2019年12月の記事


胃潰瘍や動脈硬化などを防ぐ梅のパワー
梅干しは、昔から健康に良いというイメージが伝えられていますが、日本一の産地、和歌山県では最近、科学的な証拠が集まりつつあります。
「梅はその日の難逃れ」のことわざのように、梅干しを朝に食べると、病気などを免れると、昔の人は経験から伝えてきた。和歌山県立医大の宇都宮洋才准教授によると、梅の産地みなべ町などで聞き取り調査をしたら、「動脈硬化を防ぐ」「胃潰瘍になりにくい」「かぜをひかない」「疲れがとれる」など数え切れないほどの伝承があった。まるで「万能薬」だが、本当だろうか。
マウス実験では、梅エキスが動脈硬化を引き起こす血管の筋肉の肥大を防いでいることがわかった。
宇都宮准教授は梅に含まれるポリフェノールの一種「リグナン」に着目。胃潰瘍の原因となるピロリ菌の培養液の中にリグナンを加えたら、変形したりしてピロリ菌の働きが弱まった。
ピロリ菌の働きを半分に抑えるには、梅干し5個分相当のリグナンが必要だったが、「1、2個分でも効果はある」という。
また、インフルエンザウイルスが感染した培養細胞にリグナンを加えたら、ウイルスの増殖が抑制されることもわかった。
梅の有効成分はリグナンだけではない。近畿大生物工学部の三谷隆彦・元教授が見つけた別のポリフェノール「ヒドロキシ桂皮酸」にも、高血圧防止やウイルスの増殖を抑える効果があることが分かってきた。
ただ、数々の健康効果があるからといって、たくさん食べれば良いわけではない。梅干しには10%程度の食塩が含まれている。1個10㌘だと1㌘に上る。
厚生労働省が定める1日の塩分の摂取目標量は、成人男性9㌘未満、女性7.5㌘未満だ。
1日の食事全体で塩分を調節しなければいけない。梅干しは1日2個程度を目安に。増やす場合には他のメニューの塩分を抑える工夫が必要だ。
さて、観梅の季節。梅林の花の香りにも、梅パワーは秘められている。和歌山工業高等専門学校の奥野祥治准教授によると、香り成分のベンズアルデヒドに抗菌作用がある。梅干しにも同成分があり、「日の丸弁当が傷みにくい理由の一つではないか」とみている。

 元気のひけつより-----野中良祐
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歌舞伎の「舞い納め」という言葉は、一つの興行のの終わりだけでなく、1年の終わりにも使われる。
華麗な舞だったか、てんてこ舞いだったかは別にして、1年の仕事をきのう納めた方も多かったのではないか。
そしてきょうあたりから、おみやげを手にふるさとに向かう人の姿が目立つだろう。この時節になると読みたくなる詩が、まど・みちおさんの゜おみやげ」である。あかのち笑顔に接した「わたし」のうれしさから、詩は始まる。
〈なんだか 足が軽いと思ったら さっき電車の中で 知らないよその赤ちゃんが 笑いかけたのだった〉。かわいらしい笑顔を忘れないように努めながら、わたしは思わず急ぎ足になる。母のいる家に向かって。
〈父がいなくなった家で、ひっそり 待っている母に そのおみやげを はやく見せてあげたくて〉。おみやげは、もちろん赤ちゃんの話。詩はここで終わるが、ほほえみながら聞くお母さんの姿が浮かぶ。帰省してくる子どもや孫たちのみやげ話を待っている人が、日本中にいる。
お正月はやっぱり休もう。そんな動きがじわじわ広がっているという。ラーメンチェーンやレストラン、スーパーなどで元日休業を決める例が相次いでいる。当たり前のことが人手不足に背中を押され、ようやく実現している。楽しいみやげ話の場が、増えることだろう。
カレンダーをながめると、この年末年始は、これ以上ないような絶妙な曜日の並びである。ゆっくりできる方は、どうか十分に。

 天声人語より
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般若心経とは
般若とはすばらしい知恵のこと。そして波羅密多とは六波羅密多、すなわち
自分よりも他人の救いを先にする「大乗の菩薩」という考え方による実践の
徳目です。
人間は生前の行いによって、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天という6つ
の世界に生まれ変わります。人間よりも下に落ちるのを救うためには、布施
、持戒、忍辱(にんにく)、精進、禅定、智慧という6つの修行をして、成
仏しなければなりません。
布施とは、僧にお経をあげてもらったときや寄付をする際に差し上げるお金
などの財物のことです。布施はお金に限りません。相手の不安をなくす、や
さしいまなざしや言葉などもあります。
持戒とは、戒を持つこと。これを十戒といい、具体的には十戒善を差します。
不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋
恚、不邪見。
忍辱とは、辛抱すること。
精進とは、一生懸命努力すること。
禅定とは、坐禅を組んでこころを落ち着けることです。
6つの修行をすると、智慧が出てきます。これが"般若"です。
仏様の場合、「智慧」と書きます。"知"の下の"日"は、宇宙の真理を指しま
す。
この6つのことを修行することを「六波羅密多行」といいます。こうするこ
とで自身が成仏する助けになります。
お仏壇に水、塗香(ずこう)=塗香(ずこう)は非常に細かい粒子のお香で、
塗香入(ずこうい)れに入れて用います。小麦粉にも似た触感があり、少量を
手に塗り、その香りを吸い、仏前で自らの心身を清めるために使用します。
花、線香、飯、ローソクの6品をお供えするのは、六波羅密多行を知らずに
亡くなったご先祖様に、6つの修行をすることで成仏できることを知らせる
ためです。
水は布施(感謝する気持ち)、塗香は持戒(よいことに励む)、花は忍辱
(怒りやすいこころを鎮める)、線香は精進(怠けごころをなくす)、飯は
禅定(こころを落ち着かせる)、ローソクは智慧(人間の悩めるこころを智
慧の光で明るくする)を表しています。これら6つをお供えすることを六種
供養といいます。お仏壇にお供えをして、お仏前でお経を唱えます。こうす
るこによってご先祖様が成仏できるのです。
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漫才の源流にあるのが、「太夫」と「才蔵」の2人によるかけあいだ。
江戸期には家々を回って芸を披露し、米や金などをもらっていたという興味深いことに、太夫がツッコミ、才蔵がボケという役割分担が早くからあった。
鶴見俊輔著『太夫才蔵伝』では「太夫が正統、才蔵が異端」と整理している。太夫が原稿通りの口上を述べ、才蔵がまぜかえす。太夫はまじめそうで鷹揚、才蔵はせつかちでとんま。今も通用しそうな性格付けだ。
正統もまじめも、それだけでは笑えない。だから漫才の花はボケ役。そう思い込んでいたが、年末恒例の漫才番組「Мー1グランブリ」を見て揺さぶられた。まじめで一生懸命という感じのツッコミが、それゆえに笑いを取るのだ。
優勝した「ミルクボーイ」は、ボケの一言二言からツッコミがどんどん発想を広げていく。3位の「ぺこぱ」になると、ツッコミが考えすぎて、つっこむこと自体をやめてしまう。ご覧になった方はわかつてくれるか。
「ツッコミ至上主義」という見出しの記事があった。今年のМー1で「ツッコミ役が主導権を握るいまの漫才の潮流を感じた」という。ツービートなどボケの力が圧倒的だった頃の漫才ブームを知る身からすれば、革命的な変化だ。
今年の政界も経済界も腹の立つことが多く、小欄もツッコミを入れてきたつもりだ。いやストレートに怒るばかりでは能がない。ツッコミにも芸がいるとМー1に教えられた気がする。精進せねば。

