2020年03月の記事


1年遅れの東京五輪
「神頼み」と森会長。
1年延期された開催の可否はひとえに「人類VSウイルス」の行方が握る。

素粒子より
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徳島県鳴門市は渦潮で名高いが、ドイツから訪れた観光客にはもう1カ所、よく知られた場所がある。
第1次大戦中、1千人のドイツ兵を受け入れた「坂東俘虜収容所」の跡地である。閉鎖から来週で100年の節目を迎える。
「ドイツで有名になったのは、収容所長だった松江豊壽の功績です」と森清治・市ドイツ館長。収容所跡に近い記念施設だ。軍人である松江所長は「ドイツ兵も自国のために戦ったのだから」と部下を説き、捕虜たちを厚遇した。
捕虜たちにスポーツや音楽活動を認め、ベートーヴェン「第九」のアジア初演もこの地で実現させた。当時、世界中で猛威をふるったスペイン風邪が所内に及ぶと、牛乳やスープ、体温計などを捕虜に与え、消毒にも努めた。
陸軍の上層部から「捕虜に甘すぎる」と批判もされたが、方針を変えない。父が会津藩士で,戊辰戦争では薩長率いる官軍に敗れ、暮らしは困窮。自身も陸軍内で冷遇された。「敗者を辱めてはならぬという信念を持っていました」と森館長は話す。
上にはきびしく、下にやさしい性格だった。上官にも妥協せず、望まぬ転勤もあった。退役後は故郷の市長となり、白虎隊の墓の整備などに尽くしたという。経歴を追うと、「武士の情け」を重んじ、弱者や敗者の側に立つ姿が浮かぶ。
鳴門市はいま、日独4自治体でユネスコ「世界の記憶」の登録をめざす。戦勝国と敗戦国が恩讐を超え、世界に名乗りをあげるとは、松江所長も予見できなかっただろう。

 天声人語より
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マスクの品不足
新学期目前、依然深刻なマスク不足。
持てる子と持たざる子に分断されぬ手立ては。

素粒子より
政府はどうしている。現実に店にはないのだが、政府は月間○○枚というだけで、皆に行き渡る行動な何一つしない。
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中国湖南省ら滋賀県に今週2万枚のマスクが届いた。輸送箱には唐詩の一節が。「相地無遠近、万里尚為隣」。
親友に遠近は関係ない、万里離れていもなお隣にいる。先月下旬、医療用手袋1万枚を贈った返礼だと地域面にあった。
新型コロナウイルスの猛威がやまない。医療や教育など社会を支える歯車のすべてから悲鳴が聞こえる。今週載った記事で印象深い言葉を拾った。
埼玉県内の30代女性は、小1の長女の言葉に頭を抱えた。「いつもの学校じぁない。もう行きたくない」。教室で一時預かりをしてくれたが、私語厳禁、立ち歩きはトイレ時だけ。娘の動揺を見かねて、パートの仕事を休まざるを得なくなる。
「町医者は二重苦に苛まれいる「と群馬県内の開業医は訴える。自身の艦船の恐れと風評による打撃。「近所の保育園での感染が公表されたが、私の診療所と無関係なのに登院の患者、とのデマが流れ、来院者数が激減した」。
一斉に浮足立った先進各国を冷静に見つめる目も。感染症対策の専門家は、過去にアフリカでエボラ出血熱やコレラが流行したとき、国際社会がいかに冷淡だったかを語る。「先進国で流行しない限り、製薬会社や研究者もあまり関心を持たないのです」。
株価が乱高下し、五輪は延期され、外出自粛が求められる。そんな中、新潟県の小学校で校長先生が卒業生にこう語りかけた。「暗い夜にも必ず朝は来ます。笑顔で上を向いて進みましょう」。気構えは、かくありたい。

 天声人語より
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高カカオチョコで腸内の善玉菌を増やし 便通改善
カカオ分70%以上の高カカオチョコレートを店頭で見かけませんか。ちょこっとでも腸の調子を整えることが分かってきました。
チョコの成分で有名なのはカカオポリフェノール。認知症の予防や動脈硬化のリスク軽減などの効果があることが、2014年から愛知県蒲郡市で行われた市民347人を対象にした健康調査でわかった。一方、この調査で「便通が改善した」という声も聞かれた。ポリフェノールでは説明できない結果だった。
「カカオたんぱく質が関わっているのでは」と帝京大の古賀准教授は考えた。古賀さんは機能性が未解決だったカカオたんぱく質の抽出・分離に初めて成功。大豆や牛乳のたんぱく質と比べて消化されにくく、大腸まで届くことを明らかにしていた。大腸には500兆個以上の腸内細菌がすみ、食物繊維などを餌に腸内環境を整えている。
菓子メーカーの明治と共同で、便秘気味の女性31人を2群に分け、カカオ分72%の高カカオチョコと、カカオたんぱく質を含まないホワイトチョコを、それぞれ毎日25㌘、2週間食べてもらった。
すると、ホワイトチョコの群は変化はあまりなかったが、高カカオチョコの群は排便回数が週2.8回から4.9回に、1回の排便量も2倍以上増加。便秘解消が裏付けられた。「結果にびっくり」と古賀さん。女性たちの腸内細菌を調べると、「フィーカリバクテリウム」が約2.5倍増えていた。この菌はあまり知られていないがビフィズス菌、乳酸菌と同様に善玉菌だ。
この菌から作られる酪酸は大腸の粘膜を刺激し、便通改善の効果がある。古賀さんは「カカオたんぱく質が善玉菌の餌になり、腸内環境が改善した」と話す。
厚生労働省の13年の調査では便秘に悩む人は約470万人で女性に多い。高カカオチョコの機能を研究する愛知学院大の大沢教授は「日常の食事習慣の中で少しずつ食べることが大切」と助言する。少量でも様々な効果が出るので、カロリーも気にするほどではないという。

 続・元気のひけつより
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ある絵本を読んだ。『そらまめかぞくのピクニック』。
主人公は、12年で生涯を閉じた実在の少女が自分の足形から生み出したキャラクターだ。闘病中、緑色の絵の具を足裏に塗り、画用紙にあてて描いた。
作者は昨年亡くなった広島県福山市の森上翔華さん。5歳の時、左足にがんの一種である横紋筋肉腫が見つかった。絵は亡くなる半年ほど前から、病室で描き始めた。「そらまめさん」と兄弟がお弁当を広げたり遊んだりする物語だ。
父の弘典さんによると、ぶらんこや滑り台が大好きで、「公園行こ行こ」とせがむ活発な子だった。「病院でも廊下をかけ回り、他の患者さんにも笑顔を振りまく人気者でした」。そんな姿に親である自分が励まされたと話す。
入退院を繰り返したが、6年生の運動会では、本番当日に練習して組み体操に出場。2泊3日の関西地方への修学旅行にも参加した。「小学校に送ると、『翔ちゃーん』と友だちが集まって手をとってくれた」と母の好江さんは振り返る。
中学入学を控えた昨年1月、容体が悪化する。激痛に耐えながら「まだ死にたくない」とベッドの柵を握った。「友だちと出たい」と訴えていた卒業式には、同級生が遺影をもって参加。翔華さんの名前が呼ばれると、6年生全員が「はい!」と声をそろえてくれた。
絵本が出版されたのは昨年末。ページを繰ると、翔華さんの足形が躍動する。12年間の人生の足跡そのもののような絵本は、涙なしでは読むことができない。

 天声人語より
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子どもにとって本当に大切なことは、人として抱きしめられる心地よさだ
こどもにとって本当に大切なことは、十分に愛される経験です。愛された経
験があれば、外でつらい思いをしても、耐えていける力となります。あるい
は相手につらい思いをさせるような、ひどいこともしないものです。かけが
えのない自分であることをしっかりと実感して育った子は、他の人のことも
尊重できる心を育んでいきます。
こともを愛するためには、お母さんにだけ努力を求めるのは酷だと思います
。例えば子どもを抱けないお母さんは、夫から抱かれていない場合が多いの
です。夫から心も体も優しく抱きとめてもらえない、話も聞いてもらえずに
苦しんでいる母親が少なくありません。夫婦関係もある種バーチャルになっ
てきているのでしょうか。素直に触れ合うことを避けている。子育て中の母
親は家の中へ閉じこめられて、夫との会話もままならない。自分が自分であ
ることを証明するのは、この子が立派に育ってくれることだけと思いつめ、
育児書と首っ引きになるような育児をしていたら、やはり楽しくなくなって
しまうのも、無理がないように思います。
お母さんの中には、子どもを抱くことは、甘えさせて、自立をさせなくする
と思っている人もいます。また、子どもは抱いてもらえないことについて「
私はもう大きいから」と我慢してしまいます。やっぱり、気持ちでなく頭で
考えてしまうんです。もっと自然になって----と思います。

