2020年01月の記事


EU離脱
欧州統合の分岐点か通過点か。
3年7カ月の騒動の末。
英国が離脱へ。

素粒子より
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つい先日、東京都心で中国人観光客が店で買った大量のマスクを抱えて歩くのを見て、武漢という地名が頭をよぎった。
電車で中国語が聞こえると、どの地域から来た一行かと考えてしまう自分がいる。
武漢への渡航歴のない日本人男性が感染したことが新たに明らかになった。現地に向けて日本政府のチャーター機も飛び立った。日ごとに増える感染者数を見ていると、17年前の「謎の肺炎」SARSの悪夢を思い出す。
広東省から広まり、隣の香港では病院で集団感染が起きた。「感染予防には爆竹を鳴らせ」「緑豆のスープを飲め」。根拠のない情報が飛び交った。香港に駐在した数年前、そんな流言の数々を昔話として聞いた。
いま世界を不安にさせている新型肺炎は、いわばSARSの親戚でもある。今回も中国では案の定、爆竹のうわさが息を吹き返した。「武漢から来た観光客が関西空港で逃げ出した」という虚報も日中両国で拡散し、さすがにこれは航空当局が全否定している。
ある研究調査によれば、SARSに見舞われた当時の香港では、心配から不安をへて、恐怖、恐怖へと社会心理が変化した。予防に聞くという情報に振り回され、大人たちが家にこもり、繁華街が廃墟のように静まり返る。ふだん冷静な人々も含めて社会全体が恐怖を来した結果だという。
ウイルスがデマを引き連れてやすやすと国境を越える時代である。不安なこの時期こそ、自分の胸に手を当てて冷静でいるかどうか点検が欠かせない。

 天声人語より
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新型コロナウイルス
感染・入院だけでなく、治癒者数も知りたい。
冷静に対応できるように。

素粒子より
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今年の旧正月「春節」をめぐる話題は新型肺炎一色で、祝賀ムードは影を潜める。
この旧正月、中国のみならずアジア各国で祝う習慣がいまもある。韓国はソルラル、ベトナムではテトと呼ぶ。
日本ではすっかり廃れ、わずかな地域に細々とその習慣が残る。そのひとつ、鹿児島県の奄美大島にある笠利町節田集落では「節田マンカイ」を脈々と受け継ぐ。今年も、元日にあたる25日に催された。
「マンカイには神様や福を『招く』という意味が込められています」と朝邦夫区長は話す。男女が一列に向かい合って座る。太鼓と三味線が鳴り、男女が歌を交わし、波のように両手を左右にゆらす。
「正月ティバ正月 ハレーフェイー」「ヤーハレ 祝い 祝い美らさ」。曲調が速まって熱気を帯び、最後は立ち上がって舞う。続けて、アザミと豚骨を煮込んだ正月料理アザミヤセを味わう。「昔はサトウキビの収穫の合間の息抜き。男女が出合う貴重な機会でもありました」と朝さん。
国内で旧暦のさまざまな行事が廃れた原因をたどれば、明治5年の改暦に至る。戦前まで奄美各地にあった旧正月の祭事は、新暦が浸透するにつれ姿を消した。節田マンカイも一時期は存続が危ぶまれたが、住民向けの講習会を重ねて伝承してきた。その努力には頭が下がる。
すっかり絶滅したかと思い込んでいた旧暦が、この南の島にはたしかに息づく。時空を旅して異国を歩くような感覚を楽しみつつ、由緒ある踊りが何世代も残るよう祈った。

 天声人語より
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武漢から206人帰国
政府が手配したチャーター機で206人が帰国。
その内5人が病院へ搬送された。
隔離の希望者は160人にのぼるという。

紙面より
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東京・池袋にある立教大学に一通の手紙のコピーが飾られている。
「窓の外で夜の雨がささやき/六畳の部屋は よその国、」書き出しのハングルの詩。戦中の1942年、同大に留学した詩人、尹東柱が友人に送った自作だ。
詩人は次いで書く。「人生は生きがたいものだというのに/詩はこれほともたやすく書けるのは/恥ずかしいことだ。」。『たやすく書かれた詩』から伝わってくるのは清冽で研ぎ澄まされた感性。
翌43年、尹は朝鮮独立運動にかかわったとして治安維持法違反で京都で捕まり、終戦の半年前の45年2月16日、27歳の若さで獄死した。日本で書かれた詩は押収され、この手紙に記された5編だけしか見つかっていない。
「詩人尹東柱を記念する立教の会」の楊原泰子さんたちは毎年、尹の命日のころ大学で朗読会を開いてきた。両国関係がいかに悪化しようと、ことしもまた尹の詩をあいする日韓の人々が集う。「尹東柱は私たちを温かくつないでくれています」と楊原さん。
翻ってみて昨今のささくれだった日韓関係は何なのか。巷にあふれる韓国の人々への侮蔑にみちた表現。すさんだひなんの応酬。日本を訪れた韓国人は昨年、前年の4分の3に減ったという。
「行く言葉が美しくてこそ返る言葉も美しい」。詩人の茨木のり子さんが『ハングルへの旅』で伝えた韓国のことわざを思い出す。尹の詩をよみ、こうつぶやいてみる。私たちの言葉よ、かの国にとどけ、美しく。

 天声人語より
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東証きょうも下落
東証は昨日に続いて大幅下落した。
終値は、23、215円71銭。円は値上がり。
原油の先物価格は下落し、ほぼ3カ月ぶりの安値。

紙面より
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東京・池袋にある立教大学に一通の手紙のコピーが飾られている。
「窓の外で夜の雨がささやき/六畳の部屋は よその国、」書き出しのハングルの詩。戦中の1942年、同大に留学した詩人、尹東柱が友人に送った自作だ。
詩人は次いで書く。「人生は生きがたいものだというのに/詩はこれほともたやすく書けるのは/恥ずかしいことだ。」。『たやすく書かれた詩』から伝わってくるのは清冽で研ぎ澄まされた感性。
翌43年、尹は朝鮮独立運動にかかわったとして治安維持法違反で京都で捕まり、終戦の半年前の45年2月16日、27歳の若さで獄死した。日本で書かれた詩は押収され、この手紙に記された5編だけしか見つかっていない。
「詩人尹東柱を記念する立教の会」の楊原泰子さんたちは毎年、尹の命日のころ大学で朗読会を開いてきた。両国関係がいかに悪化しようと、ことしもまた尹の詩をあいする日韓の人々が集う。「尹東柱は私たちを温かくつないでくれています」と楊原さん。
翻ってみて昨今のささくれだった日韓関係は何なのか。巷にあふれる韓国の人々への侮蔑にみちた表現。すさんだひなんの応酬。日本を訪れた韓国人は昨年、前年の4分の3に減ったという。
「行く言葉が美しくてこそ返る言葉も美しい」。詩人の茨木のり子さんが『ハングルへの旅』で伝えた韓国のことわざを思い出す。尹の詩をよみ、こうつぶやいてみる。私たちの言葉よ、かの国にとどけ、美しく。

 天声人語より
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新型コロナウイルス
猛威はどこまで。
まず退避。
封鎖された武漢からの邦人帰国支援に万全を。

素粒子より
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国会の代表質問を聞き安倍首相の相変わらずの答弁にげんなりした。
桜を見る会も、カジノ疑惑も、答えるべきところを答えない。煙幕を張るための決まり文句だけは色々あって「真摯に反省」「誠実に対応などがくりだされる。
「可能な限り説明してきた」というのもある。可能な範囲が狭すぎないか。一方で憲法改正については饒舌だ。首相の立場で答えるのは控えたいと言ってから「その上で」とつなげて、持論を展開する。
なるほどこれは便利な言葉で「君を叱るつもりは全くない。その上で」と叱ったり、「私は自慢などしない。その上で」と自慢したりと応用がききそうだ。そんなことをつらつら考えるくらい退屈な答弁が続く。
眠気が少し覚めたのが国民民主党の玉木氏の質問だ。中国の国家主席を国賓とすることについて、香港問題などを理由に「世界に誤ったメッセージを送ることにならないか」と疑問を投げた。若者を支援するため20代に限った減税案も提起した。
野党ゆえの気楽さもあるかもしれないが、具体的な政策の旗を立てようともがいているのはよく分かる。安倍氏の任期も来年秋までで、終盤はレームダックになりがちだ。次はどんな政治家たちがどんな政策を掲げ政権をめざすのか、ここで見えてこなければおかしい。
疑惑の追及も政策の旗も、どちらも全力で。そんな通常国会を見たい。もちろん自民党のみなさんも現権力者に遠慮することなどなきよう。

