2019年10月の記事


米国3回連続の利下げ
政策金利の誘導目標を0.25%幅引き下げた。
内部には異論もあるため、今後も追加緩和を続けるとは限らないと。

紙面より
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1951年秋、昭和天皇は滋賀県の信楽を訪問している幼いときに集めた焼き物のタヌキを思い出し、歌にこう詠んだ。
<をさなき日にあつめしからになつかしも信楽焼の狸をみれば>。と県立設楽窯業技術試験場長の川澄一司さんは話す。NHKの連続テレビ小説「スカーレット」の舞台である信楽は、その源流を鎌倉時代にさかのぼる窯業の里である。
いま信楽の陶器組合の生産額でいえば、タヌキの比重は3%にすぎない。現在の主力は外装タイルなどの建材という。「時代ごとに需要を見きわめ、過去の名にしがみつかない。しぶとさが強みです」。
たとえば江戸時代の信楽は茶つぼ神仏ぐで知られた。明治に入ると火鉢が主力に。昭和の初めには、火鉢の全国シェアの8割以上を占めたという。養蚕の盛んだった時代には「糸取鍋」。駅弁の全盛期には「汽車土瓶」。戦争中は陶製の手投げ弾や地雷も製造している。
「ろくろ坂」「ひいろ壺阪」「炎の美通り」。案内板にひかれ窯元の並ぶ通りを歩く。民家の表札や橋の欄干にも焼き物が使われ、千年に迫る長い陶芸史を実感させる。
ドラマの脚本作りの参考となった神山清子さんは80歳をすぎて地元にご健在と聞く。大阪出身という設定だが、実際は長崎生まれ。創作と知りつつ、信楽の人々は、自分たちの愛する街がどのように描かれるのかをワクワクしながら楽しんでいる。

 天声人語より
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英国の総選挙
総選挙を実施する法案を下院で可決した。
選挙に反対してきた最大野党が当面合意なき離脱が回避されたことを受けて賛成に回ったためだ。
首相が変わっても何も変わっていないのが現実か。

紙面より
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仕事を分かち合うワークシェアリングなど働き方が問われる時代である。
プロ野球の世界でも、そんな変化に向き合わざるを得ないのかもしれない。投手にてって最大の栄誉となる沢村賞に今季は該当者が出なかった。
創成期に活躍した沢村栄治にちなむ賞は1947年にできた。該当者なしは19年ぶりのことだ。先発完投型が対象で15勝以上、完投10試合以上など求められる基準は飛び抜けて高い。
かつて30勝を記録するような投手も出たが、今はそもそも完投することが容易ではない。先発、中継ぎ、抑えと分業制が定着して久しい。今季は先発と中継ぎを入れ替えるような起用法も出てきた。投手のけが防止などを考えれば自然な流れである。
米大リーグの投手表彰にはサイ・ヤング賞がある。56年に始まり、こちらは先発や完投の基準はなく、救援投手からも選ばれている、昨季は10勝9敗だったメッツのデグロム投手が18勝の3人をおしのけて選ばれた。
評価されたのはクォリティー・スタートと呼ばれる指摘だ。6回以上投げ自責点を3点以下に抑える。地味だが、より個人の能力を示すデータである。勝ち負けは抜きに、先発の役目を果たしたことが選出の大きな理由になった。
沢村賞の図抜けた基準がスター選手の証しであることは理解できるけれど、こうした数字をクリアする選手が増えるのは難しいだろう。伝統を守りながら、新しい指標や選び方なども検討して賞の価値をあげる。そんな議論が始まってもいい。

 天声人語より
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緒方貞子さん亡くなる
国連難民高等弁務官や国際協力機構理事長として活躍した緒方さんが死去。
国際機関で中心的な役割を担うとともに、国内外で、その活動が幅広く支持された。
世界で増え続ける難民への支援が主な役割の国連高等弁務官事務所で、人命を救うという意味で最も重要な国連機関の一つだ。

紙面より
こんな人が国、世界から表彰されないなんて不思議だ。
ノーベル平和賞、国民栄誉賞など。
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自民党衆院議員の菅原一秀氏は脱原発を掲げていた。
福島の事故の翌年、国会で質問に立ち「何においても再稼働ありきの流れを阻止したい」「2030年をめどに原発をゼロに」と訴えた。前回の衆院選の公報にも目立つ文字で「脱原発!」とある。
そんな彼がエネルギー担当の経産相になったのが、1カ月半前。安倍政権がついに脱原発にカジを切った----ということではもちろんない。菅原氏の主張をよく調べなかったか。前言を撤回させればすむと高をくくっていたか。同じことは今回の寄付問題でも言える。09年の週刊朝日には「若手ポープ・菅原一秀の『お中元リスト』に公職選挙法違反の重大疑惑」の記事がある。おかしなことをつづけていないか、確認はしなかったのか。
金品で票を買うことにつながる有権者への寄付は公選法違反だ。しかし週刊文春が改めて寄付問題を報じても、昔の話だからやり過ごせると甘くみていたようだ。新たな疑惑の発覚に追い立てられるように、経産相が25日辞任した。
世を侮る姿勢は政権が長期になるに従い、ますます目に付く。野党が憲法にもとづいて臨時国会を開くよう求めても、柳に風。沖縄でいかに反対があっても、辺野古の埋め立てを続ける。
菅原氏は菅義偉官房長官と近い関係にあり、後任の梶山弘志氏もまた菅氏に近い。自らに近い議員で回す「菅人事」だとの評が、永田町にはあるという。すべて世はこともなし、と考えているとすれば有権者が高をくくられている。

 天声人語より
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やはりゴルフはタイガーか
米ツアーの新規大会、ZOZOチャンピオンシップで、43歳のタイガー・ウッズが初日からの首位を守り、通算19アンダーで優勝した。
優勝回数を82に伸ばし、故サム・スニードの歴代記録にならんだ。
優勝賞金は国内最高の2億円という。

紙面より
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漱石の小説『三四郎』の主人公は熊本から東京に出てきて、驚いた。ちんちん鳴る電車に、丸の内の街並みに。
そして「もっと驚いたのは、どこまで行っても東京がなくならないということであった」。歩いても歩いても、東京のままだ。
私たちもいま、驚き、戸惑っている。どんなに遠くまで行っても「東京オリンピック」であり続けることに。マラソンと競歩のコースを札幌に移す。そんな案を国際オリンピック委員会が1週間ほど前に打ち出した。
あまりにも泥縄だし、これでは「日本オリンピック」とでも言いたくなる。それでも東京の暑さが殺人的なのは確かだし選手の健康を考えれば仕方あるまい。そう思っていたら、東京都が代替案を検討し始めたとあった。
早朝の東京開催だけでなく、東日本大震災の被災地に移す構想もあるという。色あせた「復興五輪」の看板を立て直すチャンスか。都が本気なら実現可能な案を地元と一緒に詰めて、IOCに投げかけてほしい。
「抜くことでも抜かれることでもなく、ただただ自分の中を駆け続ける」。作家の永井龍男は1964年の東京五輪マラソンを見て、そう書いた。時期は10月の今頃である。「十九度はやや高温かもしれぬが」と気温にも気を配っている。
夏に五輪を開くのは、米テレビ局の都合だ。欧米の人気スポーツで手薄な時期に放送したいからという。言いなりになっているIOCから「選手の健康」の言葉を聞くたびに、ため息が出る。

 天声人語より
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高齢者の肺炎予防。5年に一度はワクチン接種を
高齢化が進み、肺炎による死者数が急増しています。2011年には、がん、心臓病に次ぐ、日本人の死因の3位になり、年間約12万人が命を落としています。65歳以上になると、肺炎による死亡リスクはぐんと高くなるためです。
高齢者の肺炎は、命を奪う危険な病気だという認識を持ち、予防が重要だ。
肺炎は主に、肺炎球菌やマイコプラズマなど様々な最近の感染が原因で起こる。若いうちは、抗菌薬による治療ですぐ良くなり、命を落とすことはほとんどない。
一方、高齢者はいったん発症すると何度も再発を繰り返す人が多く、命にかかわる。薬が効かない場合もあり、まずはかからないようにすることが大切だ。
もっとも有効とされるのが、原因の3割を占める肺炎球菌のワクチン接種だ。65歳以上では5年に1度、接種することが望ましい。
特に、インフルエンザにかかった後は肺炎にかかりやすいので、肺炎球菌とインフルエンザのワクチンをあわせて接種しておくとさらに効果的という。
今のところ公的な定期接種の対象ではないが、自治体によっては接種費用の助成もある。
口のなかを清潔に保ち、入れ歯の調子を整えるなどのケアも重要だ。高齢になると、食事のときにむせたり、寝ている間に唾液が気管に入ってしまったりして、口のなかにいる細菌が肺に入って肺炎を起こすリスクが高まる。
粗食を好み、肉や動物性脂肪をとらない人は要注意。たんぱく質などの栄養が足りない状態になると体力が落ち、肺炎にかかりやすくなる。高齢者は積極的に脂質、たんぱく質を取るべきだ。喫煙者や糖尿病の人も、肺炎のリスクが高い。
高齢者の肺炎は、素人目には一見、ただの風邪と区別がつかないことが多い。あまり熱が高くなくても、ぼんやりしているなど、周囲の人が見て少しでも「おかしいな」と感じるところがあれば、積極的に医療機関を受診させるようにしたい。