 同朋新聞より
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五輪の聖火はあす、福島県を発ち、走者の手で列島各地へ運ばれるはずだった。
だが五輪の1年程度の延期が濃厚となり、この春のトーチリレーは見送られることになった。走者の皆さんの落胆はさぞ深いことだろう。
土地棄権那珂川町の箱石シツイさんもその一人。103歳の現役理容師として地元で広く知られる。隣市中心部の200㍍を今月末、トーチを掲げて歩く予定だった。
ご自宅を訪ねたのは先週のこと。「毎日、朝と夜に自分で考えた体操をしております」。その場で実演して見せていただく。両肩を回し、腰をひねり、足を曲げ伸ばす。全行程に約40分。キビキビした動きに感心した。
16歳で上京。
同業の男性と欠今氏、都内に小さな理容店を構えた。だが、夫は召集され旧満州へ。戦死の報が届いたのは終戦の8年後だった。しばらく絶望の淵にたたずんだが、気持ちを奮い起こし、いまの店を開業。1女1男を育てた。
理容ハコイシの店先には、今月末までの休業を告げる貼り紙があった。本番に備えて体調管理に徹するための休業だ。だが走者によるリレー取りやめの報に接し、気持ちはもう来月1日からの営業再開へ移った。「見小栗はがっかりですが、戦争中の苦労を思えば何でもありません」。
切り替えの早さ、常に前向きな姿勢。それこそが長寿の秘訣なのだろう。約1万人の奏者や家族、運営関係者は嘆息の一つも吐きたいところだとはおもうが、103歳の積極姿勢にならい、いまの難局を乗り越えたい。

 天声人語より
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新型コロナウイルス
世界の感染者数が世界全体で、50万人を突破。
米国の感染者数は8万5505人となり、中国やイタリアを抜いて、世界で最も多くなった。

紙面より
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5年ほど前、米ボストン市で「五輪阻止男」と呼ばれる人物に会った。
2024年夏の開催地として有力視される中、公聴会や会見、ネットで、五輪の費用負担の重さを丹念に訴える。市は招致を断念した。
「五輪は巨大化しすぎた。開催地の住民の税金が際限なく費やされる」。そんな彼の指摘を、当時担当していた別のコラムで紹介した。新国立競技場の建設計画が白紙撤回されたころで、東京大会の先行きへの懸念をつづった。
思えば、幾度も逆風にさらされてきた。五輪エンブレムは盗用問題で差し替えに。日本の五輪委員会の会長が汚職疑惑の渦中に退任。招致段階では「アンダーコントロール」という安倍晋三首相の演説が物議を醸した。
数々の烈風を乗り越え、開幕目前まで来て飛び出した延期論である。国際オリンピック委員会がついに「4週間以内に結論を出す」との声明を出した。首相も延期に言及し、流れは一気に変わったようである。
世界最大のスポーツの祭典がウイルスに阻まれようとしている。この春、地球の各地で中止に追い込まれた無数のイベントの主催者の苦悩に改めて思いを致す。「苦渋の決断」「断腸の思い」。そんな言葉を何度聞いたことだろう。
「この先も何やかや嵐が来そうな悪い予感がする」。冒頭のコラムはそう締めくくった。とはいえ、延期論までは夢にも予測できなかった。世界の深刻な感染状況を見渡せば、予定通りの開催はもはや困難だろう。一刻も早い決着を望むばかりだ。

 天声人語より
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東京のコロナウイルス対策
桜は満開。
天気もいい。
だけど外出自粛要請。いままでが、のんきすぎた。
都知事はオリンピックに一生懸命だったのか。
政府の対応遅れを言うなら東京の遅れは致命的にならなければいいのだが。

紙面より
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その桜は、両翼を広げて舞い立とうとする巨大な鶴のように見えた。
愛知・奥三河地方の設楽町にたつ名木ウバヒカンザクラである。訪れた日は小雪が舞い、つぼみがほころぶ気配はなかったが、堂々たる枝ぶりには圧倒された。
樹齢は推定123年。戦前戦後を通じ、桜はこの町の八橋地区のシンボルとして愛されてきた。しかしダム建設が決まり、地区は水没することに。50戸ほどの住民が6年前までに転出し、桜は高台に取り残された。
ダムの建設工事が進む中、元教員の安藤求さんら八幡出身者が「ウバヒガンザクラを愛する会」を結成。地区の恒例行事だった花見の会を継続してきた。ある年、大枝が折れ裂け、もう寿命かと心配されたが、樹木医に処置を頼み、優氏が隔月で草刈りを続けるなど手入れに務めた。
樹勢が回復すると、住民のほか、遠方から一本桜ファンが訪れるようになった。今年は新型コロナウイルス対策で一性に集う日はあえて設けないものの、例年通り、見学用のベンチを設置した。
近くに寄ると、幹や大枝のあちこちが枯れたり衰えたりしている。それでも住民たちが一堂に会し、地区の小学校歌を口ずさみ、五平餅や焼き鳥を分け合うのは、この老木があるからこそだ。人を呼び、人を結ぶ桜の不思議な力を思う。
きのう東京のソメイヨシノは早々と満開を迎え、名古屋でも開花が確認された。奥三河の一本桜も例年より早めにつぼみの赤みを増しつつ、住民たちを出迎える日を待っている。

 天声人語より
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東京五輪の行方
「延期」に納得と落胆と不安。
混乱必至の「1年」は五輪を見直す好機でもある。
せかっかくだから「来秋の開催」を直訴してほしかった。

素粒子より
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ひとりの女性のはなし。地球化学者、猿橋勝子。すぐれた女性科学者をたたえる猿橋賞の創設者だ。
2007年に87歳で亡くなった。きようはちょうど彼女が生まれて100年にあたる。
雨はどうして降るのだろう。窓のしずくを眺めながら、そんな疑問を抱く子どもだったそうだ。高等女学校を出てもさらに進学する女性が限られた時代。帝国女子理学専門学校で物理を学び、気象研究所に勤めた。
その名を世に知らしめたのは1954年、ビキニ環礁での米国の水爆実験による第五福竜丸事件。猿橋は海水に「死の灰」がどれほど含まれるかを調べたが、これを認めない科学者がいた。「女だということでなめられた」。ひとり滞米して測定精度を証明してみせた。
女性は博士号をとっても「添え物」にされている。そう訴えて差別に憤然と異をとなえた。「反発だけでなく、科学者として役に立ちたいとの強い思いからだったのでは」と猿橋賞の受賞者で、日本地震学会の初の女性会長を務めた石田瑞穂さんは話す。
そんな女性科学者に厳しい時代はすでに過去のものになったのか。残念ながら、医学部の入試差別などを猿橋が聞いたら「きっと怒り狂っていると思いますよ」と石田さん。
ノーベル賞を2度受賞したマリー・キュリーは科学者を「おとぎの国への旅人」と例えた。きょうもどこかで、未来の旅人たちが「雨って何だろう」といった疑問で頭をいっぱいにしているのを想像する。彼らのたびに男女の壁はいらない。

 天声人語より
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学校再開へ
文部科学省は、学校再開に向けたガイドラインを公表した。
学校内での密集を避け、換気の徹底や近距離の会話でのマスク着用なとを条件に各自治体の判断で再開を認める。
学習遅れに対応。入学式の工夫。給食での感染防止。

紙面より
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紙つぶてという言葉がある。紙に書かれた文字がつぶてとなり、ときに権力者たちの急所を突く。
1970年、軍事政権下の韓国で、金芝河さんが発表した風刺詩「五賊」がまさにそうだった。
財閥や国会議員などを5人の悪党になぞらえ、攻撃した。高級公務員に対しては「できることでも絶対やらず、できないことでもすんなりと、机の上には書類の束、机の下には紙弊の束」などと書いた。詩人は逮捕された。
こちらも、鋭く重い紙づぶてが投げられた話である。森友文書の改ざんに加担させれ、死を選んだ近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの
手記が明らかになった。生の最後の場面で書いたと思われる記述は、迫真である。
改ざんの指示が財務省の佐川宣寿理財局長から来たこと。彼の部下たちが修正箇所をどんどん拡大し、現場の近畿財務局に押しつけたこと。その指示に、あっけらかんと従う者すら一部にいたこと----。
手記が示したのは、不正な行為、違法な作業が止まることなく進む巨大組織の姿である。赤木さんの妻は、国や佐川氏を相手に訴訟を起こした。手記を前にしても再調査すらしようとしない財務省とは、組織を守るだけの存在なのか。
冒頭の詩には高級公務員のこんな生態も描かれ、どきりとする。「目上の者には愛玩犬、目下の者には狩猟犬」。上には従う愛玩犬の群れが思い浮かぶ。そして最終的にしっぽを振った相手、すなわち安倍首相にも、つぶては投げられている。

 天声人語より
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五輪延期検討へ
IOCは4週間以内に結論を出すと。
がらんとした街角の光景が世界中に広がる。
まるで「五輪延期」を迫るかのように。