 天声人語より
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物忘れをすれば新しいものが入りやすくなる。
集めた情報で身の回りを固めていると、人間は干からびていく。情報はどんどん捨てる方がいい。
といっても人の記憶はままならない。「覚えようとするものは忘れがちなものだが、忘れようとするものはなかなか忘れられない」。自分の記憶ですらこうだから、人様の記憶などおよそ思い通りにいかないと考えるのが普通だろう。
ところが最近、「忘れられる権利」が話題になる。自分に関する不都合な情報をネット上から消させる権利、つまりは人様に忘れてもらう権利だ。欧州では、以前のトラブルについて新聞記事がずっとネットに残り、不利益を被った人が訴えて、5月に検索結果の削除が認められた。
日本でも似た争いがある。自分の名前を検索すると犯罪に関わっているかのような結果が出て、生活が脅かされている。そんな申し立てに東京地裁は先日、人格権の侵害を認め、削除を命じた。検索最大手のグーグルが、この命令に従うと表明した意味は大きい。
仮想世界を漂う「記憶」は時に凶器になる。その適切な取り扱い方を確立すべく、試行錯誤が続く。

 天声人語より
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族議員という言葉を耳にするのが以前より減った気がする。
厚労族や道路族など特定の分野に強い政治家のことだが、政策が官邸主導になり発言力が低下しているのかもしれない。もちろん消えたわけではなく、年末には予算獲得に動くさまが報じられる。
「カジノ族」という言葉があるかどうか知らないが、そう呼びたくなる政治家である。衆院では内閣委員会の委員長としてカジノ解禁法案を押し通し、その後は国土交通省や内閣府の副大臣として制度作りに関わった。その人、秋元司容疑者が収賄容疑で東京地検に逮捕された。
日本でのカジノ参入をめざす中国企業から、現金を受け取つていたという。事実であれば、あまりに分かりやすい汚職の構図である。秋元容疑者は金の受け取りを否定しており、今後、地検との攻防になる。
容疑者のホームページからつながる動画サイトでは、カジノへの熱がうかがえる。2011年にはすでに「モノ、カネを日本に呼び寄せないといけない」「カジノには大きな魅力が隠されている」と語っていた。その姿勢ゆえに安倍政権で重用されたか。
いくつもの疑問にフタをしつつ、進んできたカジノである。ギャンブル依存症の人が増えるのではないか。ノウハウのある外国企業ばかりに、もうけさせるのではないか---。政界の裏側でおかしなカジノマネーが動いているのでは、との疑問が新たに加わった。
立ち止まって考え直すべきだ。そんな確信をさらに強める国会議員の逮捕劇である。

 天声人語より
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スマホの通信量節約、無線LANの活用を
携帯電話の通信費が政府レベルで問題になるこのごろ。長男が驚くようなことを言った。「すまをほ家でWi-Fiにつないでいない友達、けっこう多いと」。
動画や音楽のストリーミングなど、スマートフォンで人気のサービスの多くは、大量のデータ通信を必要とする。例えば国内最大規模の動画サービスdTVの場合、4段階中2番目によい画質を選ぶと、1時間ドラマを12話見たら約7?バイトの通信料になる。スマホの1カ月の通信料の一般的な上限だ。このためdТVやアマゾン・プライム・ビデオなどでは、作品を事前にスマホにダウンロードし、出先では通信をほとんど使わず視聴できる機能を備えている。その前提となるのが、家庭に無線LANがあることだ。
だが総務省の通信利用動向調査によれば、2014年末のブロードバンド回線接続世帯の無線LAN利用率は73.7%、これがスマホ保有世帯では68.9%に下がる。また家庭に無線LANがあっても、家族全員がスマホを接続しているとは限らない。「自分の家族はスマホで無線LANの設定をしない。携帯電話の通信量上限も知らないらしく、『スマホが遅くなる』と言っている」と嘆く人もいる。パソコンと違い、スマホは家庭内回線なしでネットに接続できてしまうためだろう。だがそれでは、スマホの通信量は天井知らずになる。
スマホの無線LAN接続は難しくない。
すでに無線LANルーター(親機)がある場合は、スマホの設定画面で「Wi-Fi」の項目をタッチすると、SSIDと呼ばれる親機の識別記号が表示されるので、それを選んでパスワードを入力する。SSIDとパスワードは親機のマニュアルなどに書いてある。これだけで家の中でスマホが通信し放題だ。無線LANがなくても、家にネット回線があれば、無線LAN親機を購入して回線に接続、同様の操作をすればいい。3~4部屋以上の家庭なら、1万数千円の高性能のものがよい。「11ac」という最新の高速通信規格に対応した製品がおすすめだ。
スマホの通信費の高さや通信料がすぐに上限に達することが問題になるが、無線LANを使っていないことが、その隠れた原因の一つかもしれない。この際、家族が自宅でスマホを無線LANに接続しているか、点検してみてはいかがだろうか。

 ネット点描より
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英国のロックバンド、ポリスのヒット曲に「孤独のめっせー」がある。メロディーも歌詞も、思い出すだけで切なくなってくる。
無人の島にひとり流れ着いた男が孤独に耐えきれず、「SOS」と書いた紙をびんに入れて、海に流す。
ぼくはSOSを世界に送るんだ。ぼくはSOSを世界に送ろう。誰か拾ってくれないだろうか。ボトルに入ったぼくのメッセージを拾ってはくれないだろうか---。深い疎外感が伝わってくる。
クリスマスシーズンのいま、英国で見っかったメッセージは、誰がどんな思いで書いたのか。大手スーパーのテスコで売られていたクリスマスカードに「助けて」という書き込みがあったと、報道で知った。
自分たちは中国・上海の刑務所にいる外国人受刑者であり、「意思に反して働かされいる。助けてほしい」と英語で記されていたという。カードが強制労働で製造されていると読めるが、中国外務省は「でっちあげだ」と否定した。調べるのが先ではないかと、この国の政府に行ってもせんないことだろうか。
経済のグローバル化とは、知らない国で知らない誰かが作ったものと日々つきあうことである。多くの人に恩恵をもたらす一方で、ときおり闇がのぞく。児童労働の告発であったり、生産現場の事故であったり。
テスコはカードの製造・販売を取りやめ、事実関係の調査を始めたという。刑務所からのメッセージが事実なら、発するだけで勇気のいる行為だったはずだ。闇に目をこらしたい。

 天声人語より
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福島第一の廃炉工程
約2年ぶりに改訂。
1、2号機の使用済み燃料プールからの取り出し開始が1号機で4~5年、2号機で1~3年遅れることになった。
全体で30~40年かかるという大枠はそのまま維持。

