2020年12月の記事


真言宗の「三密」で心穏やかに
新型コロナウイルスの感染防止のため、密閉、密集、密接の三密を避けましょう」。初めて聞いたとき、ドキッとしました。なんで仏教の言葉が?と。
 真言宗の教えで大切なのが三つの密なのです。「三密」は、今年の流行語大賞に選ばれるかもしれません。コロナ時代に生きる知恵として、弘法大師様の教えを世に広める機会だと考えています。
真言宗の三密は、身密、口密、意密です。
「密」とは、弘法大師が唐から伝えた密教の密を指し、仏と一体となる修行を意味します。からだや行動(身)を整え、言葉や発言(口)を正しいものとすれば、おのずと心や考え(意)も整う。修行を重ね、三密を研ぎ澄ませば、この世であっても仏様のように心穏やかに過ごせる。真言宗の最も大切な教えです。
 コロナと共存せざるを得ない今、これをうまく生かすことができます。
 「身」、つまり行いに関しては手洗い励行です。身勝手な行動わ慎みましょう。マスクをするなど他人への気配りや、医療関係者への感謝も忘れずに。こう考えると仏教は、よりよく生きるための教えなのです。
 震災でもコロナ禍でも多くの人々が犠牲になっています。そうした人たちに思いをはせつつ、自らは、ちょつと立ち止まって、心を見つめ直す。そうした機会ととらえれば、新しい世界が開けてきます。
 
 猪苗代町の寿徳寺住職・松村 妙仁
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フランス革命と聞いて、思い浮かべるのは何だろう。自由と平等という祟高な理念か。
革命の中で生まれた、おぞましい恐怖政治か。明治の民権思想家中江兆民は、革命の意義を認めつつも複雑な思いを抱いていたようだ。
遅塚忠躬著『フランス革命』によると、革命の指導者で、政敵を次々に断頭台に送ったロベスピエールについて兆民が書いている。「酷暴ヲ恣ニシ、威刑ヲ以テ政ノ主旨ト為シ----殆ンド専制ノ君主ト異ナルコト無キニ至ル」。
恐怖政治から社会の混乱へ。革命が幕を開けてから10年後、軍人ナポレオンによる独裁が始まった。さて話は「アラブの春」である。
2010年12月にチュニジアの青年が焼身自殺したのが契機となり、中東で民主化運動が燎原の火のごとく広がった。10年後のいま、伝わってくるのは悲惨な話ばかりだ。エジプトでは政権が打倒されたものの、数年後に生まれた政権はさらに人々にを抑圧している。内戦となったシリアでは一体どれだけの人間が殺されたのか。
アラブの春などなかった方がよかったのか。そんな問いが報道で目につく。しかし歴史は後退しているように見えて、ジグザグの経路で前に進んでいくものだ。フランス革命がそうだったように。
「何年後かはわからないが、第2、第3のアラブの春は必ず起きるはずだ」。エジプトのジャーナリストの言葉が先日の紙面にあった。人々の胸にあるのは決して絶望だけではない。

 天声人語より
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人口減少、それがなにか?
人口減少を深刻な危機と受け止める向きはもちろん多い。人口(とりわけ労働力)が減り続ければ経済成長が難しくなる。産業・企業の存立基盤が損なわれる。政府債務返済負担が一段と増す、国力が衰退し安全保障リスクが高まるなど、不安は尽きない。
 しかし、人口減少は嘆くしかないことなのだろうか。人口減少下でも、国民の豊かな生活や国力を維持する手立てを見つけることはできないのだろうか。
 人手不足の主因は人口減少と言われる。しかし例えば、コンビニや外食チェーン店の24時間営業、きめ細かすぎる宅配サービスなど、消費者が便利さへの飽くなき欲求を少しでもよくせいすれば、人で不足は和らぎ、労働環境も改善される。その結果生じる労働力の余裕を、新たな成長分野で発生する労働需要り振り向けることができれば、生産性の上昇と付加価値の増大すなわち経済成長の押し上げに生かすことができる。換言すれば、それを阻んできたのは我々自身ではなかったか。
 人口減少に直面する日本に必要なのは、危機を煽り弥縫策を繰り返すことではない。公共投資の拡大は一時的な景気刺激と引き換えに将来世代に大きな財政負担を残した。我々に求められているのは、人口減少が制約や重荷とならない経済社会をつくる意思であろう。いずれ使われなくなる社会インフラはつくらない、これ以上政府債務を増やさないなど、マクロからミクロまで、やるべきこと、できることは多い。

 経済気象台より----山人
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検校は一字一句正確に印刷されるべきだが、間違えることもある。
コンピーターなどない活版印刷の時代は、活字を誤って拾ってしまう「誤植」がときおり起きた。
1937年、近衛内閣が発足した時の東京朝日新聞の記事がある。首相声明で「社会正義に基づく施策を出来るだけ実施」とするべきところを「社会主義に基づく----」とやってしまった。読んだ人は一瞬、革命政権が生まれたかと、ぎょっとしたかもしれない。
まるで誤植のようなことが感染症の世界にもあるらしい。ウイルスは自分の遺伝情報をもとにコピーを生み出していくが、日常的に小さなミスコピーが起きて異変種が現れる。多くの場合、性質に変化はないものの、まれに感染しやすくなったり、毒性が強くなったりする。
英国で見つかった新型コロナウイルスの異変種は、感染力が最大7割強くなったという。世界各国そして日本でも確認されており、要警戒である。かつてスペイン風邪で第1波より第2波の被害が大きかったのは、ウイルスが変異したためとの見方もある。
無症状の人からも感染が広がる新型コロナは「賢いウイルス」と言われてきた。願わくば今後は、毒性が弱くなる方向に賢くなってくれれば、その身を宿した人間を殺さず、共生できる方向に。
もちろんそう都合よくいくはずはなく、まず賢い行動をとるべきは人間のほうである。自分の生活を見直し、感染防止の手を打つ。賢明に。懸命に。パソコンによる誤変換ではありません。

 天声人語より
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現実と幻想との境界で--千の風に、千の風になって 
 泣かないでください
 そこに私はいません
 眠ってなんかいません
 千の風に
 千の風になって
 あの大きな空を
 吹きわたっています

幼友だちの妻ががんで死去、その追悼文集に掲載された詩だったという。
元は英語の詩だった。アイルランド共和軍のテロで死んだ青年が遺書のよ
うに両親に託していたことをBBCが放送した。
9.11テロの翌年の追悼集会で、11歳の少女が朗読した。
映画監督H・ホークスの葬儀で俳優のJ・ウェインが朗読した。
だが、いつ、誰がつくった詩かがわからない。

これらの出来事の少し前、がんで闘病生活をしていた先輩記者を励ます会
を催した。そこでこんな話をした記憶がある。
「死んだらとりあえず、僕たちは煙や灰、骨になる。僕を形づくっていた
素粒子たちにとっても別離のときです。しかし、素粒子たちがいつか再会
を図ることがあっても、ふしぎではないでしょう。はるか遠い、永遠に近
い未来のことかもしれません。『僕』が再結集する日を夢想したりします

いま思えば、「煙になる」のは「風になる」のとほぼ同じことだろう。現
実と幻想とをつなぐのが「風」である。
そして死は現実と幻想との境界に起きる「何か」だ。

 コラムニスト・小池民男
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1970年の紅白歌合戦は、なかし礼さんの独壇場となった。
「手紙」「あなたならどうする」「今日でお別れ」----。作詞した5曲が年の瀬にこだました。
〈海猫がなくからニシンが来ると 赤い筒袖の やん衆がさわぐ〉。75年のヒット曲「石狩挽歌」を初めて聞いたとき、詞の難解さに耳を奪われる。北海道の漁業の衰退が主題とわかり、社会性の高さにうなった。かと思うと、男女もつれた恋情を微細に描く歌詞も多く、少年だった私はテレビの前でドギマギした。
高度成長期の歌謡界をリードした作詞家が今週、82歳で亡くなった。シャンソンの訳から出発し、演歌やアニメの主題歌も含め、4千を超す曲を世に出した。直木賞作家でもあった。
旧満州に生まれ、6歳の夏に終戦を迎えた。ソ連軍の侵攻を受け、母や姉とともに逃げまどう。いつまでも帰国がかなわず、母国に見放されたと痛感。国家の酷薄さを身をもって知った。
そうした経験が、なかにし流の個人主義と平和主義を生んだ。「エロスがなければ平和はない。戦争がないからこそ軟派で不良な時間を楽しめる」。歌詞や私生活がときに議論を呼んでも意に介さなかった。いまの憲法を「世界に誇れる芸術」と評し、自らの創作の原動力は「戦争への甘美なる復讐」だと語った。
ふりかえれば今年は、戦後の歌謡界で輝く巨星が相次いで旅立った。筒美京平、中村泰士、そして、なかにし礼。何歳になっても彼らが残した名曲にドギマギし続けたい。