 体とこころの通信簿より
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柿の収穫が終わった木に、ぽつんと一つ実が残っているのをご覧になったことはないだろうか。
それは「木まもり」というのだと白洲正子の随筆に教わった。来年はもっと実ってほしいというおまじないかも----と書きつつ、思いを巡らせている。
「それは、自然に対する一種の礼節ともみられるし---実も葉もふるい落としたあとはさぞかし淋しかろうと、想像した人間のやさしい思いやりのようにも見える」。秋の青い空にある小さな朱色に、正子は心引かれた。
夏が長く、秋が短くなった気がしてならないこの国だが、季節を彩ってくれる恵みの数々がある。なかでも柿は、奈良時代にはすでに食べていたというから、ずいぶん長いお付き合いである。
数年前に九州の柿の産地で農協の人と話したとき、消費の伸び悩みを嘆いておられた。今は皮をむく果物は、それだけで敬遠されがちだと。少しの手間を惜しんであの甘さを味わえないとすれば、もったいない話である。
正岡子規は食いしん坊で柿も好物だったゆえに〈柿くへば----〉の名句を生んだ。奈良の宿で山盛りの柿を食べていたら、鐘が鳴る音が聞こえたと随筆にある。「柿などというものは従来詩人にも歌読みにも見放されておるもので---」と得意そうに書いている。
あの句なかりせば、後の人々が柿にこれほど趣を感じることもなかったか。最近はその色ゆえにハロウィーンにちなんだ果物として並べるお店もあるという。それもまた新たな趣だと考えてみる。

 天声人語より
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胃潰瘍や動脈硬化などを防ぐ梅のパワー
梅干しは、昔から健康に良いというイメージが伝えられていますが、日本一の産地、和歌山県では最近、科学的な証拠が集まりつつあります。
「梅はその日の難逃れ」のことわざのように、梅干しを朝に食べると、病気などを免れると、昔の人は経験から伝えてきた。和歌山県立医大の宇都宮洋才准教授によると、梅の産地みなべ町などで聞き取り調査をしたら、「動脈硬化を防ぐ」「胃潰瘍になりにくい」「かぜをひかない」「疲れがとれる」など数え切れないほどの伝承があった。まるで「万能薬」だが、本当だろうか。
マウス実験では、梅エキスが動脈硬化を引き起こす血管の筋肉の肥大を防いでいることがわかった。
宇都宮准教授は梅に含まれるポリフェノールの一種「リグナン」に着目。胃潰瘍の原因となるピロリ菌の培養液の中にリグナンを加えたら、変形したりしてピロリ菌の働きが弱まった。
ピロリ菌の働きを半分に抑えるには、梅干し5個分相当のリグナンが必要だったが、「1、2個分でも効果はある」という。
また、インフルエンザウイルスが感染した培養細胞にリグナンを加えたら、ウイルスの増殖が抑制されることもわかった。
梅の有効成分はリグナンだけではない。近畿大生物工学部の三谷隆彦・元教授が見つけた別のポリフェノール「ヒドロキシ桂皮酸」にも、高血圧防止やウイルスの増殖を抑える効果があることが分かってきた。
ただ、数々の健康効果があるからといって、たくさん食べれば良いわけではない。梅干しには10%程度の食塩が含まれている。1個10㌘だと1㌘に上る。
厚生労働省が定める1日の塩分の摂取目標量は、成人男性9㌘未満、女性7.5㌘未満だ。
1日の食事全体で塩分を調節しなければいけない。梅干しは1日2個程度を目安に。増やす場合には他のメニューの塩分を抑える工夫が必要だ。
さて、観梅の季節。梅林の花の香りにも、梅パワーは秘められている。和歌山工業高等専門学校の奥野祥治准教授によると、香り成分のベンズアルデヒドに抗菌作用がある。梅干しにも同成分があり、「日の丸弁当が傷みにくい理由の一つではないか」とみている。

 元気のひけつより-----野中良祐
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気性が荒い、などというときの「気性」はかつて、「気象」と書かれたこともあった。
1971年に刊行された中村正直訳『西国立志編』では、こんなふうに使われる。「老愈々進ムト雖ドモ、ソノ気象タゞ衰縮セザルノミナラズ----」。
最近の日本の空には、気象ならぬ「気性」があるのではと思ってしまう。情け容赦のない、激しい気性が。台風19号の豪雨が東北や関東、東海に大きな被害をもたらした。被災地にはその後も断続的に雨が゜降っている。
先週末、宮城県丸森町を訪れ、堤防を歩いた。阿武隈川支流の決壊個所は、巨大なスコップで削り取ったかのように大きくえぐられていた。あらわになった土の断面が痛々しい。復旧まで、どうかひどい増水がないことを。
役場前のグランドには使えなくなった家財道具が山となっていた。冷蔵庫やストーブなど生活に欠かせないものばかりだ。昨年の西日本豪雨では200万㌧の災害ごみが出て、処理に2年かかる見通しという。今回はそれ以上になるのか。
22日は低気圧と前線の影響で、東北も関東も雨になった。多くの決壊した河川、さらには地盤の弱くなったところもある。ボランティアの募集が中止になった地域もあろう。ただでさえ大変な復旧作業を妨害する。空の非情ささである。
これからの季節、例年ならば阿武隈川は紅葉の名所となる。船で下り、眺めを楽しむ人が訪れるという。日常を取り戻すべく、前に進むことの苦労を思う。

 天声人語より
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経産相辞任へ
知らぬきずがない。
菅原経産相の「メロン・カニ疑惑」は10年前に報道済み。
なぜ入閣させたのか。
首相にも重い説明責任がある。

素粒子より
分かっていて引きうけた本人も、推薦した人も辞任は分かっていたはずなのに。
庶民には分からない。
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急いで頭に詰め込むのは「にわか勉強」。いきなり降ってきてずく゛やむのは「にわか雨」。
様々なにわかがあるが、海外に紹介された例は初めてかもしれない。「にわかファン」である。
日本で開催中のラグビーW杯をめぐって、英紙に「niwaka fanS」と載り「新参者、時流に乗る人」との説明が付いた。当方も試合ごとに一つ二つとルールを学んでいる口である。興味深いのは試合運びに限らない。
サッカーの兄弟のような競技ながら、文化の違いが伝わってくる。紳士のスポーツの矜持もあるのだろう。観客のブーイングが少ない。どちらのチームを応援するかで客席を分けないのは、けんかの心配がないからか。
外国人にも代表の門戸が開かれており、たとえば3年以上続けて住めば資格が得られる。最初は「日本代表っぽくない」とも感じたが、これもなかなかいい、いやこれは相当いいと思えてきた。国籍があろうがなかろうが、住む人、関わりのある人全てで作るのが、この社会なのだから。
準々決勝の南アフリカ戦に出たピーター・ラブスカフニ選手は、母国を相手に壮絶な戦いをした。日本のチームで活躍し、代表の要でもある。4年後はどんな顔ぶれが見られるだろう。
本場の英国ではサッカー好きがラグビー好きを「お高く留まった連中」と難じることもあるらしい。そう考えるとファンになる垣根は日本では随分低いかも。冷めやすい点を割り引いても、多くのスポーツ文化を吸収できる強みがある。

 天声人語より
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消費増税
54%が「納得」と。
家計は心配だが、子や孫の家計がもっと心配。
そんな人も多かろう。

素粒子より
先送りしないでいついつから上げますと公約すれば国民は納得するのだ。
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台風19号の上陸から1週間の20日、多摩川の河川敷を歩いた。野球場だったところは一面の泥で、靴が沈む。
流れてきた巨木も転がる。荒涼とした風景たか゜、ここに暮らすホームレスの人たちの生活再建は始まっていた。
通称ヒゲさんという70歳の男性はバラックに泥が入り、住めなくなった。テントを張るため、知人に手伝ってもらい木の板で土台作りをしていた。ずっと川崎市の知人宅に避難していて、ようやく戻ってきたところだ。
公共の避難所に向かおうとは考えなかったという。「そんなとこに行ったって、いい顔されないよ」。俺は知り合いがいるからいい。でも、そうじゃない人もいるよね----。話は東京都台東区の件に及んだ。
台風で数多くの痛ましい出来事が報じられた。台東区の件も悲しいニュースの一つであろう。避難所の小学校を訪れたホームレスの男性が、区の職員から「区民のための施設なので」と拒否された。批判を受けて区長が謝罪した。
台風の当日、職員は気が動転していたのかもしれないし、他の避難者が嫌がると思ったかもしれない。しかし目の前にいる人が大雨のなかで極めて弱い立場にあると、思い巡らすことはできなかったか。被災弱者とは誰か。過酷な自然が投げかけるている。
河川敷に住む別の男性は持っていた服をほとんどだめにしたという。「でも支援してくれる人がいて、使わない服を提供してくれる。みんなで分けようと思って」。寒い季節を前にあたたかい手もある。