紙面より
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作家の岡本かの子は1930年代にベルリンに住み、クリスマスを控えてにぎわう街を目にしている。
森から切り出してきたモミの木が街頭に並べられ、農夫の手で売られていた。
周りの雪景色とあいまって、小さな林が出現したように見えたのだろう。「道端、街角、寸隙の空地、あらゆる所に樅の小林が樹ちます」と、随筆「伯林の降誕祭」に書いている。それぞれの家がツリーを飾る習慣など、日本になかった時代である。時間をかけて、クリスマスの様々な習わしが入ってきている。
最近でいうとドイツの温かいワインがある。グリューワインと呼ばれ、赤ワインに香辛料などを加えて温めた酒は、いかにも寒い国らしい。屋外に店が並ぶクリスマスマーケットとともに、日本でも少しずつ見られるようになった。
だいぶ前、12月のドイツを訪れたときにマーケットの屋台で味わったことがある。マグカップであおると、氷点下の寒さから一気に解放されるような気分になった。燗酒の一種と考えれば、日本にも案外なじむかもしれない。
手元の歳時記をめくると、ホットワインが冬の季語に入つていた。残念ながら句作の例はなかったが、もしこれから広がっていけば、佳作も期待できるか。
日本文化のありようを「雑種文化」だとしたのは、評論家加藤周一の慧眼である。ここ数年もハロウィンの広がりなど、雑食ぶりは健在だ。節操なき嫌いはあれど、目も耳も舌も、楽しく味わえるものが増えることは悪いことではない。

 天声人語より
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辺野古移設問題
もう「唯一の解決策」とは言い張れまい。
政府が辺野古の完成まで、あと12年と再試算。
「一日も早い普天間の危険除去」はどこへ。
既に返還合意から23年も過ぎている。

素粒子より
その遅らせたのはたれだ。けっして政府ではない。
それを棚に上げてこの意見はおかしい。
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トランプ米大統領の弾劾訴追が決議されて以降の英字紙をめくっていたら、「energize」の単語が目についた。
活力を与えるという意味で、今後の弾劾裁判ゆえに、大統領選でトランプ陣営が活気づくかもしれないとの議論がある。
活気? 打撃ではなく? 戸惑ってしまうが、トランプ氏率いる共和党がかえって一つにまとまり、選挙運動に力が入るかもしれないとの見立てらしい。訴追決議には共和党議員すべてが反対し、一人の造反も出なかったことが結束を物語る。
「イエス・キリストが裁かれた時のほうが、今回のトランプ氏よりもまだ権利を保護されていた」。そう語る共和党議員すらいるという。悲劇の主人公にでもするつもりか。
驚くのに疲れてしまう。そんなあうに言いたくなるのが今の米国政治だ。大統領選のライバルになりそうな人物の疑惑を調べるよう、トランプ氏がウクライナ首脳に電話で求める。軍事援助の見返りをちらつかせながら。そんな信じがたい通話記録が9月に明らかになつた。
不思議なのは、このウクライナ疑惑が大統領の支持率にほとんど影響していないことだ。国のなかの分断があまりにも深く、批判に耳を傾ける姿勢はすでに失われてしまったか。
訴追に至る過程では、いい意味での驚きもあった。議会の公聴会で、大統領の疑惑を裏付けるような証言が政府高官たちから続々と飛び出した。権力者にひるまない官僚が米国にはまだいて、小さくはない活力を政治に与えている。

 天声人語より
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カジノ問題
マネーがうごめく。
ギャンブル融資にありそうな展開だな。
野党がギャンブル禁止法案を提出するそうな。

紙面より
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50代半ばになると「地域デビュー」という言葉が気になってくる。
定年後に趣味などを通じ、それまでつきあいの薄かった地域社会に関わっていくことを指す。その際に絶対やってはいけないのは現役時代の肩書をひけらかすことだと、よく目にする。
自分は大きな会社の部長だったなどという風を吹かせれば、周りがしらけてしまうからだ。となると、このお方も、近所にいたらうっとうしいタイプに違いない。総務省の元事務次官、鈴木康雄氏である。
役所を離れ、日本郵政副社長となつた今も、かつての肩書を高く掲げていらっしゃるようだ。NHKがかんぽ生命の悪質セールスを追及した時には文書で抗議し、放送行政に携わった経歴をわざわざ明記した。
地域社会と違い、うっとうしくてもむげにはできないお立場らしい。NHKは続編の放送を見送った。そして新たに現れたのが情報漏洩の問題である。総務省の現職事務次官がかんぽの不正をめぐる行政処分の検討状況を、先輩である鈴木氏に逐一伝えていたという。
情報を早めに取り、処分を軽くすべく根回しでもしようとしたのか。経緯や動機は現段階では想像するしかないが、絵に描いたような官民の癒着である。いや、もしやこの人たちは官民の境目すら意識していなかったか。
民間のいいところを取り入れるのが民生民営化だったはずだ。しかし一連のゴタゴタを見ていると、役所の悪いところ、民間の悪いところを集め、濃縮しているように見えてならない。

 天声人語より
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原発の汚染水
前例のない「事故原発の廃炉」に挑む。
なのに汚染水は前例踏襲で、海か大気へ放出するか。
ずっと何十年も。

素粒子より
陸上で何十年はだれが考えても無理がある。
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米映画「ウォー・ゲーム」の主人公はコンピューターを自在に操る高校生。
生物の教師からFの成績を付けられて納得せず、教職員用のシステムに忍び込み、成績をCに書き換えてしまう。
映画を地で行くような事件が、新潟県の中学校で起きた。生徒が教職員用システムに接続し、自分の成績表を複製。社会や美術の評定を高く変えて印刷し、親に渡していた。今月、警察は生徒を書類送検した。
「学校の管理が体制が甘かった」と学校側は陳謝したが、独力で侵入した中学生の手際にはいささか驚く。遠隔操作用のアプリを使って自分のスマホから不正接続していたという。どんな技法か当方は見当すらつかない。
手にとってみたのは漫画「ブラッデイ・マンデイ」。主人公の少年は、中学生のころから驚異的なハッキング能力を発揮し、公安調査庁の情報収集に加わる。高校では、その技術で首都を破壊するテロを未然に防ぐ。ハッカーといえば犯罪者を想起した時代は去った、と漫画を読んで実感する。
通信システムを悪意ある攻撃からどう守るのか。政府はサイバー技術者の養成に本腰を入れる。人々が幼いころからネットに浸りながら育ついま、攻防はこの先、さらに激しくなる。危険な侵入から防御できる人材の育成はまさに急務であろう。
「好奇心の方が勝り、続けてしまった」。新潟の中学生が口にした反省の弁だ。不正アクセスの責任はもちろん重いが、せっかくの腕前である。今後は善用されますよう。

 天声人語より
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汚染水の処分案
処分の方法を事実上二つに絞り込んだ。
海洋放出と大気放出。
現在考えられる最適な方法だと思う。
漁業者の反対があるだろうが、陸上でいつまでもタンクに保存しているよりは、安心感がある。