 天声人語より
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代謝をアップ、ウォーキングで脂肪燃焼。
代謝を高めるために大事なことは、ウォーキングなどの有酸素運動です。読者のみなさんの中にも、歩いている方が大勢いらっしやるでしよう。筋トレで基礎代謝量を上げ、さらに有酸素運動で脂肪を燃やすことで、健康で美しく、疲れにくい体をつくることができる。
ウオーキングは、肥満の解消になるほか、心肺機能が高まり持久力が増す。
▽毛細血管が増え、血流がよくなる。
▽動脈をやわらかくして動脈硬化を防ぐ---
などの効果が期待できる。もっとも手軽で、もっとも高い効果を上げられる健康法といえる。
さまざまな研究で、1日8千~1万歩くらい歩かないと健康効果が引き出せないことが分かってきた。1万歩はハードルが高いので、まずは1日8千歩、1週間で5万6千歩を目指します。多少の「歩きだめ」がききますので、あまり歩けない日があっても、別の日にたくさん歩いていれば補うことが出切る。
まとまった時間をとってウォーキングしなくても、日常生活の短い時間で歩数を稼ぐ方が何かと好都合。ひと駅前で降りる。ちょっと遠くのスーパへ行く、エスカレーターの代わりに階段を使うなど、生活しながら歩数を稼ぎましょう。
ただ、歩くだけで足腰の筋力の低下を防ぐことはできません。併せて筋トレもすることが不可欠です。運動を続けるために、歩数計と、筋肉量がどれくらいついたかを確かめられる体組織計が自宅にあるとよい。

 きょうもキレイより-----筑波大教授・久野譜也
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スキー場でリフトから降り立った瞬間はいつも、絵画のなかにいるような気分になる。
ゲレンデの向こうに見える山並みがきれいで、晴れいれば青空が彩を添える。詩人の邨野四郎の言葉を借りれば、〈世界は青と白との二色旗だ〉。
そんな表現で始まる「スキー」という詩はどこまでも軽快である。〈僕は走る雲の中にゐる/追ふ雲の先へ僕は逃げる/突如 浮動する----僕は二色旗の中へはね上がった〉。スキーヤーと並走する鮮やかな二色のうち、今年は白銀になかなか恵まれない。
暖冬だ、スキー場に行きがないなどニュースには慣れっこになったが、ここまで極端な年はあっただろうか。宿泊施設でキャンセルが相次ぎ、緊急融資の話も出ている。スキーの国体を控える富山県では、例年なら100~300㌢の累積降雪量があるところ、今年は多くて1㌢という。
季節は冬を飛び越えつつあるようにも見える。各地で梅の開花が伝えられ、鳥も春のさえずりを始めている。気象庁によると大分でウグイスが、松山でヒバリが、平年より3週間以上早く鳴いた。
「炭鉱のカナリア」という言葉がある。坑道に鳥かごを携え、鳥の様子を見てガスの発生を知ることから、危険の前兆を教えてくれるものを指す。早くも聞こえてきたウグイスやヒバリの歌は、地球環境についての警告かもしれない。
白い雪がまだら模様のようにしか見えないゲレンデの写真が、あった。それはまるでSOSを伝える信号のようである。

 天声人語より
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老いを遅らせるには--心がけが大切
「アンチエイジング」という言葉が注目を集めている。アンチエイジングと
は、できる限り老いを遅らせて若さを保とうという試みだ。
若さ、アンチエイジングというと、スキンケアやサプリメントなどを思い浮
かべる人は多いが、一番大切なのは「気持ち」だ。やりたいことをやること
。無理をし過ぎないことを心掛けると良い。自分を責めないで、いい加減に
、気ままに生活することがお薦めだという。
また、適度な緊張感、ストレスも刺激につながる。ある程度の年齢を過ぎた
ら仕事をしないで家の中で閉じこもっている人は少なくない。だが、ボラン
ティアでも良いので「誰かの役に立っている」という実感を感じられること
を意識的に行うことが大切だ。
そして「きれいになりたい」と願い、行動を起こすことは、世界を広げ自分
を内面からも輝かせる。
たばこと紫外線はなるべく避けよう。特にたばこは肌に悪く、体の循環に悪
影響を与える。
アンチエイジング5カ条
◆いくつになっても男と女
  「美しさ」に磨きをかけよう
◆肌の若返りは心の若返り
   メークアップは外見、心も若返らせる
◆バランスの良い食事と適度な運動
   アンチエイジングの効果は食事と運動が9割
◆よく笑い、よく話し、よくかむ
   笑いは免疫力を高め、かむことは脳の活性化になる
◆長生きこそ最大の誇り
   いくつになっても積極的に社会貢献を
 
 北里大名誉教授・塩谷信幸
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あなたのパソコンにカメラが内蔵されているなら、紙でも貼って目隠しした方がいい。
インターネットを通じてのぞき見される危険があるからだ。サイバー攻撃対象の専門家からそう言われたことがある。
素人からすれば「そこまで心配しなければいけないのか」と戸惑うが、サイバー攻撃の世界は何が起きるか分からない。防御策ではプロ中のプロのはずの三菱電機が、攻撃を受けた。
防御の策、すなわち情報セキュリティ対策を他社に提供するほどの会社である。窃盗事件が専門の警察官の家に泥棒が入ったようなものだろう。8千人の個人情報のほか、取引先企業の技術情報などが流出した可能性が出ている。
攻撃をしかけたのは中国系ハッカー集団とみられる。トレンドマイクロ社の調査によると、過去の手口ではこんなメールでウイルスをばらまいたことがある。「先般、多数報道されました○○に関しまして。レポートを作成しましたので、添付にてお送りさせていただきます」。添付資料を思わず開いてしまいそうな文面だ。
会社員であれば、変なメールが来たらすぐ関係部署に連絡を、と言われているだろう。そんな迅速さは、攻撃と判明した場合も必要ではないか。三菱電機の場合、半年間も取引先への説明を怠っていたというのが解せない。
「情報セキュリティ対策なしに、企業経営は語れない時代です」。三菱電機のホームページに書かれていた。全くその通りだと、同社の経営陣も痛感していることだろう。

 天声人語より
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コロナウイルス
ウイルスに効果があるのは手洗い。
マスク着用など日常の風邪対策。

素粒子より
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思想家の内田樹さんは、自分の書いたものが引用されても文句を言わないのだという。
なかでも入学試験や模擬試験でれるのを歓迎している。受験生は眼光紙背に徹するように読み、作者の「言いたいこと」を熟慮せねばならないからだ。
「僕として、そんなに真剣に自分の書いたものを読んでくれる読者は求めて得がたいと思う」と『街場のメディア論』で述べている。たしかに普段の読書とは格段の集中力で臨むのが入試である。美しい文章、深みのある文章に出会った時の印象もそれだけ強くなる。
そんな経験はもちろん受験生でなくても味わえる。お手元におとといの朝刊があれば、センター試験の国語にある原民喜の「翳」をぜひお読みいただきた。のんびりした日常が、日中戦争でじわじわと変わっていく様子がそこにある。
作者の家に出入りしていた魚屋の青年は人なつっこく、周りに愛されていた。そんな彼が軍服を着て満洲に渡り死に至る病を得てしまう。「善良なだけに過重な仕事を押しつけられ」たのではないかと作者は思いを巡らせる。描かれたのは1人の青年だが、背後にある無数の青年の命について考えさせられる。
高校の国語でこれから心配なことがある。いまの「現代文」が実用的な文章を扱う「論理国語」と、文学や詩歌などの「文学国語」に分かれ、選択に委ねられる。心が揺さぶられる文学や評論に出会う機会が、減ってしまうことはないだろうか。
杞憂であることを願っている。

 天声人語より
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暖冬
野菜が安い。
けど鍋はちょっと。
そんなご同輩、今宵はいかが。
〈湯豆腐に一も二もなく承知かな〉万太郎

