2021年01月の記事


どちらもおなじみの果物ながら、みかんとりんごは役どころが違う。
<君と僕二人で囲む冬の夜「こたつ」と「みかん」はベストカップル>近藤史紀。
みかんには暖かい色のもたらす「安定」のようなものがある。
片やりんごは、たとえば歌人の故・河野裕子さんの一首を思い出す。<青林檎与えしことを唯一の積極として別れ来にけり>。同じ「ふたり」のことを詠んだ歌ながら、淡い孤独と硬さをたたえる。実体験にせよフィクションにせよ、双方の歌でみかんとりんごの交換はできまい。
日の色に染まったみかんは、安らげる「人の間柄」の暗喩のようでもある。暖かい色に家族の記憶を呼びさまされる向きもあろう。冬の団欒の名脇役だが、消費の低迷が聞こえて久しい。
ピークだった1975年の約5分1に減っているという。「日本人が最も多く食べる果物」の座は10年前にバナナに奪われた。茶の間からこたつが減ったから-----などと理由には諸説あるようだ。
思えば、テレビのチャンネルをまだ回していたころがこたつの全盛時代、すなわちみかんが胸を張っていた時期だった。みかんの低迷とともに、人どうしの円居が減りつつあるのなら、寂しいことである。
役どころの話に戻って、みかんが向き合って食べる果物なら、バナナには個々で食するイメージがある。多忙なときは食事代わりにもなってありがたい。果物もまた、世につれ。個々が孤々にならないか、心配ではあるが。

 天声人語より
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魚を表す漢字は、中国ではなく日本で作られたものが多い。
中国の古代文明が栄えた内陸部は、海の魚に縁遠かったためではないかと、漢字文化に詳しい阿辻哲次さんが書いていた。島国ゆえに鰹や鰤、鯛などの豊かな字が生まれたのだろう。
鰯も読んで字のごとく「弱くてすぐ死ぬ魚」の意味だという。そう考えると、新しく発見された「ヨコヅナスワシ」の和名がついた巨大魚は、ちっとも鰯らしくない。駿河湾の深海にすむ体長1.4㍍、体重25㌔に達する魚である。
普段食べるイワシとはグループの違うセキトリイワシ科に属するそうだ。堂々たる姿に加え、主に魚を食べ、食物連鎖の頂点にいるがゆえに関取のなかでも横綱とされた。新種を見つけ、その生態を言い表す命名はなかなか興味深い行為だ。
動物分類学者、岡西政典さんの近著『新種の発見』を読むと、昔から命名には苦労したようだ。たとえばカワウソの学術的なラテン語名はかつて、「足の先は手のひら状で毛が無く、尾は体の半分しかないイタチ」だったという。
説明で名前が長くなりがちのため、学名は2語に限ることになった。ちなみに現在名前がつけられている生物は、180万種にのぼる。それでも未知の種の存在は数百万とも数千万とも言われており、命名の道のりは長そうだ。
学者たちの格闘はともかく、名前を知ればその生き物がもっと身近に思えてくる。冬木立のなか、鳥たちの姿がよく見えるこの季節は、しっかりした図鑑が欲しくなる。

 天声人語より
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天空に描く平和の円
私にはまだまだやりたいことがたくさんあります。今の私にとっての「人生
百年の計」とは、私が抱いているビジョンを、次の時代、または次の次の世
代、つまり孫やひ孫たちにバトンタッチしていくことです。
保田氏は、戦争の惨めさ、誤った戦争から学んだ教訓を、戦争を知らない次
世代の子どもたちに伝えたいと思っています。今日の大人が作り上げられな
かった平和を、何とか次世代が実現できることを願っています。現在10歳の
子どもが60歳になった頃、世界に平和がもたらされるよう、今のうちに戦争
を知る私たちのビジョンを伝えなければならないのです。
私の父の好きだった英国のビクトリア朝のロバート・ブラウニングの作品に
次のような詩句があります。
 「地上ではかけた弧、
      天上では全き円」
私の今のビジョンは「天空に描く大きな平和の円」です。平和の実現は非常
に時間がかかる壮大な目標です。私の存命中には難しいのです。しかし、そ
の円の中の一つの弧でも実現させるために、私は今後も勇気ある行動を起こ
していきたいと思っています。

 私の証 あるがまま行く---日野原先生
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18世紀のロンドンでは、強い酒で値段も安いジンが大流行した。
産業革命期の労働者にとって、手っ取り早く酔える酒は、つらい仕事を忘れる手段だったと飯田操著『パブとビールのイギリス』にある。
人々の身体をむしばむ事態を何とかしようと政府はビールを奨励した。その頃作られた「ジン横丁」なる版画は、泥酔して授乳中に赤ん坊を落っことす母親など、酒におぼれる男女の図だ。「ジン、忌まわしい悪魔---」の文も添えられている。
対になった「ビール街」という版画もあり、こちらは人々がジョッキ片手に楽しそうだ。そんな宣伝も、現在の「パブとビール」の文化につながっているのかもしれない。強い酒からの脱却は現代の課題でもある。
酒類メーカーが低アルコール飲料に力を入れ始めたと先日報じられていた。アサヒビールはアルコール度数3.5%以下の飲料とノンアルコール飲料をあわせ、販売数量の2割に引き上げる目標を立てた。他社にも同様の動きがある。
飲み過ぎによる健康被害は世界的な問題で、とくにコロナ下の不安や孤独が飲酒に向かわせると世界保健機関も警告している。感染対策で「行動変容」なる言葉が目につくが、飲み方の行動変容もできるか。
度数も大事だが、ます気をつけるべきは量だろう。〈ああこよひ我は富みたり/五勺の酒あり/塩鮭は皿のうへに高き薫りをあげ----〉。中勘助の詩「塩鮭」にある五勺とは1合の半分。巣ごもり生活で飲みすぎそうな時に思い出したい。

 天声人語より
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コロナ対策
そもそも刑事罰はあり得なかった。
残る行政罰は理にかなうか。
国会に目を凝らす。
「時短」に応じなければ過料。
支援内容を詰めずに罰則を決めた。
順序がぎゃくでしょ。

 素粒子より
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大記録が目前に迫る。どんなスポーツであれその選手は、声援を背に精神を集中するものだろう。
ハンク・アーロンさんの場合は違った。ベーブ・ルースの本塁打記録714本に近づくと脅迫の手紙が毎日のように届いた。アーロンさんが黒人だからだ。
「親愛なるハンクへ 700号を超えたら、弾丸が体に風穴を開けるものと思え」「アーロンさんへ 球界から引退しないのなら、家族にも大きな影響が出る」。応援の声も多かったが、同時に寄せられる憎悪の感情に苦しめられた。
715号を放って記録を塗り替えたのが1974年4月8日。影響力を持つようになった選手として、黒人の子どもたちに模範を示す責任が生じたと自伝で述べている。「彼らには希望がなくてはならない」。アーロンさんが86歳の生涯を閉じた。
貧しい少年時代、黒人初の大リーガーだったジャッキー・ロビンソンに憧れた。強靭な手首を武器に、54年に大リーグに入ったアーロンさんの野球人生は、黒人が権利を獲得していく時代と重なっている。
訃報を受け、米ニューヨーク・タイムズが715号を打たれた黒人投手の言葉を載せている。「あの時、どういう国だったかを思い出してほしい。60年代の公民権運動の時代は過ぎたようでいて、まだ終わっていなかった」。
米国社会で間欠泉のようにわき出す人種差別の問題を見ると、道はいまだ途上であろう。それでも前に進んでいることは、いまアーロンさんに向けられる称賛が物語っている。

 天声人語より
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現状ワクチンはどうなっているだ
「早くても4月1日」。
高齢者への接種。
ワクチン供給も自治体の準備も難題続々。
気にはなるけど、一喜一憂はするまい。
感染者数の推移に。
重症者はまた最多更新。

 素粒子より
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明治後期の東京に、その一角だけ洋館が立ち並ぶ場所が生まれた。
丸の内の陸軍練兵場の跡地に、三菱が1号館、2号館---と事務所を建てていったもので「一丁倫敦」の呼び名がついた。まるで小さなロンドン。当時の人々の驚きが伝わってくる。
大正期には、その近くの東京駅前にもビル群が現れ「一丁紐育」と呼ばれた。「一万五百人の就業員を包容し、不夜の電燭、不断の自動車---」とは、当時の新聞記者矢田挿雲による丸の内の描写だ。
以来、東京のオフィス街は戦争をはさみつつも拡大を続け、人々をのみ込んできた。それがコロナに伴うテレワークの広がりで変化を見せている。先日も広告大手の電通が汐留にある自社ビルを売却する方向と報じられた。
電通の出社率は2割程度まで下がっている。売却後も同じビルを借り続けるものの、面積は半分ほどに減らすらしい。オフィス縮小の動きは多くの企業に広がっているようで、当局に限らず全国の都市部で空室率がじわじわと上がっている。
会社は「通う」のではなく、用があれば「立ち寄る」場所になってきたのかもしれない。居住人口が都市部からこうがいに移るのをドーナツ化現象というが、いま起きているのは働く場のドーナツ化か。
取引先とのやりとりから社内会議、同僚との雑談まで自宅から行うさまは、いわば「一室丸の内」。手を抜かず、かといって働き過ぎないことが大事だが簡単ではない。自室が「不夜の電燭」になるのだけは、避けたいところだ。

