2002年07月の記事


錯覚
みづからもエキストラめく錯覚に地下交差路の雑沓を行く
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夢のつづき
朝夢の不思議に目覚めみじろがず夢のつづきへおもいめぐらす
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飯粒
貪りてわがイレウスを思いなむ粥の飯粒を舌に惜しみて
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石いろ
舗石(いし)いろに昏れゆく道を身の力衰え歩む、水を欲りつつ
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大ごと
わがために為す飲食ごと絶食の三日目にして大ごとと知る
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諦め
痛む身に諦めのごとき花火音、独りしづかに聞きいる夏の夜
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怖れ
腹痛で部屋にかがまり鎮痛剤ききくるまでの独りを怖るる
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夏の雨
夏の雨しばらくやみて足場組む鉄材音の聞こえくる窓
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宝くじ
苛立ちが蒸さるるごとき日の昼を捨てたきさまに宝くじ買う
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地下街
地の下を娘(こ)と歩きいる現実感なくて買い物楽しみてをり
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休日病廊
休日の病廊しづかに暮るるころ介護の足音をひそめて帰る
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介護
朝いでて夕べに戻る一日のなべては老母の介護にかかわる
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花火
ハート形の花火にどよめく見物の河原にあがる若きらの声
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暮れ方の雑草(あらくさ)道に蝶ひとつとぶ野幌の公園をゆく
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くたれ散る垣のつつじは雨の中蕊しろじろと花を脱ぎをり
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悲喜
悲喜となす二極の精神(こころ)きょう覚ゆ。台風七号近づく夏日
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雨脚
夕立の激しく降りて雨脚を窓より見つゝ気遠くありぬ
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子供など当てにするなと口すゆき老母が姉に尽くして惨たり
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初物
真夏日の暑さとなりて西瓜を買い、初物笑みに種を飛ばせり
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口の動き
老い母のもの言う口の動きをみれど声を出ださず身の衰えり
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雨音
口開けてひたすら眠る老い母の昼を雨ふる。雨だれ音す。 
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曇り空
病窓の五階に眺める曇り空、羽を傷めし鴉の飛びゆく
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夕べ道
茎だちて花影ゆるる立葵、ことしも夕べの道に咲きをり
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鳥あしに似し手ゆだねし老い母は拭くがままなり爪切るままなり 
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七夕の雨
朝(あした)より雨ふり濡るる七夕の夜の舗装路しずまりて見ゆ
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施錠
家に息子(こ)の居りて施錠をせぬ夜の部屋に風入れ夏を涼しむ
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農夫病
腰曲がる農夫病者の老いおおく杖つき歩む姿わびしむ
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ハクウンボク
今年またハクウンボクの花かをり明るき空に暮れなずみをり
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体調
気負うのち易く体調崩しゆく老いをさびしむ。動きをせばめ
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惚け
みずからを憐れむことも愚痴もなく惚けし老母は虚空に手を伸す
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真実
真実とふ魂ひとつ、拾いたき。ひたすら疲れし身を憐れむ日
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