素粒子より
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俳人の酒井弘司さんに〈宇宙さみし一月のコーヒー店〉の句がある。
寒い日、人のまばらな店で静かにコーヒーを飲むのはさみしいような、いやむしろ贅沢なような。物思いにふける対象が宇宙にまで及ぶとすれば、楽しくもある。
この国の暮らしには、これほどコーヒーが入りこんでのはいつからだろう。まちを歩けばチェーンの店がすぐ目に入る、100円のコンビニのコーヒーもある。当方も、一杯も口にしない日はどこか落ち着かない。
社会学者の故・清水幾太郎さんは、コーヒー中毒を自認した人だ。それだけに戦中戦後のコーヒー不足はつらかったとエッセーに書いている。戦争で輸入が減り、ついに止まった時のつらさは「終生、これを忘れることがないてあろう」。戦後は焼け跡を歩き回り薄い一杯にありついた。
何とかして豆を手に入れると、うれしくて、出入りの編集者らにふるまった。みんな喜んで飲んだが、帰りに駅のベンチに横たわってしまう人もいたという。何年ぶりのコーヒーに酔ったようになったらしい。一種の飢餓状態だったか。
今は昔、そう思っていたら、気候変動でいずれ世界的に品薄になるとの説があるらしい。代表的な種類に適した産地が、半分以上失われる時期が来るとの見方から、業界には「2050年問題」との言葉もある。増える需要を賄えないのでは、との懸念である。
「まさか」ですまされるのか、「もしや」なのか。そんなことを考えつつ、きょうの何杯目かを口にする。

 天声人語より
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十年一昔
政府の東日本大震災追悼式も来年まで。
なお収束せぬ原発事故と、約4万9千人の避難者を忘れまい。

素粒子より
いつまで引っ張っていてもダメ。一区切りして前向かないと。
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東日本大震災の後、「災後」という言葉が使われるようになった。戦後に匹敵するような復興の努力が求められたからだ。
余り知られていないが、「災間」という言葉も生まれた。雑誌『図書』の1月号で、民俗学者の赤坂憲雄さんが焦点をあてている。
私たちはいま巨大災害の後に生きているのではなく、災間を生きていると。「いつとは知れず、しかし確実に将来起こるはずの大きな災害までの、ほんのつかの間の猶予期間を生かされている」のだという。備えを求め、緩みを戒める考え方である。
それを地で行くような司法判断に思える。愛媛県の伊方原発3号機をめぐり、広島高裁がおととい運転を差し止める決定をした。
争点の一つが、原発の近くに地震を引き起こしかねない活断層があるかどうかだった。存在しないとする四国電力に対し、森一岳裁判長は「活断層がある可能性は否定できない。電力会社の調査は不十分だ」と判断した。
原発を動かしたい電力会社や、再稼働を認めた原子力規制委員会からすれば、交際の決定は「心配しすぎ」と映るかもしれない。しかし福島の事故から学ぶべきは、巨大津波を懸念する声が、地震前からあったという事実である。それに耳が傾けられないまま、メルトダウンを迎えてしまったという現実つである。
四国電力は「決定は承服できない」と不服申し立てに向かい、国は再稼働の方針を変えようとしない。今このときが「災前」かもしれない。と考えることはないのだろうか。

 天声人語より
この裁判長の実績をみると、この判決も納得できる。替わって審理する裁判長の結果まちである。この1月末には退官する裁判長の結論は?と疑われても。
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新しい時代?
令和改元、東京オリ・パラ。
だからといって「新しい時代」と連呼されても。
公私混同の「古い政治」のままで。
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「センター試験で90%達成」「センター試験ベストを尽くせますように」。東京の湯島天神で見かけた絵馬の祈りである。
鈴なりの札の中には、誤って合格「折」願と書かれたものも。老婆心ながら少し心配した。
最後のセンター試験がきょう始まる。1990年に導入され、毎年40万人以上が受験してきた。英語のリスニング初年には機器の具合が相次ぎ、「ザー」「ブー」と異音が受験生を泣かせた。地理歴史などの問題冊子が3千人に正しく配られなかった年もある。
ときに斬新な出題が関心を呼ぶ。95年の現代社会では「24時間戦えますか」。栄養ドリンクの広告コピーが登場した。近年はSNSで話題が一気に広がる。昨年の古文「玉水物語」は、姫君に恋したキツネが女官に化けて仕えるという異色の内容。「垣根を越えた純愛」と盛り上がった。
振り返れば、時代の要請に適した試験制度ではあった。志願者が増えに増え、大学側の負担は限界に達していた。だが少子化とグローバル化が進むと、時代とのズレが指摘される。新テスト導入が決まった後も、「身の丈」など文化相の失言が混乱を招いた。
〈冬空の青の薄さは頼りないわたしの気持ちセンター試験〉荒木陽一郎。本番前の不安な心理を巧みに詠む。試験制度が変わるたび、右往左往させられるのはいつも受験生である。
「この受験によって未来が開かれますように」。境内の絵馬にそうあった。受験生のどなたも日ごろの力を悔いなく発揮できますように。

 天声人語より
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サイバー攻撃もありか
背中あわせの戦争と日常。
「北朝鮮が読み間違えれば戦争は起きた」と前在韓米軍司令官。
一方、中国からは、三菱電機へのサイバー攻撃に組織が関与か。

素粒子より
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避難所で泣きながら食べたおにぎり、マンション9階に運ぶのには重すぎた給水タンク。
朗読ボランティア団体「震災を読みつなぐ会KOBE」の書庫には阪神・淡路大震災の体験記が並ぶ。
「復興が進めば進むほど、震災をくぐり抜けた私たちでさえ記憶が薄れていきます」と代表の下村美幸さん。いまボランティアは23人。若い世代に伝えたいと小中学校などで朗読を続けてきた。これまでに延べ6万人が耳を傾けた。
父が亡き息子に語りかける「英人よ」は、震災10年目に書かれた。大学院生だった息子を失ってから年賀状を書けず、初詣にも行けない。「3288、3289、3290、3291」。亡くなってから経過した日の数ばかり数えてしまう。
「キッタン、じゃまたな」は親友に宛てた男子中学生の一編。「俺はキッタンの御葬式に行けてうれしかった---ほんまにきれいな顔やったで」。生死の道は分かれたが、友情は変わらない。「心の中だけじゃなくて体全部にキッタン生きているからな」。
「手記探しに困ったことは一度もない。あれだけの大災害。記録しよう、伝えようと思わない人はいませんから」と下村さん。当初は児童生徒に読み聞かせていたが、途中から方針を改めた。「子どもたちに朗読してもらってこそ手記は生きながらえます」。
震災から25年。被災地の外から見れば四半世紀という時の速さに驚くばかりだが、お借りした手記を読み進めると、あの日、あの時にたちまち引き戻される。

 天声人語より
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救命につなげるために、AED使用をためらわずに
新潟県の高校で野球部の女子マネージャーがランニング直後に倒れ、先月死亡した事故は、いつAEDを使えばいいのか、現場での判断と実行の難しさを問いかけた。
女子生徒は、死の間際に脳への血の流れが止まりかけ、あごや肩、胸や腕が、途切れ途切れにあえぐように動く「死戦期呼吸」の状態だったと思われる。(ギャスピングと現場や医療機関では言う)実際に空気は吸えていないが体が動くので、周囲の人たちは心臓が動いていると思い、AEDを使わなかったのかもしれない。息をしているかのように見えてしまう死戦期呼吸のことを多くの人に知ってもらいたい。
息が止まっていれば、すぐに心臓も止まる。現場に居合わせた人は、あえて患者の脈に触れる必要はなく、息をしているかどうか、だけを目で見たり耳で聞いたりして判断すればいい。講習会でも死戦期呼吸を教えるときは動きが大げさになりがちだが、実際には分かりにくい場合もある。突然の事態に直面した一般の人たちに冷静な判断を求めるのは無理だろう。息をしていないことが疑われるときは、一刻も早く胸骨圧迫をしたり積極的にAEDを使ったりすることが大切だ。
日本のAEDの普及率は世界でもトップクラスだ。的確な設置場所やきちんとした保守管理など課題はあるが、使い方はよく知られるようになった。消防白書によると、2015年に病院外でAEDが実際に使われたのは約1100件で600人ほどの究明につながった。だが、蘇生措置を行えた可能性のある人は数万人とみられ、市民の的確な判断と行動なくして救命率の向上はない。
人が倒れた現場は混乱し、AEDの音声支持も聞き取りにくいだろう。電気ショックのボタンを自ら押すことをためらう心理も働く。居合わせた人がAEDの電極を患者に貼り付けさえすれば、ボタンを押す必要もなく、自動的に除細動をする「全自動」AEDを開発し、早く導入すべきだ。技術的には可能で、間違って放電されることや救助者の感電を防ぐ方法もある。メーカーや行政は積極的に取り組んでほしい。
胸骨圧迫やAEDの使用では、衣服を破ってでも脱がすなど患者のプライバシーが守れない場合がある。
一般の人が処置をためらったり、蘇生がうまくいかなかったりした時に責任を問われることを恐れるという気持ちも考える必要がある。
こうした背景には100%の安全と結果責任を追及する最近の日本の風潮があると思う。市民の善意を生かし救命率を上げるためには、米国やカナダなどのように「緊急事態に直面した善意の処置者は、その結果に対して責任を負わされない」という「よきサマリア人の法」の整備が必要だ。

