2002年03月の記事


老い母
たらちねの老い母小さくなりし身をベットに沈め屈がまり眠る
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雲の下
ゆき消えし公園の道たえまなく雲の過ぎゆくしたに広がる
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朝夢
逝きしものの明るき笑顔の朝夢に驚き目覚むる。胸に手を置き
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堰堤
雪解け水はげしく落ちる堰堤の橋を渡りて老い母を訪ふ
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春の陽
ミシン掛けせし部屋のなか春の陽のさしくる午後は畳の温し
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針箱
しつけ糸使い捨てせず糸巻きにとり置く母の古びし針箱
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氷雨ゆき
向かい風つめたく頬にあたりしが氷雨となりて雪に変われり
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くしゃみ
くしゃみ待ち語尾をのばして楽しめり。誰も居らねば抑揚つけて
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黄砂
一夜さに黄砂降りきて屋根のうえ窓の硝子に泥のつきをり
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一日(ひとひ)
雨ふりて風のとよもす一日(ひとひ)暮れすがしく舗道を照らす街灯
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雪間
日当たりの山のなだりにひときわの緑が雪間にみゆる連なり
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寺庭の木々に集まりゆうぐれの雀さわがし。一日を話すごと
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日向道
充電をせし自転車で日向道 選びゆく昼 彼岸入りの日
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段差
雪のなき地には惑える白さなく段差の区切りも明らかに見ゆ
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冬靴
北向きの日陰に雪の消えのこり冬靴重く乾きゆく舗装路
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老いの荷
たどきなき歩みに下げていくつもの荷を持つ老いを見やる寂しさ
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山奥
雨となり暮れゆく峠を人住まぬ山奥見つつバスにくだれり
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足許
わが老母(はは)のベッドの足許腰掛けて吾れは居眠る。暖かき午後
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あゆみ
けさ降りし雪のあかるき舗道にてあゆめば鳩の歩むにも会う
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わがくちを用いののしる昨日(きぞ)を悔いつめたき水に漱げり朝
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でくの棒
遂の老い。虚しくなりて雪山に佇立する樺すら「でく」と罵る。
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若鴉
きょうの食とりて足らうか若鴉唄うがに明るく梢に声あぐ
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闘い#1
子に恥じぬ親でありたく闘いしものの一つに屈辱感あり
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美容院
束ねいし髪ととのへて美容院を出づればさむき 夜となりいて
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啓蟄
地虫らが蠢きいるともおもわれず 啓蟄ひねもす粉雪のふる
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いまの幸
百歳の老母(はは)と並びて苺ショート食べつゝ現実(いま)の幸を思はん
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清しさ
雛の夜の新雪をもて覆われし道の清しさ。音のしずまる
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辞書
寂寥という語を辞書に見いでいしわが十代よ。今にして淋し。
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風音
横ざまに降るゆき飛ばし暮れなずむ豊平川をわたる風音
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晴天
職解かれる八百人の記事もありて三日つづきし晴れの崩るる
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