紙面+私の意見
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前世紀の初め、ハンスという馬が欧州の話題をさらった。計算や日数などを問われ、前足を鳴らす回数で正解を連発。
天才馬ともてはやされたが、後に、飼い主の表情の変化を察知した行動とわかる。
「ハンスのような芸当を仕込むのはむずかしくありません。馬は身近な人の目を読み取ります」。そう話すのは調教師の国枝栄さん。今秋、自著『覚悟の競馬論』を出したばかりだ。
馬は鋭い視覚や聴覚を駆使し、次に何が起こるか予測する。出走ゲートに入る練習をさほど嫌がらないのは、その後にレースがないと知ってのこと。馬運車に乗り込むと、これから始まる遠距離移動にげんなりして食も細るという。
走るのが宿命のサラブレッドながら、競走馬としての最盛期は4歳前後と若い。「大人になると走りたがらなくなる。全力疾走すると消耗が来るという道理がわかるからです」。
茨城・美浦にある国枝厩舎はいま注目を集める。歴代最強の牝馬との呼び声が高いアーモンドアイが、この日曜の「有馬記念」に出走するからだ。間近で見せてもらうと、意外にも柔和な顔つきである。目はトロンと眠たげで口元も穏やか。出走中とはまったく別の表情だった。「オンとオフの切り替えがとてもうまい馬ですね」と国枝さん。
これまで馬に接したことのない筆者は、馬にとってレースは心躍る晴れ舞台かと思い込んでいたが、見当外れだったようである。オンとオフを上手に切り替えられる者が輝くのは馬も人も同じである。

 天声人語より
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夜型生活取り戻すには、朝日を浴びる。
乱れた睡眠のリズムを取り戻すにはどうすればいいのか。
①朝に日光を30分ほど浴び、睡眠ホルモンに関わる体内時計をリセットする
②日中に適度な運動をし、夜とのメリハリをつける。
③胃や腸を休めた状態で眠るために、就寝の3時間前には食事を終わらせる。
④夜は強い照明を使わないで過ごす--などが効果的という。
また、乱れた体内時計を整えて規則正しい生活リズムを手に入れるために、毎日の睡眠時間を記録することを勧める。起床・就寝時刻や寝ていた時間、途中で起きた時間・回数を振り返り、できるだけ毎日同じリズムを繰り返すようにする。休日だけ起床時間が遅くなる場合は注意が必要だ。平日の起床時間と2時間以上ずれると翌週の前半は時差ボケの状態となり、心身への負担が増えるという。
体内時計が乱れたままだと、睡眠時間帯が日常生活に支障を及ぼす「概日リズム睡眠障害」になる恐れもある。「朝起きられないなどの症状は『やる気がない』『だらしない』と見られがちだが、治療が必要な場合もある。受診をためらわないでほしい、と話している。

 はぐくむより
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オーケストラの最後列に陣取り、雷鳴のような音を放つ打楽器ティンパニー。
圧倒的な存在感がありながら、出番は決して多くない。ともすれば脇役に見えるあの楽器の魅力をかねて知りたいと思っていた。
「たしかに楽器としては不器用なほう。音域は狭く、舞台で失敗しても各仕様がりません」と近藤高顯さん。新日本フィルハーモニー交響楽団で長く活躍し、『ティンパニーかく語りき』という著作をもつ。
神戸市出身の近藤さんは中学1年の春、ベルリンフィルの公演を聴き、音楽家を志す。だが、ピアノや弦楽器を習うには遅すぎた。トロンボーンき金属アレルギーで唇が腫れる。たどり着いたのがティンパニーだった。
東京芸大をへてドイツに留学。子牛の皮の張り方やバチの作り方まで学んだ。「公演中、ティンパニーの一撃で団員の気持ちを瞬時にまとめることができます」。指揮棒に次ぐ統率力があることから「第2のタクト」と呼ばれるそうだ。
ベートーヴェン「第九」、ホルストの「惑星」----。近藤さんに教わったティンパニーの名曲を聴き直してみる。嵐のような音が響くかと思えば、そよ風やさざ波を思わせる繊細な音も奏でる。徐々に強まる音は胸の高鳴りのよう。表現の幅は思っていたよりはるかに広い。
今年もまた各地で第九が演奏される季節になった。ホールへ足を運ぶ機会があれば、第2楽章におけるティンパニーの縦横無尽な活躍を堪能していただきたい。寡黙な巨人のように際立つ楽器である。

 天声人語より
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老後の健康、歩いて外出できる体力を
「団塊世代」が、10年足らずで75歳以上の「後期高齢者」となる。その後の人生の明暗は「歩いて外出できる体力の維持」にかかっている。家事をこなし、公共の乗り物で移動し、スーパーで買い物ができれば、一人暮らしも可能だ。外出できれば、近所の人とも交わり、草花や風のそよぎに季節を感じ、心も豊かになる。買い物をすれば計算もする。歩けなくなると一挙にそれらを失い、医療、介護の対象になる。
心身を動かさないと老化は加速する。そのターニングポイントは、男性の場合、定年退職時にある。ここで手を打つには、いわば「大人の義務教育」のように場が有用と考える。「定期的に歩いて外出する場」を提供し、地域とのコミュニケーションの構築、健康・調理などの知識と技術を習得することを目標とした授業をしてはどうだろうか。
歩いて通えることが前提なので、65歳前後の1~2年間、半日程度のコースで週に2回ぐらい学区の小中学校の空き教室に集まってもらう。
全員参加は、ホームルームと健康講座くらいにしておいて、パソコン、園芸、手芸などカリキュラムは工夫次第、講師もメンバーの中から出てくるだろう。栄養の整った学校給食を食べれば、筋力低下予防にも効果があるはずだ。
自治会などで対象者全員に声がけするが、親や孫の世話、仕事や趣味を理由とする不参加は可とする。だが、出欠届は義務とする。元気だけど、自ら積極的に出向かない人々を集めることで、点と点がつながり面となれば、子育てや介護、防災の一助にもなり、地域に飲み仲間やゴルフ友むだちもできるだろう。終了後は自主活動が継続すれば成功だ。地域差はでるだろうが、医療費や介護費の削減に向けて、市町村でこのような「大人の義務教育」に取り組むことはできないだろうか。

 オピニオンより-----健康運動指導士・山田佐世子
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国籍を超え、同じ桜のジャージに身を包むラグビー日本代表。「一心桜体」を体現したチームに列島がわいた。
ゴルフの渋野日向子選手は全英女子オープンを制して「覇顔溢笑」。新しいヒロインが誕生した。
住友生命が発表した年末恒例の「創作四字熟語」である。30回目を迎えた今年は、過去最多の2万編が寄せられた。歌人の俵万智さんが選んだ優秀作10篇と入選作40篇で、この1年を振り返る。
今年は台風の被害が東日本で相次いだ。千葉で電力インフラをなぎ倒した「電倒多難」は、今後の対策も前途多難。10月には、あちこちの河川で水があふれる「多川氾濫」が。
沖縄の象徴・首里城が猛火に包まれた。「范然城失」の多くの眼差しが、失意の深さを物語る。京都では卑劣な放火でアニメ制作に携わる36人もの命が失われ、世界中から「哀京乃意」が届いた。
隣国との関係は冷え切った。「韓係改善」の道筋がなお見えない。EU離脱をめぐり英国は「右英左英」の連続。今月の総選挙は離脱派が制した。国内では戦争のない平成が幕を閉じ、新元号の発表でお祭りムードに。国際平和ならぬ「国祭令和」だった。
作品の募集締め切り後のニュースで、小欄も練ってみた。アフガニスタンで多くの井戸と水路を残した中村哲医師。その献身に「灌漑無量」だった住民たちが、凶報に涙した。首相主催の桜を見る会で、問題が次々と。税金で地元の支援者をもてなす「桜飯振舞」にあぜんとした。追及は年を越えて続くか。