 私の視点より----聖路加国際大学院特任教授・宮坂勝之

善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、英:Good Samaritan laws
とは
「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護を促進しよう、との意図がある。
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毎冬この時期、東洋大学から「現代学生百人一首」が届く。
33回目となる今回は、小学生から大学生まで6万を超す応募があった。入選作も選に漏れた歌もかわらず伸びやかだ。
〈大国の圧に屈さぬ人々がマスクとともに自由をさけぶ〉高2福井拓己。排除されても屈しない香港デモの若者が自分と同じ世代であることに魂が揺さぶられる。〈涼しい日すぐにエアコンつける父ここにも届かぬグレダさんの声〉中2木田川優妃。環境悪化を憂えるグレタさんの言葉とはほど遠いわが家の実態である。
SNSなしでは友情も育みにくい時代を生きる。〈「おつ」「おけ」「り」スマホの会話単語だけそんなにみんないそがしいのか〉中2関谷咲。「おつ」はお疲れさま、「おけ」はOK、「り」は了解。そこまで言葉を削って、浮いた時間を何に使うの?。
自分の進む道が見えず、だれもがとまどう思春期。〈留学のポスターの前で立ち止まる夢ある友とまだない私〉高1三浦奏愛。有人と比べて焦った体験は誰にもある。「大丈夫、あわてないで」とエールを送りたい。
〈「なぜうちを?」今日はこちらがきいてみるスーツの私と巣かける燕〉大4北森葵、就職活動のめんせつで何度もとわれるこの言葉に疲弊ぎみ。黒いスーツに身を包んだ私が、今日は燕に同じ問いを放ってみる。
〈教科書に載る恋歌の乙女らと恋バナしたく五限の古典〉高3影長美咲。恋を語る相手は和泉式部か紫式部か。恋して、悩んで、笑って。若き季節は一瞬のきらめき。

 天声人語より
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「健康づくりのための身体活動基準2013」は身体活動を「運動+生活活動」
日々のちょつとした動きもスポーツ並みの健康効果があり、ちょっと体を動かすことを増やす「プラス10」を推奨。そうすれば、がんや認知症を減らせるという。
では、どうすれば生活活動を増やせるのか。まず起床から就寝までに、どこで体を動かせるか1日を振り返ることだ。
通勤時に早歩きしたり、掃除や洗濯でキビキビと動いたり。そんな小さな動きが「ちりも積もれば山」。1日10分でも、1週間で合計1時間でもいいし、途中でやめても三日坊主を繰り返すつもりでも構わない。
自分の身体活動レベルを知るときには活動量計が役に立つ。
歩数計の機能に加え、家事などの生活活動で1日に体を動かして消費したカロリーが示される。活動量が基準や目標に対して十分なのか下なのか客観的に教えてくれる。
いわば自分の現在地を示すナビ。最近は結果をパソコンやスマホに送って確認できる。
注意点は、体を動かす次官は一気に増やさず、体調が悪いときには無理をしない。痛みが出たら、医師や運動の専門家に相談を。夏場などは炎天下を避け、熱中症に気をつけよう。

 元気のひけつより
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年末から連日のようにイラン発のニュースが続く。米軍拠点を攻撃し、矛を収めたかと思うと、またロケット弾が飛んだ。
現下の緊張状態を、日本で暮らすイラン出身者はどう感じているのだろう。
「トランプ米大統領がイランの52カ所を標的にすると発信した時、実家は大丈夫かと不安だした」。コルドバッチェ・マンスールさんは在住30年、東京・上板橋で居酒屋を営む。ふだんは陽気で冗談好きだが、「友人の妻子がウクライナ機の撃墜で犠牲になった」と肩を落とす。
店内に貼った故国の国旗には黒い喪章が添えられている。いま心配するのはミサイルの応酬だ。「右ほおをたたかれたら、左ほおをたたき返せと子どものころに教わりました。。でも軍事で報復しあっても悲劇しか生まれません」。
テヘラン駐在の記者によると、日々けんかは多い者の、収め方も実に心得たもの。ふぁふでも運転者同士でも人目をはばからず声を上げるが、他人が割って入るか、走法があきれ顔を見せ合えば、そこで幕。米国ともそんな風に決着するだろうか。
両国がお互いを敵視するようになってもう40年。親米王政が倒れ、在テヘラン米大使館人質事件をきっかけに国交が絶えた。再選を狙って武力を誇示するトランプ大統領、反政府運動を封じたいイラン政権。思惑はそれぞれあるようだが、砲弾の応酬に理などない。
「穴を掘るなら、自ら落ちる」。因果応報を説くイランのことわざだ。双方の指導者がいまこそかみしめるべき言葉である。

 天声人語より
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阪神・淡路大震災25年
6434人に黙禱。
〈幾千の人らと共に逝きしとも死ぬは一人残るも一人〉川上弘美。

素粒子より
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もの憂げな瞳、青白い肌、しゃくれたあご。
17世紀のスペイン国王フェリペ4世の顔貌は、失礼を承知で申し上げれば、全体に締まりを欠く。東京・上野の国立西洋美術館で開催中の「ハプスブルク展」ど、肖像画に見入った。
「根は善良な人ですが、もともと無気力で怠け者。国王本来の仕事に身が入らず、スペインの凋落を加速させました」。そう話すのは南山大名誉教授の佐竹謙一さん。評伝『浮気な国王フェリペ四世の宮廷生活』の著者である。
国政は寵臣に丸投げ。時間の多くを感激や狩猟、酒宴に費やした。なかでも情熱を注いだのが、たわむれの恋の数々。独身既婚を問わず、侍女や修道女にまで求愛した。王の抱一゛りは醜聞として大衆に知れ渡り、詩人や劇作家たちの創作の源にもなった。
大航海時代に植民地を広げ、「太陽の沈まぬ国」として繁栄を謳歌したのは祖父フェリペ2世のころ。4世の治世下では版図が縮小。財政は傾き、人口も減少した。「自国の退潮はもう国民の目にも明らかでした」と佐竹さん。
「余に天罰を」。彼が晩年に書いた私信には苦悩の色が濃い。反乱や飢餓、疫病が続くのは、自分の意思が弱いせいだと自責の念にかられた。己の限界を嘆きはしたものの、国運の衰退はもはや止めるべくもなかった。
思いはふいに現代の日本へ飛ぶ。国の借金が増えに増え、人口の減少に歯止めがきかず、将来への不安が消えないまま、私たちはどんな為政者を必要としているのだろう。

 天声人語より
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信州特産のリンゴがあちこちの畑に散り、壁やドア、畳まで失った家々を冷たい風が吹き抜ける。
台風19号の直撃から今日で3カ月。千曲川の堤防決壊地点に近い長野市の長沼地区を歩いた。
豪雨に耐え切れなかったのは、4年前に完成した堤防「桜づつみ」だ。いまは応急の鋼板が打ち込まれている。「あの決壊ぶりを思えば、住民たちが被害を最小限に抑えたと胸をはりたい気持ちです」と長沼交流センターの前所長、宮澤秀幸さんは話す。
一帯は1983年秋の大雨で深刻な被害を経験。それ以来、住民主導で水防訓練を毎年続けてきた。「みずから守る底力」を標語に掲げ、「自ら」「水から」両方の字を当てる。土嚢を並べ、炊き出しをし、老若男女が汗を流す。
地元の小学生は5年前、「桜づつみ」という創作劇を披露した。描いたのは、たび重なる地域の水害史である。「おじいさんに聞いたんだ 遠い日の話 何もかもが流された 悲しい時代のことを」と歌う。
桜づつみを歩いた後、近くの寺院の境内で「千曲川大洪水水位標」を見た。過去6度の水位が刻まれている。劇でも取り上げられた1742年の災害は水位3.5㍍。手を伸ばしても届かない高さに慄然とする。全村が水没し、168人が命を落としたと語り継がれる。
「水に流すな水害史」-----。この言葉で劇は幕を下ろす。自然の脅威を前に、人のできることは限られる。それでも過去の教訓から学び、立ち向かうことに終わりはない。

