2020年10月の記事


夜型生活取り戻すには、朝日を浴びる。
乱れた睡眠のリズムを取り戻すにはどうすればいいのか。
①朝に日光を30分ほど浴び、睡眠ホルモンに関わる体内時計をリセットする
②日中に適度な運動をし、夜とのメリハリをつける。
③胃や腸を休めた状態で眠るために、就寝の3時間前には食事を終わらせる。
④夜は強い照明を使わないで過ごす--などが効果的という。
また、乱れた体内時計を整えて規則正しい生活リズムを手に入れるために、毎日の睡眠時間を記録することを勧める。起床・就寝時刻や寝ていた時間、途中で起きた時間・回数を振り返り、できるだけ毎日同じリズムを繰り返すようにする。休日だけ起床時間が遅くなる場合は注意が必要だ。平日の起床時間と2時間以上ずれると翌週の前半は時差ボケの状態となり、心身への負担が増えるという。
体内時計が乱れたままだと、睡眠時間帯が日常生活に支障を及ぼす「概日リズム睡眠障害」になる恐れもある。「朝起きられないなどの症状は『やる気がない』『だらしない』と見られがちだが、治療が必要な場合もある。受診をためらわないでほしい、と話している。

 はぐくむより
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成田空港に着いてから、さあどこに行こうかと考えることがある---。
ミュージシャンの井上陽水さんのそんな言葉を、作家の沢木耕太郎さんが『旅のつばくろ』で紹介していた。直前に買うチケットは高いに違いないが、行動の自由さはうらやましくなる。
陽水さんには及ばずとも、空の旅はかつてに比べ身近になった。そう、新型コロナが拡大する前までは。乗客の激減により航空会社の経営は悪化しており、ANAホールディングスは今年度、5千億円超という過去最大の赤字になる見通しだ。
賃金削減のほか、社員をスーパーなどに出向させたり、手持ちの航空機を売ったりして少しでも赤字を埋め合わせるという。窮状は他の航空会社も同じだろう。
経済のグローバルを支えてきたのが、インターネットによる速くて安い通信と、国境を超えたヒトの移動だった。感染拡大は前者の出番を増やし、後者を難しくした。海外出張に行かずともオンラインで何とかするしかなくなった。
世界的な感染がヤマを越えても、空の旅が完全に元に戻ることはないだろう。それでもパソコンの画面と音だけでは分からないことがある。そのまちに出かけ、人と会うことで気づくことがある。ビジネスでも、旅行でも。
ふだんはそれほど海外旅行をする身でもなくとも、行けないと思うと行きたくなる。〈ふらんすへ行きたしと思へども/ふらんすはあまりに遠し〉。萩原朔太郎の詩から100年ほど経ったいま、同じ感慨を持つことになるとは。

 天声人語より
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新型コロナ
寄せては返す波のように。
国内感染10万人超。
初確認から9カ月、冬本番が心配だ。
携帯値下げもいいが、自費PCR検査も安価に。
早期発見・治療こそ重症化を防ぐ。

 素粒子より
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首相になって初の所信表明演説というのは力が入るものらしい。
政治信条を明らかにするため、耳目を引くような言葉を用意する人が多い。小泉純一郎氏の場合は「米百俵の精神」。なけなしの財源を教育にあてた藩にたとえて、痛みにたえる改革の必要性を説いた。
第1次政権のときの安倍晋三氏は「美しい国」を掲げ、鳩山由紀夫氏は「友愛政治」を語った。言葉の上滑りも含め、個性が見えた。きのうの菅義偉首相も少し楽しみにしていたのだが、見事に何もなかった。
あえて言えば「国民のために働く内閣」の言葉だが、内閣は国民のために働くためにある。「うちは魚を売る魚屋だ」と訴えるようなものだ。手抜きなのかと思いきや、どうも「アピールはしない」というのが政治信条らしい。
菅氏は官房長官時代、ビジネス誌プレジデントで人生相談の回答者をしていた。読者の質問に答え「仕事において"アピール力"はあくまでも付随的なものだ、とむいうのが私の考えです」と語っている。政治の世界も同じで、大事なのはアピールよりも結果だとの趣旨だった。
心配なのは、首相の頭の中で「アピールをしない」と「説明をしない」がごっちゃになているのではないかということだ。日本学術会議の扱いはその最たるものである。問答無用の任命拒否から、いったいどんな結果を導こうとしているのか。
もちろん扇動政治家はごめんだ。しかし語らない、語り瀧内指導者というのも民主国家としてどうなんだろう。

 天声人語より
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携帯値下げ
めでたさも中ぐらい。
「菅製」携帯値下げは割安プランドで。
長い目で見て投資や技術開発にしわ寄せなきよう。

素粒子より
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米国大統領には常に随行する軍人がいて、特殊なカバンを携えている。核兵器の発射命令を出すための装置だ。
「核のボタン」とも呼ばれるが、指で押すボタンがあるわけではなく認証コード入りのカードや防護電話などが入っているという。
こうした臨戦態勢が不必要な核戦争を起こす恐れのあると、米国の元国防長官のウィリアム・ペリー氏らが近著『核のボタン』で警告している。例えば核ミサイルが向かっているという誤った情報がもたらされた場合。これまでも誤りは何度か起きており、大統領に伝わる寸前までいったこともある。
あるいは大統領が情緒不安定に陥った場合。過去には過度の飲酒で周りを心配させた人や、アルツハイマー病の兆しがあった人もいたという。いま「核のボタン」はトランプ氏のそばにある。
米国に限らず核保有国の指導者たちは、人類を危機に追いやる力を持つ。そんな世界はおかしい、核を持つこと自体を違法にしようというのが核兵器禁止条約だ。50の国と地域が批准し、来年1月に発行することになった。
恐ろしい兵器を次々につくってきたのが人類の歴史である。一方で、その兵器を消していく努力も重ねられてきた。生物兵器、対人地雷、クラスター爆弾。どれも非人道的だとして、禁じられた。その流れに核兵器が続くことには合理性がある。
禁止の動きに加わらないどころか、核軍縮の道筋さえつれられないのが当の核保有国だ。日本の政府はいつまで、そちらがわに居続けるのか。

 天声人語より
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コロナ禍
世界の翼をコロナが直撃。
ANAは5100億円の赤字見通し。
拡大路線が裏目に。
こちらもコロナ禍。
昨年までの10年で45%減った中高年の自殺者、女性中心に増加。

素粒子より
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鎌倉時代の説話集『宇治捨遺物語』に、こぶとり爺さんの原型とみられる話がある。
作家町田康さんによる現代語訳が弾んでいる。お爺さんが見た鬼の姿は「皮膚の色がカラフルで、真っ赤な奴がいるかと思ったら、真っ青な奴もおり、どすピンクの奴も----」。
鬼の宴会に交ざって踊りを披露したお爺さんに鬼が言う。「次にやるときも絶対、来てよね」。約束に何か預かろうということになり「やっぱり瘤いこう、瘤」。この訳、やりすぎか。いや案外、おかしな話の雰囲気を伝えているのかもしれない。
町田さんの筆致を思い起こすような鬼の絵を見た。東京ステーションギャラリーで現在展示中の「大津絵」である。江戸時代、今の滋賀県の宿場町で土産物として売られていたユーモラスな絵で、人物や動物のほか、鬼を扱ったものも多い。
「鬼の念仏」は、目がぎょろりとした鬼が僧侶姿で歩いている。慈悲の心もないのに、形だけ念仏を唱える人をからかっている。「鬼の行水」には、身体の汚れは落とせても心の汚れは落とせないという風刺が込められているらしい。
丸っこい線、鮮やかな色使いの絵の数々は、名もなき職人たちの手による。子どもに道徳を教えるのに使われたり、お守りにしたりと人気だったようだ。日本の漫画の源流として鳥獣戯画がよくあげられるが、大津絵も間違いなくその一つであろう。
最近流行している漫画に鬼が出てくるのも、むべなるかな。この国の大衆文化の流れに、思いをはせてみる。