 天声人語より
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過去最多
これほど「過去最多」を目にする日々はなかった。
コロナに明け、暮れゆく1年。

 素粒子より
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20年ほど前、1枚の反則切符が世間の耳目をひいた。ある人気歌手が高級車を違法に駐車する。
だが名乗り出たのはそのマネージャー。「私に言ってくれたら身代わりはさせなかった」。発覚後の歌手の苦しい釈明が、わが頭の隅に残った。
マネージャーは犯人隠蔽の罪で略式起訴され、罰金を科せられる。歌手を首相に、マネージャーを秘書に置き換えて考えてしまった。「桜を見る会」前夜の夕食会をめぐる問題である。
捜査の結果、安倍晋三前首相の公設秘書がきのう略式起訴され、罰金100万円を科せられた。父の代から地元の山口県で仕えた熱心なベテラン秘書という。当の前首相はおとがめなしだった。
「私のしらない中で行われた」「真実を私に話してもらえれば、こうした事態にはならなかった」。きのうの会見でそう語った前首相は、ときに手元の資料を読み違え、ときに目がせわしなく動いた。
首相在任中の強気な答弁を思い出す。「私がここで話しているのがまさに真実」「総理大臣として答弁することについてはすべての発言が責任を伴う」。虚偽答弁の総数は推定118.さすがに陳謝をしたが、それでも国会という場で国民の範たる人物がウソを連発した責任はあくまで重い。
秘書が虚偽の報告を重ねたのか。あるいは秘書が身代わりとなったか。真相を知るよしはないが、どちらの場合であっても、これが世間一般の会社であれば、社長は監督責任を負うだろう。「知らなかった」では済まされない。

 天声人語より
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コーヒーや緑茶が長寿のカギ
コーヒーや緑茶を日常的によく飲んでいる人は、そうでない人に比べて死亡するリスクが低いとする調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめた。コーヒーに含まれるポリフェノール、緑茶に含まれるカテキンが血圧を下げ、両方に含まれるカフェインが血管や呼吸器の働きをよくしている可能性があるという。
全国に住む40~69歳の男女約9万人に対し、コーヒーや緑茶を1日どれくらい飲むかを、ほかの生活習慣などと合わせて質問し、経過を約19年間追った。この間に約1万3千人が亡くなった。
コーヒーや緑茶をよく飲む人は死亡率が低く、コーヒーを1日に3~4杯飲む人ではほとんど飲まない人に比べ、死亡リスクが24%低かった。緑茶は1日1杯未満の人に比べ、1日5杯以上飲む男性で死亡リスクが13%、女性で17%低かった。どちらも、死亡のリスクにかかわる年齢や運動習慣などは影響しないように統計学的に調整した。
コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノール、緑茶にはカテキンが含まれ、両方に欠陥や呼吸器の働きをよくするカフェインが含まれている。こうした成分が心臓病や脳卒中による死亡を減らしたことが考えられるという。
一方、カフェインは健康維持につながる可能性があるが、心臓病を抱えた人では摂取で急に血圧が上がるといった影響も考えられる。妊娠中や肝臓病の人も注意が必要である。

 紙面より
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春先、首相の会見で慌ただしく始まった臨時休校。「児宅待機」で子どもも、仕事を休めぬ親もとまどった。
コロナ、コロナで明け暮れた1年を、住友生命が募った「創作四字熟語」で振り返る。
31回目の今年は過去最多の2万2千編が寄せられた。照る日も降る日もマスクなしでは外出しづらい「全面口覆」が日常に。没個性の口元に飽き、趣向を凝らした「創意口布」を楽しみ人も増えた。
巣ごもり生活を少しでも快適にしようと、だれもが「巣居工夫」に努めた。出かけた先でも平熱を確かめ、「検温無事」でホッとする毎日。かたや、楽しみにしていた祭りや催しが津々浦々で中止される「多止祭催」には寂しさも覚える。
飲食業界は営業自粛の波でいまも四苦八苦が続く。隣の席とは2㍍の間隔を空ける「一席二長」が奨励された。代わりに広まったのが「画伝飲酔」ことオンライン飲み会。人と人との接し方が一変した年だった。
コロナ以外のできごとも多々。政界では前首相が在職歴代最長の「記録更晋」のすぐ後に退陣し、後任は臥薪嘗胆ならぬ「菅新相誕」。漫画から映画までどこへ行っても「毀滅の刃」を見ない日はなく、まさに「頻出鬼滅」だった。
不安と疲労に耐えて治療の最前線に立ち続ける医療従事者のみなさんの「医心献身」には、どれだけ感謝しても足りない。製薬大手がワクチン開発にしのぎを削る「薬家争鳴」のさなか、日本での接種はいつ始まるのか。どうか来年は心穏やかに過ごせますように。

 天声人語より
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体の「老化」と心の「老い」は別物
男女とも平均寿命は80歳を超えました。高齢化社会で問題になるのが、「平均寿命」と「自分で自分のことができる健康寿命」との差です。男性ではほぼ9年、女性では13年近く介護を受けたり、あるいは寝たきりで過ごしたりしています。この期間をいかに短くするかが、医療従事者の課題です。
一概に「老い」といっても、生物学的な「老化」と、人間的な「老い」は別物です。人間として抗しきれない老化の中で、いかに生命の意味を見いだしていくか。「土の器」とも例えられるもろい人間の身体は、ひび割れたり壊れたりもします。それでも私たちは与えられた時間の中で、その器に何を入れていくか、模索し続けるのです。
もし社会が老人を疎んじ、ポンコツ車のように見下すなら、それは真の文明社会とはいえません。必要なのは、社会がもっと交わりの中に高齢者を入れ、温かい心で包み込み、高齢者に「役割」を与えることです。私が日ごろから平和の重要性を語るのは、高齢者が居場所を得て輝くためには、社会がまず、平和であることが前提となるからです。
若い世代を含め、一人ひとりが参与しなければ、本当の健康社会は日本に実現されない。

 私の証あるがまゝ行く----日野原先生
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社会学者が住んだのは「М町」の借家だった。
住民の懐に飛び込み、冷蔵庫の選び方から子育て、嫁姑の問題まで1年かけて根掘り葉掘り調べた。後にМ町は千葉県の市川市だったと明かす。
若き日のエズラ・ボーゲルさんである。ハーバード大教授として79年に刊行した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』はベストセラーに。経済発展を遂げた要因を解説し、日本人の自国観にも多大な影響を与えた。
組織時に側近ばかりを厚遇せず、派閥均衡に努める首相。社員を社宅に住まわせ、社歌や運動会で忠誠心を育てる経営者。列挙された日本の「強み」は、いま読むと「そんなことまで褒められていたのか」と気恥しい。
「この本は日本では発売禁止にした方がいい」。元駐日大使のライスシャワー氏の評だ。日本が思い上がることを懸念したという。ボーゲルさん自身は刊行の狙いをこう説明する。「停滞した米国にとって日本こそ最善の鏡。米国の人々に目を覚ましてほしかった」。
その後の日本は、バブル崩壊で失速し、「失われた20年」の間に低迷した。世界1位どころか、経済力はいずれ8位に落ちると予測される。民主主義の度合いは22位、男女格差では121位との指摘も。残念ながら、どれもいまの実相だろう。
知日派のボーゲルさんが亡くなった。改めて著書を読むと、日本の弱みや将来への懸念も随所に論じられている。
人口も経済も縮みゆくわが国に向けた警告の「鏡」でもあった。

 天声人語より
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前首相の話題
よくもまあ最長政権のトップが務まったね、事務所も仕切れずに。
「秘書が、事務所が、私は知らない」を連呼。
もう公務は理由にならぬと思ったら「会見場が閉まるから」と約1時間で打ち切り。
つくづく会見嫌いな前首相。