 天声人語より
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国会議員は人ではないのか
深夜の銀座を与党議員が、ふらふらと。
お気楽なのね。

冬の使者、オホーツク海沿岸に来る。
〈日当たりて流氷海と色わかつ〉児仁井しどみ。

素粒子より
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不条理なことばかり起きるのは、そこが鏡の国だから。まっすぐ歩こうとすると反対方向に行ってしまう。
お店の棚には商品がいっぱいなのに、見つめると空っぽになる。ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』である。
この世界に君臨する「赤の女王」に、アリスがのどの渇きを訴える場面がある。「ほしいものをあげましょうね!」と言われて渡されたのは、水ではなく、ぱさぱさのビスケットだ。
いまの私たちも、何だか不条理劇のなかにいるような。求めているのはコロナが発症した時に入院ができ、治療が受けられる医療体制である。しかし目の前に現れたのは「入院を拒否すれば懲役」という罰則規定。おととい閣議決定された法改正案に含まれている。
感染者が入院措置を拒んだ場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科すことができる。やむなく自宅待機している人が数多くいるのが現状なのに、自宅療養中の死亡も相次いでいる。
罰則がもたらす負の効果も心配だ。ややこしいことになるなら検査を受けるのをやめておこう。そう考える人も出てくるかもしれない。罰則を伴う入院というイメージが、感染患者への差別や偏見を助長しないだろうか。
コロナ対応の重荷が特定の病院に偏っているとすれば、それも不条理だ。一連の法改正案では病床確保に向けて医療機関に「勧告」ができるようにするというが、上手に使ってほしい。現場を無視した勧告を乱発し、さらなる不条理を招かぬように。

 天声人語より
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コロナ対策
こだわりの「GoTo」を撤回すれば、危機突破への強い決意を示せると思うけど。
昨年、慎重に審議しておくべき話だが。
罰則規定を巡り与野党がどたばた修正協議。

素粒子より
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「7月に開幕しないと信じる理由は何もない。だからプランBもない」。
国際オリンピック委員会のバッハ会長の言葉に考え込む。共同通信の取材に応じた。この感染拡大下でほんとうにプランAしか手元にないのか。
米紙が先週、IOCに今夏の開催を危ぶむ声が出ていると報道。「第2次大戦後、初の五輪中止か」と踏み込んだ。英紙は今週、「日本は今夏の開催をあきらめて、2032年開催を目指す方向」と報じた。
むろん政府は火消しに回る。「人類がコロナに打ち勝った証しとして開く」と言い続ける菅義偉首相は、国会で「プランBの準備はないのか」と迫られても態度を変えない。五輪相らからも精神論が続く。「心を一つにして」「成熟国家としてやり遂げる」。
7月23日の開幕まであと半年。アテネなど夏冬の大会を取材して学んだことがある。どの会場にも事故や急病に備える医療スタッフが大勢常駐していた。東京大会でも1万人以上の医師や看護師らが動員される計画と聞く。すでに逼迫している東京圏の医療を思うと、もう不安しかない。
いまの状況で予定通り開いても、主役である選手たちがやって来てくれるかどうかもわからない。世界のアスリートが二の足を踏むようでは、もはや「夢の祭典」の体をなさない。
プランAにこだわった首相が、追い詰められた後にプランBに慌ただしく移る----。このパターンはもうごめん被りたい。GoToと年明けの緊急事態宣言がそうだったように。

 天声人語より
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五輪の行方は
再延期51%、中止35%。聖火リレーが2カ月後に迫るいま、冷めた慎重論が広がる。
「開く」の一点張りじゃ、具体像が見えないからねぇ。

素粒子より
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かつて原爆を作らせようととて成功し、原爆を使わせまいとして失敗した科学省がいた。
物理学者レオ・シラードである。ハンガリー生まれのユダヤ系でナチスの迫害を避けて米国へ亡命した。
「ナチスに対抗するため原爆を開発すべし」。1939年、親しいアインシュタインを説得し、そんな書簡を米大統領に送った。シカゴ大に職を得て、核分裂の臨界実験を成功させた一人となる。
ライターの大平一枝さんは4年前、米国で彼の生涯を追った。著書『届かなかった手紙』によると、シラードは開発の立役者ながら、もはや丸腰状態の日本に新型爆弾を落とす必要はないと考えた。「残酷性を知り抜いていた。無警告で投下するのは倫理に反すると訴えました」。
1945年夏、彼は大統領に宛て、投下の回避を求める請願書を提出する。だが軍上層部の妨害もあり、大統領はそれを目にすることもなく、投下を決断してしまう。
思い出すのは、20年前、長崎への投下機に乗務した米兵らに取材したときの驚きだ。「原爆のおかげで早く戦争が終わった」「大勢の米国民の命を救った」。日米間で原爆を見る常識が悲しいほど隔たっていた。シラードの名もいまや米国ではほぼ忘れ去られているそうだ。
核兵器禁止条約が発効した。保有はもちろん実験や威嚇も禁じる内容だ。だが核保有国はそろって署名すらしてない。「核の傘」に頼る日本もしかりだ。あのとき日本への投下に反対したシラードはこの不条理に何を思うか。

 天声人語より
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知恵を授ける「虚空蔵菩薩」
虚空とは空間のこと。
空間は宇宙を果てしなく広がり、どんなことをしても決して破壊されない。仏の限りなく深遠な智慧を、果てしなく(無尽蔵)、決して破壊されることのない虚空にたとえ、それをシッカリと蔵している(保っている)のが虚空蔵菩薩なのである。
仏の智慧という抽象的な概念を仏格化した菩薩で、かなり複雑な性格を持っている。しかし、古くから「智慧授け」の仏として信仰され、弘法大師もこの菩薩に一心に祈願したところ超人的な記憶力を授かったと伝えられている。
また、江戸時代のころから「十三参り」という民間信仰が盛んになった。これは13歳になった男女が虚空蔵菩薩にお参りして智慧を授けてもらうというもので、今も京都などでは人気の年中行事となっている。
京都・渡月橋の近くにある法輪寺は「嵯峨の虚空蔵さん」として知られ、毎年4月13日に着飾った子供たちが参拝して智慧を授けてもらう光景が今も見られる。そして、お参りした帰り道には決して法輪寺の方を振り返ってはいけない。振り返るとせっかく授けられた智慧を返してしまうというのである。
虚空蔵菩薩の名作として名高いのが京都・高雄の神護寺の五大虚空蔵菩薩である。対日如来の持つ五つの深遠な智慧でわれわれを悟りに導いてくれるといわれ、端正な顔つきの五体の虚空蔵菩薩が道内に安置されている。京都の東寺の観智院には馬や孔雀などの鳥獣に乗った五大虚空蔵菩薩像がある。こちらは中国で作られ、平安時代にわが国にもたらされた。重文に指定されている。

 読んで知る仏像より---瓜生 中
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「流行を作っているんじゃない。私自身が流行だから」。仏デザイナーのココ・シャネルは多くの名言を残した。
強気の弁もあれば、寂しげな述懐も。高級ブランドの創業者として名高い彼女が亡くなって今月で50年となった。
その人生は映画や小説で幾度も取り上げられてきた。母に死なれ、父に見捨てられ、孤児院で育つ。裁縫の下働きから身を起こし、27歳で帽子店を構える。第2次大戦直後は、対ナチス協力の疑いで批判を浴びた。
デザイナーとして、体を絞めつけるコルセットから女性を解き放った。スカートの丈を短くし、ジヤージー素材の服も考案。「私の頭の中に秩序を押し込もうとする人々が嫌い」。自ら髪を短くして、ショートヘアーを流行させた。
そんなシャネルの別の一面を教えてくれたのは東洋大経営学部の塚田朋子教授。最大の強みはマーケティング戦略だという。新作を自国で酷評されても、米国でヒットさせ、流行を逆輸入する。香水には「5番」といった数字だけの斬新な商品名を付けた。
「手の届く製品から商いを広げ、安価な素材を巧みに使う。たぐいまれな手腕。松下幸之助さんのような経営者でした」。なるほどいまも世界中で愛される理由の一端が垣間見えた。
シャネルはこんなことも言っている。「20歳の顔は自然がくれたもの。30歳の顔はあなたの生活が、50歳の顔にはあなた自身の価値が表れる」。シャネルの品々とはおよそ縁ない身だが、鏡に映るおのれの顔にじーっと考え込む。

