東京のホタル
東京都区部にゲンジボタルが自生する場所がある。
今年もかなりの数のホタルが初夏の夜空を舞っていた。ホタルは温度に敏感で、清流を好み明かりを嫌う。幼虫は餌のカワニナがいないと生息できない。大都会の一隅でホタルが見られるのは恵まれた環境のおかげだ。
この場所は東京都の緑地保全地区に指定され、開発の手が入らなかったため、多様な動植物が生育する。湧水が静かに流れる池があるなど、好条件がそろう。
地域有志が「守る会」を結成し、保護観察を続けていることも大きい。昨今は湧水が少なくなっているため、雨水タンクや浸透升などの普及に努め、ホタルの季節には近隣の住民にホタルの飛ぶ側になるべく電気をつけないよう依頼するなど努力も重ねている。会のリーダーは「水と緑を守り生態系を維持することは、人間にとっても住みよい環境を作ることになる」と、自然を利用したグリーンインフラの構築も提唱する。
堤防など人工的なグレーインフラに対し、自然の機能や仕組みを社会資本整備に活用するグリーンインフラ。地球規模で豪雨が頻発するようになり、減災や地域振興などの面からも注目される。
成功例は欧米に多く見られる。工場跡地や排水路を公園緑地や河川に整備してにぎわいを取り戻し、企業を呼び込んで雇用創出に役立てている例もある。ロンドン五輪大会の会場になった場所も、大規模な緑地計画を実施して、疲弊した地域を一変させた。
わが国でも、2015年に策定された第2次国土形成計画でグリーンインフラを取りあげているが、具体策に欠ける。一部地域で遊水池、山林再生などが進んでいるが、住民をまきこんだ取り組みが望まれる。

 経済気象台より------提琴