 天声人語より
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菅内閣
本気かしら?
産学官の総力結集が不可欠な「温室ガス50年ゼロ」。
「6人排除」で学界の不信を買った直後に。
人事とは俺が、と言いたいのか。
「説明できることとできないことがある」と菅首相。
そりゃ説明できないかもね。

 素粒子より
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韓国の作家ペク・ヒナさんの絵本には、とびきり表情豊かな人々が登場する。驚いて見開いた目は星のよう。
腹を立てたときの眉間は谷のよう。人形を粘土で手作りし、精巧なセットごと撮影した本で、表現の斬新さにうなった。
米大統領選の行方を占う最後の討論会で、バイデン前副大統領を見て連想したのは、ペクさんの代表作『あめだま』「おかしなおきゃくさま』の百面相である。トランプ大統領が挑発するたび、頭を左右に振ったり、口を開けて天を仰いだり。
ののしり合いとなつた前回は「史上最悪の討論会」と呼ばれた。今回バイデン氏は強い口調を封じ、目力、眉力、ほお力を総動員した。念入りな準備の成果だろう。トランプ氏も眉の上下動で応戦したが、こと感情表現では完敗だった。
米国に駐在した20年ほど前、バイデン氏を取材したことがある。当時は56歳で連続当選5回。押しも押されもせぬ外交通の上院議員で、野心的な目が忘れがたい。記者たちの質問を手際よくさばき、颯爽と去っていった。
上院に36年、副大統領として8年。イランとイラクを言い間違え、英元首相メイ氏のことをサッチャー氏と言ってしまう癖は危ぶまれる。それでも77歳相応の風格を得て、政治家として円熟期を迎えたことはたしかなようだ。
投票まで10日あまり。米メディアが当落の予測を外した4年前を思えば、速断は禁物だろう。だが売り言葉を買わず、表情による勝負を制したバイデン氏がいよいよ王手をかけた印象だ。

 天声人語より
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遅い所信表明演説
4カ月ぶりの本格論戦が幕開け。
菅内閣発足から40日、所信表明演説に中身を込める時間は十分あったはずだが。

素粒子より
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予備知識なく映画を見て、意外な展開に引き込まれることがある。最近では「博士と狂人」がまさにそれ。
オックスフォード英語大辞典誕生の陰に、編纂者と殺人犯の友情があったと知った。
「英語辞書の研究者以外にはあまり知られていない話かもしれません」と広島大教授の井上永幸さん。19世紀、南北戦争でこころ和病んだ米軍医が、英国内で射殺事件を起こす。収監先の病院で、画期的な辞書作りが始まったと知って深く共鳴。一心に単語の用例を集め、編纂室に送り届けた。
OEDは言葉の誕生から成長、消滅までを追う壮大な試み。古典や名著からの用例探しは困難の連続で、1928年の第1版刊行まで70年を要した。編纂を率いた博士は完成を見ずに亡くなる。
「人体にたとえれば語意は心臓、用例は血液。用法が豊かなほど、辞書に血が通います」。そう語る井上さんは学生時代、アルバイトで14万円を貯め、念願のOEDを手に入れた。自身が編纂した英和辞典でも6年半を要したという。
思い出すのは、三浦しをんさんの小説『舟を編む』の場面。「あの世があるならあの世で用例採集するつもりです」。辞書編纂の途上で亡くなった言語学者がそんな手紙を残した。ことら日々のニュースに追われて右往左往するばかりで、一事に何十年も腰をすえて取り組む醍醐味を知らない。意気て完成を見届けられぬ仕事でも、人は全身全霊を注ぐことができるものと学んだ。


 天声人語より
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老後の健康、歩いて外出できる体力を
「団塊世代」が、10年足らずで75歳以上の「後期高齢者」となる。その後の人生の明暗は「歩いて外出できる体力の維持」にかかっている。家事をこなし、公共の乗り物で移動し、スーパーで買い物ができれば、一人暮らしも可能だ。外出できれば、近所の人とも交わり、草花や風のそよぎに季節を感じ、心も豊かになる。買い物をすれば計算もする。歩けなくなると一挙にそれらを失い、医療、介護の対象になる。
心身を動かさないと老化は加速する。そのターニングポイントは、男性の場合、定年退職時にある。ここで手を打つには、いわば「大人の義務教育」のように場が有用と考える。「定期的に歩いて外出する場」を提供し、地域とのコミュニケーションの構築、健康・調理などの知識と技術を習得することを目標とした授業をしてはどうだろうか。
歩いて通えることが前提なので、65歳前後の1~2年間、半日程度のコースで週に2回ぐらい学区の小中学校の空き教室に集まってもらう。
全員参加は、ホームルームと健康講座くらいにしておいて、パソコン、園芸、手芸などカリキュラムは工夫次第、講師もメンバーの中から出てくるだろう。栄養の整った学校給食を食べれば、筋力低下予防にも効果があるはずだ。
自治会などで対象者全員に声がけするが、親や孫の世話、仕事や趣味を理由とする不参加は可とする。だが、出欠届は義務とする。元気だけど、自ら積極的に出向かない人々を集めることで、点と点がつながり面となれば、子育てや介護、防災の一助にもなり、地域に飲み仲間やゴルフ友むだちもできるだろう。終了後は自主活動が継続すれば成功だ。地域差はでるだろうが、医療費や介護費の削減に向けて、市町村でこのような「大人の義務教育」に取り組むことはできないだろうか。

 オピニオンより-----健康運動指導士・山田佐世子
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史料を集めるだけの人。史料を見ないで言うだけの人。そして崩し字の史料が読めないひと。
近代史家たるもの、この3種型に陥ってはならぬというのが、東大名誉教授の坂野潤治さんの持論だ。先週、83歳で亡くなった。
幕末から昭和戦前までの80年を研究した。書簡や日記など一次史料を精緻に読み、史実の森に分け入る。よく言われる「歴史にイフは禁物」説には与せず、「あの局面でこうしていれば日中戦争は回避できた」。歴史の脚本を考え直すのが研究の醍醐味だと説いた。
繰り返し指摘したのは凝り固まった戦前・戦中・戦後観。戦後だけで光り輝いたわけではない。戦前にも民主主義の花が開いた時期はある。それなのに戦中戦前をひとまとめにして「あの時代は真っ暗だった」と断じる愚を批判した。
東大や千葉大で教鞭をとった。退官後には腰をすえ、買い集めておいた伝記や全集などを読み込むが、暇をもてあます日もあったらしい。「現役時代に時間の無駄に思えた教授会が恋しくなることもある」と自著につづった。
大震災や政権交代など折々に論考を寄せた。同僚記者によると、取材場所には自らファミレスを指定し、ビールでのどを潤しながら、伊藤博文や西郷隆盛の教えを自在に語った。
「歴史に学ぶということは、先人たちの失敗を嘲笑することではなく、先人たちと謙虚に対話することだ」。いまごろは史料で深く接した福沢諭吉や吉野作造と語らっているだろうか。ときには杯を傾けつつ。

 天声人語より
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こつこつ丈夫な体に スローペースで効果
超高齢社会になり、4人に1人は高齢者の時代。要介護・寝たきりの原因の1位は、骨折や関節が痛くなるなど運動器によるもの。運動機能は加齢とともに弱り、運動習慣がないとさらに落ちる。運動器の健康はとても大切。
ロコモティブシンドロームは、骨粗鬆症、変形性関節症、変形性脊椎症など運動器の病気や筋力低下などが原因で、歩行をはじめとする運動機能が徐々に低下していく状態を言う。早めに気づいて、早めの対策をすることが必要だ。
筋力を強くする。そうするとひざの痛みがよくなる。変形性膝関節賞は軟骨が減って進む。軟骨が減らないようにするために大きな手段が、筋肉を鍛えることだ。骨粗鬆症の予防・改善にもつながり、骨量が増える。腹筋・背筋を鍛えると腰痛も減る。筋肉による支えがよくなると脊椎の変形も進まなくなる。
ロコモ予防のため、どんな運動でもいいので週刊をつけること。ウォーキングもいいと、ジョギング、水中歩行もいい。日本整形外科学会ではスクワットと片足立ちを紹介している。スクワットは下半身の筋力を効果的に全般的に使うので、いい運動だ。これをゆっくりやる。5秒かけて下げ、5秒かけて上がる。
運動に関する注意。ゆっくりした動きのほうが、痛みが出にくくて効果も上がる。痛みが出たり増したりしても、運動後にすぐ収まるなら続けて構わない。痛みが翌日まで持ち越すようであれば、3日間ぐらい休んで、半分ぐらいの運動量から再開するといい。毎に津続けるといいが、最低でも週2回はやってほしい。90歳まで自分の足で歩く準備を、これから始めよう。