素粒子より
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指揮者の川瀬賢太郎さんはこの夏、小さな発見をした。
久々に聴衆の前でタクトを振った日、これまでは当たり前と思っていた拍手の表現力に聞き入った。「世界で一番好きな音は拍手だと気づきました」。
今年、クラシック界は深刻な危機に直面した。川瀬さんも予定が5カ月にわたって白紙となった。これほど長い間、指揮台に立てなかったのは初めてのこと。音楽とは「不要不急」なものなのかと考え込んだ。
迷ったのは、正指揮者を務める名古屋フィルハーモニー交響楽団の「第九」を開くかどうか。「楽器と合唱がすし詰めになる第九はまさに密密密です」。何とか公演する手立てはないかと相談を重ねた。
そして迎えた先週末の本番。直前には、出演者の一人が「濃厚接触者」となって交代するハプニングにも見舞われた。例年200人の合唱団を28人に絞り、全員が客席から遠い2階席に立つ。口から胸まで覆う特製の「歌えるマスク」を着けて臨んだ。
客席で取材した同僚によると、演奏後に来場者が送った拍手は異例の長さだったという。1200人がいつまでもいつまでも喜びを手で表現した。歓声の代わりに「ブラボー」と書いた横断幕を掲げる人も。合唱団と楽団もお互いの奮闘を拍手でたたえ合った。
大勢が同じ空間に集い、同じ音に身をゆだねる音楽という営み。「コンサートやライブには未来がない」といった悲観論も聞く。それでも各地の舞台に少しずつ音が戻ってきた。生の音色を生の拍手が支える。

 天声人語より
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コロナ
リスクの過小評価へ国民ミスリードする罪深いミス。
英国から入国、1日150人を「1人か2人」と首相。

南極で初、台湾で253日ぶりの感染者。
中国・武漢初のコロナ禍が地球を覆った2020年、残りあと1週間。

素粒子より
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一度も旅したことのない場所なのに、一冊の本が風土や民情をありありと教えてくれることがある。
当方にとってはモンゴルが舞台の絵本『スーホの白い馬』がまさにそう。モンゴルと聞くだけで、わが頭の奥を純白の馬が駆け抜ける。
羊飼いの少年スーホが育てた馬を、王が強引に奪い取る悲しい物語。天や地を描く壮大なタッチは鮮烈だ。描いたのは現地の画家かと思いきや、東京・下町生まれの赤羽末吉さん。今年は生誕110年、没後30年という節目の年である。
今年評伝を刊行した親族の赤羽茂乃さんによると、あくまで現場にこだわる画家だった。少年の首飾りや草原の家々は、大戦中に内モンゴルを訪ねて目に焼き付けた。「雪国が舞台の民話を描く際は、秋田や新潟へ5年通って雪の重さや怖さを確かめました」。
幼いころから絵に魅せられ、20代から15年間暮らした旧満州でも描き続けた。戦後は米国大使館に勤めつつ、挿絵や装丁の依頼を引き受ける。本格デビューは遅咲きの50歳だった。
絵で名が立った後も中国行きだけはためらった。再訪が実現したのは70代に入ってから。「戦争のとき、大人だった私は中国に対して罪人です。観光旅行なら来られないが、中国の役に立てるならと思ってやって来ました」。取材の旅で現地の人々に語った言葉に万感がこもる。
『あかりの花』『チワンのにしき』。近年、そんな中国で赤羽作品の翻訳が続く。罪の意識を乗り越え、絵本という大輪の花を大地に咲かせた。

 天声人語より
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南極でもコロナ
南米のチリの南極大陸にある、チリ軍の基地で軍人ら計36人PCR検査で陽性と判断された。
この基地への物資の補給活動などをしていた海軍の船の乗組員から感染した可能性がある。
南極大陸での感染確認は初めてとみられる。

紙面より
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いかに卓越したアスリートでもあらがえない敵はいる。それは年齢であり、時間だろう。
大リーグの歴史に名を刻むジム・パーマーという剛腕投手も例外ではなかった。
オリオールズで通算268勝をあげ、球界の栄誉はあらかた手に入れた。1990年には野球殿堂へ。その翌年ことである。再びグラブを携えてキャンプに現れた。引退から7年、45歳による現役復帰の挑戦を、働き盛りが陥る不安やうつ屈した心理になぞらえ「中年の危機」と冷ややかに見る人もいた。
年齢と空白期間の恐怖を野茂茂雄さんから聞いたことがある。「引退前にはオフ返上で練習していた。休むほどに体力も感覚も取り戻すのが難しくなる」。パーマーの挑戦は故障もあって開幕前に終わったが、限界に挑む姿に最後は静かな拍手が送られた。
きのうに続き野球の話にの話にお付き合いいただいたのは新庄剛志さんの姿が忘れ難いからである。先日、退団者を対象にした国内12球団の合同テストに臨んだ。強肩好打で日米をまたにかけて活躍してから空白は14年に及ぶ。
48歳の挑戦は無謀と呼ぶべきだろうが、1年間で肉体から無駄な脂肪をそぎ落とし、最後の打席では左前へ適時打を放った。その軌跡は鋭く美しかった。奔放な言動の内側にある彼の野球への誠実さを、プロ野球の最も厳しい生存競争が切り出された場所で見たように思う。
球団からの誘いはなく、自ら断念を表明したが、琴線にふれた中高年もいたろう。あらがう挑戦者を再び待ちたい。

 天声人語より
それば筆者の本社が関西にあるせいだ。私は信条選手は嫌いだった。年寄りが名前を売るための行為だと思った。サッカーの三浦和義もチームが必要とはしていないが、人気にあやかって観客を呼ぼうというの彼のいる現実だと思う。本人もそこを自覚してほしいものだ。
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コロナウイル
国境を軽々と越える。
人類が手痛く学んだ教訓を生かす時。
英国発、感染力7割増の異変種、世界へ。
日本医師会会長は会見で「医療緊急事態」を宣言。
都知事は会見で「命を優先に」と。
首相は相変わらず会見なし。
前首相イチオシのアビガンの有効性、「判断は困難」と厚生省部会。
科学的根拠を欠いた政治的発言の危うさよ。

 素粒子より
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ジャッキー・ロビンソンが黒人で初めて大リーグにデビューしたのが1947年だ。
ではそれまで黒人選手はどうしていたかというと、黒人だけのリーグしか出場を許されなかった。二グロリーグという差別的な名がついていた。
大リーグとの非公式試合もあり、相当の実力だったようだ。ノンフィクション作家佐山和夫さんが、黒人リーグの名投手サチェル・ペイジの言葉を紹介している。「私にとって、黒人チームが白人チームに勝つことは、ニュースでも何でもない。黒人リーグの方が上だからだ」。
「黒いベーブ・ルース」と呼ばれた打者ジョシュ・ギブソンは、ルースより多くの本塁打を放ったという。。黒人選手を隅に追いやってきた過去は、米球界の汚点だろう。
それを少しでも挽回しようという動きである。1920年から48年までの黒人リーグの選手と成績を大リーグの歴史に加えるという方針が発表された。約3400人が「大リーガー」として扱われる。
大リーグ機構の発表には反省の言葉が並ぶ。長年見過ごしてきた。認定が遅れた----。「野球を愛する者なら知っている。黒人リーグは不当な扱いをされながらも、優秀な選手を輩出してきた」とはコミッショナーの談話だ。
民主主義を掲げながらも、少し皮をめくると差別が顔をのぞかせるのが米国社会である。大リーグの決断は遅すぎたに違いない。それでも差別を憎む気持ちは地下水脈となり、あちこちでしみ出している。

 天声人語より
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コロナに関係する問題
民は自粛すべし、我はホテル行脚の特権意識。
遅れたGoTo停止。
危機感なき「ガースーです」。
身なら宇部市、台湾の感染抑止と経済成長の両立。
「感染対策が先、経済は後」の方針と、情報開示が信頼を得て。

 素粒子より
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宇宙から危険な病原菌がもたらされる。
そんな主題を扱ったSFの中で、マイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』は古典といっていいだろう。米国の小さな田舎町が、人工衛星の落下により壊滅する。付着していた菌が人々を死に至らしめた。
感染防止策を探るため、最高水準の科学者とコンピューターが投入される。コロナ禍で注目された小説の一つでもある。宇宙の微生物の心配などSFの中の話と思っていたら、どうも違うらしい。宇宙開発の世界に「惑星検疫」という考え方があると最近知った。
伝染病予防のため、人や動植物を検査するのが通常の検疫。惑星検疫は、地球上の微生物を持ち出して他の惑星を汚染しない、あるいは他の星から地球に持ち込ませないのが狙いだ。安全性を評価する国際的な組織もある。
「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰った物質はどうかというと、生物がいる可能性がないため問題ないらしい。絶対にそうかとSF好きは考えたくなるが素人談義だろう。
はやぶさ2のカプセルを開封したところ、小さじ1杯の黒い砂が存在した。専門家に言わせれば「どっさり」の量で、有機物が含まれているのかどうか、これから科学者たちが調べる。
生命の起源となる有機物は、宇宙から隕石などで運ばれた。そんな説もはやぶさのニュースを追う中で学んだ。検疫など関係なく、惑星と惑星との間の交通のなかで命が生まれたと想像すると興味が深い。調査結果を気長に待ちたい。