 天声人語より
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鰻の焼き方
鰻の蒲焼きなども、もともと上方のほうでは直焼きで全体をカリツと焼き上げる。それに対して東京では、いったん白焼きにしたものを丁寧に蒸し上げ、脂を抜き肉を柔らかくした上で、タレを付けて焼き上げるという技法によって、ふんわりと仕上げる。
 しかるに、こういう東京風が、この頃は全国的に広まってしまって、次第に上方風の直焼きが少なくなってきたように観察されるのは、私には遺憾なことに感じられる。
 たしかに東京風は、ふんわりとした口触りで上品な風情ではあるけれど、そのかわり肉が柔らかい分、小骨が口に触る。
 一方の上方風の直焼きは、十分に身に乗った脂が高熱で沸き立ちながら焼けていく関係で、小骨はちょうと骨煎餅のように脂で揚げた形になる。仕上がった蒲焼きには小骨が感じられないというのが、まずめでたいところだ。
それに、蒸さずによく焼き込んであるので、風味が濃厚で歯ごたえもめでたく、鰻の旨みもまた一段と強い。上方風は、焼き込むということで生臭さを消しているのである。
 というわけで、私は根っこからの東京人でありながら、鰻は東京風も上方風も、どちらも別に味わいとして愛好しているのである。が、しかし、東京にはこの上方風の蒲焼きを食べさせる店はほとんど無い。
 以前は、そのため上方風の旨さを知らずにいたのだが、ある時、浜松で、東京風・上方風を選べるようになっている鰻屋に上がった。私はその店で上方風のカリツとした鰻を食べて、すっかりこの味の虜となった。その後、またああいう上乗に焼き上げた上方風が食べたいなあ、と思って、大阪でも神戸でも、姫路あたりでも、何度かトライしたのだが、いずれも東京風のフアフアで、がかりしたものだった。
 ところが最近、尾張一宮で、また名古屋で、上方風のカリカリッと焼き上げた良い鰻重に巡り合って、大いに舌鼓を打った。名古屋とくると、「ひつまぶし」と、すぐそこに結びつける傾向があるが、いやいやどうしてどうして。あのカリッと焼き上げた蒲焼きも名古屋名物の好風味の一つである。
 かくて、ああ、カリカリ鰻は旨いなあと思いつつ、食べ物の多様性が次第に失われていく時勢時節を、そぞろ悲しく思ったことであった。

 作家の口福より----林 望
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夫が米副大統領だったころもジル・バイデンさんは教壇に立ち続けた。
護衛官には学生風の服を着てもらい、装飾品は背中にリュックに。日々接する自分の生徒に要らぬ心配をさせたくなかった。
結婚前から地元の高校や短大で英語を教えてきた。55歳で博士号を得て、愛称は「ドクターB」。宿題が多く採点も厳しいが、移民や貧困層の生徒にはやさしかった。授業を終えて夫の待つ専用機に駆け込み、外国訪問に向かったこともある。
ファーストレディーとなっても教師を続けると決めたジルさん。半生をつづった自著の各章から、堅実で一途な人柄が浮かぶ。「ワシントンへ引っ越して夫の人生だけを生きることは私にはできない」。そんな言葉も共感を呼ぶ。
史上初の女性副大統領となるカマラ・ハリスさんの夫は、弁護士ダグ・エムホフさん。ユダヤ系の家に生まれ、前妻との間の子2人を連れて再婚した。こちらも初となる副大統領の夫、セカンドジェントルマンだ。これからは大学の非常勤講師として働くそうだ。
米国に記者として駐在したころ、「ファーストレディは国民の範。良妻賢母型のほかはゆるされない」と話す人の多さに驚いた。そんな古びた考え方にとらわれない両夫妻には、期待するところ大である。
米国の新しい政権が現地時間20日、いよいよ動き出す。この4年間にすっかり傷んだ社会を治す仕事には一刻の猶予もない。時代に即した生き方を体現するリーダーとそのパートナーに幸あらんことを。

 天声人語より
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拍子抜けを通り越して、床にへたり込んだ。就任後初となる菅義偉首相の施政方針演説。
期待を込めて呼んだのにヤマ場の来ない小説、あるいは途中で居眠りを誘われる映画のようだった。
わずかに信念を吐露したのは、政治の師と仰ぐ故梶山清六・元官房長官の教えに触れたくだり。初めて国政の場に出た当時、こう論された。「国民の食い扶持をつくっていくのがお前の仕事だ」と。
扶持とは、主君が家臣に与えたお米のこと。武士ひとり1日5合が目安とされた。そう言えば、当時の梶山氏も熱心に食糧政策に取り組んでいた。「バイオ技術を後押しして1粒が人間の顔ぐらい大きな米を開発できないか」。そんな事業を提案したこともある。
県議出身で「武闘派」と呼ばれた。ときに野党よりも痛烈な批判を首相に浴びせる。反戦と沖縄の基地問題には情熱を注いだ。大局観のある構想や語り口が持ち味だった。
「政権を担って4カ月、この国を前に進めるために全力で駆け抜けてきました」。菅首相はきのうの演説で胸を張った。しかし発足当時にあれほど高かった支持率は軒並み急落。「不支持」が「支持」を上回る結果が相次ぐ。感染対策が後手に回り、右往左往ぶりが広く不信を招いたのは明らかだ。
「コロナ国会」が幕を開けた。この難局をどう乗り切るのか。むろん「食い扶持」の確保は大切だが、命と安全あっての話だろう。こんな時だからこそリーダーの決意を聞きたかった。火のごとく熱をこめて語った師のように。

 天声人語より
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大統領交代へ
ご免被りたい。
「戻ってくる」と言われても。
乱暴狼藉を極めた「トランプ時代」。
一方、バイデン大統領の演説は耳に優しい。
内に「すべての国民の大統領に」。
外には「再び世界に関与する」。
初仕事はパリ協定復帰などだ。
分断克服を唱えつつ、賛否が割れる政策変更から逃げられない。
新政権にとって、重い「試練のとき」てある。

 素粒子より
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「今年は真人間になって、まじめに働きます」。怪しげな年賀状がどこやらの刑務所から届く。
検印の欄には「犬井」「犬塚」「犬飼」と看守ら3人のハンコが。どれもイヌ年にちなんだ。
1970年の正月、画家安野光雅さんが送ったあいさつ状には、だれもが腰を抜かした。そんな遊び心が彼の創作の原点である。意表を突くだまし絵は国内外で愛された。「三次元では起きないことが二次元なら起きる。見る人を驚かせたい」。そんな安野さんが94歳で亡くなった。
世界各地の風景を描いた絵本にはヒーローを小さく配するしかけも、「スーパーマンをどこに描いたか教えて」。ある時、米国の子どもから手紙が届く。返信は「自分で探す方が楽しいよ」。読み手に自分の目と頭で考えてもらう手間を大切にした。
穏やかな画風とはうらはらに画業は順風続きではなかった。島根県・津和野の宿屋に生まれ、高校卒業後は父の勧めで炭鉱へ。戦後は教師として小学校に10年ほど勤めた。絵描きの道に歩みを定めたのは30代半ばだった。
『あいうえおの絵本』「10人のゆかいな引っ越し』。子育ての時期、わが家も彼の絵本にお世話になった。ひらがなやABC、足し算を教えるのに謎かけのような絵を駆使して退屈させない。子にも親にも驚きの教科書だった。
絵筆のみならず文章の筆も柔らかかった。『散語拾語』『私捨悟入』という書名にも安野さんらしさがあふれる。絵画も文章もそして賀状でも永遠の空想少年であり続けた。

 天声人語より
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ワクチン接種
混乱と遅滞が心配だ。
ワクチン接種管理にマイナンバーを政府が検討。
4人に3人がカードを持たぬ現状のまま。

素粒子より
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あの日を思い出すと、いまもいたたまれない気持ちになる。1995年1月17日、阪神・淡路大震災。
私は東京から神戸の警察署に電話取材していた。夜になったころだ。混乱の中で言ってしまった。「被災者の資料をFAXしてもらえませんか」。
しばらくの沈黙。論するように言葉が返ってきた。「記者さん、そりゃ無理です。電気が止まって、ろうそくの火で読んでいるぐらいですから」。ハッとして受話器の前で何度も頭を下げて謝った。
あの人はいま、どうしているのだろうか。当時の私には警察署が停電したままの大災害が想像できなかった。後の現地取材で知ったのは警察も甚大な被害を受けたということ。庁舎が崩れ、生き埋めになった人もいた。
兵庫署の刑事二課長だった山崎保さんもその一人。宿直室で仮眠中、ゴーッといった音に続き、コンクリートがギシギシときしみ、落ちてきたという。暗闇の中、頭からポタポタと血が滴ってきた。家族のことが脳裏に浮かぶ。このまま死ぬのか。いや死んでたまるか。怖かった。
救出されたのは4時間後。「震災は自分の弱さを教えてくれた」。逆境においてこそ、人の強さはわかる。「疾風に勁草を知る」を座右の銘に、灘署長などを経て2年前に退官した。
26年前の若い記者の愚かな失敗をわびると山崎さんは穏やかに言った。「仕方ないでしょう」。それぞれがたどる、あの日の記憶。私にとっては受話器越しに聞こえてきたあの声。思い返す。背筋を伸ばして。

