日々に願いの 鶴よ羽ばたけ



(朱 鴉)