 天声人語より
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理想的な健康長寿の姿、それに近づくための心の持ち方
まず「健康」という言葉そのものについて考えます。「健」の字には、建物の「健」が含まれます。地震で倒れない、しっかりした建物を建てるように、「人間の体を健やかに保つにも、強い土台が必要だ」と解釈できそうです。
次に「康」というと、260年続いた江戸幕府の礎を築いた、徳川家康の名が思い浮かびます。「啼くまで待とうホトトギス」と詠んだ、という逸話があるほど、家康は気長で心に余裕のある人物だったと言われています。漢和辞典を調べると、康には「すこやか」「やすらか」といった意味があるようです。健やかに、安らかに。気長に、余裕を持って。そんな心の持ち方が長生きのコツでしょうか。「人生50年」と言われた時代、家康は70年以上、生きたことが分かっています。
では、長生きしたら、毎日をどう楽しむか。「今までやったことがないことをやってみる」。それに尽きます。挑戦するかしないか、迷う前に、「新しいことに挑戦する毎日」を習慣化してしまえばいいのです。

 あるがまゝ行くより---日野原重明
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「補助金は、ときの政権にとって、使いやすい統治の手段である」。
朝日新聞の政治記者だった広瀬道貞氏が著した『補助金と政権党』はそんな書き出しで始まる。「政府はうしろの方にいて補助金のひもを締めたりゆるめたりしながら、相手を思う方向に誘導していく」。
法律や通達のように権力がぎらつくことがないという点も指摘し、補助金の本質を突いている。1980年代に出た同書は農業や公共事業の補助金がいかに肥大化し、削減が難しくなっているかを分析する。
時代は移り、全国民向けの「旅行補助金」すなわちGoToトラベルも、人々をうまく誘導したようだ。事業に一定の意味があったと思うのは、一時は県境を越えた移動が全て悪であるかのような行き過ぎがあったからだ。
それを解消した時点でGoToは役割を終えたのではないか。弱点も明らかになっており、感染対策には臨機応変さが必要なのに、停止すると多額のキャンセル料が発生する。それをまた税金で穴埋めするというばかばかしさである。
そもそも旅行する余裕のない人は恩恵にあずかれない。医療現場でコロナと闘い、感染への警戒から移動を控えている人には不公平以外の何物でもないだろう。
今回のGoToトラベルの停止を大きな政治決断とする向きもあるが、とんでもない。税金を使ってまで旅行を促す補助金行政を一時的に止めたにすぎない。感染第3波にどう立ち向かうのか。菅首相から中身のある言葉をまだ聞いていない。

 天声人語より
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歌人の故・河野裕子さんの晩年は、乳がんとの闘いだった。
64歳で亡くなる直前まで家族の歌を詠み続けた。<お母さんと言はなくなりし息子にお母さんはねえとこの頃く言ふ>。病床での会話だろうか。書く力すらなくなると、夫や子供たちが口述筆記をした。
体を病んでいても健やかな歌を作りたいと、最晩年のエッセーに書いている。「病気をしていても健やかであり続けることは、大きな広い場につづく道があることを約束している」。そんな予感がしきりにするのだと。
小林麻央さんのブログも、闘病のつらさをつづりながら明るさを失わなかった。20日には搾ったオレンジジュースを毎日飲んでいると書き、こう加えた。「皆様にも、今日笑顔になれることがありますように」。それが最後の記述になり、34歳で旅立った。
「与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは、やめました」。昨年、英BBC放送にそう寄稿しました。家族を愛し、家族から愛される日々を大切にする。ブログでは200万を超える読者とつながった。
日本の女性の11人に1人がかかると言われる乳がんは、だれにとっても遠い存在ではない。そして、がんに限らず「病と生きる人生」はいつでも訪れる。そのときも自分を失わず、強くやわらかくり続ける。心の構え方を小林さんから教えられた気がする。
訃報の後、ブログによせられた数多くのコメントのなかに「ゆっくりやすんでください」の言葉があった。それを静かに、口にする。

 天声人語より
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標準語で「寒い」というよりも、それぞれのお国言葉を口にするほうが寒さが身に迫ってくる。そう感じるのは筆者だけだろうか。
東北では広く「しばれる」が言われ、秋田には「さんび」の言葉がある。新潟は「さーめ」である。
この冬いちばんの寒気が日本列島を覆っている。いつもより早めのドカ雪に、早めの雪下ろし。秋田や新潟などから届くニュースに、映像では分からないであろう苦労を思う。
江戸時代、雪国を全く知らぬ人々に実情を伝えようとしたのが越後の文人鈴木牧之であり、世に送った書物が『北越雪譜』である。構想から40年にして江戸で出版にこぎつけるまでの経緯が、近刊『雪国を江戸で読む』にある。
支援を頼った著名文人が次々と亡くなるなど不運が重なった。出版が決まってからも苦労はあり、方言がわかににくいと注文がついた。労作を開くと、地元言葉が丁寧にちりばめられている。例えば雪は払うというような生易しいものではなく「雪掘」という。
その雪を空き地に積み上げのが「掘揚」だと知れば、降雪の多さを感じる。かんじきをはいて雪中を歩くのは「雪を漕」。実感のこもった筆致は江戸の人々の関心を引いたようで、よく売れた。各地の気象に思いをはせるのは、今も昔も変わらない。
〈朝戸繰りどこも見ず唯冬を見し〉原石鼎。雪国でなくても、朝起きて雨戸をあける瞬間、少し覚悟がいるようになった。きょうも冬型の気圧配置が続くという。どうかご自愛を。

 天声人語より
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忘年会
いまどき、忘年会をセットしてた「お気軽さ」にあきれる。
自民派閥で中止、続々。

素粒子より
大雪で動けない。車社会のもろさを、また目の当たり。
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「紺屋の白袴」に「医者の不養生」。他人の世話ばかり焼いていて自分のことができない例えは色々ある。
デジタル改革相の平井卓也氏にも言えるのではないか。政治資金収支報告書はオンラインで提出するよう努力義務が課せられているが、平井氏は紙で出していた。
自民党きってのでデジタル通にしてそうなのだから、他は推して知るべしである。国会議員が関係する政治団体のうち、オンラインで提出したのは1.13%にとどまる。そんな記事が先日の社会面にあった。
世界最先端のIT国家をめざすというかけ声の下、15年前に導入された仕組みである。システム整備のため計36億円が投じられている。「使い勝手が悪い」との声もあるようだが、長いあいだ問題点の指摘も改善もきちんとなされぬまま、税金が浪費された。
デジタル化が看板の菅政権としては恥ずかしい話だろう。挽回するため、一歩先の手を検討してはどうか。政治資金のキャッシュレス化である。経済産業省の官僚だった古賀茂明氏が昨年の週刊朝日で提案していた。
政治献金では現金の手渡しを禁止し、使う際もキャッシュレス決済に限定する。こうして1円単位まで記録されたものをネット上で公開する案である。なるほどこれなら政治家の会食費用まで、だれでも簡単に調べられる。
桜を見る会の夕食会にしても、安倍晋三氏側による資金の補填が難なく判明したのではないか。政界のオンライン嫌いは、透明性を嫌う気持ちとつながっているのかもしれない。

 天声人語より
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コロナ禍
「勝負の3週間」に完敗。
でも、首相が「真摯に反省」したのは「会食」について。

素粒子より
今晩東京都知事が緊急記者会見する。
千人ももう目前の新しい感染者数。
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GoTo批判高まり転換。後手の政府 支持率は低下。
菅首相が、GoToトラベルの全国一時停止を含む追加的な見直しを打ち出した。新型コロナウイルスの感染拡大に対するトラベル事業の影響をあいまいにしてきたしゅしょうだが、専門家や世論の批判が高まり、方針を大きく転換した。
政府の分科会が、感染拡大が続く地域でトラベルの一時停止を再び求める提言を出したのは日。。月日に続いて再び一時停止を求めたのは、政府の感染拡大策が後手に回り、国民に危機感が伝わらないことへのいらだちがあったからだ。
そもそも政府は、緊急事態宣言を解除した5月下旬以降、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を基本方針としてきた。トラベルはその象徴として、首相が力を入れてきた事業だ。「勝負の3週間」の結果がでなかったから政治判断したか。