 天声人語より
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きょうもコロナ
静岡だけが例外と思ってはなるまい。
異変ウイルス「市中感染」の可能性。
より幅広い調査・分析と情報開示を。
国民の私権制限を強め、行政の裁量は広げるコロナ改正法案。
それを許す国民との信頼関係が、菅内閣にあるか。

 素粒子より
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授業中に居眠りして、先生にこづかれる。そんなよくある場面もオンライン授業では勝手が違う。
〈学校のリモート授業寝落ちして起きたら画面に僕しかいない〉。中学3年の村上麟太郎さんが詠んだ。
毎年この時期に東洋大学から「現代学生百人一首」が届く。34回目の今回は、6万5千首余りの応募作の多くにコロナが影を落とした。思うにまかせない日々からも、軽やかな歌が生まれる。
〈画面越し毎日見てた担任がデカくてびびる初登校日〉中1藤原史奈。長い休校の後、初めての実物との出会いである。出席番号の奇数と偶数に分かれての分散登校もあった。〈「行ってきます」奇数の君からラインが来て「気をつけてね」と偶数の私〉高1深澤璃子。
度重なる外出自粛を、インドア派はこう受け止めた。〈政府から「不要な外出控えてね」時代が僕に追いついたようだ〉高専1渡邉綺。巣ごもり生活で親の知らなかった一面も見えた。〈テレワークの父の携帯鳴り止まない乾いた笑いおそらく上司〉高1井出眞之介。
好きな人の写真を持っていたい。そんな気持ちは昔も今も変わらない。〈体育祭カメラごしに見る君の顔保存したのは秘密にするね〉高3中村凛子。迷うこと、気になることも。〈プラトンもアリストテレスも教えてはくれない進路も君の気持ちも〉高1石川櫻子。
そして卒業する日が近づく。〈毎朝のあるようでない指定席いつもの顔ぶれあと何回か〉高3金地皐希。胸は少しのさびしさと、大きな期待と。

 天声人語より
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やっと国会開催
43日間。
長い冬眠から、ようやく政治が目覚める。
コロナ下の通常国会が開幕した。
停止中のGoToを延長する予算。
入院したくてもできない時に、入院勧告に従わぬ人への罰則。
長すぎた冬休みが、対策の遅れやズレを招いてはいないか。
検証の時だ。

素粒子より
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トリアージという言葉はフランス語が語源だ。
辞典をひもとくと「選別」の意味があり、羊毛やコーヒー豆を選別する際に使われたようだ。ナポレオンの時代に医学に応用された。
戦傷者のうち比較的軽傷の者を手当てして戦線に復帰させ、重傷者は後回しにする。どうもそんなやり方を指したらしい。現代でも大災害で全員を治療できない時、優先順位を決めるのをトリアージと呼ぶ。
そんな用語にとせきりとしたのが、一昨日の日本医師会会長の発言だ。「医療崩壊が進んでいる。トリアージをせざるを得ない状況に陥りかねない」。コロナ重症患者の急増に現場が追いつかないとの訴えである。
東京都では入院やホテル療養の人数より、行き先が決まらず調整中の人数が多くなっている。医療への需要を抑えるため、個々人が感染対策に努めるのは当然だ。一方で供給を増やす努力の方は果たして十分だろうか。
人口当たりの病床数は世界最高水準で感染者は欧州より少ない。それでも逼迫するのしなぜか。医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之さんが文芸春秋2月号に書いている。日本は臨機応変に医療資源をあてる機動性に欠けている。背景には医療が民間中心で国が命令できず、病院がライバル関係にあり連携が難しいことなどがあるという。
構造的な問題があるなら、物事を動かすための戦略と財源がいる。店や個人に罰則を科す議論より、優先すべきはことらではないか。現場で踏ん張る医療従事者を支えるためにも。

 天声人語より
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あなたは『お蔭様で』と感じることがありますか?
あなたは『お蔭様で』と感じることがありますか?
私たちの日常生活は、一瞬の休みもなく、大自然や、家族は勿論のこと、顔の見えない沢山の人々の働きの力に支えられて、生かされています。
自分自身が生きてゆくことも、どこかで、他人様の役に立ち、感謝されていると実感できればうれしいですね。
世界中でたった一人しかいないかけがえのない自分。
ただ一度だけで決してやりなおしのきかない人生。
衆生の躰性・諸仏の法界、本来一味にしてすべて差別なし。(弘法大師)
わたくしたちの心と体と、御仏のさとりの境界とは、もともと同じもので少しも違いはありません。
今に最善を尽くしていますか? 今を精一杯生きていますか? 
今の生き方が先の明暗を分ける鍵となります。
時は今、ところ足元、そのことにうちこむ命、永遠の御生命。(椎尾弁匡)
健康は最上の宝です。生きていることはすばらしい。自然はいつも私たちの生命を支えてくれています。常に足元をしっかりと踏みしめて、感謝の気持ちを忘れずに生きてゆきたいものです。

 四国第四十五番 海岸山 岩屋寺の頂いた書類より
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完膚無きまでに敗れた。それが1939年、ソ連軍と相まみえたノモンハン事件である。
悲劇は、作家半藤一利さんの手により『ノモンハンの夏』の中に凝縮されている。初めて読んだとき、心臓が震える気がした。
日本軍の火炎瓶などの手段ではどうにもならない最新鋭の戦車。圧倒的な戦力の差。敵を研究せず、勇ましいことばかり言っていた高級軍人たちを半藤さんは追及する。「ただただ敵を甘く見て、攻撃一辺倒の計画を推進し戦火を拡大したのは、いったいだれなのか」。
無計画。自己過信。優柔不断。それらは反省されることなく太平洋戦争に引き継がれた。戦前戦中の歴史を徹底的に調べて、わかりやすく書く。半藤さんが90歳の生涯を閉じた。
文芸春秋の駆け出しの編集者だったとき、坂口安吾から「歴史書にはうそも書かれている」と言われた。だから史料をつきあわせて推理し、合理性を探さねばならないのだと。
編集者から作家になり、「歴史探偵」を名乗った。『日本のいちばん長い日』では玉音放送までの24時間を、『B面昭和史』では重苦しいばかりでない庶民の日常を描いた。半藤さんの仕事がなければ、私たちの歴史感覚はずっと鈍くなっていたかもしれない。
歴史を現代に常に結びつけて考える人でもあった。日本で権力が一点に集中していくのを憂い、対談で語っていた。「民主主義のすぐ隣にファシズムはある。そのことを国民はしっかり意識しなければならない」。

 天声人語より
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病後の回復に向けた栄養補給
熱や下痢がおさまった後の食事で心がけたいのは
①体を温める
②代謝を上げる
③疲労を回復
④消化器の吸収力を回復させる
の4点に必要な栄養をとることだ。
まず、体を温める。病後はエネルギーを使い果たし、低体温気味になっていることも多い。血行をよくする栄養素をとることをすすめる。
「ネギのツンとしたにおいのもとになっているアリシンには、血行をよくし、汗をかくのを促す働きがある。ショウガには殺菌力もある。紅茶やウーロン茶、ほうじ茶にも、体を温める作用があるという。
次に、代謝と疲労の回復。病気で落ちた新陳代謝を上げ、疲労を回復させるには、ビタミンやミネラルをとる必要がある。のどごしがよく、消化もよいものがいい。
子どもも食べやすいイチゴやスイートコーンだ。イチゴにはビタミンCやクエン酸のほか、腸を整える水溶性の食物繊維なども含まれている。
スイートコーンの主な成分は炭水化物。ビタミンB群やビタミンC、ミネラルなどもバランスよく含む。消化吸収が早い糖質も含まれている。コーンの皮は消化しづらいので、すりつぶしてポタージュスープなどにする。
熱が出たり、抗生剤を飲んだりすると、様々な腸内細菌が壊れてしまう。ヨーグルトで善玉の腸内細菌を補って、消化器の吸収力を回復させよう。
栄養を取りやすくするために、ゼラチンを活用しよう。
ゼラチンは消化吸収されやすいたんぱく質なので、栄養補給にもなる。ゼラチンでとろみをつけて冷やした「スープゼリー」は、ひんやりしていて、のどに炎症があるときも飲みやすい。
好みの果物や野菜のジュース、スイートコーンを使ったコーンポタージュなどで作ってみるといい。ジュースにショウガ汁を少し加えて、味をみながら砂糖やハチミツで甘味をつければ、子どもでも飲みやすい。
病気予防の観点から、日ごろの食事を見直すことも重要だ。
食物繊維には、整腸効果がある。イモ類や豆類、ゴボウやタケノコなどに多く含まれている。
胃や腸の粘膜を整える働きがあるキャベツやアスパラガスもいい。オクラも、胃腸を保護する働きがある。