 天声人語より
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次の選挙狙いの
かなた弾劾訴追をも分断の道具に使う大統領。
こなた過去最大の予算の大盤振る舞い。

素粒子より
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おととい完結したNHK大河ドラマ「いだてん」では、最終盤に前回東京五輪の聖火リレーが登場した。
主婦が居間でやおら立ち上がり、キュウリを手に走者のまねをする。当時の人々の高揚わありありと思い起こさせた。
開幕前の紙面を開くと、「最終走者内定」の報は、ベトナム戦争の混迷を伝える記事よりも大きい。走者に選ばれた男性がけんかをして逮捕されれば全国版の記事になった。
岐阜県内を走った男性に取材した同僚によると、内定後に「200万円払うから代わりに走らせて」と頼まれたそうだ。事前の講習会では「聖火トーチと似た重さ」と説明された空の一升瓶を逆さに持ち、走法の指導を受けた。熱の入れようがよくわかる。
以前掲載された企画「10人の聖火ランナー」を読むと、最年少の女性ランナーは少女雑誌に紹介され、手紙が何百通も寄せられた。一方で「国威発揚に利用されている」と感じた走者もいる。
聖火が列島を走り出したのは占領下の沖縄から。地獄の地上戦からまだ19年、沿道で遺影を掲げる人がいた。広島の原爆ドーム前は市民であふれた。「平和国家に生まれ変わった日本を世界に見てほしい」。もくもくと機関車のような煙を吐くトーチは、そんな時代の熱気を体現していた。
来年の五輪に向け、東北からは津波の被災遺族が走者に選ばれた。九州では「くまモン」落選が報じられる。どんな人々が津々浦々に炎をつなぎ、世界にどんなメッセージを届けてくれるのだろう。

 天声人語より
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米国の弾劾裁判
トランプ大統領がついに弾劾追訴に。
21年ぶりで市場3回目。

紙面より
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馬たちが、騎手の乗った鉄製のそりを引いて走り抜ける。
途中、坂を上がりきれずにしゃがみこんだり、立ち止まって息を整えたり。コース脇の観客が歩いて追える速度で、懸命に前へ進む。北海道・帯広の「ばんえい競馬」が本格的なシーズンを迎えた。
起源は明治時代。農用馬の力比べをさせた祭礼にあり、馬がそりをひくことを「輓曵」と呼ぶ。戦後まもなく公営競馬として運営され、生産者が「孫の運動会より自分の馬が走る方がうれしい」と話すまでになった。
この地域では、馬は家族の一員だった。「伐採した木を運ぶのも、畑を耕すのも、買い物に出かけるのにも馬が必要でした」。NPO法人「とかち馬文化を支える会」の旋丸巴さんは話す。馬そりで花嫁を運ぶ風習もあった。
戦時中は「赤紙」ならぬ「青紙」で召集され、軍馬として戦地へ。戦後は農業の機械化と乗用車の普及で、馬たちは居場所を失う。多くは売られて食肉にされ、急速に数を減らした。
唯一の活躍の場となっている競馬事業も、バブルの崩壊後は廃止の瀬戸際に。この数年はネットでの馬券販売が好調で観客も増えてきた。旋丸さんたちは競馬のほかに、観光馬車や自然農法での活用策を模索。他方、生産者の高齢化による馬の「少子化」も深刻で先行きを懸念する。
競馬場を訪ねたのは零下に冷え込んだ先月中旬。親子連れや若い女性が目立つ観客たちは、大きく遅れた馬にも声援を惜しまない。ギャンブルの枠を超えた温かさを実感した。

 天声人語より
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日本郵政の問題
顧客を裏切った現場も現場だが、混乱に拍車をかけたトップもトップだ。
再生か、沈没か。
岐路に立つ日本郵政。

素粒子より
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新聞記者にとって朝の活動といえば「朝回り」である。
政治家や企業幹部などが家を出るところを早朝から待ち構え、質問する。むっとしたまま車に乗り込まれたことなど今もつらい思い出だが、世の中にはさわやかな活動もある。
ここ数年耳にするようになった「朝活」の名のもと、ヨガやダンス、ジョギングなどを楽しむ人たちがいるようだ。変わったところでは朝座禅や朝登山もある。ふだんと違う環境で気持ちをほぐした後は、仕事もはかどるか。
さわやかさのかけらもない朝活が、オフィスの片隅で行われていたらしい。データ消去を委託された会社の従業員が窃盗容疑で逮捕された。人目につかない早朝に出社し、ハードディスクを持ち出してネットで売りさばいていたという。
その中に神奈川県庁で使われていたものがあった。データの削除が不十分で、税金滞納者などの個人情報や役所の内部情報が残っていた。防衛省なども委託する業界大手だというが、悪意の個人が一人いればこのざまである。
個人情報に神経を使う時代になった。古い年賀状を細かく破って捨てるなど苦労している方も多いのではないか。パソコンのハードディスクも、自分の手でたたき割らないと絶対安全とはいえないのか。
事件が発覚したのはネットでディスクを買った人が不審に思い、復元ソフトで情報を取り出したからだ。消したつもりのデータが、ひょっこり現れる。こうした手法、桜を見る会の名簿にこそ総動員してほしいのだが。

 天声人語より
自分の手でたたき割ろうとしても簡単には壊れないようにできている。少々のハンマーでたたいてもびくともしないのだ。写真では裏蓋が開けられているが、これも普通にやっては開かない。ねじ穴などないのだ。
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大学共通テスト
記述式の狙いは分からぬでもない。
だが民間頼みの祭典など無理が多い。

素粒子より
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季語のなかには、すぐに季節を言い当てるのが難しいものがある。たとえば鹿。晩秋に雌の気を引こうと雄が鳴く。
その声のもの悲しさから、もっぱら秋に詠まれる。芭蕉の〈びいと啼く尻声悲し夜の鹿〉は、秋の風の冷たさまで伝わってくるようだ。
「身に入む」も秋の季語だと最近知った、身にしみいるように深く感じるという意味で、もともと秋に限る言葉ではない。それが次第に秋風と結びつくようになったという。季節の感覚は長いときをかけて、かたちづ繰られる。
初冬なのに秋の話を書きたくなったのは、いつも通る公園の葉が、最近ようやく深紅に染まったからだ。今年の紅葉はどこも遅れ気味なようで、気象庁によると、平年より2週間ほどずれ込んでいる地域もあるという。
カエデなどは、寒暖差が大きくなると冬の準備に入る。暦の上では秋になっても、暖かな日が多かったことが、色づきを遅くしたらしい。12月も半ばながら、まだ秋の美を楽しめるところはある。
季節のずれといえば、生サンマもいまが旬といわんばかりにスーパーで見かける。太平洋側の海水の温度がようやく下がり、水揚げが増えたようだ。「秋刀魚」の漢字をながめて、ふしぎに思えてくる年である。
それでも人の世はカレンダー通りに進む。深見けん二さんの句集をめくっていて、こんな句に出会った。〈年迫る迫はるることはいつもいつも〉。いつもの暮れとおなじ慌ただしさがある。いつもと違う風景に、癒されることもある。