 天声人語より
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どうする中国は
「一国二制度」。
台湾は明確に「NO」。
中国はどうする。
香港はどうなる。

素粒子より
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テヘランから飛び立って、数分後の故劇だった。
ウクライナ機が墜落した現場の動画を見ると、シートに包まれた遺体が道路に並べられている。
乗客には小さな子もいたのだろう。ぬいぐるみが転がっている。
乗っていた176人は全員が亡くなった。イランが誤ってミサイルを撃ったためだと米欧の当局が指摘し始めた。事実なら、米国とイランの間の緊張の高まりが、あってはならない事態をもたらしたことになる。
犠牲者にはカナダに向かおうとしていた人が多い。カナダの新聞の電子版には一人ひとりの名前と写真があった。大学のあるカナダを離れ、イランに暮らす両親と過ごした学生がいる。結婚したばかりの妻をイランに残した人がいる。
オンタリオ州の大学院で学び始めたばかりの女性は、搭乗前に教員とメールでやりとりをしていた。緊張の高まりを懸念しつつ「2020年は、この地域と世界が平和でありますように」と記していた。それぞれの人生、それぞれの夢が理不尽に奪われた。
米国が無人機でイラン要人を殺し、イランが米軍駐留基地に報復した。戦争にならない範囲で、強い姿勢を示そうとしたのだろう。176人はその巻き添えになったのか。兵器を限定的に、効率的に、計算して使う。そんなことができるという発想がそもそも間違っている。
ソ連が大韓航空機を、米国がイラン機を。国際的な緊張のなか、民間機が追撃される事件は過去にもあった。いったい何度繰り返せばいいのだろう。

 天声人語より
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人口減少、それがなにか?
人口減少を深刻な危機と受け止める向きはもちろん多い。人口(とりわけ労働力)が減り続ければ経済成長が難しくなる。産業・企業の存立基盤が損なわれる。政府債務返済負担が一段と増す、国力が衰退し安全保障リスクが高まるなど、不安は尽きない。
 しかし、人口減少は嘆くしかないことなのだろうか。人口減少下でも、国民の豊かな生活や国力を維持する手立てを見つけることはできないのだろうか。
 人手不足の主因は人口減少と言われる。しかし例えば、コンビニや外食チェーン店の24時間営業、きめ細かすぎる宅配サービスなど、消費者が便利さへの飽くなき欲求を少しでもよくせいすれば、人で不足は和らぎ、労働環境も改善される。その結果生じる労働力の余裕を、新たな成長分野で発生する労働需要り振り向けることができれば、生産性の上昇と付加価値の増大すなわち経済成長の押し上げに生かすことができる。換言すれば、それを阻んできたのは我々自身ではなかったか。
 人口減少に直面する日本に必要なのは、危機を煽り弥縫策を繰り返すことではない。公共投資の拡大は一時的な景気刺激と引き換えに将来世代に大きな財政負担を残した。我々に求められているのは、人口減少が制約や重荷とならない経済社会をつくる意思であろう。いずれ使われなくなる社会インフラはつくらない、これ以上政府債務を増やさないなど、マクロからミクロまで、やるべきこと、できることは多い。

 経済気象台より----山人
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きのう訃報が届いたシナリオライターの上原正三さんは、
特撮番組「ウルトラセブン」「帰ったきたウルトラマン」などで多くの脚本を手がけた。なかでも「怪獣使いと少年」の回は、異色作として語り継がれている。
「あいつは宇宙人だ」とうわさされた少年が、壮絶ないじめにあう話である。まちの人たちから気味悪がられ、ついには暴徒と化した大人たちに襲われてしまう。少年をかばおうとする主人公にも、人びとの矛先が向かう。
およそヒーローものに似つかわしくない話の背後にあるのは、関東大震災での朝鮮人虐殺である。デマにあおられ、虐殺は起きた。「人のなかには、いつそういう風に変わるかわからにい面がある」。そのことを物語にしたかったと上原さんは後に語っている。
沖縄出身で「本土で異邦人として生きる」と決めた上原さんは、作品で差別と向き合っていたのだろう。ウルトラシリーズの脚本家には々沖縄出身の故・金城哲夫さんもいて、蹂躙される故郷の姿がにじむ作品もある。
かつてかじりつくように見ていた身には、独特の「暗さ」が記憶として残っている。他の子ども向け番組とはどこか違う。いま思えばそれは、作り手たちが社会への憤りを投げ込んだための「重さ」だったのかもしれない。
82歳で生涯を閉じた上原さんは、最後まで表現者であり続けたい。晩年の小説『キジムナーkids』では、戦中戦後の沖縄が少年の目を通して描かれている。

 天声人語より
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「大好きだった娘に会えなくなって3年が経ちました」。母親の手記は、そんな言葉から始まっている。
自閉症の娘は、障害者施設「津久井やまゆり園」の事件で命を奪われた。当時19歳だった娘の名前は「美帆」さんという。
ジブリやアニメや、いきものがかりの音楽が好きだった。「言葉はありませんでしたが、人の心をつかむのが上手」だった。すーっと人の横に近づき、以前からの知り合いのように接していたという。
母親が娘の名と写真、そして手記を公表したのは、裁判で被害者が匿名のまま「甲さん」「乙さん」と呼ばれるのが嫌だったからだ。甲でも乙でもなく美帆。「美帆は一生懸命生きていました。その証しを残したいと思います」。
それでも姓や住所は明らかにできない。誰かに危害を加えられる恐れが拭いきれないからだ。今後の公判で多くの被害者が匿名とされるのも、さらに差別を加えられるのを遺族らが恐れたため。そんなふうに思わせてしまう社会がある。
谷川俊太郎さんに命の喜びがあふれる詩がある。<私が生まれた時/世界は忙しい中を微笑んだ/私は直ちに幸せを知った/別に人に愛されたからでもない/私は只世界の中に生きるすばらしさに気づいたのだ>。この世界から消すべき人の命など、あるわけがない。
悲しい事件が二度と起こらない世の中にするには、どうしたらいいか。社会全体で考えてほしいと、母親の手記にある。わたしたちがまだ答えを出せていない課題である。

 天声人語より
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快眠のコツ 適切な睡眠は6~7時間。統べての人に勧めしたいのは昼寝。
春眠暁を覚えず、という漢詩があるように、眠りを誘う季節です。しかし、布団に入ってもなかなか寝付けないという相談は、この季節も多く寄せられます。適切な睡眠時間を知って、気持ちよく寝てすっきり目覚めましょう。
 私たちは眠ることで疲労を回復させ、心身のメンテナンスをします。日中、疲れや眠気を感じず過ごせるようなら、李相の睡眠がとれているといえる。
現役時代に十分な睡眠がとれなかったから時間ができた今はゆっくり眠りたい。結果、寝床にいる時間が長すぎて、睡眠の質が悪くなる。これがシニア世代の落とし穴になります。寝付きが悪かったり、夜中に何度も目覚めたりする人は睡眠時間を圧縮することで、改善されることが多々あります。目安は6、7時間。実際に眠っている時間+30分を心がけましょう。
 凡ての人にお勧めしたいのが昼寝です。午後を元気に過ごせて活動量が揚がるからです。ポイントは時間の長さとタイミング。正午~午後3時の間に30分までの仮眠をとれば、深い眠りに入る前に目覚めるため、すっきりします。
 ソファに座って目を閉じるだけでも、効果を期待できます。衣服の締め付けをゆるめ、上半身を少し起こした姿勢で足を伸ばすとリラックスできる。

