子どもの空間:/10止 昼間、働きたい 待っていてくれた「母の味」
北国の空港から車で約1時間。町は中心部もひっそりしている。郊外の家に母親(51)と3姉妹は暮らす。廊下には三女(18)が椅子を振りかぶって開けた穴が、4年前のまま残っている。

 兆しは小学6年の5月ごろ。三女は保健室で養護教諭に切り出した。「先生は相談の係なんでしょ。話しておいた方がいいと思って」。喫煙していることを告げた。校舎裏のスキー山の上で、これ見よがしにたばこを吸ったこともあった。...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/9 苦悩、誰が知る 同級生に殺人依頼の16歳
窓のない面会室で、少年(16)は感情をまったく表さなかった。

 北海道の旭川少年鑑別所。昨年11月、面会に訪ねた中学時代の担任は戸惑った。「本当に来てくれたんだね」。演技なのか、別の世界にいるのか、判断がつきかねるような冷ややかな口調だった。

 「事件について誰かに話せば、心の整理がつくだろ」。担任の問いかけに、つぶやいた。「おれの4年間の苦しみは、誰にも分からねえ」

 その3カ月前、...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/8 やめたいねん たばこ吸っても意味ないし
たばこ吸っても意味がない。息が切れる。でもやめられへん。

 オレは中学2年生。まじめやないけど、ワルでもない。吸い始めてもう4年半。

 名前はショウノ。14歳。晴れた6月の放課後、校舎の裏であいつと一服した。「おまえら何してんだ!」。もみ消したけど、遅かった。

 一緒に見つかった「あいつ」は親友のイッペイ。奈良県の同じ中学の2年生、同じ団地に住んでいる。

 たばこがばれた昨年夏、先生...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/7 違ってていい 「うつ病」の妹、葛藤した姉
「起きて! 学校行かないの?」。動き出す気配のない妹(14)のベッドに声をかける。「いやだ、行かない」

 迎えに来た友達に、母(45)は「今日は調子が悪くて」といつものように謝る。その子たちの後ろから登校するのが気まずくて、追い越さないように雪の住宅街をゆっくり歩いた。

 私だって毎日耐えてるんだ。普通の人になってよ!

 北海道。1年前の冬、高校受験を控えた少女(16)はいら立っていた...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/6 寂しさを隠し 「マンキツ」拠点に出会い系
ついたてで仕切られた個室は44。薄暗く乾いた地下のスペースに空調の音だけが響く。

 受付で指定された「3番」の扉を開け、彼女はソファに腰をおろす間もなく携帯電話の充電を始めた。「電池すぐ切れますから」。飲み放題のメロンソーダとマンガ本12冊を2畳ほどの部屋に持ち込む。大みそかの前日、今日が「仕事納め」。

 JR目黒駅前のマンキツ(まんが喫茶)は1時間400円。「サポ」(援助交際)で稼ぐ彼...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/5 母への恨み超え 「たたかれるための犬だった」
静寂に包まれた深夜の公園。小さな背を丸めて水をくむ子どもに気づいた人がいただろうか。

 恭司君(仮名)が小学5年生のころだった。ガスや電気を止められ、ろうそくの灯で暮らした。公園で1・5リットルのペットボトルに水を入れ、自宅へ運ぶ。洗濯や水風呂にも使うため、30~40往復した。鉛色の夜空に工場の煙突から煙が吐き出されていた。

 父は4歳のころいなくなった。母は生活保護費をもらうとパチンコ...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/4 強い母になる 「産んであげられなかった」
毎朝5時45分、携帯のアラームが鳴る。ダウンジャケットを羽織り、東京都大田区の街を自転車で飛ばす。エプロンを着けて厨房(ちゅうぼう)に入り、総菜を作ってパックに詰める。弁当を車に積むと、オフィス街へ。1日32個を売り、翌日の仕込みまでが給料分の仕事。週末の夜は居酒屋になる店を手伝い、夕飯を食べさせてもらう。

 高校をやめ、少女(17)が店に来たのは昨年5月。少ししてママ(57)に1年前のこ...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

子どもの空間:/2 生きてるんだ 母を変えた少年の自殺
もみじを2枚、道で拾った。燃えるような葉を母(44)から受け取り、少女(13)は何も言わず手のひらに乗せた。

 「きれいだね。生きているからそう思えるんだよ」。母は校門で車を止め、娘を降ろした。もう授業が始まっている。

 少女は保育園の時、手の跡がつくほど先生にぶたれた。それから心を閉ざし、学校で気持ちをうまく表現できない。

 同じ中学1年のクラスに仲良しの堀本弘士君(12)がいた。自...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋

1 学校いらない 先生は、母と祖母と曽祖母
おとなは誰も立ち入れない。「子どもの空間」の透明なバリア。不安、いじめ、友情、涙、希望、孤独……。やさしさを忘れないで。強い心を抱きしめて。暗い出来事ばかりじゃない。

 小さな声に耳を澄まそう。

 庭先で遊んでいたら集金にきたおばさんに何度も聞かれた。

 「きょう学校は?」

 やっぱり午前中は外に出たくない。

 木曽川を望む岐阜県のある住宅街。木の机が一つ、椅子が二つ。「難しい。イ...[続きを読む]
entry from
サイト名 : 達人の部屋