素粒子より
まだマスクを変えない。
なぜ、こんな事態が続くのか。
体温計もどの店も売り切れている。
政府、国会はどうしている。
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貧乏長屋の悲しさで、酒といったて本物じゃない。
番茶を薄めて一升瓶につめ、上野の山へ花見に出かけるのが、おなじみの落語「長屋の花見」だ。お酒ではなく「お茶け」、酒盛りでなく「お茶かもり」。長屋の連中は文句を言いつつも、わいわいと楽しそうだ。
他の花見客に見えを張り、酔ったふりをするのもご愛敬。さて今年の花見は、長屋でなくとも「お茶かもり」が増えるに違いない。新型コロナウイルスの感染予防で花見酒の自粛が求められている。上野の名所も宴会は御法度だ。
屋外は感染しにくいとはいえ、酔って騒いで接触が増えるのが心配という。お茶やコーヒーを水筒に入れて、歩いて静かに楽しみますか。この陽気に誘われ、連休中も開花宣言があちこちで期待できそうだ。
明治時代、東京・向島の桜堤での花見の様子を、ドイツ人医師ベルツが日記に残している。太陽に輝く川の流れがあり、頭上にはぎっしりと桜の花。それを見ながら人々はゆっくり歩き、酔って大声をあげる人もいない。
「行議のよさが骨の髄までしみこんでいる国民だ」とベルツは書いたが、もしも上野の山に行っていたら、果たしてどんな感想を持ったか。この春は全国どこでも、向島方式が主流になろうか。
「長屋に近々いいことがありますぜ。ごらんなさい、酒柱が立ってる」。縁起物の茶柱をそう表現した落語のオチは、何度聞いてもほおが緩む。うつむいてしまう出来事ばかりだが、花を見上げる時間はだいじにしたい。

 天声人語より
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口の健康維持。かむ力や飲み込む力を保つ。
口の健康維持。かむ力や飲み込む力を保つ。
最近、食べこぼしが増えたり、むせてしまったりするなどの症状はありませんか。加齢とともに口の機能が衰える「オーラルフレイル」の兆候を早めに発見し、対処することが大切です。
「フレイル」とは「虚弱」を意味する英語が語源で、高齢になって筋力や心身の活力が衰えた状態を指す。「オーラルフレイル」は、口の機能の衰えが、食欲の低下や栄養状態の悪化をもたらすという懸念で、近年注目されている。
口の健康を維持するためには、歯の本数だけでなく、かむ力や飲み込む力、舌の力を保つことも欠かせない。「硬いものがかめないと、やわらかいものばかり食べて、かむ機能が低下するという悪循環に陥る。放っておくと、誤って食べ物などが気管に入る誤嚥を招きかねない」と指摘する。
例えば、さきイカやたくあんなどの硬い食べ物がためない場合、かむ力や口の筋力が弱まつている可能性がある。お茶や知るものでむせることがあれば、飲み込む力が低下している恐れがある。これらの症状を予防するには、次のような体操が有効だ。
一つは、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージ。奥歯の周囲の耳下腺、あごのエラの下にある顎下腺、あご裏の中央にある舌下腺を指で優しく刺激する。「唾液が出ることで、食べ物が飲み込みやすくなる」。もう一つは「パタカラ体操」。「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」「パタカラ、パタカラ、パタカラ」と大きな声で繰り返す。パは唇、タは舌の先端を使うといったように、口の周囲の筋力を向上させることができる。
「普段の食事でたくあんやにんじんなど、かむと音のする物を一品入れるだけでも効果がある」という。今年4月から、口腔機能の低下が疑われる65歳以上を対象に、かむ力の検査などが保険適用になった。「かかりつけ医をもって、定期的に歯科検診することも大切」

 続・元気のひけつより------佐藤建仁
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口の健康維持。かむ力や飲み込む力を保つ。
口の健康維持。かむ力や飲み込む力を保つ。
最近、食べこぼしが増えたり、むせてしまったりするなどの症状はありませんか。加齢とともに口の機能が衰える「オーラルフレイル」の兆候を早めに発見し、対処することが大切です。
「フレイル」とは「虚弱」を意味する英語が語源で、高齢になって筋力や心身の活力が衰えた状態を指す。「オーラルフレイル」は、口の機能の衰えが、食欲の低下や栄養状態の悪化をもたらすという懸念で、近年注目されている。
口の健康を維持するためには、歯の本数だけでなく、かむ力や飲み込む力、舌の力を保つことも欠かせない。「硬いものがかめないと、やわらかいものばかり食べて、かむ機能が低下するという悪循環に陥る。放っておくと、誤って食べ物などが気管に入る誤嚥を招きかねない」と指摘する。
例えば、さきイカやたくあんなどの硬い食べ物がためない場合、かむ力や口の筋力が弱まつている可能性がある。お茶や知るものでむせることがあれば、飲み込む力が低下している恐れがある。これらの症状を予防するには、次のような体操が有効だ。
一つは、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージ。奥歯の周囲の耳下腺、あごのエラの下にある顎下腺、あご裏の中央にある舌下腺を指で優しく刺激する。「唾液が出ることで、食べ物が飲み込みやすくなる」。もう一つは「パタカラ体操」。「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」「パタカラ、パタカラ、パタカラ」と大きな声で繰り返す。パは唇、タは舌の先端を使うといったように、口の周囲の筋力を向上させることができる。
「普段の食事でたくあんやにんじんなど、かむと音のする物を一品入れるだけでも効果がある」という。今年4月から、口腔機能の低下が疑われる65歳以上を対象に、かむ力の検査などが保険適用になった。「かかりつけ医をもって、定期的に歯科検診することも大切」

 続・元気のひけつより------佐藤建仁
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津久井やまゆり園の事件で判決が出た後、大江健三郎さんの小説を読み直した。
障害のある子どものことで悩む主人公が多くの作品に出てくる。
長編『万延元年のフットボール』では、父親が我が子に向ける冷たい視線がある。
「薄暗がりの水のなかの水栽培植物のように、かれは無表情な眼をひらいて横たわり、ただもの静かに存在しているだけだ」。何も要求せず、感情を表現しない。だから時々「かれが生きているのかどうか疑われることもある」。
大江さんの息子、光さんは頭部に障害をもって生まれた。その直後の短編『空の怪物アグイー』の主人公は、障碍児を引き受けられないとして医師と相談して殺してしまう。その苦悩から彼は赤ん坊の怪物を幻視するようになる。
実際の大江さんは光さんとともに生き、その日々をエッセーに記した。一緒に散歩する。光さんの作る音楽を楽しむ。しかし小説では自負分の心の闇を吐き出しているかのようだ。共生の言葉の裏にある複雑さを教えてくれる。
植松聖被告が「意思疎通ができない障害者は不幸を作る」と凶行に及んだことは、常人の理解を超える。しかしその源流にある言動はどうか。「子どもが障害者なら育てられない」という大学時代の言葉が裁判で示された。自分とは異質だと、どれだけの人が言い切れるだろう。
常軌を逸した犯罪ゆえ、こう言って片づけたくなる。あれは「狂気」だと。本当にそうか。事件が突きつけ、これからも突き刺さってくる問いである。

 天声人語より
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筋肉とアミノ酸。高齢者はたんぱく質を意識して摂取しょう。
加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を防ぐためには、日々の食事でたんぱく質を十分に摂取することが鍵を握っています。最近では、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、筋肉を作るのに重要な役割を果たす種類も分かってきました。
 筋肉は合成と分解が繰り返され、そのバランスで筋肉量が維持される。だが、高齢者は筋肉を合成する力が低下するため、バランスが崩れて筋肉量が減ってしまう。一般成人が1日に必要なたんぱく質の量は、体重一㌔グラム当たり0.8㌘。だが、高齢者の場合は1㌘程度を取った方が良いそうだ。
BCAAと呼ばれる、ロイシン、イソロイシン、バリンというアミノ酸が重要だ。特に、体内でロイシンの濃度が高まると、筋肉の元になるたんぱく質の合成が進むことも分かってきた。
筋肉量と筋力が低下した「サルコペニア」の状態にある80歳ぐらいの高齢者155人を対象に、アミノ酸と運動の効果を検証した。運動に加えてロイシンを高配合したアミノ酸をサプリメントで取る群、運動だけ群、アミノ酸を取るだけ群、座学の健康教育だけ実施した群、の4群に分けて3カ月後に効果をみた。すると、健康教育群以外では下肢の筋肉量が有意に増加。ただし、運動をした2群では筋力も高まったが、アミノ酸を取るだけの群では高まらなかった。
高齢者は、歩行が不自由になると社会活動が低下するなどの悪循環に陥るため、特に筋力の低下予防が重要だ。「アミノ酸を取るだけではだめ」、運動を心がけるように勧める。
 ロイシンは
牛肉の赤身や鶏のむね肉、納豆などに多く含まれ、食事で十分摂取できる。ただし、「若い時より食べる量が減っている高齢者は、意識してたんぱく質を取るひつようがある」。
サプリメントで補うことも効果的だ。