 健康・医療フォーラムより----石橋英明
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茂の字がそびえ立つ吉田茂。斜めに飛ぶUFOを思わせる岸信介。そしてmの下に横線を引いて済ませた三木武夫。
宰相たちの「花押」にはそれぞれ人柄がにじむ。筆で記した署名代わりの符号である。
花押のことで気になりだしたのは、河野太郎行政改革相が先週こう述べたからだ。「閣議の花押は続きます」。脱ハンコの旗をふる大臣のこと、古めかしい花押も廃止するものと思っていたからいささか驚いた。
佐藤進一著『花押を読む』によれば、草書体を崩してデザイン化したものが多い。足利家や徳川家に祖先と酷似した花押が目立つのは、威光を借りるためか。芸術的なのは織田信長。至治の世を象徴する幻の獣・麒麟の麒の字を形象化したものと言われ、迫力満点である。
戦国時代の書札では花押は印章より格式の高いものとされた。だが江戸時代に衰退し、庶民が使う機会は消えていく。例外は大臣が閣議書に用いる慣行。内閣制度ができた1885年から続いてきたそうだ。
いまの政界ではどんな花押が主流なのか。少し前の閣議書を見ると、安倍晋三氏のそれは祖父の岸氏にそっくり。岸田文雄の花押は優美ながら線が細い。石破氏は石の字そのもの。その隣にあって倍ほど大きいのが菅義偉氏。線は太く墨が濃い。いかなる信条がこめらりているのか。
武将や公家、職人たちの花押を見ていると、興味が尽きない。次の休日、たわむれに一つ自分用を作ってみようか。政界に打って出るつもりはさらさらないが。

 天声人語より
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官製相場
肥大化が怖い。
中央銀行で株価を買い支えてるのは日銀だけなんだって。

素粒子より
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作家の志賀直哉はスペイン風邪が猛威をふるった1918年の秋、家族や使用人にたびたび言いつけた。
「むやみに外出するな」「人混みを避けよ」。こっそり芝居見物に出かけたお手伝いの女性に腹を立て、クビにするといきり立ったこともある。
実体験をつづった小説『流行感冒』によれば、口うるさく注意した本人が感染する。40度近い高熱、足や腰のだるさ---。まもなく妻や娘も発症してしまう。解雇されかかった女性は免疫を得ていたのか元気で、献身的に看病する。作家はわが短慮を反省した。
この短編を読み直したのは、歴史学者の磯田道史さんが「コロナ禍に教訓が多い」と近著で紹介していたから。なるほど小言はどれも「3密」回避の理にかなう。ピリピリした言動は「自粛警察」を思わせる。一足先に免疫を得た人々を大切にすべし、とも教えてくれる。
年譜によると、一家は当時、千葉県我孫子市に暮らした。収まったかに見えて襲いかかる感染症の波は、分別盛りの作家を幾度も不安に陥れる。右往左往の日々は良質なルポルタージュのようである。
読み終えて、我孫子市内の旧宅跡に復元された書斎を訪ねた。6畳一間の平屋建て、柱や障子、床の間を見ていると、幼い娘を守りたい一心で感染予防に腐心する文豪の声が幻のように響いた。
作家の熱はすぐ下がった。回復後、『小僧の神様』『暗夜行路』など代表作を相次いで世に出す。あすは1971年に88歳で亡くなった作家をしのぶ直哉忌である。

 天声人語より
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出生は減るのか
5月の妊娠届17%減の衝撃。
コロナの影響か。
来年の出生数も過去最少になりそうだ。

素粒子より
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先週、取材で訪ねた岩手県は稲刈りの盛期だった。大槌町の菊地妙さん宅には一足先に新米が届いた。
実はこのお米、育てられたのは750㌔離れた大阪。ルーツは菊地さんが大震災の年の秋に見つけた3株のイネだ。
津波で自宅を失った菊地さんは、玄関だった場所でやせた稲穂を見つけた。翌春、地元有志らが433粒の種もみから苗を育てた。「大槌復興米」と呼ばれるようになった。
自治体ぐるみで支援してきた大阪府富田林市のボランティアたちが震災の3年後、1㌔だけ譲り受けた。JAとともに市内の水田で栽培し、翌年からは市内すべての小学5年生が一人1個のバケツで育て始める。そのころ大阪に在勤していた筆者は、子どもたちの奮闘に胸が温かくなった。
コロナ禍の今年、バケツ米は中止に。それでも菊地さんのもとには田を手伝った小学生から「観察日記」が届く。〈6月7日ひとつひとつ心をこめて植えました〉〈7月5日コロナで外に出れないので嫌だったけど、苗はすくすくのびています〉〈8月30日かかしががんばって守ってくれたので、米もがんばってくれています〉
菊地さんは「本当に幸せなお米さん」と言う。どこからか流れ着いた種もみが根を張り、人と人との縁に育まれた。「人の優しさを敎わった気がする。この年になってね」。
大阪の田んぼで取材のたびに耳にしたのは、「震災のこと。絶対に忘れへんから」という決意だ。風化にあらがう奇跡の米はしっかり根付いた。

 天声人語より
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サイバー攻撃
見えないだけに、不気味さも陰鬱だ。
ロシア軍が五輪破壊のサイバー攻撃との情報。

素粒子より
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秋も深まるころ、枝を幾重にも編み合わせた円座が木の幹に残されていることがある。
野生のクマのしわざだ。
木に登ってドングリを枝ごと折って取って食べ、用済みの枝を尻に敷いた後である。クマ棚とも呼ばれる。
「今年はクマ棚が増えそうだ。ツキノワグマが生息する大半の県でドングリが凶作。字面に落ちた実だけでは足りないらです」と石川県立大の大井徹教授。クマにとっても食欲の秋、少しでも栄養を蓄えたい時期である。
石川県内ではいま市街地での目撃が続く。一昨日と昨日は、高齢者ら7人が相次いで襲われ、負傷した。県は出没注意報を今月、警戒情報に切り替えたばかり。この警報が出されるのは10年ぶりという。小学生はクマ除けの鈴をぶら下げて登下校し、警官らが遠巻きに見守る。
大井さんによると、クマはもともと臆病な動物。里へ迷い出るのは、枝に残ったカキや捨てられた食品に誘われただけ。多くのクマにとって人間との遭遇など生涯に一度あるかないか。「人を襲ったり、無店に逃げ込んだりするのはパニックに陥ったからです」。
本紙の地域版によると、秋田や新潟では今月、住民が襲われて亡くなっている。住宅街や自宅のそばの畑に猛獣がぬっとあらわれるなどだれに予測できよう。その恐怖、ご遺族の無念を思うと、胸が苦しくなる。
人にとってもクマにとっても接近そのものがこの上ない不運であろう。冬眠の季節はもうすぐそこ。どうかもう、出合い頭の悲劇が起きませんように。

 天声人語より
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衆院の解散総選挙はどうなる
あすで任期満了まで1年。
解散はまだ先のようだけど。