 紙面の子育てより---山田佳奈
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時間をかける。時間を見つける。時間に追われる。
時間にまつわる言い回しは数多くあり、ビジネスの世界では「時間を買う」という言葉がある。企業を買収する経営者がよく口にする。
長い時間をかけて技術や商品を開発するのではなく、その時間ごと会社を手に入れるという意味である。世の中には堂々買うのではなく「時間を盗む」行為もある。産業スパイである。技術などを裏から手に入れるやり方は、もちろん違法だ。
こちらの件は、スマートフォンの世界を舞台にしたスパイ事件に発展するのだろうか。新しい通信技術である5Gをめぐり、ソフトバンクの元社員が秘密情報を社外に持ち出したとして、警視庁に逮捕された。
元社員はむ、競争相手である楽天モバイルに転職している。ソフトバンクは「持ち出された技術がすでに楽天モバイルに利用されている可能性が高い」と主張しており、穏やかではない。楽天モバイルは、そういう事実は確認されていないとしている。
かつての技術盗用は、工業製品を持ち出して解析することでなされていた。いまは根幹となる情報を小さなメモリースティックに入れることもできるし、電子メールに添付もできる。物理的な垣根が低くなるほど、倫理上の垣根がさらに必要になる。
通信の世界は時間とのたたかいだ。たとえば、4Gでは5分かかっていた映画のダウンロードが、5Gになると3秒ですむ。そしてその背景では、技術革新の速度を競い、各社がしのぎを削っている。

 天声人語より
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政権は
どうなる、トランプ弾劾。
民主政治の復元への序章か、非難の応酬激化の火に油か。
韓国では、元に続き前の大統領も実刑。
恩赦はあるか。

素粒子より
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サイレントマジョリティーは直訳すれば「物言わぬ多数派」だが、米国では「白人ブルーカラー」の意味が隠されている。
米在住の評論家町山智浩さんが『さらば白人国家アメリカ』で指摘していた。
注目されるようになったのはニクソン大統領の演説で、ベトナム戦争に反対する人々をマイノリティーだとする一方、サイレントマジョリティーに支援を求めた。労働者層、とりわけ白人が想定されていたという。
こうした分かる人だけは分かる言葉遣いをするのを「犬笛政治」という。犬を呼ぶため人間には聞こえない高周波の音を出す笛のように、差別や悪意を隠すことができる。トランプ大統領もツイートで「サイレントマジョリティー」と呼びかけ、「法と秩序」の言葉も使った。黒人を秩序に従わせる含意がある。
「私に投票した偉大な米国の愛国者は、将来にわたって巨大な声を持つ」「大統領就任式には出席しない」。先日の投稿も危険な犬笛と見られたようだ。就任式に暴力行為を誘発する恐れがあるとして、ツイッター社はトランプ氏のアカウントを永久停止にした。
SNSは多くの人が自由に声をあげることのできるメディアである。誰であれ永久に口を封じるという判断は、危うさを伴う。それほど連邦議会議事堂への乱入事件の衝撃が大きかったのだろう。
退任後のトランプ氏が吹く機会は減るかもしれない。それでも確かなのは、犬笛に応じる有権者の厚い層が、これからも米国に存在するということだ。

 天声人語より
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コロナ対策は
あすで、国内初確認から1年。
初めは「むやみに恐れる必要はない」と言われてた。
いまや累計30万人。
後手、泥縄、場当たり対応が続く。

素粒子より
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俳優のムロツヨシさんは、1浪してして東京理科大の数学科に入学し、すぐ不安になった。
数学は特異なつもりだったのに授業についていけない。将来やりたいこともはっきりしない。そんなときファンだった深津絵里さんの出ている芝居を見に行き、役者たちの演技に感動した。
「僕もあっちに行きたい!」と思い、夏には大学をやめてしまったとポパイ特別編集『二十歳のとき、何をしていたか?』で語っている。本人いわく「根拠のない自信」で走り出した。3年くらい下積みの後はテレビや映画に出て----などと皮算用しながら。
しかし芽は出ず、日雇いバイトばかりの25歳のある日、涙が止まらなくなった。「根拠のない自信を使い果たしちゃったんでしょうね」。それからは余計なプライドは捨て「僕を使ってください」とみっともないくらい言って回ったという。
あの独特の存在感。それを形作るに至った若き日である。
たしかに根拠など気にしたら、自信は持てない。だって経験がないのだから。しかしその自信はどこかでくじかれる運命にある。だって根拠がないのだから。それでも何かエンジンを身につけることで、人は前へ動き出すことができるのだろう。
きょうは成人の日。十分若くても、気持ちだけは若くても、自分のなかのエンジンを探りたい。「夢」というと気恥ずかしければ「好き」「こだわり」という言葉もある。空回りもむだではない。ムロ成年にとって「根拠のなき自信」の時期が必要だったようだ。

 天声人語より
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コロナ対策
罰則ありきを危惧する。
支援拡大が「努力目標」なんて本末転倒。
北風より太陽を。

前にも見たような。
緊急事態宣言をじわじわと。
昨春は結局、全国に広めましたね。

 素粒子より
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文芸評論家の山本健吉から、「よほどの寒がりであろう」と書かれたのが、俳人富安風生である。
その人が詠んだ〈きびきびと万物寒に入りにけり〉の句を目にすると、きんと張り詰めた空気そのものに触れたような気がする。
風生には〈寒といふ恐ろしきものに身構へぬ〉もあり、このところ毎朝寝床からはい出るときの心構えを思わせる。寒に入ったことを痛感する気候が続いている。外出の際にニットの帽子が欠かせなくなった。
あんなにうっとうしかったマスクも、その暖かさがありがたく思えるほどである。最低気温が零度を少し下回る。その程度で弱音を吐くなんて、との声がどこからか聞こえてきそうだ。きのうは列島各地で寒さの記録が更新された。
岩手県は宮古市で冷夏24.1度、奥州市で冷夏19.9度まで下がった。「雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり---」。岩手に生まれ育った宮沢賢治の童話「雪渡り」を思い出す。2人の子が凍った雪の上を遠くまで渡っていく話である。
「堅雪かんこ 凍み雪しんこ」と口ずさみながら森にたどり着き、狐の子に出会う。仲良しになり、雪が凍ったらまたおいでと誘われる。雪は、そのときどきで顔立ちを変える。小さな子の遊び相手だったり、暮らしに立ちはだかる障害だったり、暮らしに立ちはだかる障害だったり。車がまたも立ち往生したとのニュースに気をもむ。
〈大寒と敵のごとくむかひたり〉。これも風生の作。そこまで腹をくくれば寒さも減じるか。極寒は、春遠からじの合図でもある。

 天声人語より
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血圧下げて長寿に
日本人の平均寿命は、統計によれば女性87.05歳、男性80.79歳。世界一とはいえないものの、相当に長い。
長寿をもたらした理由はいくつかある。慶応大学の岡村教授は「成人が長生きになった最大の要因は、血圧が下がったこと」という。日本人の血圧は1965年をピークに低下。それに伴い、脳卒中による死亡が大きく減った。
高血圧の人が生活習慣を変えることでどれほど血圧を下げられるか。日本を含む世界の研究を分析した報告がある。その結果だと、有酸素運動によって収縮期血圧(最高血圧)は4.6㍉Hg低くなった。
運動の中身はほぼ、30~60分の早歩きやジョギングを週3~5回のペースで続けるといったものだった。
収縮期血圧が4㍉下がれば、脳卒中や心筋梗塞による死亡率が5~9%ほど下がるという推計もある。
運動で血圧が下がるしくみの解明も進む。東京大の山本講師によると、体を動かすことで血流量が増えると、それを血管の内側にある細胞がキャッチして、血管の筋肉をゆるめる物質が放出されるらしい。
天然の降圧剤といえるかもしれない。

 1分で知るより
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きのう全国で封切られた映画「大コメ騒動」には不思議な調べの歌が節目節目に登場する。
〈ア、ノンきだね〉〈あきらめなされよ あきらめなされ〉。どれも明治大正期に流行した添田唖蟬坊の歌である。
いまの神奈川県大磯生まれ。自由民権運動の高まったころ、政治や社会を風刺し、庶民のうさを晴らす歌で人気を博した。〈俺はいつでも金がない 同じお前も金がない〉〈お前この世へ何しに来たか 税や利息を払ふため〉。
政治家や富裕層も笑いとばした。〈学者、議員も、政治も金だ 金だチップだ賞与も金だ〉〈議員議会で欠伸する 軍人金持ちと握手する〉。「ホットイテ節」「ヘナチョコ節」「増税節」。そんな題の曲を次々と世に出した。
「国民皆兵や殖産興業といった国の政策に疲れはてた庶民の素朴な思いをすくい上げた人でした」。大磯の郷土史に詳しい細井守さんはそう評する。長く貧民街に住み、晩年は好んで各地を放浪したという。
映画は、大正の世を騒がせた米騒動を、富山県の女性たちの視点で描く。漁村の名もなき主婦たちが立ち上がり、社会を動かしたという史実。当時の弱者に寄り添いながら、時代を鮮やかに切り取った唖蟬坊の歌詞。どちらもいまの世相と深く響き合う。
たとえば昭和5年に作られたこの一曲には、批判精神がひときわさえる。〈アメリカニズムが根を張って 物価は高くなるばかり 人間は安くなるばかり ヨワッタネ 生活戦線異状あり〉。これって令和の曲だっけ?