 天声人語より
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大学入試試験
政権の無責任がまたも。
政治主導で始まり、政治の都合で見送られた英語民間試験。
政治の責任は問われぬまま。

素粒子より
政治というよりマスコミなどの横やりで中止になったと私は思っている。
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執行部がそう退陣し、代る役員すべてを縁のない外部から招く。
内部の混乱で機能不全に陥った全日本テコンドー協会が異例の再建策に踏み切った。五輪まで7カ月余りでの大なたに深刻さを実感する。
問題は代表候補選手が9月の合宿を大量辞退して表面化した。手続きミスで国際大会出場を逃したり、合宿や遠征で多額の自己負担を求められたり。代表コーチと所属チームの指導の食い違いも放置された。そんな状態への抗議だった。
だが、問題を話し合う理事会は紛糾するばかりで専務理事が辞任。テレビの情報番組でとりあげられる幹部の言動も、事態をこじらせた。教会には過去にも内部の対立で分裂を繰り返し、アテネ五輪では派遣中止に追い込まれ、選手が個人資格で出た歴史もある。
背景には、資金や人材の不足がある。それはボランティア構造の競技団体が抱える宿命的な課題だ。役員の多くは若い時から身銭を切り、休日返上で取り組んでいる。その自負は強固で他とぶつかりやすい。そこに同じ釜の飯を食べた選手時代の上下関係といった情実も加わり、実力者の独裁や極端な対立を生む素地となってきた。
新会長候補の木村興治さんは卓球出身。世界選手権の優勝者で、日本卓球協会では財政基盤の確立と若手育成の仕組み作りに注力した。「意見の言いやすい、風通しのいい組織に」という。
年末の総会を経て始まる改革には曲折も多かろう。似た境遇の競技も、少なくない。注目したい社会的実験である。

 天声人語より
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健康コンビニごはん、塩分減らす工夫を
厚生労働省の調査によると、50代は半数近く、60代は4割近く、70代以上は3割が習1回以上、コンビニなどの弁当や総菜を利用している。
高カロリーなものばかりだったコンビニ弁当も近年はサイズが小型化し、野菜を取り入れた総菜もぐんと増え、健康志向になってきた。
最大の課題は塩分です。特に50代以上は生活習慣病や高血圧の人が多く、塩分に注意すべき年代。解決策は、サラダや野菜を含んだ総菜を組み合わせることだ。多くの野菜に含まれるカリウムは、ナトリウムの排泄を促す効果があるからです。
また、ドレッシングや、麺類、おでんのおつゆを多めに残すこともお勧めします。
揚げ物もした味がしっかりついているので、ソースをひかえてもおいしく食べられます。

 きょうもキレイより-----平澤芳恵
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米国の辞書出版社メリアム・ウェブスターは年末に「今年の言葉」を選ぶ。
昨年は「正義」で、大統領の不正が問われる世相を映し出した。セクハラ揉んだ゜伊賀噴出した一昨年は「フェミニズム」だった。
例年に比べると今年は以外で、「彼ら」という何でもない代名詞である。男女に関係のない中立的な言葉として、近年よく使われるようになったという。女性差別さらには性的少数者への偏見を減らそうという思いが込められている。
もともとは複数形のtheyを単数のように使い、「he(彼)」「she(彼女)」の代わりにする。それでも動詞はareなどの複数のまま。昔習った英文法を思い出すと頭が混乱する。
報道によると、カルフォルニア州バークリー市は条例の文言から性別に結びつく言葉をなくしていく方針だ。heやsheだけでなく、マンホールやマンパワーも消える。「行き過ぎだ」の声も出たというが、差別や偏見をなくす大義がまさるのだろう。
もちろん日本語も変わってきている。女流作家や女史などは死語になって久しい。新聞が少し前まで、男性は「氏」、女性は「さん」と書き分けていたといえば若い読者は驚くか。では彼、彼女に代わる代名詞は何だろう。
「そいつ」「あいつ」「やつ」。当方に品がないせいか、乱暴な言葉しか浮かばない。「その人」や「あの人」は冷たい感じがするし---どなたかいい言葉を見つけてくれないか。

 天声人語より
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がん予防も運動から
日本人のがんによる死亡は1960年代から増え続けています。がん統計によると、2005年の患者数は67万人、死亡数が34万人と、約半数の方が亡くなっている。74歳までにがんになる確率は47%で、74歳までにがんで死亡する確率は21%。2人に人のはがんになるということだ。
米ハーバード大の有名な研究では、がんの要因はたばこが30%を占め、食事や肥満など生活習慣による影響も大きい。日本人では、たばこによるがんは、年間約9万人に上る。そして肥満もがんのリスクになる。私も14年ほど前は、不摂生で体重が85㌔ぐらいあった。血圧も180ぐらいで、コレステロール値も300近く。思い立ってダイエットを開始。約半年間で25㌔減らし、今もその体重を維持している。
その方法は、低炭水化物ダイエット。海外の論文を読んでこれだと考えた。徐々にご飯、パン、麺類を減らしておかずをメーンにするもの。カロリーはタンパク質で取った。自分で自分を褒めながら続けた。ジョッキングを始め、マラソンにも挑戦している。
がんを防ぐにはまず、適度な運動に加えて、禁煙、健康な食事、検診だ。日本のがん検診受診率は2割を切る状況で、先進国で最低だと言われている。
ただ、それでもがんになってしまう人は多い。その時は、医師とコミュニケーションをよくとって信頼できる情報を得て、自分を責めず、頑張りすぎず、あきらめないで欲しい。

 紙面より---勝俣範之
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W杯でラグビーを少しずつ学んだ身としては、そのルールの複雑さに驚いた。試合をさばくレフェリーの重い役割にも。
彼がいなければ反則は野放しになり、紳士のスポーツは見る影もなくなってしまうのだろう。
スポーツではありえないレフェリー不在が、貿易の世界で起きてしまった。そんな見過ごせないニュースである。世界貿易機関で、国と国の紛争を裁いてきた「上級委員会」という組織が機能不全に陥った。
原因は、米国が委員の選任に反対したことだ。このところの上級委の判断に不満があるというのが言い分で、一種のいやがらせである。反則スレスレの独自関税をかけるようになった米国からすれば、レフェリーなどいない方がいいとの計算もあるのだろう。
これでは弱肉強食の「ジャングルの掟」に、身を任すことになる。そう懸念する声が欧州連合から出ている。異常事態が長引いて、力の強い国ばかりが無理をきかせるのが常態化しなければいいが。
第2次大戦後、世界規模の貿易の仕組みが育てられた背景には、経済のブロック化が戦争を招いたという反省がある。「経済戦が政治戦を起こす」もとになるのだと。大戦期に米国務長官だったハルが回顧録で述べている。いまも通じる戒めであろう。
現行のWTOに問題がないわけではない。例えば中国の不公正なやり方に歯止めをかける役割を、残念ながら果たせていない。なすべきことはルールの改革である。レフェリーを消すことではない。