 続・元気のひけつより
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1940年に開催を予定しながら、戦火のため幻に終わった東京五輪には、雄大な聖火リレーの構想があった。
ギリシャのオリンピアでともらけた火は海路でシリアに運ばれ、中東からインド、中国、朝鮮半島を経て日本に届くはずだった。
リレーの実現に、軍部も協力する構えだった。経由地の地勢や各国軍の配備を調べ、スパイ活動に役立てる狙いがあつたようだ。競技も選手も関係なく、戦争の論理が入り込んでいた。
先日のオリンピアでは、無観客という寂しさのなかで聖火リレーが始まった。新型ウイルスの感染防止のためで、すぐにリレー自体が中止になった。欧州で移動制限が強まるのを見ると、聖火が無事にやって来るのか心配になる。
「完全な形で実施することで一致した」。主要7カ国によるテレビ会議の後、安倍首相が語っていた。しかし各国の代表選手を決める大会は続々と中止になつている。予定通りの日程は難しいのではと、素人目に映る。
最近の世論調査では、五輪は延期するのがよいとの答えが6割を超えた。延期と中止では財政負担はどう違うのか。何より選手のことを考えると、どうすべきなのか。そんな議論がもっと公然となされていい。水面下の折衝で、ビジネスの論理や政治家の威信が優先されないために。
気のめいる話が多いゆえ、予定通り五輪の夏を楽しみたくなる。しかしそれは、いかなる代償を払ってでも強行すべきものではないだろう。

 天声人語より
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代謝をアップ 筋トレで若々しさキープ
年齢とともに下がる基礎代謝を高めるために、大切なことが三つあります。
一つ目が、筋トレです。
基礎代謝のなかでも、多くのエネルギーを消費するのが筋肉です。そして、年をとるにつれ基礎代謝量が下がる一因が、筋肉の衰えです。
私たちの筋肉量は、40歳を過ぎると毎年1%ずつ減り続けます。筋トレをしないと、20年後には20%、30年後には30%の筋肉が減ってしまうのです。
筋肉は活力エネルギーを生み出す「工場」のようなもの。筋肉量が少なくなると、体の動きに影響が出るばかりではなく、生産されるエネルギーが減り、基礎代謝がグッと落ち込むことになります。筋肉量の維持は、若々しさを保つためにも不可欠です。
老化を止めることはできませんが、筋肉だけは例外。トレーニングをすれば、何歳からでも筋肉量を増やし、機能を高めることがてきます。
といっても、バーベルを上げ下げするようなきついものでなくて構いません。私は、朝起きたとき、夜寝る前に布団の上でする「寝ながらストレッチ筋トレ」をおすすめしています。
いくつかあるのですが、例えば朝は「両足伸ばしストレッチ」。太ももとふくらはぎを意識しながら、10回繰り返します。夜は「自転車こぎストレッチ」。おなかやふとももの前側に力が入るのを意識しながら、なるべくゆっくり足を回すのがポイントです。こうした筋トレを毎日続けていくことが大事です。

 きょうもキレイより---筑波大教授・久野譜也
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大阪取引所には、昔の株式売買で使われた道具が展示されている。
訪れたときに目にとまったのが、スポーツの審判が使うような笛である。売りでも買いでも注文が殺到し、収拾がつかなくなると吹き鳴らしたという。
そうやって取引をいったん止め、頭を冷やしてもらったらしい。コンピーター化した現代の金融市場からすれば過去の遺物だろう。しかし考え方はサーキットブレーカー制度の名前で生き残る。その遮断器がその遮断器が先週のニューヨーク市場で2度も落とされた。
新型ウイルスの拡大で世界経済が冷え込むとの懸念から、パニックのように株が売られたためだ。市場の動揺を抑えようと、米国は利下げにも踏み切った。
日本銀行もきのう資金供給の拡大を決めた。巷では景気への打撃について「2008年のリーマン・ショックに匹敵する」「いや、それ以上」などの声が飛び交う。多くの人が職を失うことのなきよう、政府や中央銀行は汗をかいてほしい。
リーマンもウイルス禍も、ヒト、モノ、カネの自由に行き交うグローバル経済が背景に横たわる。08年は国境を越える資金の流れが危機を世界に広げた。いまは国境を超える人の動きが病気を広げる。感染の恐れで凍り付く生産や消費に、金融緩和だけでは立ち向かえない。
株の売買を中断するように感染を止められる笛は、存在しない。手を洗う、換気する、密集を避ける。一つ一つの手立てが終息を早め、最終的に、経済の傷も小さくするはずだ。

 天声人語より
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コロナウイルス禍
人の移動を止めた世界。
閉ざされた国境をウイルスは軽々と越える。
各国こぞっての財政支出や金融緩和も、経済収縮に焼け石に水の様相。
人類も急ぎたい。国境を越える
協調を。
経済でも、医療でも。
水際対策は、そのための時間稼ぎと心得るべきだ。

素粒子より
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仏道を歩む身であるならば、酒を遠ざけねばならない。
そんな戒律があっても、たしなむ僧は昔からいたようで「般若湯」なる符丁で呼び習わされた。般若は「真理を見きわめる知恵」の意味があり、なかなかしゃれた言葉である。
しし鍋が「ぼたん鍋」、馬の鍋が「桜鍋」とよばれるのも肉食がはばかられた時代の名残りだろう。それにしてもマスクの符丁が「ホチキスの芯」になったとは。インターネット上の売り買いの話である。
少量の「ホチキスの芯」が1万2千円で売りに出され、「コロナの影響であまりました」と書かれていたと、テレビニュースで知った。どやらマスクの闇取引のようで「女性用サイズはありますか」などのやりとりもされていたという。その方が目くらましにはいいのだろう。
転売を禁止する動きが出るなか、悪知恵が生まれる。不足する物資をめぐり「闇経済」はなかなか消えない。北海道では家庭へのマスク配布も始まっており、さながら「配給経済」だ。
増えた需要を賄うには市場に出回る量を増やすしかないが、おぼつかない。大きく輸入に頼る品物は、いったん流通が切れると回復は容易ではない。ウイルス禍は世界に広がっており、思わぬ商品に影響が出てこないか心配になる。
〈遠くよりマスクを外す笑みはれやか〉富安風生。古い句ながら、いま心にしみる。遠くでも近くでも、マスクを外して笑い合うそんな火が早く来てほしい。

 天声人語より
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米1兆㌦の財政出動か
財務長官が米国人に直ちに小切手を送付する案を検検討。
個人へ現金を配る措置を含め、1兆㌦規模の大型財政出動のけんとうに入った。

紙面より
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血管運動性鼻炎は、頭痛や鼻水、不眠の原因に
いわゆる「寒暖差アレルギー」。アレルギーがげんいんではないが、アレルギー性鼻炎と似た症状が出ることから、こう呼ばれるのだという。「自律神経のバランスが崩れていることが原因だと考えられている」。
自律神経は、からだが興奮すると優位になる交感神経と、リラックス状態になると優位になる副交感神経がバランスを取っている。例えば運動するときは交感神経が優位に、就寝するときは副交感神経が優位に働くが、このバランスが崩れると体に変調が現れる。
血管運動性鼻炎の人は体が冷えると、鼻水が出ることが確かめられている。健康な人と血液運動性鼻炎の人の脚部をひやす実験では、健康な人は交感神経の働きで鼻の粘膜が縮まって鼻水がほとんど出なかったのに対し、血管運動性鼻炎の人は粘膜の縮まりが抑えられ、鼻水がより多く出た。自律神経に狂いが生じている体が気温差に反応し、症状が出てしまうと考えられる。
急に寒さが増すこの時期に、寒暖差アレルギーの症状を訴える人が増える。高齢者は自律神経を整える力が落ちていることが多い。若くても、もともと疲れやストレスがあると、寒暖差に自律神経が追いつけず症状が出てしまうのではないかと見られる。
寒暖差が大きいと、自律神経が忙しく働かないといけない。体がついていけず、頭痛やめまい、体の痛み、うつなど様々な症状がでことがある。症状が出るのは女性の方が多い。寒暖差に対応するには体を冷やさず、日頃から自律神経を整えておくことが重要だ。

 元気にキレイにより
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週明けのNY市場また大幅な下げ
前週末比約3000㌦安で終え、史上最大の急落となった。
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〈淡海の海 沈く白玉知らずして 恋ひにけるよは 今こそまされ〉。万葉集に収められた柿本人麻呂の一首である。
海は琵琶湖、白玉は真珠を指す。湖底に眠る純白の玉を恋の相手にたとえた。
万葉の昔から淡水の湖に真珠が存在したことに驚く。しかも思いを寄せる女性のように輝いて見えたか。琵琶湖博物館の松田征也総括学芸員によれば、昭和になって養殖も始まり、今年はその成功からちょうど90年になる。
大正時代の滋賀県知事が、宝飾大手ミキモトの創業者、御木本幸吉に依頼。技術者たちが貝の種類を変えて試行錯誤を重ねた。米国、スイス、中東諸国などに輸出され人気を博し、1970年には生産量が6千㌔を突破した。
だが「今は地元でも真珠を養殖していると知る人は少ないでしょう」と松田さん。80年代、貝の生育不良や中国産の台頭で低迷する。養殖業者が次々と姿を消し、生産量は10㌔ほどに落ち込んだ。ここ数年は水質も改善し、わずかだが回復傾向にある。県が掲げる目標は、来年度50㌔だ。
母貝のイケチョウガイは育つのに3年、真珠を生み出すのにはさらに3年を要する。海の真珠とは違った輝きを持ち、オレンジ色や紫色に見えるものもある。独特の光沢や形状から「月の涙」と呼ばれる。
琵琶湖博物館の周囲を歩くと、湖面に黒い柵で覆われた養殖場が見えた。沈められた網の中で、抱いた白玉の成長をじっと待つ貝たちがいる。人麻呂も愛でた真珠が、復権する時代がくるだろうか。