 天声人語より
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こつこつ丈夫な体に スローペースで効果
超高齢社会になり、4人に1人は高齢者の時代。要介護・寝たきりの原因の1位は、骨折や関節が痛くなるなど運動器によるもの。運動機能は加齢とともに弱り、運動習慣がないとさらに落ちる。運動器の健康はとても大切。
ロコモティブシンドロームは、骨粗鬆症、変形性関節症、変形性脊椎症など運動器の病気や筋力低下などが原因で、歩行をはじめとする運動機能が徐々に低下していく状態を言う。早めに気づいて、早めの対策をすることが必要だ。
筋力を強くする。そうするとひざの痛みがよくなる。変形性膝関節賞は軟骨が減って進む。軟骨が減らないようにするために大きな手段が、筋肉を鍛えることだ。骨粗鬆症の予防・改善にもつながり、骨量が増える。腹筋・背筋を鍛えると腰痛も減る。筋肉による支えがよくなると脊椎の変形も進まなくなる。
ロコモ予防のため、どんな運動でもいいので週刊をつけること。ウォーキングもいいと、ジョギング、水中歩行もいい。日本整形外科学会ではスクワットと片足立ちを紹介している。スクワットは下半身の筋力を効果的に全般的に使うので、いい運動だ。これをゆっくりやる。5秒かけて下げ、5秒かけて上がる。
運動に関する注意。ゆっくりした動きのほうが、痛みが出にくくて効果も上がる。痛みが出たり増したりしても、運動後にすぐ収まるなら続けて構わない。痛みが翌日まで持ち越すようであれば、3日間ぐらい休んで、半分ぐらいの運動量から再開するといい。毎に津続けるといいが、最低でも週2回はやってほしい。90歳まで自分の足で歩く準備を、これから始めよう。

 健康・医療フォーラムより----石橋英明
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男性が出かけてよいのは月水金だけ。女性はか火木土。日曜はみな巣ごもりを----。
ペルー政府は昨年、そんな外出制限令を出した。インドネシアの村では警官らが伝承の幽霊に扮して、村人に家に戻るよう促した。いずれも春先、各国が慌ただしく感染予防に乗り出したころだ。
この冬また、人と人の接触を減らそうと世界が知恵を絞る。感染者の増える欧州では都市封鎖が相次ぐ。夜間の外出と飲食店の営業を禁じ、違反者には罰金も科す。一方で休業補償は手厚い。アメはより甘く、ムチはより厳しい印象だ。
首都圏1都3県に9カ月ぶりの緊急事態宣言が出された。昨春とは違って、学校は閉じられず、対策の力点は飲食業界に置かれた。「1カ月後には必ず事態を改善させる」。菅義偉首相は言葉に力を込めた。
だが飲食店の早じまいにいかほどの効果があるのか。この補償で十分なのか。要請に従わない店名をさらす必要があるとも思えない。そして何より、1カ月の忍耐でほんとうに安心の春を迎えられるのか。不安は尽きない。
厳しい都市封鎖を続けるドイツのメルケル首相が新年演説で訴えた。「ワクチン以外で最も効果的な方策は私たちの手中にある。一人ひとりがルールを守ることです」。負担と自制をお願いするリーダーの渾身の呼びかけは聞く者の心にしみた。
地球のどこにいようとも、この難局は人と人がお互いの接触を減らす努力なしには乗り切れない。一市民、一個人として自分にできることから始めよう。

 天声人語より
従わない店名の公表はするべきである。人の命は経済より大切なはずである。しかし、どのマスコミを見ても店よりの発言が多い。これは店側が勢いづく元である。あるていど政府の方針に賛成ならそれに沿った報道をすべきだ。
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納豆1日1パック食べると、「死亡リスクが10%減」国立がんセンターの調査。
納豆やみそなどの発酵性大豆食品をよく食べる人は、そうでない人に比べて10%死亡率が下がるという調査結果を、国立がん研究センターの研究チームがまとめた。
チームは、国内の成人男女約9万人を1995年以降、平均15年間追跡調査した。
食事内容を聞き、大豆食品や発酵性大豆食品を食べた量により五つのグループに分類。ほかの食品による影響や、降圧薬を使用しているかなどの影響を取り除いて分析。
発酵性大豆食品を最も多く採るグループ(1日におよそ50㌘)は、最も少ないグループと比べて男女ともに約10%死亡率が低かった。50㌘とは納豆1パック程度。食品別に見ると、女性では納豆やみそを多くとると、死亡リスクが下がる傾向が顕著だった。
納豆を多く食べると、男女とも悩卒中心筋梗塞など循環器の病気による死亡率が低下していた。「発酵性大豆食品は、ミネラルやイソフラボンなど様々な成分が失われにくいため、体に良い影響をもたらしているのではないか」と研究室長は分析している。

 新聞より---月舘彩子
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「かみさまおねがいです。おじいちゃんにキャベツをかえしてあげてください」。
埼玉県の植木舞衣さんは祖父の育てたキャベツを畑から盗まれる。手書きの文字は角張り、まさに怒りプンプンだ。
収穫後には、たこ焼きに入れようと約束までしたのに。「ぬすんだどろぼうさんに、キャベツおわれるゆめをみせてください」と書いて投函した。恒例「はがきの名文コンクール」の受賞作だ。6年目となる今回は2万5千余通が寄せられた。
新潟県の森山恵子さんは亡き父に宛て、102歳の母とのやり取りをしたためた。父の遺影を見せると「やだ。こんな年寄」と一蹴。どら焼きを半分に割って「こんなうんめいもん生まれて初めて食べた」。そんな一日一日が宝物のようにいとおしい。
家の片付け中、新婚時代にもらったラブレターを見つけたのは埼玉県の松本陽子さん。「君は僕の天使です」。いま85歳の夫は当時、いったいどんな顔で書いたのだろう。でもうれしい。「これからは年老いた天使が貴方を支えます」と誓う。
長野県の安田直子さんは、お盆にも帰省できなかった。半身マヒで一人暮らしの父から「ゴミ箱を荒らされた」との知らせが。クマのしわざだ。「父ちゃん頼む 私が岩手に帰るまで 熊にもコロナにも 食われねぇでいでけろ 元気でいでけろ」。
手書きの1枚1枚にクスッと笑ったり、涙を誘われたり。寒さは日ごとに厳しくなるけれど、読むだけで心が温まる。

 天声人語より
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快眠のコツ 適切な睡眠は6~7時間。統べての人に勧めしたいのは昼寝。
春眠暁を覚えず、という漢詩があるように、眠りを誘う季節です。しかし、布団に入ってもなかなか寝付けないという相談は、この季節も多く寄せられます。適切な睡眠時間を知って、気持ちよく寝てすっきり目覚めましょう。
 私たちは眠ることで疲労を回復させ、心身のメンテナンスをします。日中、疲れや眠気を感じず過ごせるようなら、李相の睡眠がとれているといえる。
現役時代に十分な睡眠がとれなかったから時間ができた今はゆっくり眠りたい。結果、寝床にいる時間が長すぎて、睡眠の質が悪くなる。これがシニア世代の落とし穴になります。寝付きが悪かったり、夜中に何度も目覚めたりする人は睡眠時間を圧縮することで、改善されることが多々あります。目安は6、7時間。実際に眠っている時間+30分を心がけましょう。
 凡ての人にお勧めしたいのが昼寝です。午後を元気に過ごせて活動量が揚がるからです。ポイントは時間の長さとタイミング。正午~午後3時の間に30分までの仮眠をとれば、深い眠りに入る前に目覚めるため、すっきりします。
 ソファに座って目を閉じるだけでも、効果を期待できます。衣服の締め付けをゆるめ、上半身を少し起こした姿勢で足を伸ばすとリラックスできる。

 きょうもキレイより------三橋美穂
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かのアマビエより歴史のある疫病退散の守り神がいる。そう聞いて、京都府の長岡京市を先月訪ねた。
「蘇民将来」という伝説の人物は、神話に登場するスサノオノミコトに旅の宿を提供し、貧しいながらも精いっぱいもてなした。その恩でスサノオは蘇民の子孫を末長く疫病から守る。伝承がもととなって、「蘇民将来の子孫」と書いた札が厄よけに使われるようになった。
日本最古の蘇民の護符は長岡市内で20年前、市埋蔵文化財センターの中島皆夫さんらが発掘した。8世紀の木簡だった。センターはコロナ禍の昨夏来、最古のお守りを缶バッジにし、来館者に無料で配っている。
蘇民の言い伝えは各地に残る。宗教学者の島田裕巳さんは「歴史の古さでも、地域の広がりでもアマエビより格段に上でした」。京都の祇園祭では厄よけのちまきにその名を記す。岩手県では無病息災や豊作を祈る蘇民祭がいまも続く。
作家デフォーの『ペスト』を読むと、17世紀の英国ではペストの猛威におののいた人々が「アブラカダブラ」という言葉を家の玄関先に貼ったという。福島県の民芸品「赤べこ」にも疫病退散の願いがこめられている。天然痘から子どもたちを守ったと言い伝えられてきた。
ふりかえれば、人類は古今東西、大きな危機に直面するたび何かにすがってきた。まじないの言葉やお守り、そして妖怪まで。それらを愚かな迷信と切り捨てられるのだろうか。私たちはたしかなコロナ対策をまだ手にしていない。