 天声人語より
区の職員の対応は一応間違ってはいなかったと思う。
避難所、提供される食べ物など、備蓄品は区民の税金から賄われているのだから。普段税金を納めていない人を断るのも私は分かる気がする。
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郵政問題
古式蒼然。
「目安額」しいう名の郵便局の物販ノルマ。
「自爆営業」「空挙げ」というごまかしを局員に強いて。

素粒子より
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現役時代は単身赴任の寂しさに耐え、ときに飲み過ぎて羽目を外す。引退後は自分の葬儀を気に病む----。
東京・両国の江戸東京博物館で特別展「士 サムライ」を見て、江戸を生きた武士たちの等身大の悩みに触れた。
たとえば江戸詰の久留米藩士を描いた絵巻。心待ちにした帰国が幕府の命令で急に延期され、藩士たちの酒席が荒れる。憤った11人が戸板を倒し、酒瓶を割って暴れた。本社へもどる事例が土壇場で取り消されたサラリーマンの心境だろうか。
寿命はいまより短く、齢五十を過ぎると遺言状を書く武士も多かった。「子ど゜もを遊び人にするな」「自分の葬儀はなるぺく質素に、できれば火葬で」。こと細やかい指示がしたためられている。
目に留まったのは歌川広重の遺言状。絵師として名をはせたが、身分は武士で「葬儀は武家風に」と明示した。所有品を売って借金の返済に充てよと記して、こう結ぶ。<死んでゆく 地ごくの沙汰はともかくも あとのしまつが かねしだいなれ>。
担当の小酒井大梧学芸員は「江戸は物価が高く、勤番の武士の暮らしは至って質素でした」。安い食材を買って自炊に努めた。休日は浅草や向島などの名所をせっせと訪ね、帰国の際には送別の宴が連日続いたそうだ。
封建的身分制にしばられ、万事に謹厳であつたかに見えて、悩みごと、心配こどはいまを生きる私たちとほとんど変わらない。サムライたちが職場の同僚であるかのように親しく感じられた。

 天声人語より
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般若心経とは
般若とはすばらしい知恵のこと。そして波羅密多とは六波羅密多、すなわち
自分よりも他人の救いを先にする「大乗の菩薩」という考え方による実践の
徳目です。
人間は生前の行いによって、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天という6つ
の世界に生まれ変わります。人間よりも下に落ちるのを救うためには、布施
、持戒、忍辱(にんにく)、精進、禅定、智慧という6つの修行をして、成
仏しなければなりません。
布施とは、僧にお経をあげてもらったときや寄付をする際に差し上げるお金
などの財物のことです。布施はお金に限りません。相手の不安をなくす、や
さしいまなざしや言葉などもあります。
持戒とは、戒を持つこと。これを十戒といい、具体的には十戒善を差します。
不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋
恚、不邪見。
忍辱とは、辛抱すること。
精進とは、一生懸命努力すること。
禅定とは、坐禅を組んでこころを落ち着けることです。
6つの修行をすると、智慧が出てきます。これが"般若"です。
仏様の場合、「智慧」と書きます。"知"の下の"日"は、宇宙の真理を指しま
す。
この6つのことを修行することを「六波羅密多行」といいます。こうするこ
とで自身が成仏する助けになります。
お仏壇に水、塗香(ずこう)=塗香(ずこう)は非常に細かい粒子のお香で、
塗香入(ずこうい)れに入れて用います。小麦粉にも似た触感があり、少量を
手に塗り、その香りを吸い、仏前で自らの心身を清めるために使用します。
花、線香、飯、ローソクの6品をお供えするのは、六波羅密多行を知らずに
亡くなったご先祖様に、6つの修行をすることで成仏できることを知らせる
ためです。
水は布施(感謝する気持ち)、塗香は持戒(よいことに励む)、花は忍辱
(怒りやすいこころを鎮める)、線香は精進(怠けごころをなくす)、飯は
禅定(こころを落ち着かせる)、ローソクは智慧(人間の悩めるこころを智
慧の光で明るくする)を表しています。これら6つをお供えすることを六種
供養といいます。お仏壇にお供えをして、お仏前でお経を唱えます。こうす
るこによってご先祖様が成仏できるのです。
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終戦の翌年の暮れ、東京・有楽町に映画館が生まれた。丸の内スバル座。
焼け跡にバラックが広がり、ヤミ市が人であふれる中、娯楽を求める客たちでにぎわった。
火災による空白をはさみ、1966年春に有楽町スバル座として復活。「いつも心に大陽を」「いーじす・ライダー」など10万人を超える動員も珍しくなかった。源支配人の足立善之さんは「スクリーンは一つで270席。どれだけ満員が続いたか。当時の隆盛ぶりは想像を絶します」
足立さんは大学生だった76年夏、スヌーピー映画をみようと有楽町駅に降りたつ。「長蛇の列で、朝来たのに入館できたのは午後3時ぐらいでした」。卒業後は東宝に入社し、商業施設内で複数のスクリーンを構えるシネコンの開業に多く携わった。
支配人に就いたのは08年。映画鑑賞の主役の座は、自らが育ててきたシネコンに移っていた。設備の老朽化とあいまって今月20日で閉館されることに。いまは厳選した過去の名作を再上映している。
館内を取材したのは「ローマの休日」の上映日。席は9割方うまっていた。「最後までごゆるりとご鑑賞下さいませ」。館内放送の女性の声は時代を感じさせる。キンコンカンコンという学校のチャイム音で上映が始まり、シネコンに慣れた身にはかえって新鮮だ。
映画が終わって、灯りがともる。観客が惜しむように携帯電話で館内を撮影し始めた。戦後映画史そのもののようなスクリーンは、20日に半世紀の歴史に幕を下ろす。

 天声人語より
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対韓輸出
9月の貿易統計によると、韓国向けの輸出額は前年同月比15.9%減。8月は9.4%減だった。
 
 紙面より
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「真っ白な波頭を立てた怒濤が飛沫を上げながら後から〈と押し寄せて来つゝあつて、
恰も全体が沸々と煮えくり返る湯のように見える」。。谷崎潤一郎の名作『細雪』の一節である。読んで目に浮かぶ濁流は、台風19号の被災地とそのまま重なる。
「一面に茫々たる濁流の海で(略)人が畳の上に乗ったり木の枝に?まったりして助けを呼びながら流れて行くけれども、どうすることも出来ない」。三島由紀夫はこの表現を「今の作家にはどうしても書けない」とたたえた。
描写が生々しいのは、谷崎が1938年の「阪神大水害」を目の当たりにしたからだ。六甲山系を襲った豪雨が土石流を引き起こし、700人が犠牲になった。谷崎は、縁者の通う地元・江南学園の文集を読み、執筆の参考にしたという。
甲南大学が編んだ『阪神地方水害記念帳』には、被災児童らの手記が並ぶ。「家々が一瞬で消えた」「弟が3日後に遺体で見つかった」「科学より自然の力は強い」。生々しい言葉が続く。
阪神大水害から八十余年、わが国の防災インフラは進化した。気象観測の精度も向上した。住民がそれらを生かす方法も着実に浸透してきた。それでも、日本が日本の位置にある限り、台風の来襲を防ぐすべは今後もない。
「常ニ備ヘヨ」。神戸市にある甲南大の敷地には、創設者の言葉を刻んだ石碑がある。自校の児童らの命を奪った水害から得た教訓だ。短い言葉飲む中に、災害列島を生きる私たちへのメッセージが凝縮されている。