 天声人語より
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米国の金利がゼロ金利に
FRBが1.00%幅の追加緊急利下げを決めた。
リーマン・ショック後の2008年12月~15年12以来の「ゼロ金利政策」を導入。
日本銀行も金融政策決定会合を前倒して開くと決めた。

紙面より
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開幕を延期できないか、いや無観客試合ではどうか。
関係者がギリギリまで開催の道を探るも、万策尽きて大会中止に追い込まれる。今春のセンバツの話ではない。1918年夏の全国大会のことだ。
高校野球史において、戦争以外の理由で中止になった唯一の大会である。発端は、富山から広がった米騒動だった。米価高騰に対する不満の訴えが暴動と化し、大阪では夜間外出禁止令が出される事態に。代表校14校の組み合わせも抽選も済んだ後に中止が決まった。
「各地暴動甚だしく大阪亦然り。我軍の遺憾やる方なし」。その年、連覇を狙っていた愛知一中(現・旭丘高校)の野球部史の一節だ。球児の落胆ぶりを訴え、後輩に奮起を求める。「奮へ奮へ来年度の選手よ」。
きのうの地域紙面には、監督や球児の意気消沈の言葉が並んでいた。「あると信じて練習してきた」と埼玉の選手が肩を落とし、「見えない敵に負けた」と長崎の監督が悔やむ。出場校32校が発表された1月下旬には想像できなかった結末である。
感染拡大で中止されたのは野球だけではない。県道、柔道、卓球、体操など高校スポーツの全国大会が軒並み取りやめになり、合唱や吹奏楽のコンクールも幻と消えた。3月に照準を合わせて練習を重ねてきた全国の高校生たちには失意の春となった。
すぐには気持ちの整理のつかないだろう。だが積み重ねた努力は決して無駄にはならない。今回の無念を心の糧として、奮へ奮へ全国の高校生たちよ。

 天声人語より
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あなたは『お蔭様で』と感じることがありますか?
私たちの日常生活は、一瞬の休みもなく、大自然や、家族は勿論のこと、顔の見えない沢山の人々の働きの力に支えられて、生かされています。
自分自身が生きてゆくことも、どこかで、他人様の役に立ち、感謝されていると実感できればうれしいですね。
世界中でたった一人しかいないかけがえのない自分。
ただ一度だけで決してやりなおしのきかない人生。
衆生の躰性・諸仏の法界、本来一味にしてすべて差別なし。(弘法大師)
わたくしたちの心と体と、御仏のさとりの境界とは、もともと同じもので少しも違いはありません。
今に最善を尽くしていますか? 今を精一杯生きていますか? 
今の生き方が先の明暗を分ける鍵となります。
時は今、ところ足元、そのことにうちこむ命、永遠の御生命。(椎尾弁匡)
健康は最上の宝です。生きていることはすばらしい。自然はいつも私たちの生命を支えてくれています。常に足元をしっかりと踏みしめて、感謝の気持ちを忘れずに生きてゆきたいものです。

 四国第四十五番 海岸山 岩屋寺の頂いた書類より
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避難所で心ない言葉を投げつけられ、自傷行為が止められなくなった女性。
避難する家族の手足まといになりたくなといと、原発に近い家に一人で残った男性----。映画「星に語りて」は9年前、障害者が直面した過酷な現実を描き出す。
脚本を担当したのは漫画家の山本おさむさん。障害者の就労を支援する全国組織「きようされん」から依頼を受け、被災地へ幾度も足を運んで取材した。「ほぼ全部が実話に基づいていて、登場するほぼ全員に実在のモデルがいます」と話す。
被災直後から「どこの避難所を回っても障碍者の姿がない」という情報が駆けめぐる。探し当てると、多くは半壊した自宅に身を潜めていた。避難所は食事も睡眠もトイレも健常者を想定したしつらえで、居場所が見つからなかった。
支援者の前に立ちはだかったのは、「個人情報」という名の高い壁。どんな障害を持つ人がどこに住んでいるのか行政が開示してくれない。放射線の量を測る計器が警告音を発する中、障害者の安否確認が進まず途方に暮れた。
感動にむせぶといった風の映画では決してない。ダウン症や脳性まひなど障害者たちが主要な役を演じたこともあつて、良質なドキュメンタリー映画の迫力を帯びる。見る者の下腹にズシリと響く映画である。
東日本を大震災が襲って9年。風化を嘆く声をしきりに聞く。だがこの映画の自主上映の輪が昨春来、静かに各地へ広がり続けていると聞くと、どこかホッと救われ多様な気がする。

 天声人語より
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鰻の焼き方
鰻の蒲焼きなども、もともと上方のほうでは直焼きで全体をカリツと焼き上げる。それに対して東京では、いったん白焼きにしたものを丁寧に蒸し上げ、脂を抜き肉を柔らかくした上で、タレを付けて焼き上げるという技法によって、ふんわりと仕上げる。
 しかるに、こういう東京風が、この頃は全国的に広まってしまって、次第に上方風の直焼きが少なくなってきたように観察されるのは、私には遺憾なことに感じられる。
 たしかに東京風は、ふんわりとした口触りで上品な風情ではあるけれど、そのかわり肉が柔らかい分、小骨が口に触る。
 一方の上方風の直焼きは、十分に身に乗った脂が高熱で沸き立ちながら焼けていく関係で、小骨はちょうと骨煎餅のように脂で揚げた形になる。仕上がった蒲焼きには小骨が感じられないというのが、まずめでたいところだ。
それに、蒸さずによく焼き込んであるので、風味が濃厚で歯ごたえもめでたく、鰻の旨みもまた一段と強い。上方風は、焼き込むということで生臭さを消しているのである。
 というわけで、私は根っこからの東京人でありながら、鰻は東京風も上方風も、どちらも別に味わいとして愛好しているのである。が、しかし、東京にはこの上方風の蒲焼きを食べさせる店はほとんど無い。
 以前は、そのため上方風の旨さを知らずにいたのだが、ある時、浜松で、東京風・上方風を選べるようになっている鰻屋に上がった。私はその店で上方風のカリツとした鰻を食べて、すっかりこの味の虜となった。その後、またああいう上乗に焼き上げた上方風が食べたいなあ、と思って、大阪でも神戸でも、姫路あたりでも、何度かトライしたのだが、いずれも東京風のフアフアで、がかりしたものだった。
 ところが最近、尾張一宮で、また名古屋で、上方風のカリカリッと焼き上げた良い鰻重に巡り合って、大いに舌鼓を打った。名古屋とくると、「ひつまぶし」と、すぐそこに結びつける傾向があるが、いやいやどうしてどうして。あのカリッと焼き上げた蒲焼きも名古屋名物の好風味の一つである。
 かくて、ああ、カリカリ鰻は旨いなあと思いつつ、食べ物の多様性が次第に失われていく時勢時節を、そぞろ悲しく思ったことであった。

 作家の口福より----林 望
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「震災の記憶伝える高校、残して」昨年12月、本紙の「声」欄に、福島県立新地高校の存続を訴える投書が載った。
胸に迫る文章にひかれ、津波の被災地である同県新地町を訪ねた。
「私と娘、孫娘も通ったんです。少子化という理由で隣の市の高校にし烏合されますが、納得できません」と投稿された林ナミ子さんは話す。町内唯一の高校がなくなれば、地域全体から元気が消えるのではと懸念する。
簡単にあきらめられない理由がある。孫の菅野瑞姫さんは新地高校を卒業した直後、津波にのまれて亡くなった。震災前週の3月3日、「一家は3世代で瑞姫さんの誕生会を開いた。就職が決まり、卒業式がすみ、運転の仮免許を取得したことを祝った。
瑞姫さんの遺体は、被災の翌日、自動車学校の送迎バスの車内から見つかつた。「人の悪口を言わないやさしい子でした。結婚だって子育てだってしたかつたはず。社会人として働くことをすごく楽しみにしていました」。
新地高校では瑞姫さんら卒業したばかりの8人と在校生1人が津波の犠牲となった。その6年後、生徒会が企画して、9人を追悼する沙羅の木が中庭に植えられた。被災時の思いを風化させないという願いをこめて「おもひの木」と名づけられた。
植樹から3年、まつすぐに伸びた幹と枝が若々しい。拍車のかかる少子化により、明治時代から続く学校史が幕を閉じる日が来るかもしれない。それでも、この沙羅の木だけは残してほしいと願った。