 きょうもキレイより------三橋美穂
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そうか、あの人は小学校の先生をしていたのか。
夕刊の「惜別」で川端俊介さんの名前を目にし、56歳で旅立ってしまったことを知った。山際淳司のノンフィクション『スローカーブを、もう一球』で描かれた高校野球の投手だと言えば、ぴんと来る人もいるだろうか。
群馬県立高崎高校のエースだった川端さんの武器はスローカーブだった。まるで小さな子が投げるような山なりの球で、打者を惑わせる。しかしこの球とそれなりの速球を組み合わせ、1981年の春の甲子園にチームを導いた。
力で押すような投球は自分にはできないし、似合ってもいない。文中に遅い球への川端さんの思いがある。「ゆらゆらと本塁に向かっていくボールがまるで自分のように思え、妙に好きになれるのだった」。
厳しい練習は好きではなく「野球を続けているのは惰性」とまで口にする。それでも投球の駆け引きには、最大限神経をとがらせる。根性、努力、汗。そううしたものへのアンチテーゼのような姿にしびれながら読んだ。以来、座右の書の一つである。
勝負の仕方はいろいろある。仕事の仕方もいろいろある。そんなことを山なりのカーブから教えてもらった気がする。新聞記者稼業でいえば、特ダネを連発できなくても生きていく身とはあるのだと。
教室で倒れた川端さんは「子どもたちの声が聞きたい」とリハビリに取り組んでいたという。どんな表情で子どもに接し、何を伝えてきたのだろう。思いを巡らせつつ合掌する。

 天声人語より
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安倍外交
緊迫の中東に、国会の議論もなく。
米国に寄り添う自衛隊派遣は、米イランを仲介するべき日本の外交を阻害する。

素粒子より
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同じ言葉でも、使われ方によっては全く違うものに変わる。
突き放すように言われるが「がんばって」があるかと思えば、抱きしめて言ってもらえる「がんばって」もある。
中高生から募る「私の折々のことばコンテスト」が5回目を迎えた。何げない言葉ながら、使われる光景を思うと心が動く。そんな応募作品ひとつが、中2の冨原理生さんの祖父が口にする「行って帰り」。家族が出かける時、必ずそう言って送り出す。
「行ってらっしゃい」ではないかと尋ねると祖父は答えた。「元気に家を出て行っても、帰ってこんのじゃあ、意味ないけえの。また帰るってゆう約束をしょるんよ」。広島に原爆が落ちた時、姉がなかなか帰ってこなかった経験が祖父にはある。
「ふんばりが効く」は中3の池ケ谷海さんが小学生の頃、祖母からもらった言葉だ。友だちのすられとした足に比べ自分の足は不格好だと思い、落ち込んでいた時には、「この足は一番いい足だよ。ふんばりが効く」と言われた。
祖母が見せてくれた足も自分に似ていた。「色んなことがあったけど、この足でふんばってきたのさ」も祖母の言葉だ。まぶしく感じるのは、それまでの人生が見えてくるからだろう。
部門賞に選ばれ昨日の紙面に載った中に「応援しとるよ」があった。高2の岡野芽依さんが母からもらった手紙に書かれていた。「がんばれ」の文字を消しゴムで消した跡がある。どんな言葉を選べば気持ちが伝わるか。迷いや悩みが、そのまま物語になる。

 天声人語より
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アメリカの戦略は
世界は、今回の報復劇から学ばねばならぬ。
ディールの材料として戦争を弄ぶ危うさと愚かさを。
イラクの駐留米軍への攻撃に改めて思う。東アジアで米国が事を構えれば、まず狙われるのは在日米軍基地だと。

素粒子より
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1914年6月、サラエボで暗殺事件が起きた時には、そけが世界を巻き込む大戦につながると誰も予想しなかった。
多くの国家指導者が戦争を避けたいと考え、たとえ衝突が起きても短期間で終わると信じていた。
第1次世界大戦を詳細に記録した『八月の砲声』は、中心人物の一人だったドイツ皇帝をこう描く。「国際的、開放的でかつ気の小さかったガイゼルは、けっして全面戦争を望んではいなかった」。
皇帝は、ドイツが国際政治の舞台でいっそう大きな権力を振るうことを求めていた。しかし彼はそれは「戦争によらずに威嚇してかち得たいと願った」。指導者たちの誤算と過信の末に起きた戦争は教訓に満ちている。
いま思い起こすのも決して大げさではない。そう感じるのは、イランとにらみあうトランプ政権が誤算を重ねているように見えるからだ。核合意を投げ出し、制裁を加えて威嚇したが、イランは屈服するどころか敵対姿勢を強めた。
そこに今回の司令官殺害である。イランの指導者と民衆からの猛反発を一体どこまで計算していたのだろうか。「戦争を始めるためでなく、止めるための行動だ」とのトランプ大統領の発言は、言い訳にしか聞こえない。
『八月の砲声』は62年のキューバ危機のさなか、ケネディ米大統領が参照した書でもある。ソ連との戦争を回避すべく努め、第3次世界大戦の芽をつんだ。戦争の種をまいた愚かさを打ち消すための行動がいる。

 天声人語より
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イランとアメリカ
報復の検査、流血の連鎖は何としても食い止めねばならぬ。
戦火の下で最も苦しむのは、常に立場の弱い市民だ。

素粒子より
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混み合った新幹線に乗り、東京に戻った。車窓から雪景色が失われるあたりで、都会暮らしを始めた頃のこしを重い出す。
Uターンとは、かつての上京の体験を心でなぞることでもあると、帰省のたびに感じる。
胸を膨らませながらであったり何となくであったり。上京の時の思い出は人それぞれであろう。自分の可能性を東京に託そうとしたのが宮沢賢治だったと、書評家岡崎武志さんの『上京する文學』で読んだ。定住こそしなかったが、長くはない生涯に9度、賢治は東京の地を踏んでいる。
東北本線での片道が、十数時間かかった時代である。その列車のイメージも『銀河鉄道の夜』に投影されているのではないかと、岡崎さんは書いている。銀河鉄道のモデルは岩手の小さなローカル線。そんな定説を踏まえてうえでの大胆な仮説である。
「長時間の鉄道旅において、読書したり、眠ったりした時間もあったろうが、賢治のことだから、さまざまな幻想にひたる時間もあったに違いない」。ふるさと花巻をイーハトーブという理想郷にしたいという思いも、行き交っただろうか。
上京と帰郷。それを賢治よりもたくさん繰り返すのが、現代の帰省者たちである。2時間や3時間の旅であっても、いつもと違う思いに浸ることはできる。ふるさとに置いてきたものの大きさ。ふるさとでまったく違う人生がありえた可能性。感傷が過ぎるか。
きょうが最後のお休みという方も多いだろう。また始まる日常を少し違う目で見てみたい。

 天声人語より
故郷がない人はどうすればいいのか?
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IR疑惑
あなたが辞めれば良きお手本に、辞めねば悪しき前例になろう。
どうする下地議員。

素粒子より
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〈初釜やいまぞ生きよと富士の土〉〈空青く子供育てし注連飾り〉。新年にふさわしい句である。詠んだのは一茶。
と言っても江戸期に活躍した俳人ではない。俳句を詠む人工知能「A I一茶くん」である。
北海道大学の川村秀憲教授が3年前に開発した。江戸から現代まで古今の名句と、季語にちなむ写真を覚えこませた。句題か写真を示すとそれに即した俳句を詠むことができる。
当初は平仮名しか使えず、俳句の体をなさなかつた。〈かおじまい つきとにげるね ばなななな〉。それでも何十万もの既存の句を学び続け、3カ月で味わい深い句を詠むようになった。〈又一つ風を尋ねてなく蛙〉。
近作には目を見張るものがある。〈強霜に日さす如し磯の人〉。驚くのはその数だ。1時間に14万もの句を作り出す。「残念ながら玉石混交です。だれか人の手を借りて選ばないと、多すぎて句会が台無しになります」と川村教授。
今回、当欄の求めで届いた新年詠は、冒頭の2句を含む3758作品。読みながら考えたのは、人間とA Iのあるべき関係のことだ。将棋で名人を打ち負かしたとか、多くの職を人から奪うとか。それでも将来、十分に共存し、助け合える領域が実はかなりあるのではないか。
〈初釜やひそかに灰の美しく〉。当方が心奪われた一茶くんの作品だ。新年の茶の湯という華やかな場で、あえて灰の美を詠む。かと思うとこんな句もある。〈パン高値眠れるに似し福寿草〉。成長が楽しみでならない。

 天声人語より
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トランプの失敗
中東を一触即発の危機に陥れておきながら「我々は戦争を求めていない」と。
言と行との落差に目が眩む。

