若い世代をとう支える。家族は限界 公助も不十分
出生率の低下は、家族の機能の限界とも考えることができる。
そもそも日本は国際的に比較すると、国や自治体など公共部門が提供する社会保障の金額は少なく、代わって家族と大企業が担ってきた。戦後の高度成長は、東北や九州などの地方から大都市に移り住んだ大量の「金の卵」が支えたが、父母は地方に残された。子育ても、田舎で年老いた親に面倒にしても、家族では無理なら、社会でやらなければならない。「公助」が大事になる。
非正規雇用の若者を救うには、何と言っても職業訓練だ。
スキルがなければ、良い職には就けない。また、出生率を上げるには、子育てや教育への支援を拡大するしかない。ところが、ここにかける予算は、世界的に比較すると低い水準にある。若者だけに限らない。いま、日本で貧困に苦しむ人々の半分は恒例の単身女性ですが、働ける世代ではない人たちを助けるには、福祉を充実するしかない。
しかし、国の財政は厳しく、十分な財源は確保できていません。
14年に消費税が8%に上がった後、10%への再引き上げは安倍首相の決断で2回延期になりました。この判断を大方の国民は支持しているようです。税率3%幅分の負担をしたのに、サービスが充実した実感がなく、国には期待できないと考えているのでしょう。
私はデンマークのような高福祉・高負担の国を目指すべきと主張してきた。日本はもはや低福祉・低負担を選んだのだと思うし、福祉社会への道は半分諦めている。もうひとつ、日本人は降伏なのか。国民の「幸福度」を数値化し、国連が毎年発表する幸福度ランキングで、日本は2016年が53位、17年は51位でした。デンマークは16年に1位、17年は2位です。主に税を財源として、国民全員にあまり差のない福祉を提供している国です。税と社会保険料の負担は収入の半分にもなるけれど、病気になっても要介護状態でも生きていける保障がある。これが、若者を含めた国民にものすごく安心感をあたえている、というのが私の判断です。

 ニッポンの宿題より----京都女子大客員教授・橘木俊詔
税負担の多くなるのを嫌う国民にそんな説法は通らない。
地震の思いのみを述べていては何も提言にならない。