 天声人語より
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東証も1800円超下落
NY株の史上最大の2352㌦下げた影響で、東証も約3年4か月ぶりに1万7000えんを割り込んだ。
世界同時株安が続いている。

紙面より
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平安中期、藤原秀郷という武将がいた。
琵琶湖畔で巨大なムカデを退治した伝承は虚実ないまぜながら、勇猛な武人であったのはたしからしい。平将門の乱を鎮圧し、将門の首を討ち取ったと伝えられる。
秀郷の血統は長く栄え、拠点を置いた栃木県佐野市から全国各地へ移り住む。多くは「佐」野の「藤」原氏から、「佐藤」を名乗ったという。佐野市役所の湯澤昭啓さんたちはそんな昔話に着目。全国に200万人と推定される佐藤さんの「聖地」として地元を売り出す。
昨秋、まず視察したのは和歌山県海南市。市内に残る鈴木屋敷という史跡を根拠に、「鈴木姓発祥地」を名乗る。全国鈴木サミットの開催地にもなり、盛況だったという。
湯澤さんたちはこれを参考にし、今年度から地域の活性化に本腰を入れる。語呂合わせで3月10日を「佐藤の日」と命名。新型コロナウイルスの影響で簡素化するものの、聖地をPRする初めての企画をきょう東京都内で催す。
ためしに筆者の周囲の何人かに佐藤さんに尋ねてみると「クラスに同姓が多く混乱した」「コンプレックスだった」。同姓の人が多いゆえ、個性や特徴に乏しい。そんなふうに感じている佐藤さんが多いのか。
いまの日本で人口の多い姓を順に並べれば、佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺、伊藤、山本と続くそうだ。ありふれた姓でも、ご先祖の活躍ぶりを知れば愛着も湧く。秀郷の城跡から北関東を一望して確信した。

 天声人語より
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新型コロナウイルスの影響
五輪はどうなる。
懸念が倍増。
ついに、パンデミック。

素粒子より
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「自分を土俵で倒すことはむずかしい。もし倒れているのを見たければ風邪をひいたときに来い。」。
そう豪語した江戸中期の力士谷風は1784年、流行した風邪にやられて床に伏す。当時の人々はこの風邪を「谷風」と命名した。
富士川遊著『二編疾病史』によれば、いまでいう悪性インフルエンザだったようである。回復した谷風は連勝に次ぐ連勝で大人気を博したが、後年またインフルエンザに倒れ、急死する。現役横綱の悲報は江戸の人々を驚かせたという。
「古来から力士の四股は邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました」。きのう春場所の開幕を告げる八角信芳・日本相撲協会理事長のあいさつを聞き、力士と感染症の長い歴史を思った。コロナウイルス禍が収まらぬ中、無観客で場所が始まった。
初日を取材した同僚に聞くと、場内は不思議な静けさに包まれていた。完成もなければ悲鳴もない。横綱白鵬の土俵入りでは、すり足の音や゜フーッ」という息づかいまで耳に届いたという。
「これから1~2週間が、急速拡大か収束かの瀬戸際」。政府の専門家会議が警鐘を鳴らしてから、2週間がたった。津々浦々の学校が門を閉じ、人気スポーツは開催をあきらめ、人々はマスクを探し、時差通勤に努めた。そんな努力の成果はいつ目に見えるようになるのだろうか。
異例ずくめの「無観客場所」は今月22日まで。千秋楽を迎えるころまでには、いまの不安な気分が一掃されているよう願うばかりだ。

 天声人語より
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あれから9年
あの日から9年後の未来に立つ。
何が変わり、何が変わっていないのか。
自問する。
復興はコンクリート優先。
聳え立つ防潮堤、山あいを貫く自動車道の威容を横目に、自公が減る街の模索が続く。
みえない毒に覆われたままの地域が残る。
避難指示を解除されても、人が下がまばらな現実が重い。
〈山哭くといふ季語よあれ原発忌〉長谷川櫂

素粒子より
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この春、各界各層の人々から晴れ舞台を奪い続ける新型コロナウイルス。引退する新幹線までが同じ目に遭った。
きょう8日に予定されていた700系の東京―新大阪ラストランが中止に追い込まれた。
先頭車両の顔立ちから「カモノハシ」と呼ばれた。登場したのは1999年の春。車内の静けさ、騒音の小ささ、故障の少なさが評価され、東海道新幹線の主役の座を占めた。
「それ以前の新幹線の車両とは設計思想が異なり、最高速度の塗り替えにこだわりすぎませんでした」と京都鉄道博物館の岡本健一郎さん。高速鉄道の車両としては完成度が高く、「新幹線の進化の最終形」と呼ぶ人もあるそうだ。
新幹線の歴史を振り返れば、車両の顔立ちは劇的に変わってきた。当方が子どもの時代に初めて乗ったのは「団子っ鼻」と呼ばれた初代0系。後に続くモデルもその外観から「サメ」「鉄仮面」なとどと呼ばれた。単なる交通機関ながら、愛称が広まるところが新幹線たるゆえんだろう。
700系は今後も山陽新幹線の新大阪―博多を主にこだま号として走るが、東海道の東京―新大阪では今月1日で営業走行を終えた。新幹線網の花形と言われる区間である。会社勤めにたとえるなら、第一線を退いた猛烈社員の心境か。
700系は引退しても、同じ系統のN700Aは東海道新幹線の主力で、今夏にはN700Sもお目見えする。21年間の手堅い仕事ぶりで一門の栄華の基盤を築いた。長きにわたる力走、お疲れ様でした。

 天声人語より
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新型コロナウイルスの影響
またたく間に、ウイルスが世界経済を蝕んだ。
感染する「負の連鎖」に立ちすくむ。

素粒子より
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英国への留学を控えた夏目漱石は、手のあぶらを取るための白い粉を持っていた。
西洋に行くとそんなものが必要なのかと友人の高浜虚子に聞かれ、こう答えた。「貴婦人と握手などする時には膏手では困りますからね」。
虚子の『漱石氏と私』に出てくる逸話からは、洋行に気負い、西洋の習慣を強く意識する姿が伝わってくる。漱石の時代もいまも、握手の習慣は欧州で根強いものの、最近は新型コロナウイルスに揺れているようだ。
握手、さらには親しい人とのハグなどを法律で禁じる。そんな方針をイタリアの首相が決めたという。感染者がにわかに増えたこの国では、日常のふるまいまで放っておけなくなったようだ。
握手に代わるあいさつをどうするかは欧米全体で話題になっている。米誌ニューズウィークのウェブ記事がSNSでの声をまとめていた。「胸に手をあててほほえむ」「お互いの足を優しく蹴り合う」など色々知恵がある。
お辞儀も提案されていた。ただし日本式でなく「ナマステ」と言いながらのインド式である。異文化も含め、親愛を示すのに良いしぐさはないかと探すのは、人がつながりを求める生き物だからだろう。それを断ち切ろうとするウイルスの酷薄である。
日本で握手の習慣といえば選挙であろう。始まったばかりの熊本県知事選では、候補者による握手が影を潜めるという異変が起きている。まさか漱石のあぶら取りならぬ手の消毒を、1回ごとにするわけにもいかないし。

 天声人語より
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円急騰、株急落
世界的な感染拡大から、東証は全面安となり、日経平均は前週末終値から一時120円以上下落し、約1年2カ月ぶりに2万円を割り込んだ。投資家のリスクを避ける動きから急激に円高が進み、円相場は一時1㌦=101円台半ばと約3年4か月ぶりの円高ドル安水準をつけた。

紙面より
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テレワークという言葉を初めて耳にした時、何か電話の仕事かと思ってしまった。
テレは「離れて」の意味で、離れて話すのがテレホン、離れた所にある物を見せてくれるのがテレビジョン。テレワークは職場から離れ、自宅などで仕事をすることだ。
一生縁がないと思っていたが、目下のウイルス禍を鑑み、この1週間ほどは自宅で執筆している。最前線で特ダネを追う身でもないので、やりやすいのは確かだが、苦労もある。
厄介なのは急に参考資料が必要になるときだ。自分の席の書棚に、会社の資料室に、あの本があるのに。そう思っても距離はいかんともしがたい。ネットで情報を得ようにも限界があり、紙の本の世界の懐の深さを改めて思い知る。
職場や社員食堂での会話から、いかに多くのヒントをもらっていたかも痛感した。家でひとり悩んでいても行き詰まるばかりである。同僚に電話をかけ、お願いして雑談につきあってもらった。まさにテレホンワークである。
ビジネスの世界では、仕事仲間との何げない会話の大切さが近年見直されている。色々な部署の人と話せば新たな発想が生まれるとして、接点となるカフェを充実させる会社も少なくない。在宅勤務が広がることの利害得失は一筋縄ではいかない。
子どもの学校が休みとなり、ご飯だ宿題だと、修羅場のなかでテレワークをされている方もいるだろう。在宅で困った経験や、意外とうまくいった経験が、ウイルス禍の思わぬ置き土産となるのだろうか。