素粒子より
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世界100年の教訓。 破局を避けるために
欧州では分断が深まる。英国は今月末、欧州連合からの離脱を実現しそうだ。欧州統合の流れが初めて逆行する。離脱が禍根を残さぬよう、英国と欧州諸国の慎重な対応が求められる。
一方、核軍縮と不拡散をめぐる国際的な規範は崩壊しかねない危機にある。この春には、発効50年にあたる核不拡散条約の再検討会議が開かれる。核の競争を抑える理性を人類は持ち得るのか、冷戦期から続く問いが今年さらに重みを増す。
懸案の中で、11月にある米大統領選挙は、世界にとって重い分岐点となる。このまトランプ路線が続けば「第2次大戦後から築かれてきた国際秩序は、壊滅的終幕を迎えかねない」と警告する。
100年前、地球上には核兵器は存在せず、温暖化の兆しもなかつた。人類はその後、四半世紀の混乱を経てやつと協調の知恵を学んだはずだった。
いま、自国第一主義がこれ以上はこびれば、破局は必然となる。多国間の協調以外に道はないのだ。歴史からくみ取るべき教訓を見誤ってはならない。

 社説より
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高齢者の肺炎予防。5年に一度はワクチン接種を
高齢化が進み、肺炎による死者数が急増しています。2011年には、がん、心臓病に次ぐ、日本人の死因の3位になり、年間約12万人が命を落としています。65歳以上になると、肺炎による死亡リスクはぐんと高くなるためです。
高齢者の肺炎は、命を奪う危険な病気だという認識を持ち、予防が重要だ。
肺炎は主に、肺炎球菌やマイコプラズマなど様々な最近の感染が原因で起こる。若いうちは、抗菌薬による治療ですぐ良くなり、命を落とすことはほとんどない。
一方、高齢者はいったん発症すると何度も再発を繰り返す人が多く、命にかかわる。薬が効かない場合もあり、まずはかからないようにすることが大切だ。
もっとも有効とされるのが、原因の3割を占める肺炎球菌のワクチン接種だ。65歳以上では5年に1度、接種することが望ましい。
特に、インフルエンザにかかった後は肺炎にかかりやすいので、肺炎球菌とインフルエンザのワクチンをあわせて接種しておくとさらに効果的という。
今のところ公的な定期接種の対象ではないが、自治体によっては接種費用の助成もある。
口のなかを清潔に保ち、入れ歯の調子を整えるなどのケアも重要だ。高齢になると、食事のときにむせたり、寝ている間に唾液が気管に入ってしまったりして、口のなかにいる細菌が肺に入って肺炎を起こすリスクが高まる。
粗食を好み、肉や動物性脂肪をとらない人は要注意。たんぱく質などの栄養が足りない状態になると体力が落ち、肺炎にかかりやすくなる。高齢者は積極的に脂質、たんぱく質を取るべきだ。喫煙者や糖尿病の人も、肺炎のリスクが高い。
高齢者の肺炎は、素人目には一見、ただの風邪と区別がつかないことが多い。あまり熱が高くなくても、ぼんやりしているなど、周囲の人が見て少しでも「おかしいな」と感じるところがあれば、積極的に医療機関を受診させるようにしたい。

 体とこころの通信簿より
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西に六本木ヒルズ、東には東京タワーを望む小高い丘。
カルロス・ゴーン被告が昨年末まで暮らした家は、東京屈指の邸宅街でもきわだって豪壮である。三が日ながら、周囲の家々と違って玄関に門松やしめ飾りはない。
中東で取材中の同僚によると、レバノンの首都ベイルートにある被告の家も目立つ大邸宅だ。外壁はピンクで、窓が青で統一されているそうだ。日本からざっと9千㌔、どんな手段で移動したのか。
地元レバノンのテレビは「楽器の箱に身を潜めて日本を出た」と報じている。いわく、東京の家にクリスマスの音楽隊を装った一行を招き入れ、楽器を運ぶかに見せかけて、日本の地方空港からまずトルコへ発ったという。
この報道を見た瞬間、いくつもの映画が頭に浮かんだ。巨匠ヒチコックの映画「引き裂かれたカーテン」の主役は、バレエ団の衣装箱に身を潜めて脱出。スパイ映画007では、主人公がチェロのケースをソリ代わりにして雪原の国境を突破する。
策を練ったとされる妻キャロルさんだが、楽器説を「作り話」と一蹴。ひょっとして被告は、保釈の際もののみごとに失敗した変装の術を高めていたか。決行の1週間前ほど前、東京の家を訪れた友人に「驚きの結末を迎える」と笑顔で語ったと米国で報じられた。謎は深まる一方だ。
あくまで潔白を言うなら、日本の法廷で堂々と主張すべきだろう。多くの人を欺き、姿をくらますとは嘆かわしい。それにしても映画さながらの脱出劇、奇っ怪なり。

 天声人語より
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理想的な健康長寿の姿、それに近づくための心の持ち方
まず「健康」という言葉そのものについて考えます。「健」の字には、建物の「健」が含まれます。地震で倒れない、しっかりした建物を建てるように、「人間の体を健やかに保つにも、強い土台が必要だ」と解釈できそうです。
次に「康」というと、260年続いた江戸幕府の礎を築いた、徳川家康の名が思い浮かびます。「啼くまで待とうホトトギス」と詠んだ、という逸話があるほど、家康は気長で心に余裕のある人物だったと言われています。漢和辞典を調べると、康には「すこやか」「やすらか」といった意味があるようです。健やかに、安らかに。気長に、余裕を持って。そんな心の持ち方が長生きのコツでしょうか。「人生50年」と言われた時代、家康は70年以上、生きたことが分かっています。
では、長生きしたら、毎日をどう楽しむか。「今までやったことがないことをやってみる」。それに尽きます。挑戦するかしないか、迷う前に、「新しいことに挑戦する毎日」を習慣化してしまえばいいのです。

 あるがまゝ行くより---日野原重明
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鳥のようにふわりと舞い、ビルの谷間を飛び交う----。
1982年公開の米映画「ブレードランナー」では、車がいとも簡単に空を飛んだ。
驚くことに、2019年という時代設定だった。
「残念ながらあの世界はまだ実現していません。ですが、永遠にかなわぬ夢物語ではありません」と話すのは電子部品製造、TEジャパンの櫛引健雄さん。米国で開発中の空飛ぶクルマに出資し、2月の国際飛行レースに挑む。
3年後の販売開始を宣言した会社もある。トヨタ出身の若手技術者らが立ち上げたスカイドライブ社だ。「鎌倉の自宅から六本木の職場まで30分で飛べるクルマ」を目指す。
愛知県豊田市にある開発拠点を訪ねると、もとは消防署の車庫だった。実験装置や工具が所狭しと並ぶ。試作機の部品もごろごろ。代表取締役の福澤知浩さんは「40年後には空飛ぶクルマがまちがいなく移動手段の主役になる。地上を走る車は珍しがられる時代が来ます」ときっぱり。
福澤さんの予測によれば、10年後には救命や災害に欠かせない存在になるという。技術や安全性、法整備などハードルはなお高いが、話を聞きつつ思い浮かべたのは、すばやく快適な中空の通勤。休暇の遠出も渋滞知らず。想像するだけで心が躍る。
新しい年が始まった。昨年は災害や火事が重なり、大みそかにはゴーン被告の逃亡という驚きのニュースもあつた。今年はどうか、空を自在に舞うような見晴らしのよい年となりますように。

 天声人語より
ほとんどの車が空を飛べは空が今の地上のように渋滞になるのではないのか。飛ぶには飛行許可がいるのではないのか、毎日飛ぶ前に陸運局へ請求するのか。何も考えずこんなコラムを買い貰っては無責任だ。
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歌人の故・河野裕子さんの晩年は、乳がんとの闘いだった。
64歳で亡くなる直前まで家族の歌を詠み続けた。<お母さんと言はなくなりし息子にお母さんはねえとこの頃く言ふ>。病床での会話だろうか。書く力すらなくなると、夫や子供たちが口述筆記をした。
体を病んでいても健やかな歌を作りたいと、最晩年のエッセーに書いている。「病気をしていても健やかであり続けることは、大きな広い場につづく道があることを約束している」。そんな予感がしきりにするのだと。
小林麻央さんのブログも、闘病のつらさをつづりながら明るさを失わなかった。20日には搾ったオレンジジュースを毎日飲んでいると書き、こう加えた。「皆様にも、今日笑顔になれることがありますように」。それが最後の記述になり、34歳で旅立った。
「与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは、やめました」。昨年、英BBC放送にそう寄稿しました。家族を愛し、家族から愛される日々を大切にする。ブログでは200万を超える読者とつながった。
日本の女性の11人に1人がかかると言われる乳がんは、だれにとっても遠い存在ではない。そして、がんに限らず「病と生きる人生」はいつでも訪れる。そのときも自分を失わず、強くやわらかくり続ける。心の構え方を小林さんから教えられた気がする。
訃報の後、ブログによせられた数多くのコメントのなかに「ゆっくりやすんでください」の言葉があった。それを静かに、口にする。