 天声人語より
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物忘れをすれば新しいものが入りやすくなる。
集めた情報で身の回りを固めていると、人間は干からびていく。情報はどんどん捨てる方がいい。
といっても人の記憶はままならない。「覚えようとするものは忘れがちなものだが、忘れようとするものはなかなか忘れられない」。自分の記憶ですらこうだから、人様の記憶などおよそ思い通りにいかないと考えるのが普通だろう。
ところが最近、「忘れられる権利」が話題になる。自分に関する不都合な情報をネット上から消させる権利、つまりは人様に忘れてもらう権利だ。欧州では、以前のトラブルについて新聞記事がずっとネットに残り、不利益を被った人が訴えて、5月に検索結果の削除が認められた。
日本でも似た争いがある。自分の名前を検索すると犯罪に関わっているかのような結果が出て、生活が脅かされている。そんな申し立てに東京地裁は先日、人格権の侵害を認め、削除を命じた。検索最大手のグーグルが、この命令に従うと表明した意味は大きい。
仮想世界を漂う「記憶」は時に凶器になる。その適切な取り扱い方を確立すべく、試行錯誤が続く。

 天声人語より
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スマホの通信量節約、無線LANの活用を
携帯電話の通信費が政府レベルで問題になるこのごろ。長男が驚くようなことを言った。「すまをほ家でWi-Fiにつないでいない友達、けっこう多いと」。
動画や音楽のストリーミングなど、スマートフォンで人気のサービスの多くは、大量のデータ通信を必要とする。例えば国内最大規模の動画サービスdTVの場合、4段階中2番目によい画質を選ぶと、1時間ドラマを12話見たら約7?バイトの通信料になる。スマホの1カ月の通信料の一般的な上限だ。このためdТVやアマゾン・プライム・ビデオなどでは、作品を事前にスマホにダウンロードし、出先では通信をほとんど使わず視聴できる機能を備えている。その前提となるのが、家庭に無線LANがあることだ。
だが総務省の通信利用動向調査によれば、2014年末のブロードバンド回線接続世帯の無線LAN利用率は73.7%、これがスマホ保有世帯では68.9%に下がる。また家庭に無線LANがあっても、家族全員がスマホを接続しているとは限らない。「自分の家族はスマホで無線LANの設定をしない。携帯電話の通信量上限も知らないらしく、『スマホが遅くなる』と言っている」と嘆く人もいる。パソコンと違い、スマホは家庭内回線なしでネットに接続できてしまうためだろう。だがそれでは、スマホの通信量は天井知らずになる。
スマホの無線LAN接続は難しくない。
すでに無線LANルーター(親機)がある場合は、スマホの設定画面で「Wi-Fi」の項目をタッチすると、SSIDと呼ばれる親機の識別記号が表示されるので、それを選んでパスワードを入力する。SSIDとパスワードは親機のマニュアルなどに書いてある。これだけで家の中でスマホが通信し放題だ。無線LANがなくても、家にネット回線があれば、無線LAN親機を購入して回線に接続、同様の操作をすればいい。3~4部屋以上の家庭なら、1万数千円の高性能のものがよい。「11ac」という最新の高速通信規格に対応した製品がおすすめだ。
スマホの通信費の高さや通信料がすぐに上限に達することが問題になるが、無線LANを使っていないことが、その隠れた原因の一つかもしれない。この際、家族が自宅でスマホを無線LANに接続しているか、点検してみてはいかがだろうか。

 ネット点描より
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後先考えぬトランプ外交
シリアだけではない。トランプ政権は、そのよて生まれる混乱を度外視したその場の思いつきのような対外政策を繰り返してきた。
北朝鮮に最大限の圧力を加えると脅した後に金正恩朝鮮労働党委員長と首脳会談を行い、会談が成果を収めたとトランプ氏は主張し続けている。だが、朝鮮半島非核化に向けた具体的な措置が行われていないばかりか、北朝鮮はミサイル実験を繰り返し、ミサイルの潜水艦発射にも成功したと報道されている。
イランについては、核合意を一方的に破棄し、他国に経済制裁への協力を求めながら、イランの関与が疑われるサウジアラビア石油施設への攻撃の後も軍事介入は行っていない。トランプ政権は他国に脅迫を加えることには積極的ても、現実の軍事力行使には消極的なのである。
これまでのアメリカ政府の地域への軍事介入に成功してきたとは言えない。だが、トランプ大統領の招いた混乱はブッシュ政権やオバマ政権とは異なるものだ。他国との協議を経ることなく北朝鮮やイランに最大限の威嚇を加える一方、世界の警察官ではないと公言しつつ兵力を撤退する。トランプ政権からレトリックをすべて剥ぎ取るなら、残されるのは国際政治から手を引くアメリカであり、孤立主義の再興である。
これまで世界各国は、アメリカによる軍事力の行使が世界を混乱に陥れることを恐れつつ、その軍事力に頼って国際関係が安定することを期待するという矛盾した態度に引き裂かれてきた。そのなかで、NATO諸国、オーストラリア、そして日本などのアメリカの同盟国は、アメリカを同盟のなかに取り込むことによってその単独軍事行動を抑えつつ各国の安全を損なうような攻撃的な国家に対してアメリカの関与を求めてきた。後先を考えない威嚇と撤退によって、トランプ大統領は同盟の信頼性を突き崩してしまった。
アメリカが国際的な関与から撤退すれば、ロシア、そして中国の対外的影響力の拡大を招かざるを得ない。安倍首相はトランプ大統領との協力を第一とする外交政策をとってきたが、アメリカが同盟国との協力を度外視する行動を繰り返すとき、日米同盟の信頼性は弱まることが避けられない。現代世界の安定を阻む最大の要因がトランプ大統領であることから目を背けてはならない。

 時事小言より-----藤原帰一
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中国の成長率
中国の2019年7~9月期の実施経済成長率は6.0%。
四半期の成長率としては、比較できる1992年以降最低。
礼指摘低水準に落ち込んだ。

紙面より
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台風19号は、岩手県石巻市の人々が心待ちにしていたラグビーW杯の試合を中止に追い込んだ。
全2試合のうち13日に予定されていた最後の1戦である。カナダ代表の選手たちは、試合の代わりに泥かきや家財の運び出しなどを手伝った。
「うれしい驚きでした。カナダ側から申し出があり、浸水のひどかった地区へ入ってもらいました」。市役所でW杯を担当する佐々木智輝さんは話す。
釜石が誘致に名乗り出たのは、大震災の3年後。津波で千人余りが犠牲となり、なお大勢が避難生活に耐えていた。「ラグビーより被災者支援をという声も多かった。他の候補地と違い、整った施設もありませんでした」。選ばれたのは奇跡だったと話す。
W杯に向け「鵜住居復興スタジアム」が完成したのは昨年夏。津波で全壊した小中学校の跡地に建てられた。震災当日、生徒児童は無事だったが、笹木さんは友だちや近所の知り合いを幾人も失った。
W杯当日の担当はトイレとゴミ。聞けば、津波の直後はトイレの設営のほか、遺体の搬送にも追われた。あれから8年。「壊滅状態だった釜石がここまで来ました。そう世界に伝えられたのは何よりの成果です」。言葉の端々から開催地の務めを果たした達成感が伝わる。
スタジアムの周辺を歩き、海から吹く風を浴びた。1試合で終わったのは残念だが、開催までの苦労と当日の大歓声はいつまでも語り継がれるだろう。復興という名の長く険しい上り坂に、たしかな一歩が刻まれた。

 天声人語より
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夏の東京五輪
そもそも、東京の夏の猛暑が「想定外」だったのかね。
なぜ、札幌なの。
「復興五輪」なら東北でしょ。
仙台とか。マラソン課す上の変更案。

素粒子より
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排水ポンプの駆動音が鳴り響く中、住民たちが浸水家屋から戸棚や冷蔵庫を運び出す作業に追われていた。
13日の午後、多摩川に近い川崎市高津区の住宅街を歩いた。台風19号による被災地のひとつである。
「自宅3階で目覚め、早朝、1階に下りたらソファがプカプカ浮いていました。1階が浸水したのは初めてです」と地元の40代男性。台風一過の秋空の下、どろを拭く作業に汗を流した。終わりの見えない作業にため息をつく。
現場は、多摩川に支流の平瀬川が注ぐところ。住民の多くは無事だったが、浸水したマンションの1階で60代の男性が亡くなっている。19号は東日本のほぼ全域に暴風雨をもたらして太平洋沖へと去った。
今回、反乱した河川は驚くほど多い。多摩川や千曲川、阿武隈川など広く知られた河川もあれば、都幾川や越辺川、秋山川、九十九川などこれまでの取材や旅行では縁のなかった河川もある。
気象庁が公表している「危険度分布」には、河川氾濫の危険度が紫、赤、黄の色で示されている。対象は全国の中小河川約2万1千で、川崎市の平瀬川の位置もわかる。被害河川を画面上で探すうち、無数の川がまるで列島を覆う毛細血管のように見えてきた。
同僚たちが各地で撮った映像を見てみる。屋根で布をふる家族、自衛隊ヘリで救助される高齢者、消防のボートで運ばれる女性----。あまりに氾濫地点が多く、写真を見ても場所に見当がつかない。私たちは歴史的な水害を目の当たりにしている。

