6日は何の記念日かと調べると「ワクチンの日」「公認会計士の日」。なかでも有名なのは「サラダ記念日」だろう。
<「この味がいいね」と君が言ったから7月6日はサラダ記念日>。俵万智さんの『サラダ記念日』が刊行30周年を迎えた。
「実際にはサラダじゃなくて鶏の空揚げ。カレー味にしたら『これいいな』。うれしかったので歌にしました」と俵さん。7月7日が浮かんだが、七夕ではない平凡な日を選んだそうだ。ご本人から解説を聞いて1首浮かんだ。〈「カレー味いいな」と君が言ったから7月7日は空揚げ記念日〉。つたない。
歌集は280万部売れた。〈買い物に出かけるように「それじゃあ」と母を残してきた福井駅〉〈万智ちゃんを先生と呼ぶ子子らがいて神奈川県立橋本高校〉。口語体を駆使し、状況の寂しさも教室のざわめきも自在に詠んだ。24歳だった。
34歳で刊行した『チョコレート革命』では道ならぬ恋も歌題に。〈焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き〉。「恋愛の歌では歌人と作中主体はしばしば別人格です」と解釈は読者にゆだねる。
震災を機に仙台市から石垣島へ移る。〈「オレが今リオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ〉。息子さんの中学進学にあわせて宮崎市へ引っ越した。
「短歌は青春と相性がいい分、いつか作れなくなるかなと心配しましたが、無用でした」。作歌のペースは変わらない。「三十一文字の宇宙は広がり続けている。

 天声人語より