素粒子より
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朝ご飯を食べながら読んでいる方もいるだろうと思いながらいつもコラムを書いている。
残酷な描写はできるだけ避けているが、あえて書く場合もある。戦争の悲惨さを伝えたいときだ。
NHK連続テレビ小説「エール」の作り手も同じことを考えたのではないか。今週放映された太平洋戦争の戦闘場面はあまりら凄惨だった。主人公の作曲家、古山祐一が慰問先のビルマで銃撃に巻き込まれ、兵士たちの死を目の当たりにする。
古山のモデルは作曲家古関裕而で「六甲おろし」「長崎の鐘」などで知られる一方、戦中は多くの軍歌を作った。ドラマで戦場の主人公は、戦争の現実を「何も知らなかった」と半狂乱になる。自分の曲が若者を戦争に駆り立て、命を奪ったと悩む。
実際の古関は実戦には巻き込まれなかったが、慰問などで3度従軍し襲撃を受ける寸前までいった。自分の曲を口にしながら戦った人のことを思い「胸が痛む」と語ったこともある。だがドラマのように激しく自分を責めたのかは、自伝では判然としない。
芸術家や文学者、マスコミの戦争協力は何度も反芻せねばならないテーマだ。自責の念にさいなまれた人も、そうでなかった人もいる。ドラマは、もしかしたら古関の内面にあったもの、あるいはこうあったほしかった古関の姿を描こうとしているのではないか。
フィクションはときに歴史の本質に迫る力を持つ。戦後の古関は人々に希望を与える曲を作り続けた。来週中に以降どう描かれるかが楽しみだ。

 天声人語より
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菅首相
初外遊の狙いはわかるが、順番が逆でしょ。
国会で所信表明をしてから行かなきゃ。

素粒子より
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はっとさせられる短歌である。〈可愛いかどうかは会ってから決める 知らない人の知らない子ども〉山川藍。
小さな子というのは可愛いに決まっている。誰の子、どんな子であっても。そんな有無を言わせないような雰囲気に抗う歌人の姿がある。
可愛いにしても、おめでたいにしても、誰かから強制されるものではない。弔意だってそのはずなのに。中曾根康弘元首相の内閣・自民党合同葬義が17日に行われる。黙禱はなどで弔意を示すことを求める通知が、総務省から都道府県や市町村に送られたという。
同様の通知は文部科学省から国立大学や都道府県教委にも届いている。どちらの省も弔旗の掲げ方や黙禱時刻を記した文書まで添えている。内心の自由を侵害することにつながるとの批判が起きたのは当然だ。
「強制を伴うものではない」と加藤勝信官房長官が記者会見で述べていた。なるほど無言の圧力とはこういうものか。
立派な宰相だったと進んで弔意を示す人がいるだろう。尊敬できない政治家だったと何もしない人もいるだろう。尊敬できようができまいが弔意を示すのが礼節だと考える人もいるはずだ。それぞれの判断に通知も協力要請もいらない。
似たような通知は、2006年の橋本龍太郎元首相の合同蔡でもあった。この時は高知県知事だった弟の橋本大二郎氏が、強制と受け止められかねないとして国に異議を唱えた。弔意を求めるなどということは、「亡き兄の本意ではない」と述べながら。

 天声人語より
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どちらもおなじみの果物ながら、みかんとりんごは役どころが違う。
<君と僕二人で囲む冬の夜「こたつ」と「みかん」はベストカップル>近藤史紀。
みかんには暖かい色のもたらす「安定」のようなものがある。
片やりんごは、たとえば歌人の故・河野裕子さんの一首を思い出す。<青林檎与えしことを唯一の積極として別れ来にけり>。同じ「ふたり」のことを詠んだ歌ながら、淡い孤独と硬さをたたえる。実体験にせよフィクションにせよ、双方の歌でみかんとりんごの交換はできまい。
日の色に染まったみかんは、安らげる「人の間柄」の暗喩のようでもある。暖かい色に家族の記憶を呼びさまされる向きもあろう。冬の団欒の名脇役だが、消費の低迷が聞こえて久しい。
ピークだった1975年の約5分1に減っているという。「日本人が最も多く食べる果物」の座は10年前にバナナに奪われた。茶の間からこたつが減ったから-----などと理由には諸説あるようだ。
思えば、テレビのチャンネルをまだ回していたころがこたつの全盛時代、すなわちみかんが胸を張っていた時期だった。みかんの低迷とともに、人どうしの円居が減りつつあるのなら、寂しいことである。
役どころの話に戻って、みかんが向き合って食べる果物なら、バナナには個々で食するイメージがある。多忙なときは食事代わりにもなってありがたい。果物もまた、世につれ。個々が孤々にならないか、心配ではあるが。

 天声人語より
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地球上にいまだ存在する飢餓に立ち向かう。
国連世界食糧計画は、数多くの飛行機、船、トラックを動かす世界最大の人道支援機関である。とはいえ現場での活動は徒手空拳そのものだ。長く勤めた忍足謙郎さんの著書で学んだ。
ボスニア紛争では現地視察をするのに防弾加工車が用意できなかった。二つの勢力が通りをはさんで撃ち合う中を全速力で通過した。コソボ紛争では難民キャンプが飽和状態で、小麦を配布しようにもパンを焼く場所すらないという問題に直面した。
政情不安のカンボジアでは支援のために反政府側の村に入ること自体が命がけだった。危険だからこそ食べ物を7届ける。そんな仕事を続ける組織に、今年ノーベル平和賞が贈られる。
コロナの流行で物資輸送に困難が伴うなか、食料配布を続け、せっけんなども提供しているという。「ワクチンができるまで、食料が混沌を防ぐ最良のワクチンだ」という信念のもとに。国連機関が平和賞に選ばれることには少し割り切れなさも感じる。平和や人道に尽くして当たり前の機関だからだ。しかしそんな当たり前の土台が崩されつつあるのがいまの国際社会なのだろう。米国などが国連を軽視する姿勢に、平和賞が警鐘を鳴らしている。「自分の国だけの平和はありえない。世界はつながっているのだから」。国連難民高等弁務官だった故緒方貞子さんの言葉だ。自国優先がはこびる時代に重くのしかかる。

 天声人語より
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スロージョギングのススメ。鼻歌を楽しめるほどのペースで
健康のために体を動かしたいけれど、きつい運動はちょっと苦手。そんな人にお勧めなのが「スロージョギング」です。息切れしないペースでゆっくりと走るジョギング方法で、並走する人どうしが笑顔で会話できる速度が目安。
「足の指の付け根から着地するように」かかとから着地するのに比べて衝撃が3分の1になり、体の負担が少なく走れる。
スロージョギングは、小刻みな走り方が特徴。20~30㌢の歩幅で走る練習をした。ただ、頭では分かっていても、慣れないとつい大股になり、スピードが出てしまう。「歩幅を小さく」「もう少し上を向きましょう」とコツを伝授した。
実際にやってみて、長い時間走っても疲れないことに気づいた。「こんなに楽な運動でいいのかな?」というのが正直な感想だ。体力をつけ、減量をめざすなら1日に計30~60分が目安。初心者の場合は、スロージョギングの合間にウォーキングをはさのも良いという。継続することで、高齢者なら加齢に伴う筋肉量の減少を抑える効果も期待できる。
スロージョギングの消費エネルギーは、通常のウォーキングの約2倍。ウォーキングに比べて多くの筋肉を使う体。
生活習慣病の対策にスロージョギングを活用しましょう。息が上がらず、鼻歌を楽しめるくらいのペースで続けると良い。

 続・元気のひけつより
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カラオケで歌うと泣きそうになる曲はいくつかある。「木綿のハンカチーフ」はその筆頭だ。
都会に出た自分の若いときにだぶるのか。残した恋人などいなかったのに。〈い、い、えあなた〉のリズムにぐっとくる。
「曲・筒美京平」の文字を音楽番組で何度見てきたことだろう。「ブール・ライトヨコハマ」「魅せられて」「スニーカーぶるーす」。あの曲もこの曲も、並べるとそれだけで歌謡史の一時代となる。作曲家の筒美京平さんが80歳の生涯を閉じた。
大学時代はジャズに熱中し、就職したレコード会社では洋楽を担当した。作曲家として立つとき作ったペンネームの原型は「鼓響平」。ヒットを重ね、曲を響かせた。
世に「古賀メロディー」などの言い方があるが「筒美メロディー」とはあまり聞かない。抒情あふれる曲からアイドルまで、作品の幅があまりに広いからか。大量の洋楽をきいてヒントを得た上で、実験するように曲を作っていったという。
新しいアイデアを盛り込み「ありったけのサービスをする」のが自分の曲作りだとインタビューで語っていた。そして「時代の色を感じるということが「一番大切」だとも。センスと努力が同居する音楽職人だった。
ツイッターに「木綿のハンカチーフ」を詠った太田裕美さんの言葉があった。訃報に触れ゜哀しくて哀しくて 涙が止まらない」と。救いになるのは、多くの曲が歌い継がれていくという確信だろう。