 天声人語より
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即位
またぞろ、君主制の遺物を持ち出すのか。
即位に伴う恩赦は、国民主権や象徴天皇制の憲法の理念にそぐわない。

素粒子より
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12日は着替えや洗面具を携えて駅に向かった。東京都心で列車が運行を止め、帰宅できない場合に備えた。
駅前の商店街は早々に店を閉め、ドアには×や+、*の形にテープが貼られている。ガラスの飛散を防ぐための工夫らしい。
ふだんなら週末の乗客でごった返す新宿駅も閑散としていた。応対に追われる駅員の姿はない。運航再開を待つ人々の列も見ない。台風に備えた「計画運休」が私たちの生活にすっかり浸透したと実感する。
初めての計画運休は5年前の秋、JR西日本が試みた。実際には台風の被害は限られ、計画運休の「空振り」と呼ばれた。だが翌年の夏、計画運休を見送ると、列車が立ち往生し、乗客が救急搬送される事態に。今度は「見送り」による三振と批判された。
計画運休は関東でも昨秋、初めて実施された。先月初めの台風では、運休明けに混乱が起きている。JR東日本がめどとして前日に発表した午前8時という再開自国がずれ込んだためだ。運行再開の予定をどう発表すべきか、鉄道各社でなお模索が続く。
首都圏では13日、JR東日本が昼ごろまで運休する予定だ。「再開は安全が確認されてから」とする私鉄も多い。先月の混乱を教訓とし、運休明けの「出口戦略」を練り直した結果だろうか。
12日の夜、関東地方では列車の走る音や踏切の警報音がほぼ全域で絶えた。鉄道の運休史に今回の台風はどう刻まれるのだろうか。いまはただ、深刻な被害とともに語られぬよう祈るばかりだ。

 天声人語より
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台風19号
治水の限界を改めて思い知る。
決壊、氾濫、緊急放流。
「まさか」の事態が各地で。

復旧を念じつつ、気候危機の現実におののく。
惨状を日々の暮らしを見直す契機に。

素粒子より
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19世紀の終わり、すでに電気自動車はロンドンのまちを走っていた。
乗合馬車に代わる電気タクシーで、その音の特徴から「ハチドリ」と呼ばれた。パリやニューヨークでも人気だったと『RE:THINK』にある。
騒音が小さいこともあり期待は大きかったが、ガソリン車に敗れる。大規模な油田が発見されてガソリン価格が下がったのが一因だ。当時の電池では、長距離を走るのにも限界があった。
それから100年余り。現在の電気自動車の隆盛を可能にしたのが、リチウムイオン電池である。携帯電話、パソコンなど現代社会は、その電池なしには成立しない。開発者たちに、ノーベル化学賞が贈られることになった。
その一人、ジョン・グッドイナフさんが研究を進めていた1970年代後半は、石油ショックに世界が傷ついていた頃だ。エネルギー問題の解決のため、充電できる高性能電池が求められていた。
研究を肉付けし電池を生み出したのが旭化成の研究者、吉野彰さんだった。ビデオカメラから始まりじどまでう及ぶ用途の広がりは、本人も予想外だったのではないか。「時代のニーズに応じることができたしあわせな開発でした」と、後に語っている。
自然エネルギーを蓄電することへの期待も高まっている。「社会が化石燃料から脱却することを可能にする」というのが、賞が贈られる理由である。多くの科学者、それに技術者の試みが世界を前に進めている。

 天声人語より
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夜型生活取り戻すには、朝日を浴びる。
乱れた睡眠のリズムを取り戻すにはどうすればいいのか。
①朝に日光を30分ほど浴び、睡眠ホルモンに関わる体内時計をリセットする
②日中に適度な運動をし、夜とのメリハリをつける。
③胃や腸を休めた状態で眠るために、就寝の3時間前には食事を終わらせる。
④夜は強い照明を使わないで過ごす--などが効果的という。
また、乱れた体内時計を整えて規則正しい生活リズムを手に入れるために、毎日の睡眠時間を記録することを勧める。起床・就寝時刻や寝ていた時間、途中で起きた時間・回数を振り返り、できるだけ毎日同じリズムを繰り返すようにする。休日だけ起床時間が遅くなる場合は注意が必要だ。平日の起床時間と2時間以上ずれると翌週の前半は時差ボケの状態となり、心身への負担が増えるという。
体内時計が乱れたままだと、睡眠時間帯が日常生活に支障を及ぼす「概日リズム睡眠障害」になる恐れもある。「朝起きられないなどの症状は『やる気がない』『だらしない』と見られがちだが、治療が必要な場合もある。受診をためらわないでほしい、と話している。

 はぐくむより
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1980年代の話である。脚本家の山田太一さんは、自宅ではなくアパートを借りて仕事をしていた。
電話に邪魔をされたくないからだが、困るのは食事だ。深夜、空腹に耐えかねて外に出ても開いている店はない。
そんなときに道路に漏れる灯りが見えた。新聞で読んだことのある24時間営業のコンビニらしい。「これかァ。これなんだ。オレみたいなのが、都会にはきっと商売になるくらいいるんだ」とエッセーに書いている。
夜も眠らない店が珍しくなくなったのは、いつ頃からか。コンビニの先にまたコンビニがあるのが現代日本の風景である。それがここにきてにさしかかている。セブン-イレブンが拡大路線を改める。
1千店を閉店ないし移転する一方、新規の出店を抑えていくという。働き手が不足していると店主らから悲鳴があがるなか、店を増やし続けるのが難しくなった。業界では年中無休も見直され始め、ローソンは来年の元日に100店が休業する。
米国から取り入れられたコンビニは、日本で高度な発達を見せた。いつでも開いていて同じサービスが受けられる。しかしそれを可能にするためにどんな苦労があるか、目を向けられることが少なすぎた。
山田さんはコンビニを舞台にドラマの脚本を書き、登場人物に語らせた。「こういう店が、灯りをつけているだけでも、随分ほっとする人がいるんだろう」。訪れる人を包み込んできた店の灯り。これからは店を支える人たちを照らす灯りがいる。

 天声人語より
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老後の健康、歩いて外出できる体力を
「団塊世代」が、10年足らずで75歳以上の「後期高齢者」となる。その後の人生の明暗は「歩いて外出できる体力の維持」にかかっている。家事をこなし、公共の乗り物で移動し、スーパーで買い物ができれば、一人暮らしも可能だ。外出できれば、近所の人とも交わり、草花や風のそよぎに季節を感じ、心も豊かになる。買い物をすれば計算もする。歩けなくなると一挙にそれらを失い、医療、介護の対象になる。
心身を動かさないと老化は加速する。そのターニングポイントは、男性の場合、定年退職時にある。ここで手を打つには、いわば「大人の義務教育」のように場が有用と考える。「定期的に歩いて外出する場」を提供し、地域とのコミュニケーションの構築、健康・調理などの知識と技術を習得することを目標とした授業をしてはどうだろうか。
歩いて通えることが前提なので、65歳前後の1~2年間、半日程度のコースで週に2回ぐらい学区の小中学校の空き教室に集まってもらう。
全員参加は、ホームルームと健康講座くらいにしておいて、パソコン、園芸、手芸などカリキュラムは工夫次第、講師もメンバーの中から出てくるだろう。栄養の整った学校給食を食べれば、筋力低下予防にも効果があるはずだ。
自治会などで対象者全員に声がけするが、親や孫の世話、仕事や趣味を理由とする不参加は可とする。だが、出欠届は義務とする。元気だけど、自ら積極的に出向かない人々を集めることで、点と点がつながり面となれば、子育てや介護、防災の一助にもなり、地域に飲み仲間やゴルフ友むだちもできるだろう。終了後は自主活動が継続すれば成功だ。地域差はでるだろうが、医療費や介護費の削減に向けて、市町村でこのような「大人の義務教育」に取り組むことはできないだろうか。

 オピニオンより-----健康運動指導士・山田佐世子
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香港の抗議行動では、多くのスローガンが叫ばれている。ほとんどは中国語だが、なかには英語もある。
「自由のために闘おう。香港とともに立ち上がろう」。外国の市民に連帯を求める気持ちからだろう。
彼らの願いに共鳴したのが、米プロバスケットボール協会人気チーム、ロケッツの幹部ダリル・モーリーさんだ。英語のスローガンの画像をツイートした。これが中国からの猛反発にあつてしまう。
たかが個人のツイート、しかも過激な中国批判でもない。
それでも削除を余儀なくされ、NBAは「ふてきせつな発言に深く失望している」との声明を出した。何億人もが試合中継を見てくれる巨大市場を前に、名門スポーツ団体が右往左往している。
見苦しい事態は、あちこちのビジネスで起きているようだ。例えば米宝飾大手のティファニー。女性が手で右目を覆う広告が中国の消費者から批判を浴びた。香港のデモで目にけがを負った女性を連想させるからだという。広告は取り下げられた。
あるいは仏金融大手BNPパリバ。香港オフィスで働く弁護士が親中国派をからかう内容をフェイスブックに書いたところ、辞職するはめになった。背景に中国政府の怒りがあると英紙が報じている。
表現の自由が抑えつけられ、市民が監視される国。そんな中国流が押し寄せてくると危機感を強めるのが今の香港である。いや香港は最前線に立っているだけで、自由の剥奪は、じわりと世界規模で始まっているのかもしれない。