 紙面より
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大豆は乳がんのリスクを下げる
大豆には女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持つ植物性エストロゲン
の「大豆イソフラボン」が含まれることはよく知られている。乳がんの発症
には体内のエストロゲンが関係していると言われ、イソフラボンはこのエス
トロゲンが作用するのを抑えると期待されている。
厚労省の研究班によると40~59歳の女性2万1852人を対象に、大豆製品を食
べる量と乳がんの発生率を追跡調査した。みそ汁を飲む量が1日1杯以下の人
が乳がんになるリスクを1とすると、3杯以上飲む人の危険性は4割低かった。
大豆製品から換算した大豆イソフラボンの摂取量を比べても、摂取量が多い
人ほど乳がんの発生率は低かった。
一方、食品安全委員会が06年、大豆イソフラボンの過剰摂取はホルモンバラ
ンスを崩す恐れがあるとして、特定保健用食品として1日に取る量を「30㍉
グラムまで」とした。
栄養補助食品でイソフラボンだけを大量に取るのは勧められないが、大豆製
品を日常的に食べることは問題ない。

 食の健康学より----宮島裕美
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ハーバード大学関係者のみなさんのために、ザ・フェイスブックをオープンしました。
大学の人々を検索する、誰がどのクラスの同級生かを調べるなどの機能があります----。2004年、米国でフェイスブックが誕生した時の呼びかけである。
2年生だったザッカーバーグ氏が学内の交友のために始めたサービスが、瞬く間に大学の外へ、世界へと広がった。いまやグループ全体の利用者は32億人である。そしてその巨大さが問題を引き起こしている。
反トラスト法に違反するとして、米当局がフェイスブックを提訴した。写真投稿アプリ「インスタグラム」やメッセージアプリ「ワッツアップ」を買収したことが、ライバルをのみ込んで競争を阻む行為だと非難している。
独占企業の最大の問題は価格のつり上げだが、無料のサービスでは怒らない。それでも見えない不利益があるという批判が高まっている。消費者の選択肢が失われ、個人情報が独占される。
その情報の保護も甘くなっているとの指摘があり、4年前の米大統領選では情報が流出し悪用された。「ただより高いものはない」の諺は、後で見返りを求められる恐れをいう。見返りが情報の独占で、保護が十分でないとすれば「ただより怖いものはない」。
ネットの世界では利用者の多さが、さらなる利用者を呼ぶ。そんな勝者総取りのすごさと危うさを示すフェイスブック問題である。

 天声人語より
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GoTo
ようやく「GoTo」にブレーキ。
専門家の意見より、支持率急落が効いたみたい。
半端で遅すぎる対応を横目に、年末年始は家にこもる。

素粒子より
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今年もあと20日ほど。ふだんなら帰省を準備する時期だが、様相がまるで違う。
お盆に続いて、年末年始も、地方に住む高齢のわが親を訪ねるかどうかギリギリまで悩んだ。
介護の現場では今年、「2週間ルール」が問題となった。聞き慣れない言葉だが、感染拡大地域から親族が帰省した場合、以後2週間は訪問介護や施設利用を停止するという内々の申し合わせだ。遠距離介護を支えるNPO「パオッコ」理事長の太田差恵子さんによると、こうした措置が一時期、多くの施設で導入されたという。
パオッコに寄せられた相談内容を聞くと身につまされる。たとえば「首都圏の方は入館お断り」という施設の貼り紙。あるいは機器が苦手でオンライン対話をいやがる親。半年あまり帰省を控えた間に認知症が進み、昼夜かまわず電話をかけるようになった高齢者もいるそうだ。
施設の側も悩み続けた1年だった。検温や消毒に努めても万全との保証はない。集団感染の不安と常に背中合わせの日々。重症化リスクの高いお年寄りたちを守るための奮闘が続く。
介護の現場に限らず、各地で医療がまさに逼迫している。政府の感染症対策分科会はきのう、「帰省は慎重に」「年末年始は静かに過ごして」と呼びかけた。高齢者のがんばりに若い世代の思いやりを重ねなければ乗り切れぬ年の瀬である。
医療や介護の最前線に立つ人々の熱意と踏ん張りには改めて頭が下がる。今冬はやはり帰省を見送り、電話と手紙の機会を増やそうか。

 天声人語より
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今秋刊行された俵万智さんの歌集『未来のサイズ』にこんな一首がある。
〈人と会う約束、仕事、なくなりて静かな三月、四月、来月〉。収載歌を読むうち、コロナ、コロナで明け暮れた日々がよみがえった。
〈スーパーの開店前に人多し裏をかけない私も並ぶ〉。思い返せば、たしかに買い物に行くことが春先はまるで冒険旅行だった。マスクが売り切れ、トイレットペーパーが消える。大勢が同じ不安に陥ったとき、いかに不合理な消費行動が起きるかを学んだ。
俵さん自身、ずっと宮崎市内の家で息をヒソメルに暮らしたと話す。「気の向いたときに買い物に行けること、友達と店で落ち合って気軽に話すこと。そういう日常が実はとても幸せた゜ったと気づきました」。
仕事も一変したと言い、会合や講演はなくなった。〈外出というにあらねど化粧してメガネをはずすパソコンの前〉。離れて暮らす両親のもとに帰ることもままならない。〈合わぬのが親孝行となる日々に藤井聡太の切り抜き送る〉。父君が将棋好きとのこと。
コロナを詠んだ歌は全59首。日記のような私信のような歌境に浸って思うのは、人々と同じ不安に揺さぶられた2020年の特異さである。小欄もウイルスの話題を避けようにも避けられない局面が続いた。
きのうもまた過去最多の感染者数が報じられた。年の区切りの師走がいっこうに師走らしくならない。世界中がなお途方に暮れるいまこのときを、歌人は三十一文字でどう切り取るのだろう。

 天声人語より
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納豆1日1パック食べると、「死亡リスクが10%減」国立がんセンターの調査。
納豆やみそなどの発酵性大豆食品をよく食べる人は、そうでない人に比べて10%死亡率が下がるという調査結果を、国立がん研究センターの研究チームがまとめた。
チームは、国内の成人男女約9万人を1995年以降、平均15年間追跡調査した。
食事内容を聞き、大豆食品や発酵性大豆食品を食べた量により五つのグループに分類。ほかの食品による影響や、降圧薬を使用しているかなどの影響を取り除いて分析。
発酵性大豆食品を最も多く採るグループ(1日におよそ50㌘)は、最も少ないグループと比べて男女ともに約10%死亡率が低かった。50㌘とは納豆1パック程度。食品別に見ると、女性では納豆やみそを多くとると、死亡リスクが下がる傾向が顕著だった。
納豆を多く食べると、男女とも悩卒中心筋梗塞など循環器の病気による死亡率が低下していた。「発酵性大豆食品は、ミネラルやイソフラボンなど様々な成分が失われにくいため、体に良い影響をもたらしているのではないか」と研究室長は分析している。

 新聞より---月舘彩子
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日が差すと屋根は黄金色に輝き、日が沈めば茶色から黒へと移りゆく。
京都の「かやぶきの里」として知られる南丹市美山町を訪ねた。かやぶき家屋に都会から移り住んだ若者に住み心地を聞くためだ。
大阪府摂津市出身の富田裕紀さん。「コロナ禍でも換気する必要がない。一日中、風が家を通り抜けます」。大学で建築設計を学び、卒業後、美山町内のかやぶき専門の会社で3年余り修行。屋根をふくだけでなく住んでみたいと思ったという。
暮らしてみて彼女が気づいたのは、家全体が盛んに呼吸すること。屋根はもちろん柱も床板も植物由来で、コンクリートとは空気感がまるで違う。「雨、雪、暑さにも強い。弱点は火と風ですね」。
かやぶきの家並みは前世紀の初めまで日本各地でみられた。都市化の波を浴びその数は激減。かや場も職人も限られ、かつては住民の共同作業で済んだふき替えに何百万円もかかるように。富田さんの家も25年ほど空き家で、長くふき替えられずにきた。
そんなかやぶきの世界に久々の朗報が届いた。来週、パリで開かれるユネスコの会議で無形文化遺産に登録される見通しになった。漆塗りや畳作りとともに木造建築の技術として国際社会に認められことになる。
取材当日、美山は雨だった。雨脚が強まっても、屋内ではザーザーと聞こえない。ポタポタと軒先からしたたる音が耳にやさしい。景観の美しさ以上に、住まう場としての魅力を垣間見た。未来へ残したい建築様式である。