 天声人語より
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原発処理水海へ
政府は海に放出する方向で最終調整している。
早ければ月内にも関係閣僚会議を開き、正式に決める方針だ。
やっと現実的な対策が動き出す。

紙面より
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総合的・俯瞰的。菅義偉首相が繰り返すその言葉は、どんな意味を持つのだろう。
辞書を引くと、総合は個々別々のものをまとめることで、俯瞰は全体を上から見ること。なるほど木ではなく森を見よ、ということか。
日本学術会議の会員候補から6人を除外したのは「総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から」だと首相は説明する。6人はものごとの全体を見る力がない人たちだと言うに等しい。彼らの学問をどう吟味したら、そういう判断になるのか。
おそらくこの政権の言う総合や俯瞰は、辞書にある意味とはかなり違うのだろう。除外された人たちのこれまでの言動を見て、そう思う。たとえば行政法が専門の岡田正則・早大教授は沖縄の基地問題で異論を述べてきた。
辺野古埋め立てを強行するため、政府がその当否を「身内」の国交相に審査させようとした時には、「制度の濫用だ」と反対した。4自分の学問に基づいてはっきりものを言う。こうした行為が政権には「半総合的・半俯瞰的」と映るのか。
政府にうるさいことを言わないのが総合的であり俯瞰的であるとすれば、独立して政策提言をするという学術会議の役割をはき違えている。俯はうつむく、瞰は見下ろすの意味だが、「うつむいて黙れ」と言うかのようだ。
世の中には人にけむに巻く言葉があり、゜諸般の事情を勘案して---」などが典型だ。「総合的---」もその類だと首相は考えたのだろうが、けむに巻くどころか、政権の本質をあらわにしている。

 天声人語より
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政府の対応
隠蔽はもう許されない。
職員が改竄の経緯を記したファイル。
真相解明へ、開示を。
牽強付会、唐突すぎる組織議論。6人除外に目を背け。

 素粒子より
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釜がなくてもメシは炊ける。後に映画監督になる岡本喜八は太平洋戦争勃発の年、ヤカンを手に上京した。
これ一つでみそ汁も作り、コメも炊いた。やがてフィルムの空き缶が取って代わる。コめ1合にちょうどよかったという。
炊きたてのメシにバターをのせ、醤油をかけて食うのが最高にごちそうだったと岡本は書く。電気で炊くのは便利だが、メシがメシらしくなくなったと嘆く。
我が家も炊飯器だけでなく、ときどき土鍋を使う。土鍋だ炊けるや否や待ってましたと食べ始めるので、そこにもうまさの秘密があるように思う。道具は何であれ、炊きたてが食べたい。新米の季節である。
コメの出来具合は全国的には「平年並み」で、北海道や東北などは「やや良」の豊作という。そんな新米にも新型コロナは災難をもたらす。外食の需要が落ち込み、いつになくコメ余りとなりそうだ。
家庭の消費量は増えたものの、海外からの観光客が消えたことが響いている。今まで知らず知らずコメを輸出していたようなもので、外国人の舌も楽しませてきた。目減りを補うまではいかずとも新米をなるだけ味わいたい。〈新米を炊くよろこびの水加減〉岡田眞三。
今年社会に飛び出した新米たちも、いきなりテレワークになるなど受難を経た。仕事をどこまで覚えられたか、本人も周りも心許ない。立派に炊きあがるための水加減に、いつもより気を使う年である。

 天声人語より
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菅政権のごたごた
法違反の疑いがある事務方一任は法治国家に背く。
国会答弁を反故にした行為は民主主義国家にふさわしくない。

 素粒子より
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「朝7時前にノーベル賞の事務局から電話。仰天しました。だっていま米国は好かれていない国だし、私、白人だから」。
ノーベル文学賞に輝いた米詩人ルイーズ・グリュックさんの受賞の弁を米紙で読んだ。語り口は軽快である。
「取材は嫌いだけど社交的ほう。世捨て人じぁありません」ボストン郊外、自宅前に集まった記者団の取材に応じた。「コロナが起きるまで、週に6回は友だちと夕食を楽しんでました」。
私ごとを書けば、記者として米国に駐在したが、恥ずかしながらグリュックさんの詩集を開いたことはなかった。受賞の報に接し、あわてて探したが、邦訳は刊行されていないようだ。米文芸団体のサイトで代表作を読んだ。
〈空気の匂いをかいでみて。聞こえたのは母の声、それとも風が木々をと降り過ぎた音〉。「過去」と題する詩の一節だ。少女時代、母との確執に悩んだという。「ギリシャ神話を読みふけることで救われた。それから半世紀、たとえば女神ペルセポネはいまも詩で取り上げます」。
「野生のアヤメ」は〈苦しみの果てに扉があった〉と始まる。「10月」は〈私たちは種をまかなかったか。私たちは地球に必要なのではなかったか〉と問いかける。何かを声高に訴えることはしない。身近な物を題材に別離や孤独を描き、深い詩境へ導く。
『アキレスの勝利』『誠実で清らかな夜』多くの詩集がある。今回は詩心乏しい拙訳でお目を汚したが、専門の方による訳詩集の刊行が待ち遠しい。

 天声人語より
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GoToトラベル
試行錯誤といえば褒めすぎかも。
「GoToトラベル」の割引トラブル。
バラマキの見切り発車が招いた不公平。

 素粒子より
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「上院で最も意地悪で不愉快で無礼な人」
口の悪いトランプ米大統領がさらに口を極めて酷評したのは、民主党の副大統領候補カマラ・ハリス上院議員である。どんな経歴をもつ人なのだろう。
父はジャマイカ出身の経済学者で、母はインド生まれの乳がん研究医。両親の離婚後は母に育てられた。小学生のころ、人種差別撤廃のために導入されたバスで、黒人の多い地区から、白人の多い地区の学校に通った。
「芝生立ち入り禁止」という集合住宅のルールに立ち向かったのは13歳のころ。近所の少年少女に呼びかけて抗議運動を繰り広げ、遊んでもよいと大人たちを譲歩させた。政治の才は天性のものらしい。
米大統領選で副大統領候補の存在がこれほど脚光を浴びたのはいつ以来だろう。やはりトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したせいもあるらしい。きのうのペンス副大統領との討論会で、ハリスさんの舌鋒は評判通り鋭かった。かなりの野心家だとはお見受けしたが、意地悪、不愉快、無礼な印象はみじんもなかった。
副大統領は長らく閑職の代名詞とされてきた。初代副大統領ジョン・アダムズ自身が「人類の作った最も不要な職」と嘆いたほど。だが大統領の暗殺や辞任を受けて昇格した副大統領の中には、立派な業績を残した人もいる。
あなたは黒人か、それともアジア人か。問われればハリスさんは毅然と答える。「私は誇りある米国人です」。いよいよ米史上初の女性副大統領が誕生するだろうか。

 天声人語より
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菅内閣
物言う学者は黙らせる。
日銀に、内閣法制局、NHKに、検察にしてきたように、。
人事と予算に物言わせて。