 天声人語より
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やる気は脳の活動に変化を与え、効果的なリハビリにつながる。
病院などの現場では、患者本人のやる気が、リハビリの効果に影響することは知られている。生理学研究所などの研究チームはその仕組みの解明を進めている。
脊髄損傷から回復途上のサルで、やる気や意欲に関係する「側坐核」という脳の領域の活動を薬で止めたところ、治り始めていた手のまひが再び出て、イモをつまめなくなった。一方、健康なサルでは、側坐核の活動を止めても影響はなかった。研究チームは、けがの回復期に、側坐核が運動機能をつかさどる脳の領域の活動を活性化し、運動機能の回復を支えているとみている。
また、生理研の定藤教授らの研究チームは、褒められることの影響について研究している。他人に褒められると、意欲や意思決定に関わる「線条体」と呼ばれる脳の領域が反応することを確認。さらに、褒められた人は、指を使った運動技能の習得が上手になることも確かめたという。
定藤教授によると、これまでは教育の分野で、こうした意欲や褒めが学習にどう影響するかについて研究されてきた。最近は、脳神経学の分野でも研究が進み、成果はリハビリにも応用できるという。
定藤教授は「強い意欲を持ち続けるには、褒められることに依存せず『やればできるんだ』という経験に裏打ちされた自己肯定感が大切。リハビリでも、自ら取り組む意欲を高める試みが、周囲には重要になる」と指摘している。

 紙面より
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1960年、民主党の大統領候補者選びで、ジョン・F・ケネディは「若さと経験のなさ」を批判された。
上下院の議員を務めたとはいえ、まだ43歳。年長の政治経験豊かなライバルにとっては攻撃材料と映った。
ケネディはそれを逆手に取り「エネルギッシュで、健康で、さわやかな笑顔を持った若い候補」であることを強調したという。共和党候補との本選挙でも、健康的なイメージはテレビ討論に有利に働いた。
後の大統領選でも、ビル・クリントン氏やバラク・オバマ氏は若さが強みの一つになった。そんな話は今は昔なのか。次期大統領選をめぐり耳にする名前は70代ばかりになっている。
民主党の予備選では、38歳のブティジェッジ氏が撤退し、女性のウォーレン氏も苦戦する。スーパーチューズデーを経て、77歳のバイデン氏と78歳のサンダース氏に絞られた。政策は違えど「白人のおじいさん」という点は共通する。トランプ大統領も同じである。若さに重きを置くお国柄だと思着ていたが、どうも変調をきたしているようだ。
「ハーパーエイジャーズ」という言葉がある。高齢ながら若い世代と同程度の記憶力や集中力を持つ人のことで、高齢候補たちをそれになぞらえる向きがある。これもまた活力、と思いたいところだが。
サンダース氏の支持者には若い世代が目立っており、政治離れしているわけではなさそうだ。老いも壮も青も、こぞって老いを支える超大国の現在である。

 天声人語より
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人生の目的意識と死亡率
人生に対する目的意識の高い高齢者の方が長生きするという研究が報告され
ている。
人生の目的意識に関するテストは
1、私は人生に方向性と目的の感覚を持っている。
2、私は将来の計画を立て、それを実現させるために働くことを楽しむ。
3、人生を目的なしにさまよう人もいるが、私はそうした人々の1人ではな
い。
4、私は人生でなすべきことをすべて行なったように感じることがある。
など10項目からなる。
各質問への回答を5段階の選択肢から選び、合計点を質問数で割って一人ず
つ平均点を出した。平均点は3.7点だった。
その結果、人生の目的意識に関する5点満点の点数が下位10%の人と比べ、上
位10%の人では、死亡率が43%も低かった。
人生の目的意識に関するテストは、ナチの収容所を生き延びた精神科医ヴィ
クトール・フランクルの思想などに由来する。彼の思想とは、極度の逆境下
でも人生を意味あるものとするのは可能であり、人生に対する目的意識を持
つことが、心理的健康を維持する上で本質的である、とするものだという。

 やさしい医学リポートより---東北大教授・坪野吉孝
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故・藤子・F・不二雄さんは『ドラえもん』を長く連載するなかで、パターン化しないよう気をつけていたという。
ポケットから道具を出すのはいつも同じだが、感情表現に変化が出るよう、登場人物の意外な面も見せるようにと心がけていた。
今年は『ドラえもん』が世に出て50周年にあたる。久しぷ゛りに本を開くと、いつも柔和なネコ型ロボットのぞっとするような表情があった。大嫌いなネズミの出現に正気を失い、対峙するために銃や「地球はかいばくだん」まで使おうとしていた。
ゆかいな話や泣ける話がある一方で、ときおり強い毒が顔を出す。この長寿漫画の魅力の一つである。地球製造セットや人間製造機など存在自体が怖い。いま読んで考えさせられるのは「ジーンマイク」だ。
そのマイクで声を発すると特別な音波が出て、聞く人の心を揺り動かす。おならの音にもみなが感動するというのがオチだが、どんな扇動も思いのままになりそうな道具である。
人間の感情の動きを細かに分析する研究が、いま進んでいる。近い将来、どんな楽曲が感情を揺さぶるのかが計算できるようになるかもしれないと、哲学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が近著『21 Lessons』で述べていた。特定の人を心地よくする音楽が作れるなら、政治演説などにも応用できるのではないか。
すでに現代の古典といっていいマンガである。くみ取ることのできるメッセージは豊かで多岐にわたる。

 天声人語より
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株式市場 大荒れ
新型コロナウイルスの感染拡大への恐怖感から、金融市場の大荒れが続く。
NY市場は連日のように1千㌦近い急騰と急落を繰り返している。
米長期金利の低下や円高ドル安が急スピードで進むなど、世界のマネーの流れが変調を来している。

紙面より
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昨年春の本紙の声欄で、小学校の卒業式に向けて歌を練習したときのことを中学生が書いていた。
うまく歌えた後に、音楽の先生が「歌が上手なみんなのことを指導で着てうれしい」と褒めてくれた。そして、こう励ましてくれたという。
「でも、みんななら、まだまだうまく歌えます。音楽って、答えがない。終わりがない。だから難しいんだけど、楽しいんだよね」。晴れの舞台を前に練習に励む。そんな子供たちが日本中どこの学校にもいたに違いない。
新型コロナウイルスの問題が、思い出深いはずの3月を大きく傷つけている。卒業式が縮小になり、ネット中継になる。きのうからは多くの地域で授業が休みになった。クラス替えを前に級友と過ごすわずかな時間も奪われた。
低学年の子どもを一人にできず、さりとて仕事は休めないと途方に暮れる親がいる。頼りは学童保育だが、多くの子が集まれば「かえって病気がはやるのでは」と心配になる。そんな声が夕刊にあった。混乱のなか、手探りが続いている。
一斉休校は安倍首相が突然要請したものだ。差し迫った理由が明確に示されるなら、我慢もしやすい。しかし当の首相の口から、この判断は「専門家の意見をうかがったものではない」などと聞くと、割り切れない気持ちになる。政治判断は、素人判断と紙一重なのか。
コロナで大変だったと思い出になるときがいつかは来る。歌の練習も、卒業式の準備も、学生生活の一コマとして心に刻まれていく。

 天声人語より
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ダウ工業史上2番目の上げ幅
4日のNY株式市場は、米大統領選に向けた民主党の候補者選びで穏健派バイデン前副大統領が優位に立ったことなどを受け、ダウ工業株平均が急反発。
前日比1173.45㌦高くなった。前日に785㌦急落した分を取り戻した。

紙面より
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花に動と静があるならば、散り際の鮮やかな桜が「動」で、寒中にほころび、息長く咲く梅は「静」であろう。
ずっとそう思っていたが、この句に出会い見る目が変わった。〈紅梅や枝々は空奪ひあひ〉鷹羽狩行。思い思いに伸びて花をつける枝に、俳人は躍動感を見ている。
この春、各地の梅まつりは中止や規模縮小を余儀なくされているようだ。名所に行かずとも、近くを歩いて紅や白を探すのは春先の楽しみである。それぞれが青い空を奪いあっているかと思うと、こちらも元気になる。
朝のウォーキングでいつもと違う道を選んでみたら和菓子屋さんに行き当たつた。桜餅のきれいな色にひかれて買って帰ると、包み紙におひなさまの絵があり、「春ですね 今年もまた出逢えたね」と添えられていた。
その季節ならではのものと再会するのは、いつもうれしい。春はとりわけ喜びが際立つ気がする。寂寥としていた風景に、花や木の芽が色を添えていく。そしてだんだんと長くなる日の光がある。
「永き日」が夏ではなく春の季語なのは、冬の短日を経て、それだけ感慨が深いからだろう。〈永き日のにはとり柵を越えにけり〉芝不器男。どんな小さな出来事も彩りになる季節である。ウイルスの問題がなければもっと楽しめたものを。
手を洗う回数が、ずいぶん増えたような気がする。〈てを洗ひをへて思ひぬ春めくと〉黄枝。水ぬるむ季節の到来には「春動く」という表現もある。暖かさが迫ってくる、そんな感じがする。

