2002年08月の記事


白き蘭
亡母(はは)の死を肯うごとく供花のラン一つづつ白きままに散りゆく
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壁張り替え
息子(こ)が拳に打ち破りたる壁跡も直りて白き部屋のすがしさ
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身の冷え
濁り水の流れ激しき川べりの橋を越えつゝ身の冷えてきぬ 
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畳の上
畳上の死を諦めて逝かしめし亡母が着物を広げて泪す
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ことば
ことばもて傷つきやすくば沈黙の武器より哀れ暴言の惨
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死者ら
雨つづく夜空の北雲たれこめて死者らが重く圧しつぶすもの
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盆踊り
亡き母の踊ることなし盆踊り月ある今夜は輪に加わりぬ
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亡きははのわが名呼びつつ用をさす声忘れかね部屋に佇む
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中陰
亡母のいまだ日浅く中陰に罪を問わるる悲しみの顕つ
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秋立つ気配
桔梗咲き白菊咲いて雨あがる盆のひなたに秋立つ気配
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見届け
子らの現実(いま)をよしと見届けたらちねの母は逝きしや一世紀を生き
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初七日
初七日の祖母の法要へ追福の祈りに吾娘(こ)は雨の中行く
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過ぎ行く
婚儀席に吾ら親子のきょうは居てひまなく過ぎ行く八月の日々
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持病発作
倒れるは今だと冠婚葬祭の家にぎわいに娘(こ)は笑いつつ言う
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異なる性
たらちねの母に育(おふ)してそれぞれに異る性の子となる不思議
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根の洞
伐(か)りのこる太き根の洞八月の雨にぬれ照る老母(はは)の通夜の日
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棲家
ひたすらに棲家欲りせし母逝きて追わるる一生(ひとよ)を悲しむ雨の夜 
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雨となる夜のつゞきて街灯にまつわる蛾すら飛ぶこともなし
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短き夏
立葵の背高くなりて風にゆれ短き夏の終わり告げをり
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すずしき風
北国のすずしき風に大阪より帰省せし息子(こ)の眠り深かり
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強風
ベランダに置く物なべて動かすとおもふ風吹く音ともないて
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輝き
一瞬の命のごとき輝きをいくつも開きて消えゆく花火
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改修工事
朝よりむしあつかりしにクレーン車の音たち改修工事の始まる
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