 素粒子より
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鰻の焼き方
鰻の蒲焼きなども、もともと上方のほうでは直焼きで全体をカリツと焼き上げる。それに対して東京では、いったん白焼きにしたものを丁寧に蒸し上げ、脂を抜き肉を柔らかくした上で、タレを付けて焼き上げるという技法によって、ふんわりと仕上げる。
 しかるに、こういう東京風が、この頃は全国的に広まってしまって、次第に上方風の直焼きが少なくなってきたように観察されるのは、私には遺憾なことに感じられる。
 たしかに東京風は、ふんわりとした口触りで上品な風情ではあるけれど、そのかわり肉が柔らかい分、小骨が口に触る。
 一方の上方風の直焼きは、十分に身に乗った脂が高熱で沸き立ちながら焼けていく関係で、小骨はちょうと骨煎餅のように脂で揚げた形になる。仕上がった蒲焼きには小骨が感じられないというのが、まずめでたいところだ。
それに、蒸さずによく焼き込んであるので、風味が濃厚で歯ごたえもめでたく、鰻の旨みもまた一段と強い。上方風は、焼き込むということで生臭さを消しているのである。
 というわけで、私は根っこからの東京人でありながら、鰻は東京風も上方風も、どちらも別に味わいとして愛好しているのである。が、しかし、東京にはこの上方風の蒲焼きを食べさせる店はほとんど無い。
 以前は、そのため上方風の旨さを知らずにいたのだが、ある時、浜松で、東京風・上方風を選べるようになっている鰻屋に上がった。私はその店で上方風のカリツとした鰻を食べて、すっかりこの味の虜となった。その後、またああいう上乗に焼き上げた上方風が食べたいなあ、と思って、大阪でも神戸でも、姫路あたりでも、何度かトライしたのだが、いずれも東京風のフアフアで、がかりしたものだった。
 ところが最近、尾張一宮で、また名古屋で、上方風のカリカリッと焼き上げた良い鰻重に巡り合って、大いに舌鼓を打った。名古屋とくると、「ひつまぶし」と、すぐそこに結びつける傾向があるが、いやいやどうしてどうして。あのカリッと焼き上げた蒲焼きも名古屋名物の好風味の一つである。
 かくて、ああ、カリカリ鰻は旨いなあと思いつつ、食べ物の多様性が次第に失われていく時勢時節を、そぞろ悲しく思ったことであった。

 作家の口福より----林 望
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「ほとんどが水没」「ここにいてはダメです」。東京都江戸川区が昨年作ったハザードマップにはそんな警告が並ぶ。
ドマップにはそんな警告が並ぶ。
低地が多く、もし荒川が氾濫すれば2週間水浸しになると、区は住民に区外への「広域避難」を促してきた。
「実際には広域避難ってむずかしい。去年の台風19号で痛感しました」。そう話すのは、重度障害者の在宅生活を支えるNPO「STEPえどがわ」の市川裕美さん。上陸3日前から進路図をにらみ、利用者約50人と介助者の安全確保に苦労したとふりかえる。
利用者ほぼ全員が車いす暮らし。人工呼吸器が外せない人もいる。介助者と一緒に避難できる先を探したが見つからない。障害者を受け入れられる避難所もあったが、異同の師が確保できなかった。
マンション高層階や避難所へ逃れた数人をのぞくと、残りはみな自宅で台風通過を待つ結果に。そんな反省から昨年12月初め、市川さんたちは山梨県へ集団で避難する訓練をした。「やってみると2週間分の荷物運びも、車いす用の電車予約も大変。課題は尽きません」。
近年、「インクルーシブ防災」という言葉を聞く。たれ一人取り残さない防災だが、言うのは易しで、いざとなるとたせれもが自分と家族のことで手いっぱい。「避難所で足手まといになりたくない」と尻込みする高齢者や障害者も。どこの地域でも難題だろう。
天気図を見れば、いままさに14号が刻々と接近中である。それぞれの街で防災力を高め、秋の台風シーズンに備えたい。

 天声人語より
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スマホ老眼を防ぐには? 目を休め、筋肉の疲労回復を
メールやネット検索などに便利なスマートフォン。ただ、長時間使うと目の焦点が合わなくなることがある。そんな症状を「スマホ老眼」として、注意を呼びかける医師らに対策を聞きました。
「老眼」と言っても、中高年がなる老眼とは異なる。老眼は、ピント調整の役割を果たす水晶体が加齢によつて硬くなることが原因だ。通常、水晶体は弾力性があり、厚さを変えることで遠近を調節しているが、硬くなると調節できない。
一方のスマホ老眼は、目の使いすぎによる疲労が原因だ。通常、水晶体の厚さは毛様体筋が緊張したり緩んだりすることで変わる。だがその筋肉が疲れると、遠近調節ができなくなる。そのため、目を休めれば回復する。
医者が進める対策は「チラ見エクササイズ」。オフィスなどで仕事をするとき、窓からようやく判断できる距離にある目印を決め、1時間に1~2回、じっと見る。毛様体筋が緩み、休まる。
風呂に入ったとき、40度ほどのお湯で温めたタオルを目に当てるのも良い。毛様体筋の疲労が回復し、ドライアイの防止にも役立つ。

 続・元気のひけつより
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初代福岡藩主、黒田長政は城内で「異見会」なる場を毎月のように開いた。本音を家老らから聞き出すためだ。
「いくら耳の痛いことを言われても腹を立てない」と殿様みずから誓い、「腹立てずの会」と呼んだ。
長政が得意げに習いたての謡を披露した時のこと。一同がほめる中、ある家臣が直言する。「殿がへつらいや追従を見抜けぬなら当家の長久は望めません」長政は感謝の涙を流す。「誤りを指摘してくれた。これで政道に越度少なく、国家も安泰だ」と『名将言行録』にある。
耳の痛いことを聞く気はないという宣言なのか。菅首相が、日本学術会議の推薦した新会員候補6人の任命を拒んだ。安保法制など前政権の重点施策に疑義を呈した学者たちを遠ざけたようにしか映らない。
史学、哲学、化学、農学---。きのう政府が公開した文書を見た。各領域で実績をあげた新会員99人の名が並ぶ。任命を拒否された6人を探すと、黒く塗りつぶされて判読できない。まるで各人の功績まで拒否されたようで寒々しい。
「日本学術会議はもちろん国の機関ではありますが、時々政治的便宜ののための掣肘を受けることの内容、高度の自主性が与えられておるのであります」。1949年、学術会議の発足式典に、ときの首相吉田茂が寄せた祝辞である。いま読み直しても少しも古びていない。
理のある意見なら、胸を開き、腹を立てずに聞いてこそ政道であろう。真摯な「異見」を排除することに熱心な政権である。

 天声人語より
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原子力のごみ問題
10万年先までの超難題「核のごみ」。
現世の過疎対策として動き出す。
原発の将来像を示さずに進められるのか。
目の前の難問「福島の汚染水」。
意見聴取が大詰め。海洋放出への反対論が根強い。

 素粒子より
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昨秋、川という川が氾濫させた台風19号。
福島県いわき市の中華料理店「華正楼」には、すぐそばの夏井川から水が流れ込んだ。料理長の吉野康平さんは泥だらけの厨房で、業務用冷蔵庫が壁に刺さっているのを見て途方に暮れた。
再起をはかる気になれたのは、友人たちが駆けつけ、片付けを手伝ってくれたから。被災の3日後に長男がぶじ生まれ、原が決まった。多額の借金を背負ったが、2カ月半の休業ほへて年明けに再開した。
ところがコロナでまた休業に。この機に台風の時に受けた恩を返そうと、地元のいくつかの病院への差し入れを思い立つ。特性の豚まんを生地から一つひとつ手でこねた。その数500個。肩ロースとタマネギをたっぷり使った。
「コロナはにくんでも、豚まんはにくまん」。そんな手書きのメッセージを箱に添えた。もとの案は「コロナは憎んでも、豚まんは憎まんで下さい」だったが、家族に不評で改めた。店を再開した5月、この短文がSNSで広がる。「僕の素人コピーがこんなに受けるなんてビックリです」。
徐々に遠方からも注文が届くように。地元いわき市の名を広めたくてもう1枚同封した。「いわきより愛をこねて」。007映画「ロシアより愛をこめて」さながらの出来である。
台風に感染症まで加わって気の休まらぬ時代だが、恐れたり憎んだりばかりでは始まらない。心がささくれ立たぬよう、もう一度声を出して読んでみる。「コロナはにくんでも、豚まんはにくまん」。

 天声人語より
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ボーナスは
10年ぶりに国家公務員のボーナス引き下げ。
「出るだけいいなぁ」の受け止め多し。