 天声人語より
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背骨の圧迫骨折はビタミンDと運動で予防しよう
背中が丸くなり、身長が低くなった。背骨の一部が出っ張ってきたと感じたり、午後になると背中が痛んだりする。そんな症状のある人は、背骨がじわじわと潰れて変形する圧迫骨折を起こしているかもしれない。高齢者の場合、骨がスカスカになる骨粗しょう症が原因のことが多い。
背骨は、12個の腰椎と5個の腰椎という骨が連なってできている。胸椎や腰椎の高さが、どれか一つでも、元の高さより20%以上減っていると圧迫骨折と診断される。痛みがあるのは3分の1だけ。痛みがなく、気づかないまま潰れていることも多い。
起きやすいのは、胸椎と腰椎の境目付近。腰の少し上あたりだ。骨折すると、変形したまま固まってしまう。骨粗しょう症で骨が弱くなった高齢者だと、尻もちをつく程度の衝撃で起きることが多い。
骨粗しょう症は高齢の女性や早く閉経した人がなりやすい。閉経すると、骨を壊す細胞の働きを抑える女性ホルモンが減るためだ。たんぱく質やカルシウム、ビタミンDの付則や運動不足もリスクを高める。遺伝の影響もあり、母が骨粗しょう症だと娘もなりやすい。
最初の骨折を防ぎ、骨折の連鎖を断つには、薬による治療だけでなく、適切な栄養と日光浴、運動療法が不可欠。骨の健康維持に重要なのがビタミンD。多く含む青魚や干しシイタケを意識してとりたい。日光浴も効果的だ。紫外線が皮膚に当たるとビタミンDができる。日焼け止めを塗らずに夏は30分、冬は1時間が目安。サプリメントで補う選択肢もある。
1日8千歩を週3日以上歩くと骨密度が増える。転ばない体づくりも大切だ。流し台に両手をおき、肩幅に開いた足を曲げたり伸ばしたりする屈伸運動がお勧め。足の指をグーパーと動かして足の感覚を磨く運動や、バランスをよくする片足立ちの訓練もよい。予防策を続ければ結果は出るのであきらめないことが大切だ。

 体とこころの通信簿より-----辻外記子
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10歳だった少年は、友達と下校中に見知らぬ男から声をかけられる。
「大学で音声の研究をしている。協力してくれないかな」。自分だけがマイクを持たされ、文章を読まされたことをいまでも覚えている。
小説のような話だが、彼がつらい記憶を取材に明かしてくれた。声を採取したのは警察官。小学校の担任にも接触し、「少年の声は脅迫の声と一致するか」と尋ねている。昭和最大の未解決犯罪といわれるグリコ・森永事件の捜査だった。
1980年代、「かい人21面相」を名乗る犯人が毒物入りのお菓子を店頭に置き、食品企業を次々に脅迫。その音声は幼い子どもの声が使われた。
公開中の映画「罪の声」は、20年前に時効を迎えたこの事件がモチーフだ。脅迫テープの声の主たちが送ったその後の人生を星野源さんらが熱演。大人の身勝手によって声という罪を背負わされた苦悩に胸が絞めつけられる。
もちろん冒頭の少年は疑われただけだ。だが、噂は小さな町を駆けめぐり、「犯人一味では」との視線が突き刺さった。いじめもあって登校できなくなり、10代で海外へ飛び出す。あれから36年。いまは父親となって、関西地方で無小さな会社を切り盛りしている。
「自らの境遇を他人のせいにするのは『逃げ』なんよ。それにキツネ目の男とか身近におらんかったしなぁ」。取材中の屈託のない笑顔に救われた。人生に時効なんてない。疑われた子も地道に懸命に生きている。本当のテープの子だってそうあってわしい。

 天声人語より
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菅首相は意固地だ
首相が今なすべきは、コロナ禍にじう向き合うか、国民に語りかける記者会見だ。
公費で旅行や会食を促すGoTo。
医療逼迫の悲鳴に耳を貸さずに続ければ、感染拡大は「人災」の色を帯びる。

素粒子より
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言も無視して、いつまでこのまま続けるつもりなのか。今すぐ東京、大阪、北海道、沖縄を対象から外すべきだ。
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「お願いカメさん お山オオカミ バイクつかまえた!」。札幌市のある幼稚園でこの冬、園児が元気に唱えるおまじないだ。
大人が読むとちんぷんかんぷん。実はこれ、感染予防に効く手洗いのコツを要約している。
まずは左右の手のひらを合わせたお願いポーズでゴシゴシ。カメの甲を洗うように手の甲をジャブジャブ。お山は指の間、オオカミは爪の先。バイクは親指を洗う手の形。「つかまえた!」でグリグリと手首を洗う。
花王がCМ用に作った歌詞がもと。公衆衛生学が専門の大浦麻絵・札幌医科大講師が、幼稚園や保育園に紹介してきた。手洗い教育に取り組み始めたのは3年前だが、今年は講演や授業の依頼も増えたという。
「外気も水道水も冷たい北海道では、大人でも手洗いが雑になりがち」と大浦さん。まずは子ども世代に習慣を見つけけてもらい、それが親や祖父母の世代へと広まることを願う。
そんな思いから大浦さんたちが作ったクイズ動画を見せてもらう。「手洗いはたとえ流水だけでも効果がある。〇か×か」。大勢の子どもたちが出演し、プロ野球公式戦に合わせて、札幌ドームの大型ビジョンで上映した。答えに迷う難問もあり、手洗いの道は奥が深い。
中国政府によると、新型コロナの最初の発症が確認されたのは昨年12月8日。きょうで1年となる。今年は世界75億人の「手洗い元年」と言うべきか。わが手洗いの流儀は園児らの念入りさには遠く及ばない。落第だった。

 天声人語より
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コロナ禍
専門家の意見を聴かず、全国一斉の休校要請を決めた前首相。
分科会に諮問せず、GoTo延長を決めた現首相。

素粒子より
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いつになったらワクチンは届くのか。接種が始まるのはいつか----。
いまの私たちの心境ではない。170年余前、天然痘予防ワクチンの輸入を長年待ち続けた佐賀鍋島藩の蘭方医・楢林宗建の心境である。
中山哲夫・北里大特任教授によれば、鎖国下ではあったが、牛由来の天然痘予防法が英国で確立されたとの報は日本にも届いていた。ただ液状の痘苗は暑く長い船旅に耐えられない。宗建は「液状ではなく、かさぶた状を」と要請。かさぶたの中ならワクチンとしての効き目が長く保たれると考えた。
宗建はわが息子の腕に接種を試みる。1849年夏のことだ。「えたいの知れぬ物を打たれたら牛になってしまう」。むそんな抵抗も起きたが、腕から腕へと植え継がれ、天然痘撲滅に道を開いた。
新型コロナでもワクチンの実用化がいよいよ現実味を帯びてきた。米製薬大手が開発したワクチンの接種が英国で今週始まるそうだ。日本でもいずれ同じ製品が供給される予定だ。
収束への道筋がなお見通せない中、ワクチンにすがりたい気持ちが日ごとに強まる。それでも救世主のごとくもてはやす風潮には不安も覚える。逼迫した医療、経済、五輪の開催が一挙に解決するのだろうか。
世界保健機関幹部が先週語った言葉が胸にある。「ワクチンはコロナゼロを意味しない。強力な手段だが、それだけでは十分じゃない」。かの宗建にならい辛抱強く待ちながら、きょうもわが手指を念入りに洗うとする。

 天声人語より
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菅首相は
疑問蟻、国費30兆円経済対策。
医療支援や感染予防より目立つ「菅印」景気対策。
「菅印」といえば旅行や会食を促すGoTo。
自衛隊派遣の非常時も続行の非常識。
「菅流」疑惑隠し。
人呼んで「お答え控えます内閣」。

素粒子より
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「犯人19日目に捕わる 金につまった青年のしわざ」。占領下の1949年1月、そんな見出しが九州の地元紙に踊った。
記事の脇の写真を見ると、ひとりの若者がうなだれている。
前年の暮れ、熊本県人吉市内で起きた一家殺害事件で逮捕された免田栄さんである。後年の獄中記によれば、取り調べは過酷だった。「一升瓶で頭を割ってやる」と脅され、自白に追い込まれる。死刑確定後、6度目の再審請求でアリバイが認められ無罪に。23歳だった青年は57歳になっていた。
長く取材した同僚に語ったところによると、拘置所で見送った死刑囚は70人を超えた。「執行がある日の朝は異様ですけんね。床に針を落としただけで聞こえるほど静か。そこにドドッと来て、独房をガチヤンと開く」。次は自分かという恐怖におびえ続けた」。
無罪を勝ち取って初めて飛行機に乗った日はシートベルトの着け方がわからず困った。困らなかったのはカラオケ。拘置所内のスピーカーから毎夜、演歌が大音量で流れ、歌詞を覚えたからだ。
過酷な体験を踏まえ、同じ境遇にある確定囚たちへの支援を惜しまなかった。「日本の人権は虹みたいなもの。遠目には美しいが、実体はないに等しい」。そう訴えた免田さんが亡くなった。
冤罪の嶽に1万2599日。人生の3分の1、最も輝くべき時である。鳴らし続けた警鐘は、ともすればいまでも「お上は正しい」式の思考に陥りがちな私たちにも向けられていた。