 天声人語より
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快眠のコツ 適切な睡眠は6~7時間。統べての人に勧めしたいのは昼寝。
春眠暁を覚えず、という漢詩があるように、眠りを誘う季節です。しかし、布団に入ってもなかなか寝付けないという相談は、この季節も多く寄せられます。適切な睡眠時間を知って、気持ちよく寝てすっきり目覚めましょう。
 私たちは眠ることで疲労を回復させ、心身のメンテナンスをします。日中、疲れや眠気を感じず過ごせるようなら、李相の睡眠がとれているといえる。
現役時代に十分な睡眠がとれなかったから時間ができた今はゆっくり眠りたい。結果、寝床にいる時間が長すぎて、睡眠の質が悪くなる。これがシニア世代の落とし穴になります。寝付きが悪かったり、夜中に何度も目覚めたりする人は睡眠時間を圧縮することで、改善されることが多々あります。目安は6、7時間。実際に眠っている時間+30分を心がけましょう。
 凡ての人にお勧めしたいのが昼寝です。午後を元気に過ごせて活動量が揚がるからです。ポイントは時間の長さとタイミング。正午~午後3時の間に30分までの仮眠をとれば、深い眠りに入る前に目覚めるため、すっきりします。
 ソファに座って目を閉じるだけでも、効果を期待できます。衣服の締め付けをゆるめ、上半身を少し起こした姿勢で足を伸ばすとリラックスできる。

 きょうもキレイより------三橋美穂
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「腐っても鯛」「海老で鯛を釣る」などのことわざは、どれもタイが魚の王様であることをうかがわせる。
「金目のもを釣るなら真鯛か伊佐木」という身もふたもない言い方もあると『釣りと魚のことわざ辞典』に教わった。
そんな値段の張る魚の代名詞であるタイが、ついにサンマの後塵を拝したらしい。東京の豊洲市場では、1㌔あたりの北海道産サンマの卸値がマダイを上回っている。秋の珍事と言えるのではないか。
新米のごはんに焼き立てのサンマ。お金のかからない贅沢が遠くなっているようだ。あるいはサンマは高級魚だと、考えを改めねばならない時代なのか。不漁には慣れてきた気もするが、この秋は段違いだ。
8~9月の漁獲量は「半世紀ぶりの不漁」だった一昨年と比べても4分の1以下である。日本近海の水温が上昇してサンマが近づかないというから、地球温暖化の変化が関わっているか。高いのに細身の生サンマをお店で眺め、他の魚を選ぶ方も多いのではないか。
そういえば今年は、当方もまだ冷凍サンマしか味わっていない。先月初め、都内であった「目黒のさんま祭」に出かけた時も冷凍物を炭火焼きしていた。万が一来年も不漁が続くなら、冷凍サンマすら品薄にならないかと心配になる。
かつて江戸の魚河岸では、秋の最盛期にサンマがとっと集まり、お祭り騒ぎのような日が続いた。「秋刀魚騒がせ」と言ったらしい。今のような取れないがゆえの「お騒がせ」の日々が、うらめしくなる。

 天声人語より
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台風
災害は忘れた頃にやってくる時代は過ぎ、常にさ意外と隣りあわせの時代になった。
台風19号が迫る。
備えを早く。

素粒子より
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彼に匹敵する素質を持った投手が今後出現したとしても---と、元巨人の強打者、青田昇さんが書いている。
「彼のような精神的なしたたかさ、がめつさを併せ持つ男は、絶対出てこない」。名投手金田正一さんへの賛辞である。
例えばキャッチャーフライになりそうな打球が上がる。金田さんは安堵するどころか、捕手に「捕るな!」と声をかけたというのだ。三振の記録を伸ばすため、フライでアウトにしたくない。これが金田だ、と青田さんが『サムライ達のプロ野球』で述べている。
国鉄スワローズ、次いで巨人で投げた金田さんが、86歳の生涯を閉じた。現役時代を知る方のことがうらやましくなるような偉業の数々である。生涯で400勝、奪三振4490個は今後もまず破られることはない。
日本のプロ野球史上で最速の投手は誰か、との議論には必ず名前が上がる。しかしスピードガンが広がったのは、引退から10年ほど後だ。実際は何㌔だったのか。もし大リーグに行っていたら----。いろいろ想像したくなる伝説の人である。
対談で、ヤンキースから誘われたことを明かしている。行かなかった理由は、「アンパイアも日本の選手が来たら潰すよ。対日感情も凄く悪かった---」。戦争の記憶がまだ生々しい頃のこと。金田さんの強気にも、時代の壁はあった。数々の日本記録のなかで通算完封記録を塗り替えられなかったのが心残りだと、晩年のインタビューで語っていた。野球への執念は最後まで消えなかった。

 天声人語より
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ノーベル化学賞
この親近感はなぜ?
スマホの電池だし、ご本人の人柄もね、
化学を身近にしてくれた吉野彰さんのノーベル賞。


素粒子より
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きのうに続いて香港の話である。デモ行進の最前列に行き、警察とデモ隊が衝突するのを取材した。
催涙弾の煙を浴びてしまい、目が痛くてたまらなくなった。ホテルに戻ってラウンジで休んでいたら、5~6人の若者が入ってきた。
黒いマスクに、黒いシャツ。いかにもデモ隊という感じの彼らは、最前列から逃れてきたのだろう。ホテルの従業員と話し、奥の部屋で着替えをさせてもらったようだ。白い服などを身につけて出てくると、もうどこにでもいる大学生だ。
「外には警察がいる。まだここにいた方がいい」と従業員が声をかけていた。若者たちはラウンジでジュースを飲み、しばらくして散っていった。
ときに政府機関に石を投げ、警官に火炎瓶を放る。そんな若者の行動に眉をひそめる香港視線が多いかというと、どうも違うようだ。ネット上には、デモ隊を逃がすための車の運転を申し出る書き込みが多い。帰れなくなったら泊めてあげる、との呼びかけも。
2047年。一国二制度の期限となる年のことを香港でよく耳にした。このまま中国にのまれてしまうのか。「若者たちは自分の未来のために闘っている。かれらには彼らのやり方で闘う権利がある」と60代の民主派議員が言っていた。
騒ぎで観光客が減り、ホテルやレストランには打撃だと聞く。安全な場所でなくなったとして外国企業が去るのでは、ともささやかれる。それでも今の香港では、自由を奪われるという危機感の方がずっと強いようだ。

 天声人語より
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株価下落
NY株は、米中通商摩擦が激化しかねないとの見方から、ダウ工業株は大幅下落。
終値は前日比313.98㌦安い2万6164.04㌦。

紙面より
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抗議行動が続く香港を、先週訪れた。デモ行進の列にまざって、一緒に歩いた。
警察との激しい衝突が報じられるが、あれは最前線の話。ほとんどの人は平和的に、大通りをゆっくりと歩いていく。
車道いっぱいソロ狩り、先頭も最後尾も見えない長い列は、マスク姿が目立つ。子どもを肩車したお父さんもいるし、著名な歌手の姿に歓声が上がることも。「香港人、がんばれ」「香港を取り戻せ」などの叫び声があちこちで響く。
抗議行動はもともと、容疑者を中国本土に引き渡すことができる条例改正案が焦点だった。その案が撤回されたのに、なぜデモに? 何人かに聞くと「警察の暴力に、怒りを覚えるから」の答えが返ってきた。
香港警察はこのところ、すぐに催涙弾を撃ち、デモ隊を容赦なく逮捕するようになった。その変貌に、中国共産党の意思を感じる人は多い。「香港が大陸に近づいているのが心配なんです。集会の自由が失われている。自由にしゃべれなくなる気がして」。若い女性が話していた。
十分な選挙権がない香港は、民主はないが自由はある社会だ。ネット上で政府を批判しても、中国本土のように削除されることはない。それどころか「次はどんな抗議をしようか」などの意見が交わされ、ときにネット上の投票で行動が決まるという。
香港政府はきのう、デモでのマイク着用を禁止した。警察からプライバシーを守る自由の剥奪である。自由から不自由へ。そんな逆コースの中に香港の人たちはいる。