 天声人語より
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「多事多忙につき心外ながら音信を欠いた--年賀の手紙も遅れ、謝罪申し上げる」。
郵便制度の父、前島密がそんな年賀状を出したことがある。明治9年の1月11日付。切手やはがきという呼称を定めた張本人でも、年賀状を出し遅れるのかと意外だった。
前島の直筆と判明したのは6年前。部下だった滋賀県草津市の山内頼富宅で見つかった。別の年賀状では、高官が疑獄で辞任し、駅逓寮にも「大風波」が起きたと素直につづっている。
書状を研究する八杉淳・草津宿街道交流館長によると、山内は西日本全域の郵便を統括し、前島の信頼が厚かった。だが管内で郵便物の紛失や手形の抜き取りが続き、辞任に追い込まれた。この年末にも郵政3社社長がそろって辞任を発表したが、昔もいまも郵政事業はゴタゴタと縁が切れないらしい。
年賀状を交わす習慣が広まったのは明治20年ごろ。30年代になると、年末に投函すれば正月1日の消印で年明けに配達される制度が定まった。郵政博物館によれば、明治の初期は三が日に賀詞をしたためるのが一般的だったという。
前島は今年、没後100年。直筆の年賀状には虫食いの跡があるものの、すばやい筆致で文意は明瞭、説得力に富む。維新直後の混乱期に剛腕をふるって郵便制度を構築した人の息づかいが行間から聞こえる。
さて今年もいよいよ残り少ない。後世の研究家に年賀状の遅れた原因をあれこれ推理されぬよう、投函はなるべくお早めに。

 天声人語より
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大豆は乳がんのリスクを下げる
大豆には女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持つ植物性エストロゲン
の「大豆イソフラボン」が含まれることはよく知られている。乳がんの発症
には体内のエストロゲンが関係していると言われ、イソフラボンはこのエス
トロゲンが作用するのを抑えると期待されている。
厚労省の研究班によると40~59歳の女性2万1852人を対象に、大豆製品を食
べる量と乳がんの発生率を追跡調査した。みそ汁を飲む量が1日1杯以下の人
が乳がんになるリスクを1とすると、3杯以上飲む人の危険性は4割低かった。
大豆製品から換算した大豆イソフラボンの摂取量を比べても、摂取量が多い
人ほど乳がんの発生率は低かった。
一方、食品安全委員会が06年、大豆イソフラボンの過剰摂取はホルモンバラ
ンスを崩す恐れがあるとして、特定保健用食品として1日に取る量を「30㍉
グラムまで」とした。
栄養補助食品でイソフラボンだけを大量に取るのは勧められないが、大豆製
品を日常的に食べることは問題ない。

 食の健康学より----宮島裕美
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このところ老眼が進み、細かな文字が読めなくなった来た。老眼鏡をかけても、数字の3と8、「は」と「ほ」が区別できない。
「珠玉」を「埼玉」と読み違えて赤面したこともあった。
私と似た悩みを抱える人たちにやさしい文字があると聞き、開発者の小田浩一・東京女子大教授を訪ねた。共同印刷から依頼され、びっしりと並んでも読みやすい字体を4年前に完成させた。
実験では、文字の大小や間隔、配色などを変えて、若者や高齢者延べ200人に詠み比べてもらった。「時計が時をきざむ音が/かちかちと良くひびく/しずかな部屋なのです」。そんな例文をなんび、何千と用意し、読む速さ、誤読の多寡を調べた。
例文がどれも無味乾燥なのは、随想や詩歌だと読み手の感情が揺れ、読む速度に影響してしまうから。「被験者のみなさんには退屈で過酷な実験でした」。できあがった書体は」小春良読体」と名付けられた。銀行の利用明細や薬の効能書きなどに採用されているそうだ。
印刷された文章を読んでみる。おなじみの明朝体やゴシック体に比べると、漢字が縦に長い。濁点と半濁点が大ぶりで、ひらがなには独特の丸みがある。字間にゆとりがあって、たしかに読みやすい。
悪くなる一方の目に困り、眉間にしわを寄せて文字と格闘してきた当方だが、これなら苦手の3と8、「は」と「ほ」も混同せずにすみそうだ。目にやさしい漢字もや数字、仮名やアルファベットの列に少し安堵した。

 天声人語より
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背骨の圧迫骨折はビタミンDと運動で予防しよう
背中が丸くなり、身長が低くなった。背骨の一部が出っ張ってきたと感じたり、午後になると背中が痛んだりする。そんな症状のある人は、背骨がじわじわと潰れて変形する圧迫骨折を起こしているかもしれない。高齢者の場合、骨がスカスカになる骨粗しょう症が原因のことが多い。
背骨は、12個の腰椎と5個の腰椎という骨が連なってできている。胸椎や腰椎の高さが、どれか一つでも、元の高さより20%以上減っていると圧迫骨折と診断される。痛みがあるのは3分の1だけ。痛みがなく、気づかないまま潰れていることも多い。
起きやすいのは、胸椎と腰椎の境目付近。腰の少し上あたりだ。骨折すると、変形したまま固まってしまう。骨粗しょう症で骨が弱くなった高齢者だと、尻もちをつく程度の衝撃で起きることが多い。
骨粗しょう症は高齢の女性や早く閉経した人がなりやすい。閉経すると、骨を壊す細胞の働きを抑える女性ホルモンが減るためだ。たんぱく質やカルシウム、ビタミンDの付則や運動不足もリスクを高める。遺伝の影響もあり、母が骨粗しょう症だと娘もなりやすい。
最初の骨折を防ぎ、骨折の連鎖を断つには、薬による治療だけでなく、適切な栄養と日光浴、運動療法が不可欠。骨の健康維持に重要なのがビタミンD。多く含む青魚や干しシイタケを意識してとりたい。日光浴も効果的だ。紫外線が皮膚に当たるとビタミンDができる。日焼け止めを塗らずに夏は30分、冬は1時間が目安。サプリメントで補う選択肢もある。
1日8千歩を週3日以上歩くと骨密度が増える。転ばない体づくりも大切だ。流し台に両手をおき、肩幅に開いた足を曲げたり伸ばしたりする屈伸運動がお勧め。足の指をグーパーと動かして足の感覚を磨く運動や、バランスをよくする片足立ちの訓練もよい。予防策を続ければ結果は出るのであきらめないことが大切だ。

 体とこころの通信簿より-----辻外記子
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江戸時代、年越しのお金に窮した町人たちは、大みそかになると上を下へのドタバタ劇を繰り広げた。
無心する、家財を売る、現場仕事で日銭を稼ぐ。井原西鶴の代表作『世間胸算用』は大みそかの悲喜劇を活写する。
「浮世草子なので誇張はありますが、富商から貧しい町人まで大みそかがどれほど大変な日だったかよくわかります」と広嶋進・神奈川大学教授は解説する。大みそかは、たまつた借金を返す収支総決算の日だった。
取り立て屋は「借金を返せないなら柱をもらう」と商家の玄関で木づちを振る。市で競りに付された仏像や古道具を、買い手らが盛んにからかう。借金のカタに妻を売った男は、愛に気づいて妻を取り戻し、涙ながらに年を越す。
小説の刊行は1692年。幕藩体制は安定し、三井や住友が商いを大きくし、大阪や京都のまちは活気にあふれた。年の終わりの一日に時計の針を定めた斬新な作風は大評判を呼んだ。
西鶴いわく、大みそかは「金銭なしでは越せない峠」。何とか越そうと人々はあがいた。あがくほどに欲が出て、うそを重ねてしまう。この日ならではの重圧下で浮き彫りになる人間の弱さ、愚かさ、不合理さは、いまを生きる私たちと少しも変わらない。
大掃除が終わらず慌てる人、勉強が進まず頭を抱える受験生。私のようにあくせく働く方もおられよう。今年と来年の間に立ちはだかるきょうはなるほど「峠」そのもの。気ぜわしくもいとおしい特別な日である。

 天声人語より
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