 天声人語より
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7~9月のGDPは大幅伸びに
2次速報によると実質で、前期比5.3%増、年率換算で22.9%増。
算定基準を一部変更した影響もあって、1次速報から上方修正され、記録的な伸びがさらに広がった。

紙面より
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エアチェックという言葉になじみがあるのは、中年以上の方か。
ラジカセの前に陣取り、FM放送でお目当ての曲が流れるのを待って録音ボタンを押す。やり直しのきかない一発勝負であり、緊張する瞬間だった。
エアすなわち空気中に送られる電波ではなく、インターネット経由でラジオを楽しむ時代になった。日本の各局が聞ける「ラジコ」が本格的に始まってから今月でもう10年という。逃がした番組も後で聞けるのだからエアチェックは遠くなりにけりである。
インターネットラジオが面白いのは空間を飛び越え、海外の放送局が楽しめることだ。旅先にいる気分が味わえると、作家の江國香織さんがエッセー集『旅ドロップ』で書いていた。北欧の局でもスペインの局でも、聞けば部屋の空気がその国に変わる。
いちばんよく聞くのはニューヨークの局だという。英語が分からなくても「グッドモーニング」と言われれば、夕方なのに朝のコーヒーが匂うような気がする。テレビは画面の中だけのことだが、「音は融通無碍だ。目に見えないから、部屋じゅうに漂う」。
ラジオが一家に一台の頃は家族団欒の中心にあり、やがて一人で聞く時代になった。一時はテレビに圧倒されたが、今はコロナで在宅が増え、見直されているらしい。人の声と音楽に触れたくなるのは人間の基本的な欲求かもしれない。
当方はネットラジオも聞くが、AМのくぐもった音も好きである。AМ放送廃止の議論が進むのが、さみしくて仕方がない。

 天声人語より
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はやぶさ2.
お帰り、小さなカプセルの、でっかい夢と共に。
そして行ってらっしやい、新たな探査の旅へ。

 茶に染まる楓の紅葉、くっきりした山茶花と椿の赤、かれんな冬桜の白。
ちょつぴり豪華な気分。
きょう大雪。

 素粒子より
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スウェーデンの作家リンドグレーンは『長くつ下のピッピ』などの児童文学で知られるが、世に残したのはそれだけではない。
家畜を屋内に閉じ込める残酷な飼い方はやめるように主張し、政府に法規制をさせることに貢献した。
こうした考え方は「アニマルウェルフェア」と呼ばれ、欧米で広がっている。環境ジャーナリスト枝広淳子さんの著書によると、日本での採卵鶏の飼い方も問題だという。
積み重ねた狭い鳥かごに詰め込み、とにかくエサを与えるやり方がほとんどで、鶏に大きなストレスを与えている。国際基準作りも進んでおり、日本のケージ飼育に対しては批判がある。
どうもそんな話の延長線上にあるのが、吉川貴盛・元農林水産相の現金授受疑惑のようだ。大臣在任中に、大手鶏卵生産会社の前代表が3回にわたり計500万円を提供した疑いが浮上している。国際基準で日本の業者が不利にならぬよう政府に対応を求めたという。
現金は大臣室やホテルで2人きりの時に渡したようだ。前代表は違法性を認識しながらも「私心ではなく、業界を少しでも良くしようという気持ちだった」と話しているらしい。業界の主張に理があると考えるなら、関係者を説得するのが筋である。密室に囲い込み、現金を差し出すのではなく。
吉川氏は事務所を通じてコメントを出したが、疑惑についての説明はなかった。堅い殻の中に閉じこもっているかのようだ。

 天声人語より
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胃潰瘍や動脈硬化などを防ぐ梅のパワー
梅干しは、昔から健康に良いというイメージが伝えられていますが、日本一の産地、和歌山県では最近、科学的な証拠が集まりつつあります。
「梅はその日の難逃れ」のことわざのように、梅干しを朝に食べると、病気などを免れると、昔の人は経験から伝えてきた。和歌山県立医大の宇都宮洋才准教授によると、梅の産地みなべ町などで聞き取り調査をしたら、「動脈硬化を防ぐ」「胃潰瘍になりにくい」「かぜをひかない」「疲れがとれる」など数え切れないほどの伝承があった。まるで「万能薬」だが、本当だろうか。
マウス実験では、梅エキスが動脈硬化を引き起こす血管の筋肉の肥大を防いでいることがわかった。
宇都宮准教授は梅に含まれるポリフェノールの一種「リグナン」に着目。胃潰瘍の原因となるピロリ菌の培養液の中にリグナンを加えたら、変形したりしてピロリ菌の働きが弱まった。
ピロリ菌の働きを半分に抑えるには、梅干し5個分相当のリグナンが必要だったが、「1、2個分でも効果はある」という。
また、インフルエンザウイルスが感染した培養細胞にリグナンを加えたら、ウイルスの増殖が抑制されることもわかった。
梅の有効成分はリグナンだけではない。近畿大生物工学部の三谷隆彦・元教授が見つけた別のポリフェノール「ヒドロキシ桂皮酸」にも、高血圧防止やウイルスの増殖を抑える効果があることが分かってきた。
ただ、数々の健康効果があるからといって、たくさん食べれば良いわけではない。梅干しには10%程度の食塩が含まれている。1個10㌘だと1㌘に上る。
厚生労働省が定める1日の塩分の摂取目標量は、成人男性9㌘未満、女性7.5㌘未満だ。
1日の食事全体で塩分を調節しなければいけない。梅干しは1日2個程度を目安に。増やす場合には他のメニューの塩分を抑える工夫が必要だ。
さて、観梅の季節。梅林の花の香りにも、梅パワーは秘められている。和歌山工業高等専門学校の奥野祥治准教授によると、香り成分のベンズアルデヒドに抗菌作用がある。梅干しにも同成分があり、「日の丸弁当が傷みにくい理由の一つではないか」とみている。

 元気のひけつより-----野中良祐
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谷川俊太郎さんの文と大橋歩さんの絵による絵本『これはおひさま』を開くと、真っ赤な太陽が現れる。
さらにめくると緑が広がり「これはおひさまのしたのむぎばたけ」の文がある。麦の穂の絵には「これはおひさまのしたのむぎばたけでとれたこむぎ」。
「これはおひさまのしたのむぎばたけでとれたこむぎをこなにしたこむぎこをこねてやいたぱんをたべるあっちゃん」。赤いほっぺの子どもがかじるパンは、太陽の恵みがなければ存在しない。
今年は秋の好天が続いたため、野菜がすくすく育ったと聞く。きのう近所の直売所で買った大根はいつになく立派だった。全国的に値段も下がっているようだ。農林水産省によると最近の小売価格は、白菜やキャベツが平年より4割ほど、大根が3割ほど安いという。
ようやく師走らしい寒さになってきた。「晩ご飯、何にしよう」という問いに、答えが出しやすい季節でもある。〈又例の寄鍋にてもいたすべし〉高浜虚子。鍋物をどうぞと言うかのように野菜がお手頃になっているのは、秋のおひさまの置き土産なのだろう。師走らしいといえば、さて今年はどこまで師走らしいことができるだろう。忘年会、クリスマスパーティー、おおみそか。12月という月になぜかあたたかい印象があるのは、人に会う、人が集まる機会が多いためだったと改めて思う。
「直箸でいきましょう」。鍋を囲んで、そんな言葉が気軽に言える。らいねんのいまごろは、当たり前の日々が戻っているだろうか。

 天声人語より
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病気の子どもの食事
病気になると、基礎体力が低下する。病中は症状の緩和、病後は体を回復させることが大切だ。
「高熱や下痢を発症したら、まずは病院へ連れて行きましょう。過程では固形物をとるのを控え、脱水を予防するため水分補給に努める」
高熱や下痢のさなかには、水分とミネラルの補給が重要。スポーツドリンクが適しているという。スポーツドリンクの糖分は、水分の吸収率を高くしてくれる。ただし、冷たすぎると交感神経が刺激されて体が休まらない。ひと肌程度の温度で飲むといい。
症状が落ち着いてきても、微熱があるなら炎症が残っているということ。ぶり返す可能性もあるので注意したい。嘔吐や下痢がなかったり、食欲が戻ってきたりしているなら、様子を見ながら少量ずつ食べさせる。
こうした時期の食事として、代表的なのはおかゆだ。
軟らかく煮て、ペースト状にした野菜などを加えると栄養価が高まる。
ふだん食べていないために、ごはんが苦手で、病気の時にパンを食べたいという子どももいる。おかゆは消化しやすく、米のたんぱく質は栄養的にすぐれている。日ごろからお米を食べ慣れておくといい。