 天声人語より
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やっと決まるのか
あれから3年半。
保守党が過半数を確保し、EUりだつへ前進。
1月末の離脱が濃厚。

新聞より
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トルストイの絵本『3びきのくま』は、森で迷った女の子が小さな家を見つける話である。
誰もいない部屋に入って椅子に座り、スープを飲み、ベッドで眠ってしまう。そこはクマの親子の家で、やがて散歩から戻った3匹が女の子を見つけると----。
子ども向けのクマの絵はかわいらしいのが相場だが、福音館書店のこの絵本は、ぎょろりとした目や赤い舌がかなり怖い。ときに人間を襲うこの動物のことを、子どもたちに教えようとしているのだろう。
新潟県南魚沼市で先日起きたのは、絵本とはちょうどあべこべの話である診療所の倉庫に、親子と見られる3匹が入り込んでいるのが見つかった。折り重なるように横たわっていたというから、ここで冬眠していたか。
新潟に限らず、今年はクマの目撃情報が各地で相次いでいる。襲われてけがをした人もいる。ドングリが大凶作で、冬眠前にエサを求めて人里におりてきたとみられる。背景には、里山が荒れて手つかずの雑木林になり、クマの行動範囲が広がっていることもある。
「新世代クマ」。そんな言葉が先日の本紙にあった。箕口秀夫・新潟大教授によれば、人の生活圏にちかい場所で生まれ、一生を過ごすようなクマを指す。従来のクマと違い、人里に入るのをあまり怖がらないという。人間側の構えも、改める必要がありそうだ。
ひらがなの「くま」と、漢字の「熊」では、ずいぶん印象が違う。生きるのに必死な熊たちゆえ、こちらも警戒を緩められない。

 天声人語より
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共通テストの行方
責任は誰がとるのか。
国語と数学の記述式も見送りへ。
入試改革は振り出しに戻る。

 素粒子より
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20羽ほどのコウノトリがエサをついばみ、ゆったりと歩く。歌舞伎役者の赤いくま取りを思わせる目もとが精悍である。
兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園を歩いた。
いま兵庫や千葉など国内に推定273羽が生息する。だが半世紀前はまさに絶滅す寸前だった。当時、豊岡市でただ一人の繁殖担当だった松島興治郎さんは「教本もなければノウハウもない。何度も投げ出したくなりました」と鼻か。
意外にも、望んだ職ではなかったという。高校卒業後は農業とカバン製造の道へ進む。だが高校時代に羽数調査に加わった縁で、恩師らに口説かれて住み込みの飼育員に。捕獲したコウノトリは産卵こそすれ、ただの1個も孵化しない。破卵、無精卵、成長中止卵ばかりで途方に暮れた。
「早くヒナを」。周囲の期待がそのまま重圧と化した。盆も正月も休めず、家族旅行も子どもの運動会もあきらめた。それでも成果の上がらないまま20年余が過ぎた。
転機は1985年。旧ソ連から6羽が贈られた。育ててきた鳥たちと違い、農薬摂取がなく、栄養状態もよかった。行けると確信した。夢見た孵化が成功したのは89年、ちょうど30年前のことだ。気がつけば47歳、元号は昭和から平成に変わっていた。
定年退職した松島さんだが、数年会わなくても鳥たちは羽を振って迎えてくれる。「苦労が吹き飛びます」。涙ぐむ姿にことらの目がしらも熱くなる。この人の忍耐がなかったら、豊岡の空にコウノトリが戻る日はなかっただろう。

 天声人語より
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日米貿易協定来年1月1日発効へ
似他政府は10日、協定が国会で承認されたことを米側に通告。
来年1月1日に協定が発効することを日米両国で確認した。

紙面より
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古い文章を読んでいて、この書き手には未来が見えていたのか、と思うことがある。
武者小路実篤の「日米戦争はまさかないと思ふが」も、その一つだ。日本が米英との戦争を始める17年前、雑誌「文芸春秋」に載った。
「恐ろしいことは中々起って来ないやうに見えて平気で起ってくるものである」。そう書き出す文章は、日米戦争のうわさが出ていることを懸念し、そんな戦争がいかにばかげているかを論じている。
いわく、日米が戦えば結果は明らかだ米国も損をするだろうが、一番ばかを見るのは日本だ。戦争は国を富ますのではなく貧乏にするものだ---。「日本の運命は今実に大事な時で、狂ひかけてゐるのを感じる」とも。
真珠湾攻撃から戦争が始まったのが1941年12月8日である。残念ながら、その時の武者小路実篤に非戦争論者の面影はなかった。「真剣になれるのはいい気持ちだ。僕は米英と戦争が始まった日は、何となく昂然とした気持ちで往来を歩いた」と開戦直後に書いている。
文豪の変わりようは、冷静さを失った日本の姿そのものであろう。国力の差に対する懸念は、勇ましい声にかき消された。言論弾圧そしてメディアの迎合により批判は失われていった。不況や貧困に対処できない政治は信頼を失い、軍人に光があたった。
非戦争論者としての武者小路は「人間の殺しあい、武力で勝負をきめるなぞと云ふ時代はもう過ぎてしまつていゝと思ふ」と述べていた。その理想は今もまだ成し遂げられていない。

 天声人語より
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国家公務員にボーナス
平均68万円という。
首相は586万円。そんなに仕事しているのかなーーー?
国民目線では疑問だ。
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日ごとに通勤電車のなかでマスク姿の人が増えている。機能見渡すと、着用率はざっと2割。
おなじみのひだ付き横長マスクもあれば、海外のデモで見かけるような黒色もあった。
全国マスク工業会によると、マスクが普及したのはスペインかぜが猛威をふるった大正半ば。それ以前はもっぱら炭鉱で粉じんよけ用に使われた。昭和に入ると、インフルエンザ流行のたびに着用者が増える。花粉症で一段と浸透したという。
「他国と比較すると、日本のマスク文化はやや異色です。風邪でもないのにマスクをするのはなぜと聞かれます」。環境調査会社「環境管理センター」の飯田祐貴子技術部長は話す。北京やバンコクでは主に排気ガスや砂ぼこり対策。欧米では重病者の印象があるためか、外出で使う人は少ないという。
日本での用途は多種多様である。感染症や花粉症の対策のほか、のどを潤す。日焼けを避ける。たばこの臭いを防ぐ、すっぴんを隠す---。「目的ごとに開発され用途が拾い。年中、マスク姿がとぎれません」。
飯田さんの本業は防じんマスクの効果などを調べることだ。街なかでマスクを雑に着けた人を見つけるともどかしくなる。「おまじないではないので、漠然と着けても効果はありません」。鼻からあごまで密封するのが大切だと話す。
7日は二十四節気の「大雪」。予報によれば、全国的に真冬並みの寒さになりそうだ。外出の際、マスクをつけるなら、きちんと覆うようご留意を。

 天声人語より
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民意とは
80万人が民意を改めて体現した。
「国際社会と一緒に圧力を」。
香港のデモ半年に。