 天声人語より
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日米貿易協定に署名
7日の午後、米ワシントンで正式に署名された。
米国側は今回の協定について議会の承認手続きが必要なく、日本が今の臨時国会で承認を得られれば、来年1月1日に発効する見通し。

紙面より
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他人に触られるとくすぎったい足の裏やわきの下が、自分の指で触れるとくすぐったくない。
なぜなのかと真剣に探究したのは古代ギリシアのアリストテレスである。到着した答えは「自分の指では動きが予測できるため」。
触角が専門の仲谷正史・慶応大准教授によると、海外の学者がMRIを使って、くすぐり行為と脳の反応を調べたところ、アリストテレスの推理は正しかった。「万学の祖」と呼ばれた彼は、五感の中で触角を「第一のもの」と位置づけていた。
人の皮膚には感度のよいセンサーが備わっているそうだ。みのの凹凸を感知するのはメルケル細胞。ツツッと滑る感覚を担うのはマイスナー小体。ざらざらした感触にはパチニ小体。いずれも聞きなれないが、ほかに役割の不明なセンサーもある。
テニスラケットの網目を両手ではさみ、さすると、滑らかな布に触れているような感覚が起こる。この現象を解明しようと多くの学者が挑んだが、まだ答えにたどり着けていない。こうした触角は50も存在する。
触角は人の思考にも影響を及ぼす。米国のある大学は、未知の人物の写真を示して性格を推理してもらう実験をした。ホット飲料を手にした人は、冷たい飲料を持つ人より、「あたたかい人」だと想像する割合が高かった。
「百聞は一見にしかずと言いますが、一触には百見を上回る力があります」と仲谷さん。アリストテレスの昔から向きあってきてなお、触角の世界は不思議に満ち満ちている。

 天声人語より
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金田正一さん逝く
明るさと反骨心と厚い人情と。
前人未到の400勝は、前人未到の298敗があったればこそ。
「金やん」逝く

素粒子より
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入院時に病院着やパジャマで悩んだことはないだろうか。診察や治療には好都合でも、着る物が選べないのは少し寂しい。
見まいに来てくれた知人に、ふだん見せない寝間着姿をさらすのも恥ずかしい。
「病院でもおしゃれで着心地のいい物を身につけたい」。静岡文化芸術大学の藤井尚子准教授は、闘病中の義母に言われた。病院から支給されたのは浴衣型の寝間着。胸の部分が開きすぎていた。病気で瘠せた体をさらすのがつらそうだった。
服飾デザインや染織が専門の藤井さんの探究心に火がともる。看護師らに脱ぎ着させてもらうのに便利で、着用感もよい「おしゃれ病衣」をめざした。調査で訪ねた北欧ヘルシンキの病院では、色や形など何種類もの病院着から患者自身が選ぶことができた。入院中も「自分らしさ」をあきらめずに済む。
着目したのは、名古屋市で長い伝統を持つ絞り染め工芸「有松・鳴海絞」だ。布地に伸縮性が生まれ、袖口、ひじ、わき、足首を締め付けすぎず、緩みすぎない試作品ができた。胸や前首が透けず、脱ぎ着も滑らか。市販化をめざしている。
近年、主に女性患者向けのいるいが相次いで商品化されている。色鮮やかな作務衣型のパジャマ、リボンが着脱できるニット帽、葉ながらの杖。専用の売り場を設ける病院もある。
診察の現場に支障が出ないよう留意しながら、入院患者がおしゃれを楽しめる選択の幅を広げる。病は「着」から。闘病生活に少しでも喜びが増えることを願う。

 天声人語より
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高カカオチョコで腸内の善玉菌を増やし 便通改善
カカオ分70%以上の高カカオチョコレートを店頭で見かけませんか。ちょこっとでも腸の調子を整えることが分かってきました。
チョコの成分で有名なのはカカオポリフェノール。認知症の予防や動脈硬化のリスク軽減などの効果があることが、2014年から愛知県蒲郡市で行われた市民347人を対象にした健康調査でわかった。一方、この調査で「便通が改善した」という声も聞かれた。ポリフェノールでは説明できない結果だった。
「カカオたんぱく質が関わっているのでは」と帝京大の古賀准教授は考えた。古賀さんは機能性が未解決だったカカオたんぱく質の抽出・分離に初めて成功。大豆や牛乳のたんぱく質と比べて消化されにくく、大腸まで届くことを明らかにしていた。大腸には500兆個以上の腸内細菌がすみ、食物繊維などを餌に腸内環境を整えている。
菓子メーカーの明治と共同で、便秘気味の女性31人を2群に分け、カカオ分72%の高カカオチョコと、カカオたんぱく質を含まないホワイトチョコを、それぞれ毎日25㌘、2週間食べてもらった。
すると、ホワイトチョコの群は変化はあまりなかったが、高カカオチョコの群は排便回数が週2.8回から4.9回に、1回の排便量も2倍以上増加。便秘解消が裏付けられた。「結果にびっくり」と古賀さん。女性たちの腸内細菌を調べると、「フィーカリバクテリウム」が約2.5倍増えていた。この菌はあまり知られていないがビフィズス菌、乳酸菌と同様に善玉菌だ。
この菌から作られる酪酸は大腸の粘膜を刺激し、便通改善の効果がある。古賀さんは「カカオたんぱく質が善玉菌の餌になり、腸内環境が改善した」と話す。
厚生労働省の13年の調査では便秘に悩む人は約470万人で女性に多い。高カカオチョコの機能を研究する愛知学院大の大沢教授は「日常の食事習慣の中で少しずつ食べることが大切」と助言する。少量でも様々な効果が出るので、カロリーも気にするほどではないという。

 続・元気のひけつより
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「わしの助役は、厄よけの方の『徐厄』である。悪いことは何でも背負い込んでいくから、諸君はふりむく必要はない」。
戦後の復興期、名古屋市の助役として腕をふるった田淵寿郎は就任の訓示で市職員を 励ました。
田淵は先駆的な都市計画で知られる。「大ぶろしき」とあだ名されたが、自動車社会の到来を見越して市街地を買収。道路や公園の用地にあてた。10年あまり助役を務め、地下鉄や港湾の整備にも力を注ぐ。暮らし向きはいたって質素だった。
一口に助役と言っても、仕事ぶりは一様ではない。公表された福井県高浜町の元助役をめぐる関西電力の報告書を読んでいささか驚く。原子力部門の幹部らに届けた品々のリストがすざましい。現金や商品券、スーツ仕立券のほか、小判、金貨、金杯まで贈っている。
菓子の贈答袋の底に金品を忍ばせたというから、さながら時代劇である。返そうとする相手には「無礼者」と怒鳴ったいう記載もあって、報告書は実に生々しい。
明治以来、自治体のナンバー2として助役は地方行政の異だった。法改正で2007年以降は、副市町村長と呼び名が変わったが、これまで取材でお目にかかつた助役はどなたも清廉で実直。手堅い仕事ぶりが記憶にある。
助役をめぐる前代未聞の金品工作が白日の下にさらされた。こみいつた事情は多々あったようだが、原発とはそこまて゛しないと維持できないしろものなのか。改めて考え込んだ。

 天声人語より
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人口減少、それがなにか?
人口減少を深刻な危機と受け止める向きはもちろん多い。人口(とりわけ労働力)が減り続ければ経済成長が難しくなる。産業・企業の存立基盤が損なわれる。政府債務返済負担が一段と増す、国力が衰退し安全保障リスクが高まるなど、不安は尽きない。
 しかし、人口減少は嘆くしかないことなのだろうか。人口減少下でも、国民の豊かな生活や国力を維持する手立てを見つけることはできないのだろうか。
 人手不足の主因は人口減少と言われる。しかし例えば、コンビニや外食チェーン店の24時間営業、きめ細かすぎる宅配サービスなど、消費者が便利さへの飽くなき欲求を少しでもよくせいすれば、人で不足は和らぎ、労働環境も改善される。その結果生じる労働力の余裕を、新たな成長分野で発生する労働需要り振り向けることができれば、生産性の上昇と付加価値の増大すなわち経済成長の押し上げに生かすことができる。換言すれば、それを阻んできたのは我々自身ではなかったか。
 人口減少に直面する日本に必要なのは、危機を煽り弥縫策を繰り返すことではない。公共投資の拡大は一時的な景気刺激と引き換えに将来世代に大きな財政負担を残した。我々に求められているのは、人口減少が制約や重荷とならない経済社会をつくる意思であろう。いずれ使われなくなる社会インフラはつくらない、これ以上政府債務を増やさないなど、マクロからミクロまで、やるべきこと、できることは多い。

