国内仏教者への要望と中国首脳への抗議
 ここのところチベット弾圧に関する日本国内の仏教界の動きについての話題を取り上げることが続いてますが、まだ何度か続けることになりそうです。

 チベットの人々の半世紀以上にわたる受難について、日本ではあまり知られていませんでしたが、かつてない程関心を集めるようになってきています。人気のフリーペーパー、R25でも取り上げられてます
しかしまだまだ日本での認知度の低さは先進諸国の中では特異的でしょう。

 さて、長野での聖火リレーの出発地として予定されていた善光寺が、それを辞退することを決定し、大きな話題となっているのでもう皆さんは御存知のことと思います。国内では勿論ですが、海外でもかなり注目されているようです。

 また、こうした事態に、全日本仏教会も方針を改めることを迫られているようです

 実はここからが元々書く予定だった話です。上記の話は急遽付け足すことになったものです。予定していたのは全日本仏教会会長にも宛てられた要望書を含むものだったので、丁度内容的にもつながりの深いものになりました。

 私も何度かお店にお邪魔させて頂いており、そこで講演依頼も受けていていずれお応えしたいと考えておりますが、中野でバーのマスターとして仏縁を広める活動をされてることが最近話題として取り上げられることも増えてきた浄土真宗大谷派の僧職、釈源光さんが釈尊の降誕会に因んだ阿佐ヶ谷でのイベントで百名程の聴衆を前に、このように声明を発表されましたので御紹介させて頂きたいと思います。



               抗  議  文

中国政府首脳殿


「中野・坊主バー」は、この度のラサに始まった貴国内各地でのチベット人民への武力制圧・僧侶らへの宗教弾圧・一般市民への迫害行為等、数々の非人道的行為並びに連日にわたる人権無視の強行措置に対して、断固抗議致します。

貴国が、幾ら最大限のメディア統制と自国に不利な情報の隠蔽工作を内外に徹底させたにせよ、真実はいずれ必ず世界に知れ渡るでしょう。
日本のメディアも国民も、また私どもを含むこの国の宗教者・仏教者も、今回の貴国の暴挙を深く憂慮しながら注視しています。

かつてお釈迦様は「差別なく全ての衆生に等しく<仏性>がある」とお説きになりました。
それ以来仏教は、かけがえのない諸個人の<いのち>を、何よりも大切にする宗教です。

今日の国際社会において、如何なる理由があろうとも、信仰を武力で制圧することは断じて許されません。 チベット仏教の伝統や「信教の自由」を奪うことは、誰にも出来ません。

私どもは、間近に迫った<平和の祭典>北京オリンピックを成功させて欲しいと願うものであるが故に、少なくとも開催国である貴国政府は、チベット民衆へのこれまでの歴史的な差別待遇と不当な介入を直ちに中止し、対等な話合いによる平和的な政治解決を目指すべきであると考えます。

また、ウィグル民衆への同様な横暴も、直ちに中止するよう、この場を借りて要望いたします。

生きとし生けるものに幸あれ。
南無阿弥陀仏。合掌。

2008年4月8日(潅仏会)
真宗大谷派瑞興寺僧侶
中野坊主バー・マスター:釈 源光


                  要  望  書


真宗大谷派(東本願寺)宗務総長 熊谷 宗惠殿
全日本仏教会 会長殿
国内仏教者 各位 


この度の中国政府による、国内チベット人やウィグル人への人権弾圧、及び武力による仏教徒制圧等に関し、お釈迦様の「差別なくこの世の全ての衆生の<仏性>を尊ぶ」教えに仕える坊主の端くれとしての私は、いたずらにじっと指を咥えて静観することが出来なくなりました。

しかしながら、一僧侶だけではいかにも力になりません。

そこで、日本で有数の門信徒数を誇るわが浄土真宗大谷派の全組織を挙げて、断固たる抗議声明を、かの国の政府宛てに直接表明していただきたく、ここに要望するものであります。
ちなみに、すでに本願寺派は、早々と宗務総長名義で声明文を公けにしています。

また、私ども一宗派を超えて、この国の全仏教徒各人が、自らの所属する仏教教団の各代表責任者に対して、一致団結して決然たる抗議の記者会見を、一刻も早く国際社会に向けて開催し、共同声明を公表していただけるよう、切に要望いたします。

今日のボーダレスな情報化社会、危機的な地球環境下におきまして、仏教者のみならず全宗教者が、互いに共存・協力しあって人類の平和と幸福に対して積極的に助言や警告を発していかなくば、何のための教え、誰のための宗教なのでありましょうか?

いまこそ日本大乗仏教の出番です。私たち宗教者は、世界に見られています。

どうか、中国国内の仏教の今後の健全な発展のためにも、チベット仏教の貴重な伝統を守るためにも、ウィグル民衆の自由と人権のためにも、かの国の政府首脳宛てに、勇気ある発言と、毅然とした公開抗議文を、世界に向けて一刻も早く提出していただきたく、ここに要請いたします。

南無阿弥陀仏。合掌。

2008年4月8日(潅仏会)
真宗大谷派瑞興寺僧侶
中野坊主バーマスター: 釈 源光



 このような心ある僧の声、そして一般の仏教徒、また仏教徒ではなくとも苦しみの中にある人々に対する慈悲に根ざす草の根の声が高まって多くの人の心を動かし、やがては実を結ぶと信じ、これからもこの問題について私自身僧籍にある者として、仏教者として意義あると思える活動を宗派問わず紹介させて頂くことを通して僅かなりとも力になりたいと思います。

編集 ペン : 他山の石と思う無かれですね。かつての日本も不敬罪と言う名の下に数多くの宗教が弾圧されました。これは別の話としても人は等しく仏性を持つので有ればチベットへの暴虐な振る舞いは仏を殺す事と同じです。日本人として注視し声を上げて行かなければならないと思います