素粒子より
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神童モーツァルトには厳しい父がいた。レオポルト・モーツァルトという、今月でちょうど生誕300年を迎えた。
幼い息子を連れて演奏旅行をした教育熱心な父として知られるが、かなり束縛過剰でもあったらしい。
「自身は向上心の強い知識人。作曲家としてもすぐれ、当時としては相当にモダンな交響曲を書きました」。そう話すのは『モーツァルト家のキャリア教育』を著した久保田慶一・国立音大教授。その半面、頑固で、家父長意識にとらわれ、息子に寄せる期待は重すぎた。
口癖はこうだ。「非凡な才能は神様がおまえに貸してくださったもの」。長い曲も一度聴けば覚え切り、即興で旋律をつむぐ幼い息子に父は瞠目する。宮廷副楽長としての務めを放り出し、息子が有力な宮廷で楽長の定職に就けるよう手を尽くす。
だが宮廷での演奏は巧みでも、採用に至らない。「おまえはのんき」「うぬぼれが強すぎる」。叱責の手紙を送り続けた。息子からの返信には哀願調が目立つ。「許して」「わかって」「自立させて」。
書簡を介した熱い指導にもかかわらず、息子の就活は難航を極める。その間に父の許しを得ぬまま結婚もする。父の失意はいかばかりだったか。念願の宮廷作曲家の座に息子が就くのは1787年暮れ、父が亡くなって万年が過ぎていた。
子の才能を信じ、伸ばすために尽くした「ステージパパ」ではあつたが、子離れの時期は逸している。親と子の距離感はいつの時代もむずかしいものである。

 天声人語より
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健康コンビニごはん、塩分減らす工夫を
厚生労働省の調査によると、50代は半数近く、60代は4割近く、70代以上は3割が習1回以上、コンビニなどの弁当や総菜を利用している。
高カロリーなものばかりだったコンビニ弁当も近年はサイズが小型化し、野菜を取り入れた総菜もぐんと増え、健康志向になってきた。
最大の課題は塩分です。特に50代以上は生活習慣病や高血圧の人が多く、塩分に注意すべき年代。解決策は、サラダや野菜を含んだ総菜を組み合わせることだ。多くの野菜に含まれるカリウムは、ナトリウムの排泄を促す効果があるからです。
また、ドレッシングや、麺類、おでんのおつゆを多めに残すこともお勧めします。
揚げ物もした味がしっかりついているので、ソースをひかえてもおいしく食べられます。

 きょうもキレイより-----平澤芳恵
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先日、東京・練馬の農園で、特産の練馬大根を抜いた。思っていたより根がずっと深い。
途中が太く、握力だけでは抜けない。腰を入れ直して抜き切ると70㌢もあった。
「今年は秋雨が長く、畑は軟らかいからまだ抜きやすい方です。毎年、収穫には骨が折れます」と農園主の白石好孝さんさん。ご先祖は江戸時代の初めからこの地で代々農業を営んできた。
練馬大根の歴史は古い。将軍綱吉が食べて自身の脚気を直したなどと語り継がれてきた。たくあん漬けは広く評判を呼び、明治以降も軍部や炭鉱など大口の顧客をつかんだ。最盛期は日清、日露戦争のころ。部隊の糧食として前線に送られた。
昭和に入ると、干ばつや病害などで生産が陰りだす。戦後はキャベツやトマトなど西洋野菜に作付面積を奪われてしまう。宅地化の大波をかぶり農地が激減。栽培に苦労を要する練馬大根に見切りをつける農家が増えた。
平成に入ると復活を望む声が高まり、区が育成事業に乗り出す。農家に栽培を委託し、広く種を配った。大根の復活にとどまらず、区は農家と提携して、縮小する一方だった都市農業の復権を模索。この29日からは海外5都市の専門家を招き、初の「世界都市農業サミット」を区内で開く。
ふだんスーパーで見かける大根と違って、練馬大根は葉が青々と茂り、白い身が驚くほど長い。練馬の農業の栄枯盛衰を体現するようなその大根の重さと手触りに、豊かな都市農業の未来を探った。

 天声人語より
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代謝をアップ、ウォーキングで脂肪燃焼。
代謝を高めるために大事なことは、ウォーキングなどの有酸素運動です。読者のみなさんの中にも、歩いている方が大勢いらっしやるでしよう。筋トレで基礎代謝量を上げ、さらに有酸素運動で脂肪を燃やすことで、健康で美しく、疲れにくい体をつくることができる。
ウオーキングは、肥満の解消になるほか、心肺機能が高まり持久力が増す。
▽毛細血管が増え、血流がよくなる。
▽動脈をやわらかくして動脈硬化を防ぐ---
などの効果が期待できる。もっとも手軽で、もっとも高い効果を上げられる健康法といえる。
さまざまな研究で、1日8千~1万歩くらい歩かないと健康効果が引き出せないことが分かってきた。1万歩はハードルが高いので、まずは1日8千歩、1週間で5万6千歩を目指します。多少の「歩きだめ」がききますので、あまり歩けない日があっても、別の日にたくさん歩いていれば補うことが出切る。
まとまった時間をとってウォーキングしなくても、日常生活の短い時間で歩数を稼ぐ方が何かと好都合。ひと駅前で降りる。ちょっと遠くのスーパへ行く、エスカレーターの代わりに階段を使うなど、生活しながら歩数を稼ぎましょう。
ただ、歩くだけで足腰の筋力の低下を防ぐことはできません。併せて筋トレもすることが不可欠です。運動を続けるために、歩数計と、筋肉量がどれくらいついたかを確かめられる体組織計が自宅にあるとよい。

 きょうもキレイより-----筑波大教授・久野譜也
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朝の冷たい雨がやみ、午後は一転、陽光に包まれ多機能の長崎市。
フランシスコ教皇は集会やミサで「パウロ三木」という名に繰り返し触れた。教皇も足を運んだ西坂公園の日本二十六聖人記念館で評伝を探した。
三木は、信長に仕えた武士の家に生まれた。父にならい洗礼を受け、イエズス会に入る。だが秀吉が禁教に転じ、1597年、西坂の丘で処刑される。33歳だった。
記念館の肖像画は刀を帯びたはかま姿。はり付けの十字架から発せられた最期の言葉が残る。「私は何の罪も犯さなかったが、我が主イエスの教えを説いたから死ぬ。国王と私の死刑に拘わった全ての人々を赦す」。
彼を含む26人は後年、聖人に列せられた。館内には梅を描いたステンドグラスがある。処刑の日、梅のつぼみが輝いていたと説明が添えられていた。迫害は明治まで続き、犠牲者は推定25万人に。西坂の丘一帯だけで600人に達したという。
教皇が三木に言及したのは、数えると4度。よほどの思いがあるのだろうか。初めてイエズス会から選出された教皇である。母国アルゼンチンでは政治的迫害を受けた人々をかくまった。教皇となった後もローマ市内の少年院でイスラム教徒の足を洗った。何ごとにも「垣根」を好まぬ人らしい。
「私たちの世界は手に負えない分裂の中にある」「それは人と人の関係をむしばみ、相互の対話を阻んでしまう」。教皇の言葉がいまも耳の奥から聞こえる。宗教の違いを超えて、胸にしみとおる。

 天声人語より
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