素粒子より
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人事課長や経理課長ならどの職場でもおなじみだが、「火星課長」という役職があるとは知らなかった。
今秋、創立100周年を迎えた天文同好会「東亜天文学会」である。研究者と愛好家が集う場だ。
伝説の火星課長が昨年80歳で亡くなった。福井県出身のアマチュア天文家、南政次さん。観察歴65年、課長在職20年。「火星は地球の弟星」と説き、国内外の愛好家のまとめや役を果たし、数万枚の緻密な観測スケッチを残した。
現物を見ると、鉛筆描きの絵が実に鮮やかである。「火星の四季をくまなく観察するには、地球との公転周期のずれを考えると最低79年かかる」というのが持論。「一生かけても網羅はできない」と話した。
「本業は大学の数理学者。でも火星研究の時間を奪われたくないとあえて昇進を避け、観測を優先する人でした」。ふりかえるのは観測のバトンを受け継いだ前福井市自然史博物館長の吉澤康暢さん。おとしの夏の「大接近」の際は、徹夜で観察をともにしたそうだ。
あす6日は火勢が地球に2年ぶりに近づく「準大接近」の日。この時期、望遠鏡をのぞけば火星の表面が驚くほどくっきり見える。火星には地図もあり、「真珠の海」オリンポス山」「南極冠」といった呼称が定着しているそうだ。
ちょうどいま、アラブ首長国連邦など3カ国が打ち上げた探査機3機が一斉に火星をめざして飛んでいる。人類を魅了してきた赤い「弟星」、せめて明晩くらいじっくり拝んでみようか。

 天声人語より
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トランプ氏
焦りありあり。
劣勢の米大統領が「患者」のまま執務。

素粒子より
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パリで開かれた第1次世界大戦の講和会議の途中、ウィルソン米大統領は側近や妻と相前後してスペイン風邪にかかった。
熱が引き、交渉の席に戻ると、気力がなえて発症前とは別人のよう。1919年のことである。
それまでは、敗戦国ドイツへの報復に走る仏首相と対立し、国際協調を厚く説いた。どこまでが病気のせいか判然としないものの、罹患後はあっさりと仏に同調した。政治家の急病
ときに歴史の流れを左右する。
それから1世紀、トランプ大統領が側近や妻とともに新型ウイルスに感染した。「消毒液を体内に注入できないか」「暖かくなればウイルスは奇跡のように消える」。これまで根拠を欠いた楽観論を振りまき続けた当人である。
症状は軽いと言うが、病院へヘリで運ばれた。災害や暴露記事など大統領選の最終盤には驚きの出来事が起き、「オクトーバー・サプライズ」と呼ばれてきた。来月に迫った投開票への影響はもはや避けられまい。
前世紀に話を戻せば、スペイン風邪は日本の政界をも直撃した。時の首相、原敬は高熱を出して床につく。「近来各地に伝播せし流行感冒なり」と日記に書いた。すぐ職務に復帰するも、体調はすぐれなかった。「全快せず」「全く恢復せざる」。そんな嘆きが翌春まで記されている。
トランプ氏の一日も早い回復を祈る。ただ入院中くらいは、ややこしいSNS発信を極力控えていただきたい。今回ばかりはどうか治療第一で、ご自愛専一に。

 天声人語より
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トランプ氏退院
主治医は「困難から完全に脱していないが、病状から退院することに同意した。
本当にこれでいいのだろうか?

紙面より
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世に「Go To」なんとかが幅をきかせている。
トラベルは東京も対象になり、範囲はイート、イベント、商店街へと広がる。なのに「Go To 大学」にだけ及び腰なのはバランスを欠くのではないか。小中高校では通学しているのに。
と思っていたら大学生の団体「一律学費半額を求めるアクション」のことが報じられていた。もともとはコロナ下で学費減免を求める運動である。今は対面授業ができるよう公的支援を求める署名を始めたという。早く大学生活を取り戻したい。
キャンパスで教師や学友から知識刺激を受ける。そんな大学の良さが減じた半年だった。後期に全て対面に戻す大学は2割にとどまる。8割はオンラインとの併用というが、都市部や大規模大学では対面はわずかだそうだ。
この社会は無意識のうちに、大学での学びを軽んじていないだろうか。劇作家の故山崎正和さんの回顧録『舞台をまわす、舞台が回る』に、学園紛争の対策を練るよう首相官邸から依頼された話が出てくる。何人かの学者と議論して「東大の入試を中止する」と提案、再酔いされた。
企画側の大学への期待は教育ではなく、入試で優秀な人材を集めることだけ。中止でショックを与え、学園紛争を社会全体の問題にしようと考えたという。大学へのまなざしは、その時代からどこまで変わったのだろう。
1兆円以上の世さんをGo Toに使うのに、どうして私たちは大学に行けないの----。署名運動をする大学生の言葉が重い。

 天声人語より
小中高校生はまだ未成年のため、酒や歓楽街への出入りができないので感染リスクが低いという判断であろう。それに比べて大学生成人なのでどこへ出入りして良いのだから感染リスクが多くなり、学内でクラスターが出るのを防いでいるのだ。
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トランプ氏大統領
なんともはや。ホワイトハウスでコロナ感染が続出。
マスクを軽視していたからなあ。

素粒子より
そのトランプ氏はもう病院から出てくるという。
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江戸時代、大坂堂島のコメ市場は全国の米価に影響を与えた。
相場情報を各地に伝えるための最も速いやり方が、旗振り通信だった。見通しのいい山から山へ旗を振っって数字を伝え、情報のリレーをする。明治に入ってからも続いた。
高槻泰郎著『大坂堂島米市場』によると、明治期に旗振りで情報を伝える時間は京都へ4分、岡山へ15分、広島へ40分弱だったというから、なかなかの高速だ。そんな手作業の通信は、やがて電話に取った代わられる。
電話の時代も過ぎて、全てがコンピューターシステムの中にある現代の株式市場である。きのうの東京証券取引所ではシステムに障害が起き、相場情報の配信ができなくなった。全ての売買が終日停止されるという初めての事態に陥った。
旗の振り手の体調が悪ければ代わりが立つ。そんな対応ができないのが現代の巨大システムである。1千分の1秒という高速で取引がなされる最先端の仕組みも形無しだ。証券会社は電話で、客に状況を伝えていたという。
取引所の歴史には何度かの機能停止がある。関東大震災では建物が全焼し、東京大空襲の後も取引できなくなった。21世紀に入ってからはシステム障害による停止が目立つ。いまだ脆弱なのか、あるいはシステムとはそういうものなのか。
東証の会見を聞いても原因は判然としない。日々の仕事からお金の出し入れまで、動かすのは何らかのシステムである。巨大なブラックボックスに乗っかって暮らしているのだと改めて思う。

 天声人語より
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東京の街には豆を並べて売る豆屋さんがけっこうあったが、今は築地場外以外ではあまり見かけない。
蚕豆の季節が終わると、枝豆が出てくる。十三夜の豆名月の頃まで、枝豆が食べれる。そのあとは大豆となり、昆布と一緒に煮豆にする。大豆を粉にひけば黄粉。お餅は海苔をまいた磯辺巻きが好きだが、たまには黄粉の安倍川餅が食べたくなる。節分の豆まきで炒った大豆を食べる頃には、そこはかとなく春の気配がしてくる。節分の豆は年の数だけ食べるものだと教えられた。
今年ももうすぐ枝豆の季節だ。
近所のスーパーで玩具のかき氷機を買った。ラーメン屋さんのカウンターに置いてあったようなかき氷機を小さくした玩具で、専用の製氷皿もついている。かき氷を孫たちにごちそうしたいのだけど、どうも怒られそうな気がする。「そんな冷たくて甘いものを食べさせないでちょうだい。お腹をこわしたらどうするの」と。
 それでも、築地場外の豆屋さんで小豆を買いたい。油で小豆をかき氷の上にのせ、五十年以上前に亡くなった父のことを話してみたい。