 天声人語より
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菅首相は
軽すぎる。
「1カ月後に必ず事態を改善させる」との言葉。
「爆発的な感染は絶対防ぐ」との約束から2カ月半。
「絶対に」が失敗したのはなぜか。
検証なき「必ず」は気合にしか聞こえぬ。

 素粒子より
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巣ごもりを余儀なくされたこの年始、海外ドラマ「ザ・クラウン」に引きこまれる場面があった。
舞台は1952年のロンドン。濃霧に大気汚染が加わる災害が起き、患者で病院が逼迫する。
時の宰相チャーチルの耳には、不安に沈む人々の声が届かない。重い腰を上げて病院へ足を運んだ日、患者と医療者の苦境を目の当たりにし、自分の鈍感さを悔いる。ドラマゆえの脚色は多々あろうが、民意をすくい上げられない首相の姿を描いてリアルだった。
首都圏に再び緊急事態宣言が出される見通しとなった。きのう菅義偉首相の会見を聞きながら思ったのは、昨秋以降の政府の見通しの甘さ、動きの鈍さである。各地で感染が増え続け、医療の逼迫もたびたび指摘されていたのに。
事態が深刻になり、清作の行き詰まりがだれの目にも明らかになって、ようやく方針を転換する。この展開はGoTo停止で見たばかりだ。後手後手の流れはもう繰り返してほしくない。
〈「最善を尽くす」と口にしても無駄なことだ、必要とされることをやり遂げない限り〉。ドラマではなく実在のチャーチルが残したこの言葉を、いま菅首相に届けたい。持効性のある対策を国としてやり遂げない限り、コロナという難関はとても乗り切れない。
ちょうど9カ月前、初めて緊急事態宣言が出される直前の、重く張り詰めた空気を思い出す。これで収束に向かうのか。暮らしは大丈夫か。いま不安に沈む人々の声は首相の耳に届いているのだろうか。

 天声人語より
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菅首相は
国民の自由を縛る緊急事態宣言の国会報告を、西村経済相に任せる自信のなさ。
いっそ、首相のイスも任せては。
国会議員の会食は「全面自粛」か、「4人以下で」か。
菅さん、せめてここでは範を。

素粒子より
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『敷地に入らないで」「首都圏から来た荷物は受け取りたくない」。
愛媛県東温市で運送業を営む松本司さんは昨春、配送先で何度かそんな言葉を浴びた。ウイルスの感染不安が高まったころだ。
そんな時に出会ったのがシトラスリボン運動。黄緑色の手製リボンを身につけることで、コロナに対する中傷や差別をなくそうと訴える活動のことだ。趣旨に共鳴し、車用ステッカーを作って配った。
運動を支える松本さんら9人にオンラインで話をうかがった。公務員、編集者、俳人ら全員が愛媛在住。共同代表の甲斐朋香・松山大准教授らによると、名は特産のかんきつ類にちなむ。リボンの三つの輪は「地域」「家庭」「職場と学校」を表す。回復したらだれもが三つの場に安心して戻れる街でありたいとの願いを込めた。
活動と言っても、駅頭で署名を集めることはない。感染者を中傷した人を非難することもしない。「何が正義かは人それぞれ。自分たちの正義を押しつけるのはよくないと考えました」。共感こそ運動の支えという甲斐さんの言葉に意を強くする。
リボンの輪は全国に広がる。小中学生が手作りし、胸に着けて勤務する市役所や航空会社も。リボン模様のかまぼこを学校へ贈った食品会社もある。
さて、今朝から仕事、今週から学校という方も多いだろう。「今年は偏見や誤解が消え、世の中からこのリボンがなくなるのが願いです」。9人から聞いた豊富にひざを打つ。この気概で年の初めに臨みたい。

 天声人語より
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ツバメ返し、綱渡り、そしてこまを耳飾りにみせる秘技イヤリング。こまのおっちやんの実演に親子連れが沸く。
新年の初仕事は地元名古屋のショッピングモール。おっちやんこと日本独楽博物館の藤田由仁館長はこまを回し続けた。こまに魅了されたのは会社員だったころ。作り手が減っていると知り、収集を始める。40年前に出身地・兵庫県につくった私設博物館を、転勤先の名古屋に移転。49歳で会社を辞め、こまの魅了を伝える「伝道師」になった。各地の幼稚園や学校を巡りながら、日本こままわし協会を設立。全国大会も毎年開いてきた。
博物館には世界中のこま5万点が所狭しと並ぶ。陳列するだけの場所ではない。子どもたちが回せる空間でありたいと考えた。子どもの前では失敗もする。腕前ばかりを強調すると、小さな子が興味を失うからだ。
披露する技は100を超える。「決めた通りにやるだけでなく、はみ出したり、工夫したりする余地がある。それが魅力。新技は失敗からうまれる。やってみることが大事なんや」。
取材の際、ツバメ返しに挑戦してみた。かれこれ30年ぶりだ。わが手のひらでぶじ回るこまに、中島みゆきさんの「時代」がふいに浮かんだ。〈そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ〉〈まわるまわるよ時代はまわる〉。
コロナ禍の去らぬまま迎えた新年。3月に予定している大会を開けるかどうか、おっちやんは気をもむ。禍ばかりでなく福が回ってくる年でありたい。

 天声人語より
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今でしょ
国会の出番。
例えば賛否が割れる改正措置法への罰則導入。
あと2週間、予定通りの冬休みでいいの?

素粒子より
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危機と教訓を記憶し、ものの見方を変えるとき。
「全てが終わった時に、僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」。新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がったイタリアから、そう問いかけた作家がいる。
新型コロナのワクチンが行き渡れば、みんなマスクを外して、これまでの全てを忘れてしまうかもしれません。それは、亡くなった人や今なお苦しむ人に対して、とても失礼な態度だと思います。
私は、コロナ禍での出来事や人々の姿について、何度も「僕は忘れたくない」と書きました。それは、私たちがこの危機と苦い教訓を記憶し、今こそ物の見方を変えるチャンスにしようと伝えたかったからです。
新型コロナは、私たちが直面する地球規模の脅威のうち、最後のものにはならないでしょう。環境問題では、私たちはもっと致死的で破壊的な脅威が起きかねない瀬戸際にいます。
このパンデミックは、気候変動対策や地球の持続可能性といった問題の重大性について、改めて私たちに気づかせました。予測できない危機が全世界で起きたことで、私たちの意識が世界レベルの問題に向けられたからです。社会的弱者や最も貧しい国がより大きな影響を受けるという点では、新型コロナも同じですが、しかし、気候や環境の問題はもっと複雑です。
私たちは今回のパンデミックから、「複雑な問題に対して単純な解決策は存在しない」ということを学びました。気候変動のようなさらに大きな問題を解決するには、一時的に我慢して習慣を変えればいいというのではなく、私たちが永続的に変わらなければ効果は表れないのです。
コロナ後の世界を想像することは、現時点では難しいかもしれません。けれども、ワクチンが行き渡った時、私たちは危機意識がなくなってしまって、コロナ禍の中で考えたり悩んだりしたことを全て忘れてしまうのでしょうか。私はそうなってほしくない。今を人類が変わる転換点にするためにも、現在の危機を記録し続けたいと思います。

 イタリアの作家:パオロ・ジョルダーノ
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屋っと腰を挙げた政府
先手を打った知事。
一方、経済の先行きやGoToの責任論は。
再度の緊急事態宣言を検討へ、菅首相の胸中は。
衆院選は。
東京五輪は。
経済・景気は。
感染爆発と医療崩壊への対策は。
2021年始動、激動の予感とともに。

素粒子より
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折に触れて読み返す本の一つに、英国の作家ジョージ・オーウェルの『動物農場』がある。
ロシア革命に材を取り、スターリンの独裁政治を皮肉った寓話だが、旧ソ連を思い起こすだけではもったいない。
馬や牛など動物たちが反乱を起こし、人間の農場主を追い出す。農場が自分たちのものになったと動物は喜ぶが、やがて豚のナポレオンが独裁者として君臨する。興味深いのは、当初はナポレオン、そして別の豚であるスノーボールという2匹の指導者がいて、政治に緊張感があったことだ。
風車を建設すべきか否か。畑で育てるのはキャベツか根菜か。曲がりなりにも政策論争があり、動物たちもみな議論した。政治がおかしくなるのはスノーボールが追放され、議論の場である日曜の総会が取りやめになってからだ。
以来、ナポレオンはやりたい放題である。掟をねじ曲げ、豚たちだけで酒を飲んだり、人間のベッドを使ったり。ウソを重ね、文書を捏造する。ときおり不平を口にしていた動物たちも次第にならされてしまう。
私たちの国の政治からも緊張が失われて久しい。国会で虚偽の答弁が続き、「説明できることとできないことがある」と首相が公言し、議員の訴追が相次ぐ。それでも平気の平左なのは、悲しいかなスノーボールのような存在がないからだろう。いるにはいるのだが、あまりに弱い。
〈去年今年貫く棒の如きもの〉高浜虚子。様々な問題は年をまたいで引き継がれる。今年こそ、緊張感のある政治を。

