2001年08月の記事


古本
遠ゆく娘(こ) 古文庫本を二百冊、六百円で買われて かなしむ
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マツヨイグサ
風たちて 待宵草は花の黄を ゆらして咲けり 夕べ川原
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立ち枯れ
くもりつゝ明けゆく朝の 冷やかさ。 咲き終ふ花も 立ち枯れにけり
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親子喧嘩
親と子があらそふさびしさ。 云いつのり 沈黙(もだ)して 怒り 沁みて思ほゆ
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舗装路をしとどに濡らし ひねもすを しづかな雨の降りつヾきをり
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マラソン
マラソンの ひた走るさま見つゝいて かがやく若さの 肉体(み)をともしみぬ
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ミニトマト
秋に入りて 暑き日つヾく。 ミニトマト枝に房なし 赤く色づく
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虫干し
老ひ母の 着物を虫干す。 追憶のわが沈黙に、 風とほり吹く 
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ツメクサ
虫の声 まれにするなり。ツメクサの枯れて広がる茶なる 川原
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住所録
住所録を書き換えにつゝ さびしめり。 世にある人の 少なくなりて
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夕映え
雲荒れて 夕映ゆる空 たちまちに 台風近づき 光を失う
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写本
本箱の 古き写本を捨てにつゝ 遊ばぬ時を 惜しむと思はむ
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重き本
日ねもすを 本もち運ぶ。本箱の位置を 変えむと みたび 動かし
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疑い
疑いを怖れぬ心 悔い多く 思へばあやまち多く さびしむ
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盆踊り
踊りびと 風と太鼓に手をゆらし 輪を広げゆく しまい盆の夜
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来客
ひたすらに働く日なり。客ありて時のうつりを 覚えず過ごす
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かなしみ
車蜻蛉 袖に寄りきて 出迎えり。 かなしみ深き 墓地にたゝずむ
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ふる道
盂蘭盆の 墓場のふる道 あゆむ日は 老いを深むる わが独りにて
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迎え火
迎え火の 葉月の夜はひそとして 君を想えり 言うこともなく
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夏夜
亡きものゝ盆日近づく。夕の空 明るく昏れて 夏夜は更けぬ
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立ち読み
しづかにて、あかるき心 保ちがたし。午後を書店で 立ち読み過ごす
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昼寝
昼寝よりさめて明るき静けさに ものゝ音のみ聞き澄ましをり
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空の音
きのふより風吹きやまずヘリコプター飛ばず静まる空のもの音
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歌占
本読みてまどろむうつつ。歌占の頁を風のめくりゆくなり 
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立秋
ベランダの矢車草の花を透き風吹きすぐる立秋の朝
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花火
消えていく花火のはかなさ。絵に画きて 尚しはなやぐ、時を惜しめり
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2001年8月5日
息子(こ)が創るホームに 我の歌ひとつ いのちといえる 旅のすさびに   光子
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