 作家の口福より-----中沢 けい
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論理力に重きを置くフィンランドの教育で、求められるのはごく真っ当なことだ。
元外交官の北川達夫さんが書いた『図解フィンランド・メソッド入門』によると、小学校では「なぜ」が連発され、意見には理由をつけさせることが徹底されている。
子どもたちが決めた「議論のルール」も紹介されており「他人の発言をさえぎらない」「議論が台無しになるようなことを言わない」などが並ぶ。そんな当たり前のことがないがしろにされたのが、昨日の米大統領選テレビ討論会だった。
共和党のトランプ大統領は、民主党のバイデン候補の発言中もおかまいなしにしゃべり始め「社会主義だ」「過激左翼だ」と攻撃した。司会者の質問も最後まで聞かない。バイデン氏も「黙れ」「史上最悪の大統領だ」とだんだん口が悪くなる。
討論というより殴り合いである。口直しに往年の大統領選の動画を探した。「あなたの意見のここには同意するが、ここは同意できない」など理性的なやりとりにほっとする。
心配なのは、「トランプ氏はこんなもの」という気持ちが「政治かなんてこんなもの」に変わっていくことだ。みなが討論の正常化を望むのではなく、討論そのものを軽蔑するようになることだ。米国民主義の行方を世界が見ている。
選挙の結果を受け入れるとバイデン氏は明言したが、トランプ氏はしなかった。大統領が負けを認めず、長い法廷闘争になる恐れも指摘されている。選挙結果そっちのけの場外乱闘にならなければいいが。

 天声人語より
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お大師さんと一遍さん
一遍上人は時宗の開祖、弘法大師空海、お大師さんとともに四国が生んだ偉大な宗教家の一人である。「捨」は四無量心の一つである。慈・悲・喜・捨の四つの心の一つである。また般若心経でいう空である。それはまた無ともよばれ、縁起ともよばれる。それは現代社会の使い捨ての捨ではない。わたしたちに若さや美しさをもたらし、草や木に美しい花と匂いをもたらすものである。それは仏の命であり、いぶきであり、ナニアミダブツであり、返照金剛である。
 遊行上人と修行大師のお二人は「捨」を体得し、その中で遊戯し、大宇宙の慈悲をわがものとして、すべての人に温かく接していらっしゃる。
 ナミアミダブツの六字の名号について、一遍さんは「唯南無阿弥陀仏の六字の外に、わが心身なく、一切衆生にあまねくして、名号これ一遍なり」とおっしゃる。
 ここでいう一遍は一遍さんの一遍ではない。ナミアミダブツの六字の名号は、わたしたちの心身だけでなく、いきいきとしいけるもの、山河草木、吹く風立つ浪の音にいたるまで、ただ一つの名号であって、この大宇宙いっぱいにゆきわたる全一普遍のものであるというのである。これを真言の宗旨では返照金剛という。南無大師返照金剛と唱える時、全一普遍の一遍と自分とが融け合うように、自分も返照金剛、山も河も草も木も返照金剛、宇宙の中で返照金剛でないものはないということになる。これを大日の風光という。それは一即多。多即一という華厳の世界でもある。お遍路さんは楽しそうに「なあむだあいしへんじょうこんごう」と唱えながら四国の山野を巡る。
軽やかさと安からさ「なアムだアイシヘンジョウこンゴウ」にはリズムがある。のんびりした軽やかなリズムがある。四拍子のリズムがある。心の軽安の表れである。心が実に軽い。安らかである。ここにもお大師さんの宝号の喜びと一遍さんの名号の喜びとの共通性がある。

 50番繁多寺・小林隆盛
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秋という言葉の由来には、様々な説がある。草木の葉が「紅く」なるからで、アカがアきに転じた。
穀物をたくさん収穫し「飽き足る」。刈り取られた田が「空き」になるから。きのう、収穫を待つかのように色づく稲穂を見た。
実ほどこうべを垂れる---なのだが、細く鋭い葉のほうは、ぴんと屹立している。高い空に手を伸ばし、できるだけたくさんの日光を受け止めようとしているかに見える。今週は列島の各地で、秋晴れの日が続きそうだ。
秋になると年が終わりに近づいたと感じる。しかしこの俳句に出会い、少し見方が変わった。〈秋はさながら新刊の青表紙〉宮田藤仔。青い空から、あるいは少し冷たくなった空気から、成熟ではなく清新さを感じ取ることもできる。
もしも学年の始まりが秋だったら、と想像してみる。新入生たちに吹くのは、春の柔らかな風ではなく、秋のさわやかな風。校舎で出迎えるのは、サクラではなくコスモス。始まりの季節という装いも、案外似合う気がする。
賛否が分かれる秋入学だが、ここで議論が尻すぼみになるのは惜しいように思う。留学して学びを始めやすい、留学生を迎えやすいという長所は、コロナが落ち着けばまた光があたるのではないか。
いまの季節の明るさと美しさを切り取った八木重吉の詩がある。〈この明るさのなかへ/ひとつの素朴な琴をおけば/秋の美くしさに耐えかね/琴はしずかに鳴りいだすだろう〉。ときに活力を与えてくれそうな光と色がある。

 天声人語より
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菅内閣の本性
政府を批判した学者らの日本学術会議会員への任命拒否。
異論に耳を傾ける度量も寛容もない。
権力の過信と傲慢が、憲法の保障する「学問の自由」を揺さぶっている。
 
 素粒子より
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「全然大丈夫」という言葉を初めて耳にしてのは20年ほど前だったか。
え、全然は「全然知らない」など否定形につく言葉じゃないの。日本語の乱れここに極まれり。でも肯定で使ってみると面白みも感じた。
すっかり定着した全然大丈夫だが、必ずしも誤用とは言えないらしい。言語学者加藤重広さんの『日本人も悩む日本語』によると「全然+肯定」の用法は江戸時代から見られ、明治になっても珍しくなかった。
漱石の『坊ちゃん』にも「全然悪るいです」の台詞が出てくる。いつの間にか「全然+否定」が主流になったようで、何が乱れなのか分からなくなる。そう考えると、この意識調査も興味深い。国語の乱れを感じる人がだんだん減っているという。
文化庁によると「今の国語は乱れている」と思う人は20年前は85%だったが、直近は66%である。ことばは変化し続けており、むしろ人々の受け入れ幅が広くなっているのだろう。
言葉は世につれ、である。「ブラック企業」は暴力団関連企業を指す隠語だったが、「若者を酷使する企業」として使われるようになり、問題企業を告発する運動につながった。一方で人種差別の観点から、ブラックを否定的に使うべきではないとの議論も出ている。
「全然+肯定」に戻ると、今の使い方は配慮の意味もあるらしい。「私の料理、おいしくないでしょ」に対して「全然おいしい」と言えば、優しさがにじむ。言葉は、人と人のつながりも映し出す。

 天声人語より
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アメリカの大統領選
ジョークでもヤラセでもなく。
米民主主義の劣化を、リアルに可視化した中傷合戦。
 
素粒子より
満月を愛でつつ。〈十五夜や母の薬の酒二合〉富田木歩
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相撲は秋の季語だと最近知った。各地の神社などで行われる宮相撲、草相撲は、秋祭りに催されることが多いのだという。
〈少年の尻輝けり草相撲〉金澤諒和。地域の若者たちのたくましくも、まぶしい姿が浮かんでくる。
きのう幕を閉じた大相撲の秋場所は、誰が優勝するか分からない。何が起きるか分からないという意味では、どこか草相撲の趣があった。横綱欠場の混乱をひっかき回したのは、新入幕の翔猿だった。
猿のように飛び回るというその名にたがわぬ動きで上位陣を翻弄し、もしや106年ぶりの新入幕優勝かとも思わせた。印象的だったのはその笑顔である。「楽しい」「わくわくする」といったコメントも連発し、聞いている方が楽しくなった。
その翔猿を千秋楽で下し、初優勝を決めたのが関脇・正代である。東京農大時代に学生横綱となったが、進路に迷い、プロ入りは少し遅れた。優勝後に語った「今までの相撲人生で一番、緊張したかも」との言葉は、欲や勝ち気を前に出さないこの人らしい素直さがある。
コロナ禍の中、力士たちにとって一番の敵は稽古不足だったかもしれない。感染防止のため、ぶつかりあう稽古はしばらく控えられ、他の部屋に出向く出稽古は今も許されない。稽古を工夫し激戦をしのいだ力量は、白鵬ら横綱が帰って来た後の場所で試される。
〈負くまじき角力を寝物がたりかな〉与謝蕪村。あの取組で、もしあの力士が買っていたら。誰かともう少し、語りたくなるときである。

 天声人語より
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