 天声人語より
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スロージョギングのススメ。鼻歌を楽しめるほどのペースで
健康のために体を動かしたいけれど、きつい運動はちょっと苦手。そんな人にお勧めなのが「スロージョギング」です。息切れしないペースでゆっくりと走るジョギング方法で、並走する人どうしが笑顔で会話できる速度が目安。
「足の指の付け根から着地するように」かかとから着地するのに比べて衝撃が3分の1になり、体の負担が少なく走れる。
スロージョギングは、小刻みな走り方が特徴。20~30㌢の歩幅で走る練習をした。ただ、頭では分かっていても、慣れないとつい大股になり、スピードが出てしまう。「歩幅を小さく」「もう少し上を向きましょう」とコツを伝授した。
実際にやってみて、長い時間走っても疲れないことに気づいた。「こんなに楽な運動でいいのかな?」というのが正直な感想だ。体力をつけ、減量をめざすなら1日に計30~60分が目安。初心者の場合は、スロージョギングの合間にウォーキングをはさのも良いという。継続することで、高齢者なら加齢に伴う筋肉量の減少を抑える効果も期待できる。
スロージョギングの消費エネルギーは、通常のウォーキングの約2倍。ウォーキングに比べて多くの筋肉を使う体。
生活習慣病の対策にスロージョギングを活用しましょう。息が上がらず、鼻歌を楽しめるくらいのペースで続けると良い。

 続・元気のひけつより
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毎年暮れに思うんですがね---と落語家の柳家小三治さんが話の枕で語りだす。
年を惜しむ気持ちになるような1年がいつか来ないものかと。「ほとうにいい年だったよ。年が替わるのがもったいないぐらいだよ」とみんながにこにこするような年が。
記憶にある限り一ぺんもありませんでしたね、あたしの性格が悪いんでしょうか、とは小三治さんの感慨である。惜しむというよりも忘れたい。例年にもまして痛感する年である。
仕事がなくなる。なくならないまでも普段通りにいかない。大切な人に会えなくなる。しかしそれでも。いやだからこそ。思うに任せなかった1年のなかに小さな輝きを探してみたくなる。大みそかくらいは。
写真家の斎藤陽道さんは撮影の仕事がなくなり、いつもどこかに出かけていた生活が一変した。「何をしたらいいんだろう」と戸惑った末、荒れ放題だった庭の草をむしった。そこにヒマワリの種を植えてみたと雑誌『ちゃぶ台』の秋/冬号に書いている。
そして始めたのが「定点観測写真」である。ヒマワリは1歳半の次男の背を、そしてすぐに4歳半の長男の背を抜いていく。撮り続け、咲いた花をぼんやりながめる。そんな数カ月を「よどむ日々を浄めた時間」と表現した。
多くの人が否応なく定点を持つことになったのがコロナ生活なのだろう。そこにあった小さな幸せは、家族が発したひと言だったか。手にとった本や音楽だったか。思い起こす時間があってもいい。

 天声人語より
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生活習慣病、バランスのよい食事で改善
まず野菜を1食120㌘以上はとるようにしましょう。生野菜なら両手のひらに山盛り、ゆで野菜なら片手にのる量が目安。彩りよくとるのが大切です。紫キャベツのアントシアニン、トマトのリコピンなどの色素には抗酸化力があります。
油脂も味方につけましょう。青魚に含まれる脂肪酸のEPAやDHAは動脈硬化予防になります。エゴマ油も同じ効果があります。
食べるときには急に血糖値を上げないように、ゆっくりかんで。食物繊維の多いキノコや海藻、根菜類は糖質の吸収を遅らせ、満腹感を持続させます。
家庭で甘酢タマネギを作りおきしておくのもいいですよ。酢100cc、砂糖大さじ5、塩小さじ1を合わせた甘酢に、タマネギ大2個分を薄切りにして漬け込みます。タマネギのアリシンは血液をさらさらにし血栓を予防します。酢に含まれる酢酸は血圧を下げ、血糖値の上昇を抑えます。
抗酸化作用のあるアスタキサンチンを含む焼き鮭や、豚肉の生姜焼きにのせるなど毎日の料理に手軽に使えて便利です。タマネギは冷蔵庫で約1週間、甘酢は1カ月保存可能です。

 紙面より----管理栄養士・小沼智子
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明治生まれの歌人、斎藤茂吉が少年時代の初詣のことを書いている。
今とはかなり違っていたようで、その日が近づくと冷たい水を毎朝浴び、魚も虫も殺さないように努める。父と一緒に2日がかりで歩いて、山岳信仰の地へ向かう。
山道では雨と風にたたられ、笠を飛ばされてしまう。凍った谷を渡ると滑りそうになり、腹ばいになって進む。「今時のやうに途中まで汽車で行くのではない」と茂吉は随筆で振り返っている。
列車に乗って、川崎大師や成田山新勝寺など有名な社寺に大挙して出かける。そんな初詣の風景は、明治から大正にかけて定着していったのだと平山昇著『初詣の社会史』で学んだ。郊外へ線路を伸ばした鉄道会社が、一種の行楽として宣伝に力を入れた。
「密」が当たり前の国民的行事が、大きな変化に見舞われている。感染防止のため参拝が三が日に集中しないよう求められ、鉄道会社は大みそかの終夜運転を取りやめる。
きのう近所の神社をのぞくと、もう「初詣」が始まっていた。分散を促すため正月の縁起物が早めに並べられ、破魔矢などを手にする人がいた。なるほど何を初詣と考えるかは気持ちの問題であろう。参拝なのか行列に並びに行ったのか分からないよりは、よほど心穏やかかもしれない。
接触を避けるためスマホを使ったおみくじを始めた神社もある。車に乗ったまま受けられる帰島もお目見えするという。これからの正月風景を少し変えるかもしれない、そんなコロナの時代である。

 天声人語より
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核兵器依存の不合理。
ここで必要な選択は核軍縮、そして廃絶である。
オバマ前大統領が求め、挫折した。核兵器先制使用の放棄はその第一歩に過ぎない。実現できない理想と一蹴される可能性の高いこの選択こそが功利的である。そういう時代に私たちは生きている。
 だが、核戦略は国家機密に包まれており、事実を知ることも容易ではない。ペリーが核廃絶を訴えるのは国防長官を辞してから約10年後のことだった。ベトナム戦争の機密をリークして訴追されたエルズバーぐも、ケネディ政権の核戦争計画を暴露したのは実務を離れずずっと後のことだった。
 その結果として、核兵器の使用が実際に検討されてする現実は国民の目から隠され続けた。たほうでは、核保有と核抑止のために平和がもたらされているという虚偽を現実として言いくるめるプロパガンダが繰り広げられてきた。
 実務を経験した者が一般の国民よりも核戦争を恐れる状況は倒錯しているというほかはない。核軍縮の展望を開くためにも、国民の安全を左右する情報を政府に独占させず、情報公開を求め続ける必要があるだろう。

 時事小言より---藤原帰一
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今年の流行語大賞はコロナ関連が目白押しだったが、候補には漫才コンビ「ぺこぱ」の台詞「時を戻そう」も入っていた。
ご存じない方のために説明すると、話があらぬ方向に展開したときに最初からやり直すことができる。そんなひと言でる。
考えみれば政界にも「時を戻そう」と言いたげな人びとがいる。たとえば多人数で会食したことが批判された菅首相。国民に会食を控えるよう求めた記者会見で、まず自分の会食について謝罪するというかっこわるい展開となった。
不義理をステーキ店に行かなければよかったと、公開しても先に立たずである。それにしても「静かなマスク会食」は実践したのだろうか。
桜を見る会の夕食会では資金の補填が明らかになったが、秘書にウソをつかれて知らなかったというのが安倍晋三氏の説明である。疑いを持つべきだったとして、「5千円で賄えていないことを前提に秘書に質していれば---」と語っていた。
いや5千円で足りるはずがないとあれほど国会で言われていたのに、というツッコミは想定していないらしい。野党はというと、旧新進党の面々が結局合流した。覆水を盆に返すような行動からは、3年前に分裂していなければという恨み節が聞こえてきそうだ。
ちなみにぺこぱの持ち味は、突っ込まないツッコミ、すなわち優しいツッコミである。彼らならこう言うか。「いや秘書の言葉を疑わなくてもいい、素直な心を持った政治家がいたっていい」。まさか。

 天声人語より
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