 子育てより
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米国の大統領だったオバマ氏がノーベル平和賞に選ばれたとき、世界各地からの反応を紙面に載せるべく外電を探したことがある。
褒めそやす言葉ばかりのなか、ポーランドのワレサ氏だけは違った。
自主管理労組「連帯」を率いた抵抗運動が評価され、かつて平和賞を受けたその人の言葉は「早すぎる。彼はまだ何もしていないじゃないか」。オバマ氏の受賞理由は「核なき世界」を目指す理念と取り組みだったが、結局尻すぼみとなり、ワレサ氏の危惧は的中した。
ノーベル各賞のなかで、平和賞はときに失望がついて回る。軟禁の身で賞に選ばれ、民主化の星だったアウンサンスーチーがミャンマーの政権に就いた後もそうだ。彼女の政権下で起きたロヒンギャ迫害は、まれに見る人道危機となった。
エチオピアでいま起きている事態も同じである。この国の政府と、北部の政党ティグレ人民解放線との間で軍事衝突が続いており、民間人も含めて数千人が犠牲になったと報じられる。政府を率いるのが、昨年平和賞を受けたアビー首相である。
隣国リトアニアとの紛争を解決した功績が認められての受賞だった。その際の彼の演説はいまとなってはむなしさを感じるばかりだ。「戦争を美化しようとする人がいるが、戦争は関わる人全員にとって地獄の縮図だ」。
アビー首相の強硬姿勢が、この地に地獄の縮図をもたらしているのではないか。平和を後押ししようとする賞が空回りする。そんな音が、聞こえるようだ。

 天声人語より
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国会閉幕
あすから、国会はもう冬休み。
コロナ禍を尻目に、まずは政権批判をかわすように。

赤い通天閣を怖々と見上げた。
大阪府が医療非常事態。

素粒子より
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新型コロナウイルスへの備えとして「ハンマー&ダンス」という言葉がある。
米国発の言い回しのようで、移動制限などの強力な対策を、ハンマーを打ち下ろすことに例えた。ウイルスをガツンとたたく感じだ。
それで感染が少し落ち着いたら、感染防止と社会経済活動を両立させていく。言わばウイルスとダンスをするようなものである。この冬、日本はどうやらダンスの季節が終わり、再びハンマーの出番となった。
東京や大阪、名古屋などで飲食店の店じまいが早くなった。GoToトラベルやイートも見直しが進む。「我慢の3週間」と言われるが、今の対策で必ず収まるという確信は誰にもないだろう。
それでも第1波よりましな点はあり、マスクが出回り、その効果も研究により裏付けられてきた。新型コロナの分科会は提言で、会食に警告を発する一方、仕事や学校の授業、病院の受診など゜感染拡大リスクの低い活動を制限する必要はない」と述べた。
気になる医療体制だ。例えば東京都では重症者用に確保されたベッドは150床というが「実際に使えるのは半分ぐらい」との指摘が一昨日の紙面にあった。ダンスの季節に、体制強化は十分になされなかったのか。GoToなどに公金が間をすぎたのか。
米国の古いフォークソング「天使のハンマー」を思い出す。〈もし私にハンマーがあれば朝に晩に打ち鳴らす〉〈危険を知らせ警告を発する〉。自分の生活に自分で警鐘を鳴らす。心のハンマーも手放せない。

 天声人語より
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コロナは
英国から朗報を歓迎しつつ、目をこらす。
通常10年かかるワクチン開発だけに。

陰に陽に見聞きする差別や偏見は「誰かのこと じゃない」。
あすから、人権週間。

素粒子より
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目の不自由な人にとって、鉄道のホームというのは「欄干のない橋」だ。よく言われる例えである。
そんな怖い橋を杖だけに頼って歩く。ひんぱんに列車が繰る駅であれば、危険さは橋どころではないかもしれない。
痛ましい事故がまた起きてしまった。視覚障害のある男性がホームから転落し、電車にはねられ亡くなった。ホームドアがすでに設けられ、あと3カ月ほどで運用が始まるところだったという。
線路に落ちるのを防ぐホームドアの設置は多くの会社が取り組んでいるものの、鉄道全体としてはまだ道半ばである。設備に全てを頼るわけにはいかない。
鉄道は身近ゆえ、大事故の報道に触れるたびに自分がその場にいたらと考える。かつて東京の新大久保駅で転落した人を助けようとした人が亡くなった時には、自分にはそんな勇気はないだろうと思った。では白い杖をついている人を愛で追うことは。手助けできることはないかと近寄っていくことは。
駅員のいない無人駅も全国で増えており、誰もが使いやすい鉄道という課題は重みを増している。作家の乙武洋匡さんがロンドンでの経験を本紙で語っていた。エレベーターのない駅で市民が何度も手を貸してくれたという。「車いすの人が困っていたら手伝うのは、財布を落とした人に駆け寄って届けるのと同じ感覚のようでした」。
周りに人がたくさんいても誰からも注意を払われなければ、その瞬間そこは「無人の駅」になる。

 天声人語より
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コロナ対応
泥縄かつ小出し。
しかも、あいまい。
政府主導の「GoTo」対応に戸惑い呆れる。

素粒子より
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毎年この時期に、その年の商品や出来事を振り返る「ヒット商品番付」なるものが発表される。
今年、SМBCコンサルティング東西の横綱に選んだのは「オンライン生活」「感染予防グッズ」と、順当なところだ。へえと思ったのは西前頭2枚目の「再放送・再上映」である。
コロナ下の撮影自粛により、往年のドラマがテレビでよく流れていた。映画館でもリバイバル上映がなされた。若い世代の心を動かし、予想以上の人気となった作品もあったようだ。
いわんや昔のファンをや。25年前のドラマ「愛していると言ってくれ」の再放送を楽しんだ人の声が紙面にあった。「ドラマの中に入っていく私はおばあさんではなく、紘子さんになっていました」。紘子さんとは常盤貴子さん演じる俳優の卵。聴覚障害者の画家と恋に落ちる。
かくいう私も中学時代に熱中したアニメ「未来少年コナン」に、約40年ぶりに心を奪われた。最終戦争により文明が破壊された後の世界で、少年が冒険を続ける。昔ほどは主人公に自分を重ねられなかったが。
むしろ湖南の育ての親の「おじい」に感情移入している自分に気づく。悪役で、科学都市の政治指導者レプカの気持ちも少し考えてみた。政治を担う身としては、人々の飢えさせるわけにはいかない。そんな責任感が暴走した面もあるのか----見ていない人、ごめんなさい。
ドラマやアニメ、あるいは小説であっても再会には再発見の楽しみが伴う。コロナが、いやコナンが教えてくれた。

 天声人語より
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災害見舞金
やっと半壊住宅にも支援金が出る。
被災者の生活再建の改正法が成立。
半歩前進だ。

極月に。〈つくろはぬものや師走の猿すべり〉加舎白雄。

素粒子より
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全米図書賞を翻訳部門で受賞した柳美里さんの小説『JR上野駅公園口』の主人公は、昭和一桁生まれのカズさん。
高度成長期に福島県から出稼ぎで上京した男の切ない生涯を通じて、社会のひずみを描く。
印象的なのは秋の上野公園の風景である。園内で寝起きする主人公は、この時期、日銭稼ぎに銀杏を拾う。四季など忘れて暮らしているのに、光の使者のようなイチョウの黄葉には心を奪われる。
読み終えて久々に上野を歩いた。イチョウの見ごろはまさにこれから。全身を黄色に染めた木が午後の日差しを浴びる姿は神々しい。樹下は黄色のじゅうたんを敷き詰めたよう。無数の銀杏が足元に転がっていた。
見上げるばかりの大木に寄ってよく見ると、幹には割れた跡やウロがある。いわゆる「戦災木」だろう。大戦末期に空襲を受けたか、あるいは戊辰の昔に浴びた放火の跡か。かつてこの一帯を寺領とした寛永寺に尋ねてみると、江戸時代には防火林としてイチョウが植えられたという。
柳さんの小説が描き出すのは、真面目一筋ながら長男と妻に先立たれ、気力を失う男の悲哀である。自分の努力だけではどうにもならないコロナ禍のいま読むと、息苦しいほどの現実味がある。
〈妻子率公孫樹のもぢ仰ぐかな過去世・来世にこの妻子無く〉高野公彦。イチョウには樹齢1200年と伝えられる長命な木もある。一木一木がそれぞれどんな人生の光と影を目撃してきたか。木々の年輪を推し量りつつ思いをめぐらせた。

 天声人語より
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