 経済気象台より----山人
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昭和4年の秋晴れのある日、斎藤茂吉ら4人の歌人が本社機コメットに乗り込んだ。題して「空中競詠」。
飛行機で旅する人がまだ少ない時代、高名な文人がどんな感興を机上で抱くのか関心を呼んだ。
〈飛行機にはじめて乗れば空わたる太陽の眞理を少し解せり〉。茂吉、47歳にして初めての空の旅である。緊張のあまり前夜は睡眠薬を飲んだ。〈雲の中通過するときいひしらぬこの動揺を秀吉も知らず〉。太閤秀吉でさえ味わえぬ空中遊泳の興奮を詠んだ。
東京の立川飛行場を発つ。〈電信隊浄水池女子大学刑務所射撃場塹壕赤羽の鉄橋隅田川品川湾〉。茂吉にしては珍しい自由律。目を射る風景を並べただけだが、空の臨場感を伝えて巧である。
同乗した前田夕暮は「感興横溢、歌が出来て出来て際限がない」と喜び、数十首作った。〈二千メートルの空で頭がしんとなる、眞下を飛び去る山、山、山〉。詩とも歌ともつかぬ作品に初飛行の感激があふれる。
歌壇の歴史に残る空中競詠から今秋でちょうど90年。秋晴れの午後、本社ヘリに乗り込み、歌人たちの航路をたどった。当時はなかった米軍基地にオスプレイが駐機し、神宮外苑には完成間近の新国立競技場が見える。隅田川や丹沢の山並みはそのままだ。
急な旋回に胃を縮めながらも、広い視界を楽しむこと90分。〈われより幾代か後の子孫ども、今日のわが得意をけだし笑はむ〉茂吉。時代が違っても、空への憧憬、空での高揚は少しも変わらない。

 天声人語より
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産業革新機構トップ
空席になっていた官民ファンドの産業革新機構の最高責任者(CEO)に元みずほ証券の社長、会長の横尾敬介氏など、4人の役員人事を内定したと発表した。

紙面より
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約250万年前、人類は石器を作ろうと石をたたき始めた。これが人類にとって最初の人工的な不快音ではないか---。
英研究者マイク・ゴールドスミス氏が自著『騒音の歴史』で推測している。カエルもどうやら人の出す雑音に悩まされているらしい。
北海道大学の研究者たちは2年前、札幌市内で二オンアマガエル76匹を採取し、動きと自動車騒音の関係を調べた。録音した走行音を響かせると、カエルの平地での移動距離は実に3割も短くなったという。
「水田などを行き来しようと道路を渡る際、騒音のせいでカエルの動きが鈍くなるようです」。研究班の先崎理之・北大助教授は話す。騒音がなければ渡りきれたはずの道の途中で、車にひかれてしまう事故の多さが浮かび上がった。
先崎さんはかつて、交通騒音がフクロウに及ぼす影響を調べたこともある。ふだんの狩りは、獲物が出す小さな音が頼り、だが騒音で、フクロウの採食能力が2~9割も落ちていることがわかつたという。
「騒音は常に人間と共にあった」。冒頭の著書でゴルードスミス氏が指摘している。石器作りから、産業革命後の工場騒音、列車や航空機の移動音まで、騒音はこれまでもっぱら人類の視点で語られてきた。
生態系と騒音の関係は未知の領域である。ようやく近年、船から出る音波や航行音がイルカやクジラに与える悪影響の研究が始まつたところだ。私たち人類が発する種々の音は、動物たちにいったいどんな迷惑をかけているのだろうか。

 天声人語より
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株の下落
米の景気悪化を懸念して、ニューヨーク株式市場株が前日に続いて大きく下落。2日間で合わせて838㌦の急落。
日経もほぼ全面安に。終値は436.87円下落した。

紙面より
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先日、出張先の札幌市で地元のスーパーに立ち寄った。
「入荷」の貼り紙に誘われて魚介売り場をのぞくと、地元産の「生筋子」が並んでいた。袋状のサケの卵巣がドサリと置かれ、買い物客が目を皿のようにして選んでいた。
本場・北海道ではイクラ作りの季節を迎えた。家々では、筋子の袋から取り出してバラバラにほぐし、塩やしょうゆで漬けこむ。北海道の食文化に詳しい北翔大学の小田嶋政子名誉教授によると、この時期のサケは秋を実感させる食材として「秋味」と呼ばれる。
横浜市に住む村田窈子さんは北海道の出身。「夫の転勤で首都圏に住んで36年ほどになりますが、この季節には欠かさずイクラを作ってきました」。この秋も2度、近所のスーパーで筋子を見つけ、漬けたと話す。
作り方や味付けは家庭ごとに異なる。村田さんは子どものころ姉から作り方を教わった。大切なのは、熱めのお湯に筋子をつけ、粒を一つずつはがしていく地道な作業。「市販品と違い、手作りのイクラは口に入れたとたん、やわらかい皮がプチッとはじけます」。
アイヌの言葉でサケは「カムイチェプ」。神の魚を意味する。秋の訪れを告げる味であり、厳しい冬に備える保存食の素材でもある。身や筋子だけでなく、頭、はらわた、白子、ヒレまで食べ尽くすのがアイヌの伝統という。
新鮮な筋子は、陽光のような色に輝き、見るからに食欲をそそる。北の大地に息づくサケ文化は家庭の味としていまも健在である。

 天声人語より
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増税
日銀短観が6年ぶりの低水準。大丈夫かな。
短観か下落したのは消費増税のせいではないとおもうが、
他の要因の方がウェイトが大きい。

紙面より
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戯曲の名作『ゴドーを持ちながら』で知られるノーベル賞作家ベケットは高校時代、ラグビー部の主将だった。
故国アイルランドの有力紙によれば、眼鏡なしでは目がよく見えなかったものの「らいおんのように勇猪果敢」な攻めを見せたという。
長く暮らしたパリでも、ことラグビーとなるとアイルランドを熱心に応援。英紙ガーディアンを読むと、ラグビーの試合の放送がある土曜日は、麺間の約束を入れないことで知られたそうだ。
開催中のラグビーW杯で、優勝候補と目されるアイルランドが番狂わせを喫した。金星を挙げたのはわが日本である。声援の後押しがあったとはいえ、いったい何人の評論家がこの結果を予想し得ただろう。
日本が逆転した後は当方も、いつアイルランドが本気を出すか、いつ日本が力でねじふせられるのか手に汗握った。試合終了の笛が鳴ると、土曜夕刻の本紙編集部にも驚きの声がこだました。
17対145----。日本ラグビーW杯史に残る最大失点である。1995年の第3回大会でニュージーランドに矢のようなトライを浴びた。「記録的惨敗」「次に生かせ、この屈辱」。試合の結果を報じた本紙は、いま読み返すのもつらい。あのころが日本ラグビーの真冬ならば、いまはさしずめ春の初めか。あるいはもう夏の入り口か。
難解な不条理劇で知られたベケットの、今年は没30年の節目である。ご存命なら、きのうの土曜日、静岡県からの中継を見て、地団太踏んで悔しがったはずである。

 天声人語より
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消費税10%に
増税は5年半ぶり、一部の据え置き物とアップ分となり、複雑な2重価格に混乱も起きている。

紙面より
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戦前から戦中にかけて、新聞や雑誌は検閲で発禁処分となり、損失に苦しんだ。
印刷を終えたのに販売できなくなるからだ。それゆえ問題になりそうなところを先回りして、伏せ字や削除をする例が多かった。
作家の石川達三が日中戦争に従軍して書いた小説『生きている兵隊』は雑誌の初出では例えばこんな感じだった。「兵士たちは自分等が×××××××××はなった」。伏せ字は「宿営した民家に火を」である。
日本軍をめぐる赤裸々な表現が当局ににらまれるとの懸念からだ。そんな自己検閲が、実際の検閲に輪をかけて表現の世界を息苦しくした。似たようなことにならなければいいが。そう思うのは、愛知県で開催中の芸術祭に国が補助金を交付しないと発表したからだ。
展示の一つ「表現の不自由展・その後」に脅迫の電話があり、中止になった。警備が必要になりそうなことを事前に国に報告しなかったというのが不交付の理由という。後出しじゃんけんのような変な話だ。
求められるのは脅迫や妨害に立ち向かうことなのに、これでは後押ししているように見える。議論を呼びそうな展示は避けようと自治体が自己検閲を強めないか。まさかそれが国の狙いだとは思いたくないが。
石川の作品が載った雑誌は結局発禁処分になり、作家も起訴された。戦場の現実に迫る文学の力は、少々の伏せ字では覆い切れなかった。芸術には訴える力があり、それを抑えつけたい人がいる。いつの時代も同じかもしれない。

 天声人語より
政府が韓国の日本大使館前の慰安婦像の撤去を韓国に求めているのに、それを芸術だといって展示しようと考えたのが悪いのだ。模造品でもそれは芸術作品なのか?
それとこの問題とは筋が違うと異論を唱える人は思っているのだろうか。
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