2002年01月の記事


スキー
一人だけの斜面に雪の降りしげき。現今(いま)すら忘れて自在に滑る
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暮れゆく部屋
子のそばに居たしと嘆くははの声、暮れゆく部屋の静けさに思う
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銀杏
雪のなか落ちし銀杏閉じ込められ凍りし上に陽の当たりいる
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淋しき友
おもしろき話もなきに電話きて、こたへなむかも。淋しき友に 
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時間
若き日に欲りし時間を楽しめり。厨に煮込みの香を立たしめて
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理(ことわり)
理(ことわり)を教える父なく育つ子は激(げき)し易かる破綻のありぬ
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星砂
星砂は海の香波の音にわかれ 竹富島より、つとゝなり来る
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スキーヤー
山かげのなつかしき斜面滑り終え、逝きてさやかな笑顔の顕ちぬ
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装ひ
着装ひを かって楽しむ老い母の 派手ゆえ着ぬとふ 心おもほゆ
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訃報
ひたすらにスキーせし日の吾を愛し、死にたる命。泪し謝せり。
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立ち枯れ
彩(いろ)かわることもなくなりアジサイの立ち枯れてをり雪の垣内
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苛立ち
苛立ちてわが老いなげく。テレビ消す部屋に 瀑布のごとき耳鳴り
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領かつ
ちちははの目鼻口許領(わ)かちもつ寝顔の息子(こ)なり。帰省せし寒夜
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凍るまつ毛
凍りつくまつ毛に眼が閉ざさると 住む地変わりし娘(こ)の驚きぬ
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誰れ
淋しめり。老い母われの目をみつつ 誰れぞと聞きて 痴れてゆくなり
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とど松
椴松は緑かがやきゆたかなる雪を載せつつ梢(え)を重ねをり
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透き雲
青空の真下をしろき雪雲の 透かし飛びゆき 寒くなる夕べ
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空さむき昼
地下街を上りきし男、いきなりに大声あぐる。空さむき昼
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勤め路
勤め路を いまはくつろぎ歩みゆき 遊びのごとく 角を曲がりぬ
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呪縛
子を恋へば たらちね母より呪縛さる嫌悪が いまは理解となれり
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賞味期限
賞味期限が昨日までの乾しそばを今日ゆでヽすする。睦月十三日
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折込チラシ
新聞の折込チラシ少なきはマンション広告なきと住みし娘の言う
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雪ふかき街に住む娘(こ)の久しかる札幌の道 融けるに驚く
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コンコース
甲高き声ひびかせて若きらが地下コンコースを笑いながら往く
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悲しさ。
わが姉にこずかれ柱に頭打ち噴く血に驚く日。思い出す悲しさ
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部屋代
部屋代を払うから貸せと言い張りし老い母かなし。家を追われて
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一月七日
さみしらに 今しここに居しわが母が、居ぬと知る夜。睦月七日。
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人間の愛
人間(ひと)への愛、淋しかれども選択にあると知りなむ。親子と無縁に
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子の愛
一世紀生き抜きし母を慕いいる男の子や末に生まれて哀(か)なし

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                       at 2001 12/31
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痴呆
痴呆症しだいに多くなりし老母(はは) 尿失禁に うな垂るは哀し
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冬の川
冬川の水は濁りもみな澄みて吹く風もなく静かに流る
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言うがまま
老い母の言うがままにす一日や。ただに疲れて我も老いたり
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