 天声人語より
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米緊急利下げ
感染拡大で世界経済の行方が不透明さを増していることを受け、FRBは、政策金利の誘導目標を0.50%幅引き下げ、「年1.00~1.25%とすると決めた。

紙面より
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渓谷にかかるつり橋から周囲を見渡す。切り立っ山肌は、濃い茶色と木々に覆われていた。
ここは埼玉・秩父の小鹿野町。冬の風物詩「尾ノ内百景氷柱」の会場だ。例年なら、つららが全方位を埋め尽くす幻想的な風景が広がる。
厳寒期は零下10度にも冷え込む。地元の商工会が10年ほど前、その寒さに目をつけた。無数の穴を開けたホースを沢から引き、渓谷に張り巡らせる。氷柱と樹氷、つららが織りなす秘境は評判を呼び、昨年は5万5千人を集めた。
ところが今季は記録的な暖かさで、つららが育たない。「早朝に凍っても昼には溶けてしまう。こんなこと初めて」。実行委員会の北孝行会長は嘆く。2カ月ほど有料で公開する予定を3日間に短縮。無料公開に切り替えた。「観光バス約300台の予約が全部取り消しになりました」。
昨秋は東日本を襲った台風19号の被害にも見舞われた。強風でホースが破壊され、水を通せない。地元の住民たちが手弁当で復旧作業にあたり、かろうじて師走に設備が整った。
とはいえ、なるべく人混みを避けたくなるこの冬である。もしつららが育っていても、新型コロナウイルスの猛威を思えば、主催者としていまごろ頭を悩ませていただろう。「今年に限れば、よかったのでは」。そんな声も地元で聞いた。
つららの異変を目の当たりにし、常ならぬ暖冬を改めて実感した。つり橋の気温計を見ると8度。何十年か後に、つららの秘境を昔話として懐かしむ時代が来るのだろうか。

 天声人語より
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コロナウイルス
さぞ働きがいがないだろうなぁ。
「一斉休校」で意見を聴いてもらえぬ専門家会議。
手順を省き、専門知を軽んじる。
独りよがりの判断を決断とはいわぬ。
独断という。

素粒子より
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ちょつとした言い間違いに、口元が緩む。そんな話を募集して本にまとめたのが、糸井重里監修『言いまつがい』である。
中でも慣用句がくせ者で、らちのあかない会議の最中に誰かが叫ぶ。「これじゃ、うさぎごっこですよ!」。
いたちごっこと言うよりも、可愛らしい感じがしてくる。何が何だか分からないことを「キツネに包まれたようだ」と間違えた話もほほえましい。さて国会で最近、「つい言い間違えた」との言葉を聞いた。口元は全く緩まない。
ことの発端は、安倍政権の覚えめでたい検察幹部の定年を無理に延ばしたことだ。検察庁法ではなく国家公務員法の規定を理由にしたが、「検察官には適用されない」という政府見解が過去にあることを野党が指摘。その見解は現在も続いていると人事院の局長が答弁した。
これでは安倍首相の言い分と矛盾してしまう。あわれ局長は、言い間違えたことにせざるをえなかったのだろう。つじつまをあわせるかのように発言を修正する動きは、法相からも出た。新型肺炎の陰で、答弁がいつも以上にひどいことになつている。
今国会を慣用句で表せば「ウソの上塗り」か。一つごまかしが別のごまかしを呼ぶ。そうまでして、強い捜査権限を持つ検察を手の内に収めたいのか。
糸井さんの本に、大笑いした後の言い間違いが出てくる。「はらわた煮えくりかえるほど、おかしい!」。それを言うなら「おなかがよじれる」でしょ。いや、この政権には、しっくり來るような。

 天声人語より
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日銀潤沢資金供給へ
新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感から世界の金融市場の動揺が続いていることを受けて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」と黒田総裁が談話で述べた。
日銀としては異例の総裁談話によって金融市場の動揺を抑え、金融機関を通じて企業の資金繰りを支える姿勢を示す狙いとみられる。

紙面より
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手を洗う回数が日ごとに増えていく。
悩ましいのは、どれくらい洗えば新型コロナウイルスを防げるのか、確信が持てないことだ。自分の手や指なのに疑いの目をむけてしまう。
感染症の予防に手洗いが有効なことを知らない人はいまい。しかし医学史をさかのぼれば、そんな常識が広まったのは19世紀も半ば以降のことだ。ハンガリー生まれの産科医ゼンメルワイスが提唱するまで、医師の間にも手洗いの習慣はなかつた。
ゼンメルワイスは出産直後の女性が高熱に苦しむ産褥熱の予防に取り組む。注目したのは医師の手や指の汚れ。解剖や手術をしたばかりの医師から診察を受けた産婦に患者が多かった。同僚に手洗いを熱心に呼びかけて、せっけんや爪切り、塩素水を常備した。
病原菌の正体する謎に包まれていた時代である。「産科医たちをまるで殺人者呼ばりしている」と医学界は猛反発。大学を追われ、失意のうちに亡くなったという。「感染予防の父」と称されるのは死後のことだ。
「入館時は手指消毒を」。わが勤務先にもそんな掲示がある。だが入り口に置かれた消毒液を見て考え込む。何人もが触れた容器にウイルスの付着はないか。疑心暗鬼はとどまるところを知らない。
〈はたらけど/はたらけど猶わが生活は楽にならざり/ぢつと手を見る〉と啄木は嘆いた。洗えども洗えども十分に4清潔化どうか自信が持てない。毎回ぢつと手を見る。

 天声人語より
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どちらもおなじみの果物ながら、みかんとりんごは役どころが違う。
<君と僕二人で囲む冬の夜「こたつ」と「みかん」はベストカップル>近藤史紀。
みかんには暖かい色のもたらす「安定」のようなものがある。
片やりんごは、たとえば歌人の故・河野裕子さんの一首を思い出す。<青林檎与えしことを唯一の積極として別れ来にけり>。同じ「ふたり」のことを詠んだ歌ながら、淡い孤独と硬さをたたえる。実体験にせよフィクションにせよ、双方の歌でみかんとりんごの交換はできまい。
日の色に染まったみかんは、安らげる「人の間柄」の暗喩のようでもある。暖かい色に家族の記憶を呼びさまされる向きもあろう。冬の団欒の名脇役だが、消費の低迷が聞こえて久しい。
ピークだった1975年の約5分1に減っているという。「日本人が最も多く食べる果物」の座は10年前にバナナに奪われた。茶の間からこたつが減ったから-----などと理由には諸説あるようだ。
思えば、テレビのチャンネルをまだ回していたころがこたつの全盛時代、すなわちみかんが胸を張っていた時期だった。みかんの低迷とともに、人どうしの円居が減りつつあるのなら、寂しいことである。
役どころの話に戻って、みかんが向き合って食べる果物なら、バナナには個々で食するイメージがある。多忙なときは食事代わりにもなってありがたい。果物もまた、世につれ。個々が孤々にならないか、心配ではあるが。

 天声人語より
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先の大戦末期、相撲協会の幹部たちは困り果てた。空襲ややまぬいま、夏場所を開けるかどうか。
何とか両国国技館で開催したものの、安全を期して非公開に。大相撲史上初めての「無観客場所」である。
多くのスポーツ関係者がいま、戦時下の大相撲のような厳しい判断を迫られている。新型コロナウイルスがサッカーのJリーグを延期に追い込み、プロ野球のオープン戦を無観客化した。わがスポーツ史に前例のない事態と言うべきだろう。
おりもおり、国際オリンピック委員会の古参議員から驚きの発言が飛び出した。現状を「新たな戦争」と表現し、事態が収束しなければ「中止を検討するだろう。判断の起源は引き延ばせても5月下旬だ」と述べた。
AP通信の記事を子細に詠めば、「選手は予定通り準備に専念して」と強調している。大会中止を示唆するつもりはなかつたようだ。それでも「五輪にも黄信号か」と焦燥を覚えた人は少なくないだろう。
安倍晋三首相はきのう、全国的なスポーツ、文化イベントを2週間自粛するよう呼びかけた。私たちが直面している事態を、Jリーグのチェアマンは「国難」、五輪開催地の都知事は「有事」と呼ぶ。ウイルスの影響がいよいよ身近に迫ってきたという危機感が強まる一方だ。
冒頭で紹介した無観客場所は、開いてみると、ファンが次々やつてきて事実上「無料場所」に。それから75年。ウイルス相手のこの春ばかりは、ファンたちもぐっとこらえるほかあるまい。

 天声人語より
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